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『エヴァンゲリオン新劇場版:序』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?使徒の目的は?ネルフや第3新東京市とは?

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 映画/ドラマ

新劇場版4部作の1作目。碇シンジは父ゲンドウが司令官を務める特務機関ネルフへ呼ばれてすぐ、人類の敵「使徒」と戦うことに。葛城ミサトや綾波レイとも交流するうち…。ヤシマ作戦とは?シンジが再搭乗した理由は?(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
日本公開日2007/9/1 [予告] 上映時間:98分
監督・キャスト庵野秀明(総監督)、摩砂雪、鶴巻和哉(キャスト
映倫区分日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13
配給/製作
(画像出典)
クロックワークス、カラー/カラー
日本興行収入20.0億円 年間27位
世界興行収入0.1億USドル [出典]
平均評価
平均:100換算
*批評家と一般は単純平均
(興収・評価: 2024.8.17更新)
76私の評価は含まず)
シリーズ
関連作品
エヴァ庵野秀明シン一覧

登場キャラクター(キャスト/出演者)

ネタバレ感想『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

序とは?旧作との関係は?全四部作?

1980年代に岡田斗司夫、庵野秀明らが設立したGAINAX/ガイナックスは、映画『王立宇宙軍オネアミスの翼』、OVA『トップをねらえ!』や、TVアニメで『ふしぎの海のナディア』、1995年に『新世紀エヴァンゲリオン』をヒットさせました。

その後「スタジオカラー」として独立した庵野秀明は、TVアニメ版『新世紀エヴァンゲリオン』のリビルド(再構築)を発表し、その1作目が映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』です。「序」は、ほぼTVアニメ版と同様の物語です。

ヱヴァンゲリヲン劇場版「序・破・Q・シン」の全4部作になる予定です。「序・破・Q」とは、雅楽の舞楽や能楽の三幕構成「序破急」のことです。四幕構成「起承転結」とともに物語や音楽劇での基本形式です。

今回の「新劇場版」は、旧作に比べると必要なエピソードが凝縮されてるし、設定や世界観の説明もスムーズでわかりやすいです。時間なければ無理して旧作を観る必要もないと感じます。ただし完結編で、旧作知ってる人へのご褒美はあるかも?

ネルフや第3新東京市とは?歴史や世界観

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、碇シンジが葛城ミサトに「ネルフ本部」へ連れてこられる場面から始まります。少しずつ情報を与えてくれて初見の人にもやさしいけど、ここでは「序」以前の出来事・歴史・世界観について解説します。

15年前の「セカンドインパクト」(序では詳細不明)により人類の半数が死滅し、日本の東京都も壊滅的ダメージを受けました。旧作では首都が長野県松本市「第2新東京市」に遷都された後、次期首都の名目で第3新東京市が建設されました。

しかし実際の第3新東京市とは、神奈川県箱根ちかくの芦ノ湖の北岸に建設された、特務機関NERV/ネルフによる「使徒迎撃専用の要塞都市」です。住まいやビル群は地下の空洞ジオフロントに収容可能で、いたる場所に武器が装備されてます。

特務機関NERV(ネルフ)とは人類の脅威「使徒」殲滅を任務とする国際連合直属の非公開秘密組織です。最高司令官は碇シンジの父の碇ゲンドウで、副司令官は冬月コウゾウです。汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオンを複数保有。

特務機関ネルフの上位組織ゼーレ(SEELE)も国連組織だが、宗教団体のような存在で「人類補完計画」「裏死海文書」「(ラストシーンの)月面基地の渚カヲル」等、多くの謎を隠してます。碇ゲンドウは、7人の意思決定メンバーの1人です。

碇シンジが選ばれた理由?父や綾波レイとの関係?

碇シンジは、特務機関ネルフ最高司令官の碇ゲンドウの息子です。父の要請により、世話係の葛城ミサトに連れられてネルフ本部にやってきます。14歳の碇シンジが呼ばれた理由は、エヴァンゲリオン初号機パイロットの適性を持つからです。

碇シンジは、マルドゥック機関が選んだ「第3の少年」と呼ばれています。ちなみに「第1の少女」は出生など全てが謎に包まれている綾波レイです。

父ゲンドウは妻との回想シーンで、彼らの子が男なら「シンジ」、女なら「レイ」と名付けようと約束しました。つまり「綾波レイ」もゲンドウとその妻との子である可能性が高いです。「序」ではそれ以上は語られません。

碇ゲンドウのシンジに対する接し方は、父親とは思えないほど冷たくて親子の確執を感じます。ゲンドウはレイと話す時にはお互いに笑顔を見せます。これに碇シンジが嫉妬するのは当然ですが、同時にシンジは綾波レイに関心を持ち始めます。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 映画/ドラマ

使徒とは?襲来の目的は?全使徒の解説

碇シンジはNERV/ネルフに来てすぐ、父ゲンドウから「汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機」に搭乗して、第3新東京市を襲撃する「使徒」を倒せ!と命令されます。父との再会を期待してた14歳の少年としてはツラすぎますね。

使徒とは、セカンドインパクト以降に第3新東京市に襲来する謎の生命体です。目的は、特務機関NERV基地の地下「セントラルドグマ」に眠る「第2使徒リリス」との接触により「サードインパクト」を引き起こすことだとミサトは説明します。

使徒の弱点は「コア」ですが、ATフィールドという防護バリアで守られてるため、戦略自衛隊や国連軍などによる通常攻撃が全く通用しません。ATフィールドを中和できる「エヴァンゲリオン」のみが、人類唯一の対抗手段です。

碇シンジが葛城ミサトとネルフへ行く時に攻めてきたのは「第4の使徒」です。TV版の第3使徒サキエルとほぼ同じです。白い仮面をかぶり、細長い手足を持つヒト型の使徒で、光線による長距離攻撃も可能です。暴走した初号機が撃破します。

シンジとレイが学校滞在時に襲来したのが「第5の使徒」です。TV版の第4使徒シャムシエルとほぼ同じ。イカのような形状で飛行し、光の触手で攻撃します。エヴァ初号機は電源断で追いこまれるが、プログレッシブナイフでコア破壊します。

第6の使徒」はTV版の第5使徒ラミエルと似てます。正八面体の形状は攻撃や防御により変化し、山をふき飛ばすほど強力な加粒子砲を発射し、地下深くのリリスに接触するためドリルで掘り進みます。

ミサト考案の「ヤシマ作戦」で日本全国の電力を集中させた陽電子砲を、シンジがエヴァ初号機で撃つがわずかにコアをはずれます。敵使徒の加粒子砲の逆襲を綾波レイのエヴァ零号機が犠牲になりながら盾で防ぎ、初号機が2発目でしとめます。

ちなみに碇ゲンドウは第6の使徒の襲来時に「あと8体の使徒」と発言してて、第6をあわせると「第13の使徒」までいる可能性が考えられます。直接的なつながりはないけどこれは、キリスト12使徒と聖母マリアの13人を連想させます。

主人公は葛城ミサト?性格破綻キャラ達の魅力

本作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の主人公は碇シンジでしょうけど、葛城ミサトもほぼ主役級です。碇シンジは母の死後、父とも離れて暮らし親の愛情に接してなかったため「大人の言いなりに過ごすのが処世術」なのも当然です。

父と再会後すぐに「使徒と戦え」と命令されて「逃げるな」と言われる姿には、全人類の存続がかかってるとはいえ同情しか感じません。父の碇ゲンドウは本作で一番の性格破綻者ですが、綾波レイと接する時の人間味はギャップ萌え要素です。

若くして有能な指揮官である葛城ミサトが、実生活では部屋の掃除もできないダメ女性であるのもギャップを感じて好きです。ミサトも父とは確執があったようで、父から冷たくあつかわれる碇シンジを母性本能で守りたくなるのでしょう。

人と距離をおいて生きてきたシンジも、少しずつミサトに「母」を重ねてると感じます。一方、綾波レイに対しては恋愛感情が芽生えてるようです。灼熱のエントリープラグからレイを救出する姿が父と同じで「親子の遺伝子」を感じるし、ゆえに異性の好みも似てるのでしょう。

主要人物の中でわりと真人間なのが、ネルフ開発責任者の赤木リツコですが、コンピューター「マギ」やエヴァンゲリオンの開発に人生捧げてる典型的なオタク女子・理系女子だとすると、彼女も私生活を犠牲にする変人なのかもしれません。

本作は、碇シンジが他人と接して距離感をつかんでいき成長する過程が描かれます。同時に、自分とシンジを重ねる葛城ミサトも、シンジの世話をしながら成長するし、綾波レイは碇ゲンドウとシンジを重ね合わせて笑顔を見せるまでになります。

ヤシマ作戦とは?シンジ再搭乗の理由は?

碇シンジは「第5の使徒」を命令違反で倒した後、家出するがネルフに連れ戻されます。しかし「第6の使徒」の長距離光線兵器で重傷を負います。目覚めるとレイに弱音をはいて「さようなら」と言われ、安全な場所にいるミサトを責めます。

ミサトはシンジに、地下深く「レベルトリプルイー(LEEE)のセントラルドグマ」に眠る、地球の生命の始まりかつ収束の要(かなめ)でもある「第2の使徒リリス」を見せます。リリスは「ロンギヌスの槍」ともう1本が刺さり、十字架に磔(はりつけ)にされてます。使徒がリリスと接触すると「サードインパクト」が起こります。

シンジと比べると安全な位置にいるミサトも他のネルフ隊員全員も、使徒がリリスに接触する時、サードインパクトを未然にふせぐために自爆するつもりで働いています。その覚悟を聞いたシンジは、再びエヴァに乗ることを決意します。

リリスへと掘り進む「第6の使徒」は遠距離攻撃を得意とするため、戦術作戦部指揮官の葛城ミサトは対抗案を練ります。そのヤシマ作戦とは日本中の電気を止めて巨大陽電子砲に電力を集中し、エヴァ初号機で使徒を撃ち抜く作戦です。

しかし1発目は致命傷とならず反撃されます。弱音はくシンジを「あなたは死なないわ。私が守るもの」と言った綾波レイのエヴァ零号機が盾となり守り、シンジは2発目で第6の使徒を形象崩壊させ、瀕死のレイを助けて微笑みを返されます。

ヤシマ作戦は『シンゴジラ』の「ヤシオリ作戦」のもとなのですが、旧作も含めてエヴァンゲリオンシリーズ屈指の神演出が重なり、レイの笑顔にも救われます。シンジにとっては、ミサトやレイに近づき成長のきっかけとなります。

人類補完計画とは?月面の渚カヲルの謎は?ループ?

国連組織ゼーレや特務機関NERVが「人類補完計画」について発言しますが、本作時点では全く明かされません。ラストシーンでは、月面(白い月?)の棺から「渚カヲル」が目覚め、そばに大きな使徒(アダム?)が眠っています。

ゼーレ01のモノリス(キール・ローレンツ)は「裏死海文書は掟(おきて)の書へと移り、契約の時はちかい」と語り、渚カヲルは「また3番目とは、変わらないなキミは。会える時が楽しみだよ。碇シンジ君」と発言。

これら謎のセリフは続編『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』以降に明かされていくのでしょうけど「また」に注目すると、同じような事象が以前にもあったのでしょう。1つの仮説は「新劇場版は旧作からのループ」です。

エンドロール後の続編『破』の予告編は?

エンドロール後には、続編『破』の予告編があり、エヴァ仮設5号機、エヴァ2号機とパイロット(アスカ?)、消滅するエヴァ4号機、エヴァ3号機の実験、月より飛来するエヴァ6号機とパイロット(渚カヲル?)等が登場します。

また、新女性キャラ、アダム、リリン、天使の輪を持つ使徒?を思わせるような描写もあって、謎は深まるばかりです。映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』はTV版の旧作とほぼ同じ内容でしたが、次作以降は大きく変わりそうな予感です。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』私の評価と総括

本作は、碇シンジと父の碇ゲンドウとの確執、葛城ミサトとシンジと綾波レイの成長、運命の子どもたちの過酷な使命、そして世界観の解説などが主な内容ですが、ストーリーはTV版の旧作とほぼ同じで目新しさや驚きはなく物足りないです。

しかしエピソードやキャラ紹介が凝縮されてるし、第2の使徒リリスの存在や使徒の最終目的を早く明らかにしてくれたのはわかりやすくなってて評価したいです。人間関係の変化や成長を、シンジ、ミサト、レイに絞った点も好みです。

人類補完計画、地下のリリス、ゼーレとネルフの関係、綾波レイと碇ゲンドウの関係、月面の渚カヲル?など多くの謎を残したままなので、続編『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』も楽しみです!

私の評価 67/100(60が平均)

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