映画『博士と彼女のセオリー』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?ホーキング博士の実話?
アカデミー賞主演男優賞 受賞作。実話ベース。ケンブリッジ大学の物理学の天才スティーヴン・ホーキングは詩を学ぶジェーンと恋におちます。そんな時、彼は難病ALSを発症し余命2年と宣告されてしまうが…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 博士と彼女のセオリー |
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日本公開日 | 2015/3/13 [予告] 上映時間:124分 |
製作国 | イギリス |
原題/英題 | The Theory of Everything |
監督・キャスト | ジェームズ・マーシュ |
キャスト 出演者 | エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー・コックス、エミリー・ワトソン、サイモン・マクバーニー |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | 東宝東和、フォーカス・フィーチャーズ(USA)/Working Title Films |
日本興行収入 | 2.2億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 1.2億USドル [出典] |
製作費 | 0.2億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.26更新) 76(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | 実話/歴史/時代/西部/戦争映画一覧 |
ネタバレ感想『博士と彼女のセオリー』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
映画『博士と彼女のセオリー』は、天才物理学者ホーキング博士が発病前に妻となるジェーンと知り合うところから始まります。そしてALS(筋萎縮性側索硬化症)が進行し家族のあり方が変わっていくまでを描いた伝記映画です。
映画『博士と彼女のセオリー』ネタバレあらすじ感想や解説
スティーヴン(ホーキング博士)の伝記本や映画は他にもあるようですが、本作は物理学者としての顔よりも、妻ジェーンとの出会いから出産・介護・葛藤・そして別々の道を歩みはじめるまでの、2人の物語が中心です。
スティーヴンは亡くなりましたが、多くの関係者が今も生きていることから、基本的にみんな良い人に描かれています。というよりも、ダークな側面は見せないように、うまく配慮されています。特にジェーンの苦労や葛藤は、こんなに生やさしいものではなかったと思います。
スティーヴンは天才物理学者として車椅子に乗っている姿をよく見ますが、それが先天的なものではなく、大学時代にALSに発症した後天的なものだったことをはじめて知りました。誰でも発症の可能性のある、恐ろしい病気だと感じました。
まだ立って歩ける理系メガネ君だったスティーヴンに、ジェーンが一目ぼれ?するシーンは好きです。周囲では変わり者だったのでしょうけど、先見の明があったといえます。演じたフェリシティ・ジョーンズがかわいすぎます。
そんな2人が踊るシーンの躍動感や、白が発光する雑学を披露するスティーヴンの理系ぶりや、それにときめくジェーンの乙女ぶりは、2人の若さや魅力を十分に伝えてくれる名場面です。「メガネがいつも汚れてるわね」といってきれいにしてあげるシーンも大好きです。
やがてALSに発症して余命2年と宣告されたスティーヴンは自暴自棄になり、誰とも会わなくなります。その事実を知ってもなお結婚することに決めたジェーンは、スティーヴンの容姿や将来性にではなく、本当に彼のことを愛していたことがわかります。
若い2人なので、恋に盲目になってた可能性はあります。しかし良い意味でしたたかなジェーンが、余命2年と宣告されたスティーヴンの子どもをすぐ出産したことから、計算で動いてたわけではなく、愛する人の子どもを1人になっても育てる決意があったことは明白です。
少しづつ体が動かなくなってきて、セーターを顔までかぶった状態で暖炉の火を見た時に、宇宙の理論を思いつくシーンは実話なんでしょうか。私は昔ニュースで博士を見た時、病により頭脳が発達して、人が思いつかない理論を発見したと思ったのですが、最初から天才だったようですね。
博士の理論は最初は馬鹿にする人もいましたが、絶賛する人もいました。原題の「The Theory of Everything」とは統一理論のことで、この世のすべての物質や量子を説明できる理論のことだそうです。私は勝手に「愛」も含まれると解釈しました。
2人の軌跡に重点をおくためなのでしょうけど、2人の両親や親類があまり手助けしてくれないのは残念でした。特にスティーヴンの両親は博識だけど、冷たくも感じました。ジェーンが結婚しなければ、彼らが世話することになったので、実際はもっと親身だった気もします。
子ども2人とスティーヴンの世話で精一杯で、ジェーン自身の研究?には手が回らなかったシーンも少しだけ映されますが、事実はもっと深刻だったと思います。介護人を雇いたくなかったスティーヴンの本当の心境はわかりませんが、もっとジェーンの人生を考えてあげるべきだったと感じました。
疲れ果てたジェーンを見かねた母親が聖歌隊への参加を提案します。確かにこの頃のジェーンには息抜きが大切だと感じました。しかしジェーンの母親はどの程度、ホーキング家の手伝いをしてたのか不明なのが気になりました。
やがて聖歌隊のジョナサンが最初は子どものピアノ教師として家に来て、少しづつジェーンの手助けをするようになります。こういう展開でジェーンに恋しないはずはありません。3人目の子どもが生まれた時に、家族に疑われたのは、えん罪だけに2人ともかわいそうでした。
しかしそれがきっかけでジョナサンはジェーンに告白し、ジェーンもジョナサンに好きだという本心を打ち明けてしまいます。この場面では、スティーヴンがかわいそうに感じてしまいます。
スティーヴンは勘も良いので2人の心に気づいていたのでしょう。フランスのオペラに行ってる間、ジェーンとジョナサンと子どもたちをキャンプに行かせます。そこで2人の関係は決定的になったと描かれますが、あの子ども達が見たらショッキングなシーンだと思います。
スティーヴンは公演中に倒れてしまい、医師はジェーンに死か気管切開(話せなくなる)か選択するように迫りますが、本当にこの2択だったのなら、誰でも後者を選んだと思います。植物状態なら悩むかもしれないけど、話せなくなるだけでこんな選択を迫るものか疑問です。
この事件により、ジェーンは2度めのジョナサンとの別れを決意します。そして話ができなくなったスティーヴンを1人で世話するのは難しいからか、エレインという看護師?介護士?を家へ雇い入れます。スティーヴンは、スペリングボードへの反応が、ジェーンに対しては冷たかったのが気になりました。
『博士と彼女のセオリー』ネタバレ結末ラスト
そのうちに入力装置と電子音で会話できるようになりますが、エレインは雇われ続けます。スティーヴンがエレインを見る目が、その後の不穏な展開を感じさせてイヤだったのですが、この悪い予感は的中して、ジェーンとは別れることになります。
この場面はもう行間を読んで想像するか、もしかしたら伝記本にはもっとくわしく書かれてるのかもしれませんが、この映画を観始める前には全く予想もしてない結末だったので驚くとともに、とても残念で悲しい気持ちになりました。
映画ではあっさり表現して誰も悪者に見えないようにうまく表現していますが、男女のことなので実際にはいろいろあったことでしょう。関係者が亡くなった後には暴露話が出てくる可能性はありますが、一番大変だった26年間を支えたジェーンは文句なしに立派です。
書籍「ホーキング、宇宙を語る」は世界的ベストセラーになり、日本でも有名です。本人が講演に来たこともあるそうです。そしてイギリスのエリザベス女王からよばれた時には、まだ離婚成立してなかったのか、ジェーンと一緒に行きます。
ここでもジェーンに「いつもメガネが汚れてるわね」と言われきれいにしてもらいます。宮殿の庭園でスティーヴンは「ほら見て、ぼくらの結晶(創造物)だ」と言って、子どもら3人を示すシーンも感動的です。
これは原題の意味の「万物の理論」ともシンクロして、万物(生物なら子孫)を生み出すのは「愛」であることを証明した映画だったのでしょう。結局は別々の家族になったけど、子どもたち3人を生み出した瞬間に「愛」があったのは確かなのです。
ラストで時間がさかのぼっていき、映画の逆回しが起こりますが、このタイミングでやられると泣いてしまいますね。最後に、ALSに発症前のスティーヴンが、ジェーンと出会うシーンで終わります。美しい2人の物語でした。
結局、女王陛下によるナイト爵の叙勲は辞退したそうです。ジェーンはジョナサンと再婚して、中世スペイン詩の博士号も取得したらしいです。スティーヴンとは今も友人のままで、2人の間の孫も3人いるそうです。
スティーヴンは看護師エレインと再婚しますが、16年連れそった後で離婚して、独身に戻ったようです。この映画では驚きがたくさんありましたが、一番はやはり、天才ホーキング博士がジョークや女性好きなだけでなく、とても人間くさいと知ったことです。
ちなみにアカデミー賞で主演男優賞を受賞したエディ・レッドメインの演技は素晴らしかったですが、彼自身も女王から叙勲を受けたそうです。彼の出演作『リリーのすべて』『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』もおすすめです。
最近まで生きてた偉人の伝記映画ですが、きれいごとばかりでないのが逆に新鮮でした。多くの人の知らない事実も出てくるため驚きもありますので、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
この映画のおすすめ6ポイント
- スティーヴンの半生がわかる
- スティーヴンとジェーンの歩み
- ジェーンの献身さに感動
- 登場人物がみんな良い人
- 万物を生む理論は愛である証明
- エディ・レッドメインの演技力
少し残念3ポイント
- 物理学者の側面はほぼ描かれない
- ダークな部分は伏せられている
- 両方の親兄弟らは割と無責任
私の評価 64/100(60が平均)
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