映画『屋根裏のラジャー』ネタバレ感想解説/結末は?イマジナリとは?その運命は?
少女アマンダの想像の友だち(イマジナリ)の少年ラジャーは、屋根裏で楽しい日々を暮らしてたが、運命を知ってイマジナリの町へ行くのだが…。ラジャーとアマンダの運命は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 屋根裏のラジャー |
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日本公開日 | 2023/12/15 [予告] 上映時間:108分 |
監督・キャスト | 百瀬義行[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/スタジオポノック |
日本興行収入 | 2.3億円(興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | 73(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | SF/ファンタジー映画一覧 |
参考・出典 | 公式サイトWiki映画館 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- アマンダ(鈴木梨央)リジーの娘。ラジャーを想像した少女
- ラジャー(寺田心)少女アマンダが想像したイマジナリーフレンド
- ミスター・バンティング(イッセー尾形)ラジャーを追う謎の男
- エミリ(仲里依紗)イマジナリの町の少女
- 老犬(寺尾聰)犬のイマジナリ
- リジー(安藤サクラ)アマンダの母。シャッフルアップ書店の店長
- ジンザン(山田孝之)怪しげな猫。
- ダウンビートおばあちゃん(高畑淳子)アマンダの祖母
- オーロラ(杉咲花)
ネタバレ感想『屋根裏のラジャー』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は海外児童文学?監督やキャストは?
本作『屋根裏のラジャー』の原作は、イギリスの詩人・作家のA・F・ハロルド著の児童文学『ぼくが消えないうちに』(原題: The Imaginary)です。スタジオポノックの長編アニメ映画は『メアリと魔女の花』から6年ぶり。
監督の百瀬義行はスタジオジブリ映画の多くに関わってきて『二ノ国』等も監督。
声優の寺田心は『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』等に、鈴木梨央は『最高の人生の見つけ方』等に、安藤サクラは『怪物』『ゴジラ-1.0』等に最近出演。
他、仲里依紗、杉咲花、山田孝之、高畑淳子、寺尾聰、イッセー尾形なども出演。
ラジャーの正体は?イマジナリとは?
少女アマンダは、想像上の友だち(イマジナリーフレンド、通称イマジナリ)の少年ラジャーと屋根裏部屋で遊ぶのが大好き。イマジナリは本人にしか見えないことを理解しているアマンダだが、母親にだけはラジャーについて話します。
母リジーも少女時代、蛇を追い払ってくれたイマジナリの老犬「冷蔵庫」がいたが、大人になるにつれ忘れてしまったようです。飼い猫にオーブンと名付けてるのが名残りですね。リジーは夫を亡くし、書店を閉店して就職活動中。
書店の最終日、怪しい男が子ども調査員の「ミスター・バンティング」と名乗り訪ねてくるが、母リジーは追い返します。後日、ラジャーはバンティングの異様なイナジナリに捕まりそうになり、その件を母に話すがイマジナリを否定されます。
以上が序盤あらすじ。『インサイドヘッド』以降よく聞くようになった「イマジナリーフレンド」が主人公です。冒頭のワクワク感、上質の映像美、伏線になりそうな冷蔵庫や怪しげな男など期待値あがる導入部です。
父親を亡くした後、子どものアマンダは想像力で乗り切ろうとし、大人の母リジーは現実的な方法(書店閉店・再就職)で解決しようとするのが対極的だがうなづけます。そんなリジーが娘の想像力に付きあいきれなくなるのも納得。
イマジナリの町とは?そこの住民たちの正体は?
母と買い物に出かけたアマンダは、そばを離れたラジャーを追うが、バンティングと彼のイマジナリに遭遇し、逃亡中に交通事故にあいます。その影響でラジャーは消えそうになるが、両目の色が違う猫ジンザンに導かれ、イマジナリの町へ。
そこは、人間たちが静かに本を読む図書館だが、数えきれないイマジナリ達が好き勝手に遊んでいます。リーダー的なエミリは、新顔のラジャーの面倒をみます。ここは、人間の子どもに忘れられたり死別したイマジナリ達が集まる町です。
イマジナリ達は、掲示板に掲載の「イマジナリを探してる子ども」の中から気に入った子の写真をつかむと「1日だけの遊び相手」になれます。ラジャーとエミリは、カバの雪子と骨っ子ガリガリと一緒に、怪獣本好きな元気な男の子と遊びます。
思いっきり遊んだ後、男の子は眠くなりラジャー達も帰ることに。男の子がスーパーヒーローとして気に入った「骨っ子ガリガリ」は「男の子のイマジナリに昇格」して残ります。その後、バンティングが現れ、撃たれたエミリは消滅…
以上が中盤あらすじ。「忘れられるとイマジナリは消える」という設定を、説明セリフに頼らず、アマンダの事故により描いたのは見事。ガレージを走るアマンダを見るのは怖すぎたけど…。想像力であふれた図書館では、忘れられたイマジナリも生きられる、の設定も好き。
しかし「イマジナリが生き続ける意味や意義」については語られず、別の子のイマジナリとして出張する設定には疑問を感じました。つまり、イマジナリは子どもが想像して初めて生まれる、という設定の方が好み。
ただ、1回きりの「想像の友だち」から「イマジナリーフレンド」に昇格する流れは、実際の子どもでも起こりそうなので、よく研究してるなと感心しました。エミリは前作『メアリと魔女の花』のキャラに似てますよね。
結末は?バンティングと老犬の正体は?
なんとか逃げのびたラジャーだが、エミリの死はショックでした。そこへ老犬のイマジナリが来てなぐさめます。老犬の正体は、母リジーのイマジナリ「レイゾウコ」でした。ラジャーは、アマンダが生きてることを知り入院先の病院へ。
それを追いかけてきたバンティングの正体は、自分のイマジナリを維持するため他人のを食ってる人間。意識が戻ったアマンダはラジャーと想像力で逃げるが大蛇に捕まります。入室した母リジーもバンティングの想像力で壁にのまれます。
ラジャーの助言で母は少女時代のイマジナリを思い出します。老犬レイゾウコは掲示板のリジーの写真を取り、アマンダとラジャーを救います。バンティングは、自分のイマジナリを食ってしまい消滅。
レイゾウコはリジーが幸せな大人になってることを確認し一安心。元気になったアマンダは、再びラジャーと冒険へ出発します!
以上がラストまでのネタバレあらすじです。結構好きなキャラのエミリが死んだのはショック。バンティングは、最後は改心する「なんちゃって悪役」かと思ったがかなり悪質なヴィランだったのは予想外。
ただ、バンティングについては情報も少ないし描写も足りないため「他人のイマジナリが見える理由、他人のを食べると自分のイマジナリを維持できる理由、自身のイマジナリとの関係性」など不明な点が多く、設定の詰めの甘さは気になります。
母のイマジナリ「レイゾウコ」がキーになる展開は序盤から予想できたが、いざ出番がきた時の演出は見事で少し泣けました。ただ「大人になってもイマジナリを忘れない方がいい」のか「忘れて現実に向き合う方がいい」のかはっきりしないラストでしたね。
バンティングが消滅したのは、中盤での説明「イマジナリが消えると、心に穴が空いて人間も死ぬ」の回収でしょうが、この設定には賛成できません。なぜなら、イマジナリを殺害できると完全犯罪だらけになるから。
映画『屋根裏のラジャー』ネタバレ感想と私の評価
簡単なあらすじとポスタービジュアルだけでかなり興味を持ったので、同日公開のディズニーアニメ映画『ウィッシュ』よりも先に観に行きました。というか『ウィッシュ』との正面対決は避けた方がよかったのでは?
結論をいうと、ストーリー、キャラ、映像表現は、前作『メアリと魔女の花』の反省を活かせてるし、個人的には同年公開のジブリ映画の『君たちはどう生きるか』よりも好みです。
ジブリや新海誠監督の映画をかなり研究してて、オマージュのようなシーンも感じられました。特にキャラの作り込みはジブリ以上。悪役バンティングの描写の薄さは残念ですが。
その他で物足りなかったのは、予定調和というか最初から予測できる物語のみで意外性が少ないため「驚きや多幸感や感情を動かされることがなく」記憶や印象に残りにくいですね。次作では何か突き抜けた表現を期待したいです!
私の評価 69/100(60が平均)
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