映画『マネーショート華麗なる大逆転』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?儲けた方法は?
リーマンショック時の実話がベース。2005年、金融トレーダーのマイケルは、高格付の不動産抵当証券に返済見込みの低い住宅ローンを含む金融商品(サブプライム・ローン)を発見し、破綻時に儲かるCDSに投資するのだが…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | マネーショート 華麗なる大逆転 |
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日本公開日 | 2016/3/4 [予告] 上映時間:130分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | The Big Short |
監督・キャスト | アダム・マッケイ |
キャスト 出演者 | クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット、マリサ・トメイ |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | 東和ピクチャーズ、パラマウント映画(USA)/リージェンシー・エンタープライズ、プランBエンターテインメント |
日本興行収入 | 5.8億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 1.3億USドル [出典] |
製作費 | 0.3億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.26更新) 73(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | 実話/歴史/時代/西部/戦争映画一覧 |
ネタバレ感想『マネーショート 華麗なる大逆転』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
映画『マネーショート 華麗なる大逆転』は、リーマン・ショック前にいち早くサブプライム・ローン破綻を予期していた一握りの男たちが、一世一代の賭けに出てウォール街や政府機関などを出し抜こうとする経済映画です。
この映画のおすすめ4ポイント
- 経済の勉強になる
- 専門用語のわかりやすい説明あり
- 金儲けする人の思考が見れる
- 金儲けの裏で損する人がいる
少し残念2ポイント
- エンタメ性は薄い
- 経済用語が難しすぎる
『マネーショート 華麗なる大逆転』ネタバレあらすじとラスト結末
金融トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は、高い格付けの金融商品CDO(不動産抵当証券)の中に、返済される可能性の低い住宅ローン(サブプライム・ローン)が含まれていることを発見します。そして、それが不良債権化した場合の保険CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を銀行と契約します。
このマイケルの動向を察知した、銀行家ジャレット・ベネット(ライアン・ゴズリング)は、ヘッジファンド・マネージャーのマーク・バウム(スティーヴ・カレル)にCDSの話を持ち込みます。そしてマークのチームは、サブプライム・ローンの調査を開始します。
調査をすすめるマークは、住宅ローンの返済などできそうにない低所得者への気軽な貸付けを見て、銀行や政府に対して憤りを感じ、CDSの購入を決定します。
同じ頃、金融システムに嫌気がさしてウォール街を去り、野菜を栽培しながら静かに暮らしていた元やり手の銀行家ベン・リカート(ブラット・ピット)は、犬の散歩で知り合った2人の若者から、サブプライム・ローンの崩壊について聞き、CDSの購入を手助けすることにします。
2007年1月、ついにサブプライム・ローンは債務不履行(デフォルト)になりますが、サブプライム・ローンの含まれたMBS(モーゲージ債)の格付けはなぜか、下がるどころか上がります。そしてMBSを束ねたCDOの価値も上がっていきます。
マークは格付け機関に乗り込みますが事態は変わらず、ジェレットの提案でラスベガスの、金融関係者の集まりに参加することにします。ベンら3人もラスベガスへ行き、CDOの中のAA(ダブルエー)トランシェを空売りすることを思いつき実行にうつします。
大喜びする2人の若者にベンは叱責します。「君らが金儲けできるということは、多くの人々が家や仕事や老後の蓄えや年金を失い、死ぬ人が増えるということだ」。それを聞き、2人は我に返り恐れを抱きます。
マイケルはCDOが下がらない理由は、金融関係者が無知だからか詐欺だと考え、待ちくたびれます。マークはジャレットの人脈から、合成CDOの存在を聞き、それに対するCDSを購入することに決めます。
2007年4月、サブプライム・ローンの貸付会社大手が倒産して、MBS(モーゲージ債)の価値は下がりますが、CDOもCDSもまだ変化なしで、CDSの購入者たちはあせります。しかしついに、CDSの価値は上がり始めます。
マイケル、ジャレット、ベンと2人の若者はCDSを売り抜いて多額の利益を確保します。しかしマークは持ち続けます。やがてウォール街の巨人投資銀行リーマン・ブラザーズなどが破綻します。そしてマークはCDSを売ることを決意します。
金融崩壊後も、関係者はほとんど逮捕されず、倒産しそうな金融機関は税金で救済され、CDOを売った銀行家たちは多額のボーナスを手に入れます。一方で800万人が失業し、600万人が家を失うなど、貧困層や移民が損害をこうむりました。
マークは穏やかになり、1人の若者はファンド経営、もう1人は家庭を持ち、ベンは妻と家庭農園で野菜を作り続けています。マイケルは政府機関に金融崩壊について説明したけど、監査や尋問にあっただけでした。そして今度は「水」への投資をはじめています。2015年に大手銀行はCDOの名前を変えて、こりずに再び売り出してるそうです。
映画『マネーショート 華麗なる大逆転』ネタバレ感想や解説
印象的なシーンは、ドキュメンタリータッチなのに急に登場人物たちが、カメラ目線で話しかけてくるいくつかの場面です。『デッドプール』でおなじみの「第四の壁の突破」という、映画の中の人物が視聴者に話しかけてくる手法ですが、最初は驚きます。
そしてサブプライム・ローンなどの複雑な経済用語を、物語とは関係のない女優マーゴット・ロビーなどが出てきて、お風呂に入りながら説明してくれるという風にコメディの要素もあります。
あとは淡々と進行するので、劇的なシーンは少ないのですが、サブプライム・ローンの多くが債務不履行になっているのに、格付け機関が独自に格付けを上げていたことには本当に驚きました。1社が下げても、他の格付機関が上げれば、銀行はそちらを信用する、というメチャクチャな理屈にもあきれました。
マークがラスベガスで、市場が絶好調だと言う講演者に対して「サブプライム・ローンによる損失が、今後も5%にとどまる確率は0%だ」と明言するシーンや、ディベートで大物投資家が投資銀行の株を買い増すと強気発言した後に「ドカーン」と言った場面は視聴者としては気持ちよかったです。
そのディベート中に投資銀行の株価が暴落したため、聴講者たちは半数以上が離席していきます。その後に予定されていた、連邦準備制度理事会(FRB)の前議長グリーンスパンの講演会がさみしい人数になったのは象徴的です。
ベンが手助けする2人の若者が、素人でお金の持ち合わせも少ない中、一流の銀行家も思いつかないような、ひらめきとこわいもの知らずの勇気で、どんどん買い増ししました。成功したからこそ映像化されたけど、多くの失敗した人はただのギャンブラーに終わってしまったのでしょう。
そんな2人が大喜びした時に、ベンが「多くの人は大金を失う」と叱責したシーンは印象的でした。ラストでも語られますが、最後に大損するのは金融機関や債権を売った社員ではなく、最も底辺の、住宅ローンを組んだり、職を失うことになる人々だけです。
娯楽映画というよりは、リーマンショックを解説する経済映画ですが、用語説明や視聴者への語りかけなどによるコメディ要素も多いため、わりと気軽に観ることができます。興味ある人は、ぜひ1度観ることをおすすめします!
私の評価 67/100(60が平均)
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