映画ドラマ評価ピクシーン Pick Scene映画ブログ/評価ランキング/興行収入/ネタバレあらすじ感想

映画『天気の子』評価は?ネタバレ感想考察あらすじ/君の名は超える?天気の巫女の伝承とは?

映画天気の子

『天気の子』あらすじ概要

新海誠監督の作品。雨が降り続く東京で「100%晴れ女」というヒナと出会った家出中のホダカは、あるビジネスを思いつきます。しかしその事により予期せぬ事態が進行しやがて…。天気の子の能力を得た場所は?陽菜と帆高の選択は?(ネタバレあらすじ↓)

映画名/邦題 天気の子
平均評価★★★★★75私の評価↓は含まず)
日本公開日 2019/7/19 [予告↓]上映時間 114分
映倫区分日本 G(年齢制限なし)USA PG-13
映画監督新海誠 [キャスト↓]
配給/製作/画像©東宝/STORY inc.、コミックス・ウェーブ・フィルム
シリーズ/関連新海誠監督の映画 < 前作続編 >
日本興行収入142.3億円年間1位
世界興行収入1.9億USドル [出典]

『天気の子』予告動画

キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

森嶋帆高(醍醐虎汰朗)
ほだか。家出して東京で暮らす少年。オカルト雑誌のライター見習い。ひなと出会う
天野陽菜(森七菜)
ひな。不思議な力を持つ少女。弟のためにバイト中、ほだかを見かけて…
天野凪(吉柳咲良)
なぎ。陽菜の弟。女子にモテモテ
須賀圭介(小栗旬)
オカルト雑誌のライター。帆高を採用する
夏美(本田翼)
圭介の事務所で働く女子大生。面倒見がいい
安井(平泉成)
老刑事
高井(梶裕貴)
安井の相棒の刑事
冨美(倍賞千恵子)
晴れを願う老婦人

『天気の子』ネタバレあらすじ

この先はネタバレありのあらすじです。続編前作や関連映画は、新海誠監督の映画一覧もご参考に。

高校1年生の森嶋帆高(醍醐虎汰朗。ほだか)は家出して東京に行くが資金がつきたので、船で出会った須賀圭介(小栗旬)の所で女子大生の夏美(本田翼)にからかわれながら、ムー等のオカルトライターとして住込みで働きはじめます。

100%の晴れ女の正体とは?(ネタバレあらすじ)

東京は雨が降り続いて、100%の晴れ女の都市伝説まで流れます。帆高は以前ゴミ箱で見つけた拳銃を持ち歩いてます。見覚えある少女が襲われてるのを助ける時、銃を撃ってしまいます。少女の天野陽菜(森七菜。ひな)と仲良くなります。

陽菜はモテる弟の天野凪(吉柳咲良。なぎ)と二人暮らしでお金が足りなかったので、帆高は陽菜の晴れ女の能力で商売することにします。限られた場所で短い時間だけ確実に晴れ間を出せるので人気となるが、TV中継されたため休業します。

異常気象を止める方法とは?(ネタバレあらすじ)

帆高は銃器所持と家出の件で警察に探され圭介からも解雇され、陽菜と凪は児童福祉課に目をつけられたので3人で家出してさまよいます。陽菜の心に連動するように豪雨や真夏の雪まで降ります。3人はやっと泊まれたホテルではしゃぎます。

陽菜の誕生日なので帆高は指輪を渡します。陽菜は晴れ女の代償で体に変化が発生してて、人柱になると異常気象が収まると言います。その夜、陽菜が消えると東京は晴天になります。帆高は警察に捕まり、凪は児童相談所に送られ…

ネタバレ感想『天気の子』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、新海誠監督の映画一覧もご参考に。

私の評価 ★★★★★70/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

新海誠が『君の名は。』の次に描きたかった物語とは?

新海誠監督の長編アニメ映画(一覧)では7作目ですが、世間が初めて注目した大ヒット前作『君の名は。』から数えると実質2作目の大作映画です。

新海誠監督はかなり早い時期から『天気の子』はエンタメ大作だと宣言してましたし、前作は250億円を超える興行収入を達成してるため注目度も高くて公開規模も2019年の中ではトップクラスです。ただ、賛否両論になりそうとも語ってます。

結論を言うと『天気の子』は本来の新海誠監督の作家性を隠さず全開で勝負してきました。元々の新海誠ファンは賛成派が多い気がします。しかしトリッキー要素はほぼないため『君の名は。』が好きだった人には否定派が多いかもしれません。

多くの小説家や漫画家や映画監督は、大ヒット作の次作くらいまでは同じ系統の物語で勝負し、世間での評価を不動なものにした後、3作目以降で作家性を全開にしてきます。しかし新海誠監督は、いきなり本性を現しました(ほめてます)。

最近では『サマーウォーズ』等で成功した細田守監督(一覧)の『未来のミライ』や、世界のジブリ(一覧)にまで導いた宮崎駿監督の『風立ちぬ』等も大成功後の作家性全開作品です。

それらの評価はあえて書きませんが、洋画でもM.ナイトシャマラン監督(一覧)が『シックスセンス』の後にどういう作品を作りどう評価されたか見ると心配ではあります。一方で応援したい気もします。

『君の名は』は特大ヒットの代償として多くの批判もうみました。新海誠は本作で「セカイ系の常識を覆してでも、興行収入を稼げなくても、少年少女の幸せを追求する。描きたい物語を作る」という反論的な宣言をしたかったように感じます。

前作同様RADWIMPの曲とシンクロさせたり、ボーイミーツガール要素やエモさ重視の演出もあるので、優良リピーターだった中高生がどう判断するか分かりませんが、高齢者や普段映画観ない人にまで波及した前作越えは難しいかもしれません。

映画天気の子

声優と評価について

新海誠監督の映画[一覧]でも、ジブリ[一覧]細田守監督の映画[一覧]と同様に、声優ではなく有名人タレントを使う場合が多いです。

前作『君の名は。』でも、上白石萌音や神木隆之介や長澤まさみが主要な役の声を演じました。さすがに声優には劣るけど、芸能人声優としては高く評価された方です。

本作『天気の子』では、主役の2人の声を声優経験の少ない醍醐虎汰朗と森七菜が演じています。帆高の醍醐虎汰朗に関しては最初だけ少し違和感あったけど中盤以降はハマってました。陽菜の森七菜は声優と思えるくらい上手で今後期待です。

須賀圭介の小栗旬も、本人の顔が浮かばないくらいヤサグレ感を表現できていました。予告編などで炎上ぎみで心配された夏美役の本田翼ですが、しっかり声が調整されてて夏美というキャラにもあってたと思います。

全くノーマークだった天野凪の吉柳咲良は、少し背伸びした小学生ぶりをかなり上手に演じてました。他には安井刑事の平泉成、高井刑事の梶裕貴、立花冨美の倍賞千恵子などが、少ないセリフですがしっかり脇を固めていて安心できます。

「天気の子」の正体とは?何かの暗示?

タイトル『天気の子』の「子」は意図的につけてると思います。つまりまだ「子ども」の陽菜と帆高の関係が「天気」のように不安定であることも暗示してると感じます。陽菜は18歳の大人だと言ったけど、ラスト近くでウソだと判明します。

帆高は家出少年でマンガ喫茶すら追い出されます。陽菜は入院した母を亡くし、小学生の弟の凪を育てるためにマクドナルドでバイト中、同じような境遇の帆高に同情してハンバーガーを与えます。次のバイトでは水商売を選ぼうとしてます。

そんな陽菜と帆高は東京では社会的弱者の底辺であり、自炊料理もポテチチャーハンとチキンラーメン入りサラダだったり、ラブホでの豪華食事もカップラーメン等のジャンクフードです。それはそれで美味しそうなので、さっそくコンビニでコラボ販売してて面白い仕掛けですが。

やがて「天気の子」として「100%晴れ女」のビジネスを始めるが、ノーリスクで生活費を稼げるほど世界は甘くなく、真相は「人柱」として陽菜の命をけずる「等価交換」です。帆高は知らなかったとはいえ、実質は「性風俗店」と同じように陽菜の搾取(命をけずり)でお金儲けしてたのです。

最近の人気アイドルや萌えアニメや子役俳優などへの「性搾取・子搾取」への皮肉や批判にも感じられます。また、視聴者が見たいエンタメを制作するように迫られ、作家性を封印せざるを得ない「新海誠や制作者搾取」への反論にも思えます。

ただし陽菜は自分自身の意思で「母親や弟のために雨を止められるなら人柱になってもいい」という願いをこめて鳥居をくぐったのだから「搾取」というより「自己犠牲」です。その願いが天に叶えられて「天気の巫女」に選ばれたのでしょう。

しかしラストで帆高は「搾取や自己犠牲」を否定するように陽菜を連れ戻します。帆高は「セカイが晴れて救われること」よりも「陽菜と一緒にいたいという欲望」を優先したのです。

この帆高と同様に、新海誠監督は「ヒット作のために、映画監督として搾取され、作家性を犠牲にする」ことを拒否し「作りたいものを作る欲望」を優先すると宣言したように感じます。

陽菜と帆高の選択は?首輪や指輪の意味は?

陽菜は天気を操る能力を使い「晴れ女」としていろんな人を幸せにするうちに「人に必要とされる喜び」を知り、「恒久的な快晴」にできるなら自分が人柱となることも許容して雲の上に旅立ちます。この選択で世界はより良くなるけど、弟の凪に対しては無責任だと感じます。

帆高は「雨が降りつづいても、陽菜と同じ世界に生きる」「世界より彼女」を選択します。セカイ系と呼ばれるジャンルでは珍しい決断ですが「ただ雨が降り続いて陸地が縮小する」だけなので、世界滅亡を救う物語と同列には語れません

ところで、あの屋上の古い神社の鳥居からは誰でも雲の上へ飛べるのでしょうか?若さが条件ですかね?雲の上での生活方法は不明ですが、帆高と陽菜と凪が雲の上で一緒に暮らすという選択肢はなかったのでしょうか。下界も晴れますし。

帆高の決断については賛否ありそうですが、最近「世界や現状より恋人を選ぶ」映画をいくつか観ています。ネタバレなのでタイトルは伏せるけどマーベル映画MCUのアレ、ピクサーのアレもそうでした。

その後東京は雨が振り続いて海面が上昇し、昔の江戸に近い状態にまで陸地が減ります。陽菜ひとりが人柱になれば晴れるのなら、みんなそれを選択するだろうと圭介はドライに言いましたが、結局は一途な帆高の熱意に心動かされて応援します。

私も帆高の決断に賛成します。たとえ雨が降り続いても、好きな人と同じ世界で笑いあえるのならほとんどの人が同じ選択をすると思います。それこそフィクションではない生身の人間の選択です!

陽菜が下界に戻った時、首輪(チョーカー)がはずれてましたが、あれは「天気の子」の呪縛が解かれた意味だと感じました。首輪の宝石は、冒頭の母親からの形見だし、帆高からの指輪は組紐的アイテムだと思います。

1点、ご都合主義に感じた部分はあります。「晴れ女」を行使することで、人間とはかけ離れていった陽菜ですが、雲の上から帰った後は体も元に戻ったようです。体がおかしくなったから旅立つ決心をしたようにも思えたので、この部分には違和感があります。

天気の巫女の正体や龍神や稲荷とは?

陽菜が天候をあやつれる「天気の子」になれた理由は最後まで判明しません。入院中の母親に晴れた空を見せたくて、光の先の鳥居をくぐった陽菜は気づくと雲の上に浮遊してて、その後は祈れば晴れ空にしたり、雷を落とせようになります。

陽菜と帆高が訪れた天気の神社の神主は「太古には天気を操れる天気の巫女が各地に存在」したことを語ります。巫女の力は天に身を捧げることで得られるため力の代償として「人柱」「いけにえ」「呪い」のような状態になります。

天気の神社の天井画には、雲の上のクジラや魚たちと龍神が描かれています。龍神は雨や水の神様ですが、占い師(声:野沢雅子)によると、逆に晴れをつかさどる稲荷系(いなり)も存在します。稲荷の使いのキツネは登場しませんでしたが。

陽菜が手を合わせた鳥居は稲荷神社だったのでしょう。稲荷は稲や農耕の神様でもあるので、各地で天気をあやつってたとされる「天気の巫女」伝承とも関わりがあります。巫女は新海誠映画では定番でもあります。

占い師は「龍神系の雨女、稲荷系の晴れ女。自然を左右すると重い代償が伴う」と予言しました。また、初盆のため晴れ女を依頼した老婦人が「お彼岸」の話で「空の上には別世界がある」と「死後の世界」を連想させる発言もしました。

天気の子の神社の聖地やモデルはどこ?

陽菜がくぐった屋上の鳥居は、銀座の朝日稲荷神社がモデル(聖地)だと思われます。建物の外観は代々木会館が参考になっています。帆高らが訪れた天気の神社は、東京都杉並区高円寺「氷川神社」の気象神社がモデルのようです。

てるてる坊主も飾られていて、毎年6月1日の気象記念日には例大祭が行われるそうです。日本で唯一の天気の神様なので、快晴祈願や気象予報士の受験生が合格祈願で訪れます。今後は聖地巡礼客が増えそうですが、マナーは気をつけましょう。

『君の名は』の三葉や瀧や四葉はどこ?

君の名は。』でも『言の葉の庭』のユキノ(ユキちゃん先生)が登場したことから、新海誠監督はちょっとしたカメオ出演やクロスオーバー(作品をまたいでの出演)が大好きなようです。

『天気の子』でも『君の名は。』の主人公、宮水三葉がジュエリーショップの店員として登場します。帆高が指輪を買いに行った店です。店員の胸に「Miyamizu」のネームが見えます。年齢的に、隕石が落ちてから数年後でしょうか。

瀧は、初盆のために「晴れ女」を依頼してきたおばあちゃんの立花冨美の孫として登場します。スイカを出してくれました。3年後には冨美の家は海に沈み、マンション暮らししています。そこには瀧の結婚式写真らしきものが…

四葉は1回目鑑賞時は見つけられませんでしたが、陽菜が人柱になった後に学校で晴れた空を見ていたツインテール女子高生がそれっぽいです。奥村先輩もいたのかな?。ソフトバンクのお父さん白犬も2回登場しています。

てっしー(勅使河原克彦)とさやちん(名取早耶香)は、晴れ女を依頼してきたフリーマーケットで観覧車に乗ってたようです。いずれにしろ、2回目以降で確認できたら追記したいと思います。

『天気の子』私の評価は?続編は?

君の名は。』は、私のオールタイムベスト30に入るほど好きです。その理由は中盤の意表をついた展開と、終盤に明らかになっていくミステリー性、予想もできなかったラストなどを高評価しているからです。

だから本作『天気の子』は前作を越えてません。ただし、歴代邦画アニメの中では好きな方に入りそうですし、新海誠監督の映画(一覧)の中でも『君の名は。』の次に好みです。

最初から気になってた猫の「あめ」が3年後に丸々と太っただけで伏線ではなかったり、水の魚の正体も伏線回収されずに終わったりと消化不良部分はあります。劇中広告が多いのは、アニメーターの環境改善につながるなら歓迎です。

映像は全アニメ映画の中でもトップレベルに美しいし、RADWIMPSの主題歌「愛にできることはまだあるかい」「グランドエスケープ feat.三浦透子」も作品にマッチしていて、ヘビロテで聴きたくなります。

興行収入や動員数での結果しだいかもしれないけど、大ヒット作の次作品は内容にかかわらずそこそこヒットはするので、2年後にはまた新海誠映画を見れそうな気はします。あくまでも予想ですが、続編か同世界線の作品もありえると思います。

『天気の子』は『君の名は。』と同じ世界線でクロスオーバー演出をいくつかしています。リピーターを狙う演出ですが、将来的にマーベル映画MCUのような展開を考えてるかもしれません。

その構想は、新海誠監督の作家性とは食い違うけど、そろそろヒットシリーズ作がほしいだろう川村元気プロデューサーは仕掛けたいのではないでしょうか。世界戦略的にもその方がヒットしそうだし、個人的には面白ければいいので挑戦してほしいです!

続編前作や関連映画は、新海誠監督の映画一覧もご参考に。

『天気の子』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞

ゆめぴょん画像
サイト管理人ゆめぴょん(映画・旅行好き)
興行収入は毎週更新!2024新作29、2023年198本鑑賞。好み⇒謎/驚き/社会性/感情動かす/多幸感/ストーリーと演出を重視/本格ミステリ/SFファンタジー/ホラー/アニメ/MCU。135国 海外旅行ブログ
新作おすすめ映画の感想ネタバレ考察や評価もチェック!
最近更新の映画ランキングやネタバレ感想
サイト管理人ゆめぴょん(映画・旅行好き)
ゆめぴょん@ピクシーン
興行収入は毎週更新!2024新作29、2023年198本鑑賞。好み⇒謎/驚き/社会性/感情動かす/多幸感/ストーリーと演出を重視/ホラー/本格ミステリ/アニメ/MCU
映画ランキングやシリーズ一覧
ホーム 関連作一覧 興収ランキング
検 索
目 次