映画『キャプテンマーベル』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?アベンジャーズ誕生?
マーベル映画MCU22作目だが、時系列は過去なので1本目としても観れるよう作られてます。記憶喪失のヴァースは精鋭として戦闘中、90年代の地球へ落ちて、まだヒーローを知らないフューリーと出会い...。パワーの秘密と命名の由来は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | キャプテン・マーベル |
---|---|
日本公開日 | 2019/3/15 [予告] 上映時間:124分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Captain Marvel |
監督・キャスト | アンナ・ボーデン、ライアン・フレック(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ディズニー/マーベル・スタジオ |
日本興行収入 | 20.4億円 (年間29位) |
世界興行収入 | 11.3億USドル [出典] (歴代34位) |
製作費 | 1.6億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 69(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | マーベル/MCU一覧 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ヴァース/キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン。日本語吹き替え:水樹奈々)クリー人によるエリート部隊の一員。記憶喪失。本名キャロル・ダンヴァース
- ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン。竹中直人)地球の米国組織SHIELDのエージェント。ヴァースと出会い行動を共にする
- ヨン・ロッグ(ジュード・ロウ。森川智之)クリー人の特殊部隊スターフースのリーダー。ヴァースの理解者でもある
- タロス(ベン・メンデルソーン。関俊彦)スクラル人の将軍。クリー人と戦争中で、生存数や住める領域は狭くなりつつある
- フィル・コールソン(クラーク・グレッグ。村治学)米秘密組織SHIELDの新米エージェント。フューリーの部下。後のアベンジャーズ等にも登場
- スプリーム・インテリジェンス(アネット・ベニング。榊原良子)クリー人を統率する高性能AI。ヴァース以外の人には別の姿に見える
ネタバレ感想『キャプテン・マーベル』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督やブリーラーソン等のキャスト/出演者について
監督のアンナ・ボーデンと、ライアン・フレックについては恥ずかしながら始めて知りました。マーベル映画MCUシリーズでは、1作目『アイアンマン』の時から無名や新人監督を起用してヒットさせています。
主演女優ブリー・ラーソンは『ルーム』でアカデミー賞の主演女優賞を受賞しています。あの映画は思い出すだけで涙します。好きだった子役ジェイコブ・トレンブレイは昨年『ワンダー君は太陽』でも活躍してます。
ブリー・ラーソンは大作では『キングコング 髑髏島の巨神』でも存在感を発揮してましたが、ヒーロー(ヒロインか)として出演したのは意外です。スカーレット・ヨハンソン、エリザベス・オルセン等、MCUは美女を専有しすぎ(笑)
ブリー・ラーソンのクリー人としての相棒としてジュード・ロウ、地球人の相棒としてサミュエル・L・ジャクソンが出演してます。ジュード・ロウは『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生(ファンタビ2)』のアルバス・ダンブルドアと似て何かを隠すキャラクターです。
サミュエル・L・ジャクソンはキングコングでもブリー・ラーソンと共演してますね。今回は約25年前の役なのでさすがに若手俳優が演じると思ってたけど、全編で本人が演じ、CGI技術等で若返らせていて驚きました。日本では無理でしょう。
そのサミュエル・L・ジャクソンを慕う新米SHIELDエージェントのフィル・コールソンをクラーク・グレッグが演じますが、彼も若返ってます。映画では『アベンジャーズ』以来の登場なのでなつかしいです。
冒頭オープニングロゴとスタンリーのカメオ出演
昨年2018年、マーベルコミックスのアメコミ原作者スタン・リーが亡くなりました。気さくなおじいちゃんで、マーベル映画のほとんどの作品にカメオ出演しています。MCUについてはMCUスタンリー出演一覧にまとめています。
『キャプテン・マーベル』では、一番最初のマーベルのロゴで、今までのスタンリーのカメオ出演シーンが次々と流れ「THANK YOU, STAN」と映し出されます。涙があふれて声出しそうでしたが、さすがに映画館内もざわついてました。
本編では、ヴァースがスクラルから逃走中に地下鉄に乗りますが、ヴァースが疑って本を奪った老人がスタンリー本人です。スタンリーはこの1995年にカメオ出演した『モール・ラッツ』の台本を読んでて、映画のセリフをそのまま口走ります。
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)での位置づけは?
キャプテン・マーベルは、ディズニー主体のシリーズマーベル映画MCUでは21作目ですが、単独ヒロイン誕生譚なので過去作を全く観てなくても、ストーリーの理解には支障はありません。
数々のイースターエッグ(過去作観てるとニヤッとできるネタ)はあるけど、それらは本作を視聴後に見てもニヤッとできるし、過去作を伏線回収として観ることもできるという驚くべき構造に仕上がっています。
余裕のある場合はキャプテン・マーベルを観る前に『アベンジャーズ インフィニティウォー』まで観てるのが望ましいけど、視聴後でも問題ありません。劇中のポケベル(ページャー)はインフィニティウォーのポストクレジットシーンでも重要アイテムです。他に1作目『アベンジャーズ』も観てほしいです。
そして『キャプテン・マーベル』は、1ヶ月半後に公開される、MCU「インフィニティ・サーガ」完結編にあたる『アベンジャーズ エンドゲーム』につながる物語でもあり、唯一?サノスに単独でも対抗できそうな強者ヒロインです。
キャプテン・マーベルは、インフィニティストーンの四次元キューブ(スペースストーン)のエネルギーを全身にあびて誕生したヒーローなので、その事がサノスの発動したインフィニティ・ガントレットへの対抗手段になるのかと予想してます。
キャプテンマーベルの正体や地球を救わなかった理由とは?
ヴァースことキャロル・ダンバースは、慕ってたウェンディ・ローソン博士のライトスピードエンジンのテスト飛行に志願します。その最中、クリー人のヨンに襲撃され、博士の遺言どおりエンジンを破壊するとエネルギーを全身にあびます。
そのエネルギーコアは、四次元キューブことインフィニティストーンです。目覚めたキャロルは記憶喪失でしたが「フォトン・ブラスト」を放ったり、そのパワーで空どころか宇宙空間さえ自由自在に飛行できる超能力を持っています。
しかしこれだけ強いキャプテン・マーベルが、なぜ25年以上?も地球に戻ってないのでしょうか。本作ラストで、キャロルは「スクラルが安住できる星を探す」「クリー人やスプリーム・インテリジェンスと決着をつける」と言って去ります。
あれだけのパワーがあれば25年もかからない気もするけど、宇宙には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』でのエゴやサノスのような存在もいるので、手間取ったのでしょうか。続編などで見たいです。
フェミニズム映画?マーベル映画初の女性ヒーロー
マーベルコミックスの映画ライバルであるDCコミックスのエクステンデッドユニバースでは『ワンダーウーマン』という女性ヒーロー映画が話題にもなりヒットもしました。
『キャプテン・マーベル』はMCUどころかマーベル映画としても初めての女性ヒーローが主役の映画です。ちなみに主役でなければ、ブラックウィドウことナターシャ・ロマノフや、スカーレットウィッチことワンダ・マキシモフがいます。
キャプテンマーベルはただのヒロインというだけでなく、アメリカのハリウッド界での性差別のMetoo運動後に製作されたため、女性らしさやセクシーな衣装や恋愛要素が全くありません。猫にも興味なく、フューリーの愛猫ぶりと対照的です。
スーツも肌の露出はほぼないし、おしゃれでもないけどヴァースは気にしてません。スターフォースの緑スーツから、アメリカ国旗ような赤と青に変わる経緯が、相棒マリアの娘モニカ・ランボー(アキラ・アクバル)の助言というのは好き。
また、キャプテンマーベルが覚醒する時に子ども時代からの記憶がフラッシュバックしますが「女性だからできないと言われたくなくて、強い意志で立ち上がる姿」がまさに新ヒーロー誕生と結びついてて感動的で大好きなシーンでした。
本作はフェミニストにも文句を言われないくらい「女性性」が排除されてると感じます。ただ排除しすぎると「女性は恋や結婚にはあこがれない」という現実離れしたキャラになるので、それはそれで人間らしさを失うのではと懸念してます。
ロナンって何者?敵勢力が多くて混乱
『キャプテン・マーベル』前半で立ちはだかるヴィラン(敵・悪役)はクリー人と戦争中のスクラル星人ですが、真相はクリー人による一方的な侵攻だと判明します。後半のヴィランは、クリー側のヨン・ロッグとその部下ロナンになります。
さらにクリー人を統括するスプリーム・インテリジェンスとも、キャプテンマーベルは戦います。ロナン・ジ・アキューザーはボスのヨンより好戦的であり、覚醒後のキャプテンマーベルにかなわないとさとると自分だけさっさと撤退。
ちなみに特殊部隊スターフォースの副司令官で、ヨンの部下でもあるコラス(黒人のジャイモン・フンスー)は、後にロナンの腹心になります。この2人は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でも重要な役で登場。
マーベルはクリー語?アベンジャーズ由来や言葉遊び
記憶をなくしたヴァースの本名は「キャロル・ダンヴァース」でした。地球でクリー人に襲われ、ローソン博士ことマー・ベルも殺され、破壊したライトスピードエンジンをあびて超人化したキャロルが記憶喪失になったのでヨンが連れ帰ります。
そして軍のバッヂから「(キャロル・ダン)ヴァース」を読み取り名前としたのです。劇中でしつこくでてくるコードネームはラストでフューリーが見る写真で明かされ「キャプテン・キャロル・アベンジャー・ダンヴァース」と判明します。
このことからフューリーは異星人による地球の襲撃に備えて、スーパーヒーローを集結させる計画を「アベンジャーズ」と名付けました。これがアベンジャーズの由来です。キャロルの相棒マリア・ランボーのコード「フォトン」は、キャプテンマーベルの必殺技フォトンブラストの由来なのでしょうか。
そして「キャプテン・マーベル」は、キャロルのコードネーム「キャプテン」と、クリー人科学者ローソン博士こと「マー・ベル」が由来なのでしょう。フューリーがマーベルとつなげてました。「マーベル」が地球語でないのは驚き。
名前つながりで、ニコラス・ジョセフ・フューリーことニック・フューリーに関しては、SHIELD隊員は皆「フューリー」と呼ぶという伏線が語られます。そう呼ばなかった長官ケリーはすぐに偽物とバレます。マー・ベルが飼ってた?猫の「グース」もクリー語かも?
猫のグースがかわいすぎてあざとい?(ほめてる)
ローソン博士ことマー・ベルが飼ってたのか、米軍基地プロジェクト・ペガサスから猫のグースがついてきます。飛行中に手足を広げて飛んでる姿に、世界中の猫好きたちが「かわいい」と思ったことでしょう。
ニック・フューリーのかわいがりようも面白いです。実生活でもサミュエル・L・ジャクソンは猫愛好家だそうです。でもスクラル星人は「危険なフラーケン」だと近づきません。その正体フラーケンは、口から巨大イカ足を出す宇宙生物です。
マー・ベルの宇宙船から脱出時、グースはスターフォースを倒したり、四次元キューブ(テッセラクト)を飲み込んで隠したりと大活躍します。インフィニティ・ストーンを飲み込める生物ってあり得ないけど、四次元ポケットなのでしょうか。
あと、ニック・フューリーが片目に眼帯している理由が、猫のグースにひっかかれたからというのもジョーク的で面白いネタですね。「誰かに裏切られた」と言ってた気がするけど、確かに抱いてた猫に裏切られたというのでも筋は通りますね。
マー・ベルがインフィニティストーンを持った経緯は?
6つのインフィニティストーンの出現シーンについては、マーベル映画MCUシリーズでのインフィニティストーンでまとめてますが、本作での四次元キューブにはスペースストーンが入っています。
神話時代に『マイティ・ソー』の父オーディンが北欧に置き忘れ、『キャプテンアメリカ ファーストアベンジャー』のヴィラン(悪役)レッドスカルが手に入れるが、その後『アイアンマン』トニースタークの父ハワードが入手しSHIELDの手に渡りました。
ローソン博士ことマー・ベルは軍関係者だったので、SHIELDともつながりがあり入手できたのでしょうね。クリー人のマー・ベルはスクラルとの戦争を平和的に解決するためにライトスピードエンジンを開発してましたが、同族に殺されます。
ちなみに本作で猫のグースことフラーケンが飲み込んではき出した後、ニック・フューリーは『マイティ・ソー』のセルヴィグ博士に研究を依頼し、『アベンジャーズ』ではロキに奪われ利用されます。
エンドロール後のオマケ映像の意味とは?
マーベル映画でおなじみにエンドロール後のオマケ映像ですが、エンドクレジット後の1つ目では『アベンジャーズ インフィニティウォー』直後のシーンで、生き残ったアベンジャーズの前にキャプテンマーベルが現れます。
インフィニティウォーのラストで、ニックフューリーが消滅する前に誰かにポケベル送信してました。それはキャプテンマーベルが宇宙で受信できるよう改良したものです。ブリーラーソンが年とってない設定なのも良かったです(笑)
エンドロール後の2つ目のオマケ映像では、ニックフューリーのデスクで、猫のグースことフラーケンが四次元キューブをはき出してました。時系列は不明だけど、アベンジャーズ創設前だと思ってます。インフィニティウォー後とも考えたけど、1つのストーンが偽物なら指パッチンは発動しないはずなので。
『キャプテン・マーベル』総括と他イースターエッグ
上では書ききらなかったけど、マー・ベルの宇宙船にヨンドゥがコレクションしてた小物玩具(おもちゃ)があり気になりました。もしやタロスの息子がヨンドゥ?と深読みしたけど、青い顔はむしろロナンと同じくクリー人だと思い直しました。
また、ヴァースがレンタルビデオショップ「ブロックバスター」で、手にした映画が初めて宇宙へ行く内容の『ライトスタッフ』だったのは、宇宙から落ちてきたヴァースの境遇と逆で笑えます。その後、宇宙へ簡単に行けてしまうことも含めて。
サスペンス要素もあり、ヴァースの記憶やクリー人とスクラルとの真相、キャプテンマーベル誕生の秘密や猫グースの正体などは予想できるけど楽しかったです。スクラルが地下鉄で高齢者や乗客に優しい姿勢だったのも見事な伏線でしたね。
それ以外にもMCUを見続けてきた人にはうれしいイースターエッグが山盛りで、冒頭やカメオなどスタンリーへの愛も感じられ、ぶっ飛んだアクションや映像表現も満載で、映画館で観る価値ある作品だとおすすめしたいです。
一方で、ヴァースが地球へ行ってからは少し退屈な場面が続いたり、最初のスクラルとの戦闘が暗闇でMCUにしては見づらかったり、記憶のフラッシュバックが長すぎたり、ヴィランが多いわりに魅力にかけたり弱かったりと残念部分もあります。
アメリカでは「女性がヒーローだなんて」とかブリー・ラーソンの発言などで炎上して評価は低めなのが残念ですが、日本ではかなり高評価のようです。続編でMCU完結編『アベンジャーズ エンドゲーム』へつながるのでぜひ観てほしい1本です!
私の評価 75/100(60が平均)
シリーズやジャンル⇒マーベル/MCU一覧