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『青くて痛くて脆い』ネタバレ感想考察/秋好いない理由は?奪還計画の結末は?

青くて痛くて脆い 映画/ドラマ

原作は住野よるの小説。人付きあいの苦手な楓と、空気の読めない秋好がひかれあい結成したサークル「モアイ」。しかし秋好の存在亡き後「モアイ」は様変わりし、楓は奪還を計画するが…。気持ちわるっ!はどこで?(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題青くて痛くて脆い
日本公開日2020/8/28 [予告] 上映時間:118分
監督・キャスト狩山俊輔[キャスト
映倫区分日本:G(年齢制限なし)
配給/製作
(画像出典)
東宝/ツインズジャパン
日本興行収入5.0億円 興行収入ランキング
平均評価
平均:100換算
(興収・評価: 2024.8.16更新)
68私の評価は含まず)
シリーズ
関連作品
ヒューマンドラマ/恋愛/コメディ一覧

キャラ・ランキング(キャスト/出演者)

個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)

  1. 秋好寿乃/あきよしひさの(杉咲花)理想家で空気の読めない発言を連発する大学生。突然楓の前から消え去る
  2. 田端楓/たばたかえで(吉沢亮)コミュニケーションが苦手な大学生。秋好と秘密結社サークル「モアイ」を作る
  3. 本田朝美(松本穂香)通称ポン。董介のゼミの後輩。「モアイ」の幽霊部員
  4. 天野巧(清水尋也)通称テン。「モアイ」幹部。社会人や企業へこびを売る
  5. 西山瑞希(森七菜)楓と秋好が「モアイ」活動で知り合う不登校の少女
  6. 前川董介/とうすけ(岡山天音)楓の親友。「モアイ」をぶっつぶす手助けをする
  7. 脇坂/わきさか(柄本佑)外部者として「モアイ」を支援する
  8. 川原理沙(茅島みずき)楓のバイト先の後輩。「モアイ」加入の女子大生
  9. 大橋(光石研)西山瑞希の学校の担任

ネタバレ感想『青くて痛くて脆い』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

原作と監督やキャストについて

原作は『君の膵臓をたべたい』の著者「住野よる」による長編青春小説「青くて痛くて脆い」(2018年3月刊行)です。監督の狩山俊輔は、劇場版仮面ライダーで助監督を務めたりした後「映画 妖怪人間ベム」(2012)を監督。

主演の吉沢亮は、仮面ライダーを演じた後、多数の恋愛映画に出演し、最近は『銀魂』『キングダム』等で存在感を発揮しています。

杉咲花は、子役時代から多くの作品に関わり、狩山俊輔監督の「映画 妖怪人間ベム」にも出演しました。最近の映画では『湯を沸かすほどの熱い愛』『無限の住人』等、幅広い活動をしています。

他にも、岡山天音、松本穂香、清水尋也、森七菜、柄本佑など、個性的な俳優女優が出演してるので、どういう人間関係で展開されるのか楽しみです!

楓が秋好を受け入れた理由は?あの過去は真実なのか?

大学入学した田端楓(吉沢亮)は「人に近づかず、人の意見を否定しない」をモットーにして、他人との不必要な関係を遮断することにより精神的に平和な日々をおくっていました。

そんな楓が真逆の性格の秋好を受け入れた理由は、最初は「人の意見を否定したくない」からでしたが恋愛感情もあったのは明白です。空気を読めない秋好も気づいてたはずですが、いつまでも距離をとる楓が家族にように思えたのかも。

ところで「全ての過去シーン」は真実なのでしょうか。私は「ほとんど真実だけど、秋好と楓の関係には妄想もある」と感じました。つまり、秋好と楓が2人だけの期間はもっと短くて、距離感もあんなに近くなかったのではないでしょうか。

終盤で楓がある妄想をすることからも、もともと自分に都合のいい妄想をするクセがありそうです。だから秋好が感じてた「楓とのモアイ活動」とは全く違う可能性もあります。

モアイをダメにしたのはテン?

3年生になり内定ももらい就活を終えた楓は「秋好がいなくなったモアイをぶっつぶそう」と考えます。意識高い系が集まるモアイを嫌う友人の董介(とうすけ)も賛同し、幽霊部員の後輩ポンちゃんと共にイベントに参加します。

董介(岡山天音)は直情型で考えが薄っぺらくて、最初から大丈夫か?と思いながら見てましたが、人づきあいの苦手な楓には彼しかいなかったのでしょう。董介がテン(清水尋也)を尾行して事務室に入った時も、無計画でハラハラします。

董介のスマホ画面に向こう側の楓が映ってるのは、映画的には「気づかれるのでは?」というサスペンス演出になってますが、本質的な部分ではないため「痛い」演出です。しかも大学生が画面の消し方を知らないのは違和感あります。

楓は女子大生の会話から「テンが悪玉」と考え、バーベキューに潜入してテンを見張ります。しかし結局、テンは気になる女子に告白する「普通の大学生」だとわかります。楓は女子大生の会話から「自分が聞きたい部分だけ」を聞いたのです。

ちなみにその後、テンが大学生の個人情報を企業に横流ししてたことが判明するので、偶然にも「テンが悪玉」だったのは事実となります。しかし「テンがモアイを変えたのか」というとNOです。

青くて痛くて脆い 映画/ドラマ

秋好が死んだ理由とは?モアイは変わったのか?

秋好寿乃(杉咲花)は、世界平和、戦争撲滅、差別撤廃、なりたい自分になる等をかかげて「秘密結社モアイ」を結成しました。楓と2人の時期は、ゴミ拾いやフリースクールの手伝い等で「少しずつ世界をよくする」ことを実感します。

社会福祉の研究に限界を感じてた脇坂(柄本佑)が合流後は、モアイのメンバーも増えます。そして脇坂と秋好がつきあいだしてからは「秋好は楓だけのモノではない」のが決定的となり、楓はモアイを去りました。

この時「楓の頭の中での秋好は死んだ」のです。2人っきりで高い理想をかかげながらも、楽しく活動した頃の秋好はこの世界からいなくなったのです。しかし実際に死んだわけではありません。秋好はその後もモアイの代表です。

秋好はモアイを運営しながら、理想と現実のバランスを考えて成長し続けたのです。外部から見ると「意識高い就活サークル」ですが「なりたい自分になる」ためには必要な行動だと、秋好は判断したようです。

一方、楓は「自分にとって理想の秋好」像を思い描いたまま成長していないのが「青くて痛くて」秋好とは対称的です。楓の理想とする秋好が成長したことが、楓には「モアイは大きく変わってしまった」ように見えたのでしょう。

秋好とは何者だったのか?森七菜の存在理由は?

秋好は大学講義などでも理想論をふりかざし、他の生徒たちから浮いていて、既存サークルからも敬遠されました。一つの仮説ですが、秋好は社会性の認識が他人よりもおくれてたのではないでしょうか。

多くの人は高校までで、他人の考えを聞き理想との妥協点を見いだそうとするけど、秋好はその部分の発育が何らかの理由で遅れたのでは。そして大学時代に急激に「社会性」を身につけ、理想と現実を妥協できるようになったのでしょう。

社会性を身につける前の秋好は、幼稚園や小学校へ行く前の子どものように「親や家族が世界」だったと考えれば、楓を家族のように感じたのも納得できます。そして社会性を身につけるにつれ「親(楓)離れ」していったのでしょう。

出演の理由がよくわからない西山瑞希(森七菜)でしたが、フリースクールを出て大学へ行く決断を秋好に話します。確証はないけど、瑞希は秋好の大学前の姿ではないでしょうか。瑞希もやっと社会へ出て、秋好のように成長するのでしょう。

青くて痛くて脆いのは誰?楓だけが理想郷の住人?

タイトルの「青くて痛くて脆い」とは楓のことです。大学入学前まで「人に近づかず、人の意見を否定しない」ことで平和に暮らしましたが、それがアダとなって社会性が身につきませんでした。「青くて痛かった」秋好とは違う意味で。

モアイを去った後の3年間は、秋好とモアイをうらみながら生活し、モアイの悪評など都合のいい情報だけを聞きました。楽しそうに笑う秋好がいても、見ないようにして脳内で抹消してたような描写もありました。

楓は「秋好と2人だけの」理想郷に取り残された住人だったのでしょう。映画ポスターでは、楓の頭の中に2人っきりで笑う記憶だけが描かれていて、視聴後に見るとネタバレだとわかります。

モアイのテンによる個人情報流出を暴露した時「人に近づかず、人の意見を否定しない」と書いたのは、秋好に存在アピールするためですが、それも痛すぎます。まさに秋好が言ったとおり「気持ちわるっ」です。

ぼけーと見えるが寝たフリで事情を察したポン(松本穂香)も気持ちわるく感じたでしょう。ポンの「相手によって違う自分になる」は楓の心に刺さったと思います。楓から董介が離れていった理由は、モアイの内部実情を知ったからでしょう。

「自分を変えられない」という川原(茅島みずき)は楓に近い存在かも。秋好とは1年で別れたという脇坂の「他人を間に合わせに使うのは、みんなする事」という達観したセリフには納得してしまいました。

『青くて痛くて脆い』私の評価と総括

登場キャラの誰かと似た経験したり、心当たりある人は多いのではないでしょうか。私も1人で立ち上げた組織が巨大化した事あるので、秋好と重ねながら鑑賞しました。思春期や青春のまさに「青くて痛くて脆い」時期を思い出させてくれます。

一方、予告編ではミステリーっぽく見せてたけど、実際には全く意外性がなかったため拍子ぬけしました。青春サスペンスという宣伝も誇大と感じます。もっと楓を病的にして、サイコサスペンス寄りにした方が面白くなったかも

原作は未読ですが、映画では秋好の考え方が変わる過程が描かれてない点も物足りないです。個人的には見事に意表をつかれた『君の膵臓をたべたい』の方が好みです。キャラ配置はうまい作家なので次作は超える作品を期待します!

私の評価 60/100(60が平均)

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