映画『インサイドヘッド』評価は?ネタバレ感想考察/脳内冒険で空想や悲しみの役割を発見

『インサイドヘッド』あらすじ概要
ピクサーのアニメ映画。アカデミー賞で長編アニメ受賞。ミネソタの田舎町で育った少女ライリーは、父親の仕事の都合でサンフランシスコに引..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | インサイド・ヘッド |
原題/英題 | Inside Out |
日本公開日 | 2015/7/18 [予告↓]上映時間 94分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA PG |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | ピート・ドクター、ロニー・デル・カルメン |
キャスト 出演者 | エイミー・ポーラー、フィリス・スミス、リチャード・カインド |
配給/製作/画像 | ©Walt Disney Studios Motion Pictures/Pixar Animation Studios |
シリーズ/関連 | ピクサー製作映画 |
日本興行収入 | 40.4億円(年間10位) |
世界興行収入 | 8.5億USドル [出典] |
製作費 | 1.8億USドル |
平均評価★★★★★80(私の評価↓は含まず)
|
『インサイド・ヘッド』予告動画
ネタバレ感想『インサイドヘッド』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、ピクサー製作映画一覧もご参考に。
『インサイドヘッド』は、転校して周りに慣れない少女ライリーの、脳内の会議の様子を描いた、ファンタジーアニメ映画です。5つの感情たちが奮闘して、ライリーを幸せに導こうとする物語で、記憶や悲しみの感情の存在理由などが語られて大人も楽しめます。
『インサイドヘッド』おすすめ6ポイント
- 脳内の5感情による会議が面白い
- 感情の強弱により言動が左右する
- 記憶・夢・思考・人格の形成法
- 古い記憶を忘れていくさみしさ
- 一見不要なカナシミの存在意義
- 子どもや家族と一緒に楽しめる

『インサイドヘッド』少し残念4ポイント
- もう少し説明がほしい
- 性格の島の存在意義
- 残り3つの感情キャラが薄い
- カナシミの必要性が不明瞭
『インサイド・ヘッド』ネタバレ感想の総括
人間の脳内で起こる感情の変化を擬人化した物語は、日本でも漫画やアニメなどで見かけたことがありますが『インサイド・ヘッド』は、記憶や夢や潜在意識や人格形成など心理学的な内容にまでふみ込んでいる点で斬新だと思いました。
主人公の少女ライリーは、転校したてで不安でしたが、そういう感情の時は何をやってもうまくいかなくなる、のはわかる気がします。それをヨロコビが1人で何とか乗り切ろうとして失敗するのもありがちですね。
個人的には、性格の島の存在意義がよくわからなくて、崩壊してもすぐに再構築されるのなら、あれほど落胆する必要性もない気がします。ビンボンの存在は誰もが納得できるでしょうし、あの最後には誰もがジーンときてしまうことでしょう。
『インサイド・ヘッド』ネタバレ感想や印象的シーン
ライリーが生まれた時、最初に生まれた感情がヨロコビ(喜び)というのは生物学的には間違ってる気がします。イカリ(怒り)、ムカムカ(不快)、ビビリ(恐怖)などの生理的欲求に近い部分から生まれるのでは、と思いました。
一方で「この世に生まれた喜び」が最初の感情だと言われれば、それにも納得してしまいます。そしてヨロコビの対局である、カナシミ(悲しみ)も生まれて、5つの感情がそろいます。ライリーの成長とともに、思い出や感情が整理され蓄積されて、人格を形成していきます。
この5つの感情を色で表現してるのは、わかりやすくて良かったです。特にライリー以外の人の感情が出てくる時も、容姿は変わっても色は同じなので混乱しないです。ヨロコビは黄色、カナシミは青色、イカリは赤色、ムカムカは緑色、ビビリは紫色です。
ライリーは引っ越しして不安になります。脳内司令部ではヨロコビがカナシミに仕事をさせないようにしますが、そうやって押し込めたことにより、カナシミが暴走してその結果、ヨロコビとカナシミは司令塔から「長期記憶」へと飛ばされてしまいます。
何かに不安な時って、明るく振る舞おうとしても空回りすることってあります。ライリーの頭で起こった事件は、そのことをうまく表現してる気がします。残った3つの原始的な感情たちだけでは、人間の複雑さを表現できないでしょうね。
感情が整理・蓄積されて出来上がってる性格の島々があります。そのうち「おふざけの島」「友情の島」「ホッケーの島」などが崩壊していきますが、それらが同列になってる点に疑問を感じました。
そしてすぐ復活できるなら崩壊ではなく、機能しなくなったように表現した方がわかりやすかったでしょう。でも子どもが見るアニメでもあるので、そこまで厳密にこだわらずに、テーマパークのように見せて、視覚的に崩壊させる表現方法もありだとは思いました。
同じようにライリーが子供の頃の空想の産物ビンボンを、視覚的に表現したピクサーは天才的です。こういう空想生物って、誰でも考えたものですよね。でも年齢が上がるとそれらは長期記憶へ押しやられてしまい、もうほとんど思い出されなくなります。
抽象化の部屋は面白いけど難しいですね。ヨロコビたちも、断片化⇒分解⇒二次元化⇒色と形というように抽象化されていきます。ちなみにこの時の脳は、ライリーの気持ちを反映して「孤独」を理解しようとします。
空想ランドでは、ライリーは空想する余裕すらなくなってるため、ビンボン以外の空想の産物は月旅行用のロケットも含めて、どんどんとゴミ箱へ捨てられていきます。それを見て悲しむビンボンをカナシミがなぐさめて気を楽にしてあげます。実はこれがカナシミの役割だと後でわかります。
やっと3人は「考えの列車」に乗れたのに、ライリーが眠ると止まってしまうんです。「考える」とは「(長期)記憶」の中から取捨選別することだと思いますが、それゆえに「長期記憶」から「司令部」へ向けて走っているのでしょう。一方通行だと思います。
夢の制作を映画スタジオのような場所で撮ってたり、ライリーのトラウマや大嫌いなものを閉じ込めている「深層心理の部屋」なんかも出てきて、いちいち納得してしまいました。
司令部はイカリが統率して、良い思い出の多いミネソタへライリーを向かわせようと、ママのクレジットカードを盗んで高速バスに乗せます。これで「正直の島」「家族の島」も崩壊します。考えの列車も落ちていきますが、思考停止というところでしょうか。
『インサイド・ヘッド』結末/ラストシーン
記憶のゴミ箱でヨロコビは、カナシミも大切な思い出を残してたことに気づき、ビンボンと共にロケットで脱出を試みます。しかし2人では重すぎるため、ビンボンは残って消えていきます。ライリーが成長して、空想動物の役割は終え、忘れ去られるということでしょう。涙腺崩壊です。
ヨロコビはカナシミと共に司令部へ戻りますが、この方法が安易すぎて納得しかねますが、これ以上だらだら続けてもダレそうなのでありかもしれません。その方法とは、ライリーのためなら命も捧げるという理想の彼氏を大量につなげて橋にするというアイデアです。
理想の彼氏・彼女って、思春期の頃はみんな想像してたと思うので、あの外見はかっこいいけど中身はどうでもいい彼氏は、うまく表現してると感じました。「あなたのためなら死ねる」って言う感じも笑えますね。中身のない彼氏をただの人柱に使ったアイデアは最高です。
結局カナシミの役割とは何か、という重要な部分はあまり明確に示されないのが不満ですが私の解釈は「悲しんでいる時に周りに助けてもらい乗り越える」「悲しくならないようがんばる」「他人の悲しみを理解する」などです。楽しいだけでは人は成長しないのでしょう。
ライリーが思春期を迎えて司令部のボードも複雑化したのは笑えます。エンディングでの、いろんな人の脳内司令部の様子も楽しいです。特に犬と猫の脳内はバカにしすぎですが、的を得ているでしょうね。
このように脳内の様子がわかって面白いけど、まじめに見ると大人にさえ複雑で見応えがあります。でも脳内をテーマパークのように見せてくれるので子どもにとっても楽しいと思います。ぜひ多くの人に観ることをおすすめしたいです!
続編前作や関連映画は、ピクサー製作映画一覧もご参考に。
『インサイドヘッド』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞
- ピクサー製作映画
- Filmarks満足度ランキング(2013-2021年末)
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- 宇多丸ランキング歴代(2008-2022)
- 2015年興行収入ランキング日本
- 世界興行収入(2000-2022年)
- アカデミー賞(2003-2023年)
- ゴールデングローブ賞(2010-2023)
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