実写映画『バービー』ネタバレ感想解説/結末は?世界の秘密とは?人間との関係は?
ピンクだらけの夢のような世界「バービーランド」では、皆がバービー、皆がケン。ある日、体に異変が起こったバービーは、ボーイフレンドのケンと世界の秘密を知るため人間世界へ行くのだが…。バービーランドどうなる?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | バービー |
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日本公開日 | 2023/8/11 [予告] 上映時間:114分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Barbie |
監督・キャスト | グレタ・ガーウィグ[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース/Heyday Films Production、LuckyChap Entertainment Production、NB/GG Pictures Production、Mattel Production |
日本興行収入 | 7.5億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 14.4億USドル [出典] (歴代15位) |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.14更新) 71(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ヒューマンドラマ/恋愛/コメディ一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- バービー(マーゴット・ロビー。高畑充希)バービーランドのおしゃれな定番バービー
- ケン(ライアン・ゴズリング。武内駿輔)バービーのボーイフレンド
- 変てこバービー(ケイト・マッキノン。朴璐美)人間にめちゃくちゃにされた開脚バービー
- 別のケン(シム・リウ。小野大輔)ブロンド髪のケンに対抗意識を燃やす
- グロリア(アメリカ・フェレーラ。本田貴子)サーシャの母。マテル社でバービーをデザイン
- サーシャ(アリアナ・グリーンブラット。早見沙織)バービー人形で遊んでた少女
- おもちゃ会社のCEO(ウィル・フェレル。内田直哉)バービーを売るマテル社のCEO
- 大統領バービー(イッサ・レイ。斎賀みつき)
- ケンメイド(ジョン・シナ)マーメイドのケン
- ミッジ(エメラルド・フェネル)
ネタバレ感想『バービー』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
人形の実写化?SNS騒動?監督とキャストは?
本作は、アメリカの玩具メーカーのマテル社が発売した着せ替え人形「バービー」の実写映画化作品です。ストーリーは映画オリジナルとのこと。
監督・脚本のグレタ・ガーウィグは『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』等も監督。共同脚本のノア・バームバックは、映画『マリッジ・ストーリー』等でも監督・脚本をつとめました。
主演・制作のマーゴット・ロビーは『ハーレイクインの華麗なる覚醒』『ザ・スーサイドスクワッド極悪党集結』『バビロン』等に最近出演。
ライアン・ゴズリングは『ドライヴ』『ラ・ラ・ランド』『ブレードランナー 2049』等に最近出演。
他、『シャンチー テンリングスの伝説』のシム・リウ、ワイルドスピード・シリーズのジョン・シナや、アメリカ・フェレーラ等も出演。
日本公開より3週間早い本国アメリカでは『オッペンハイマー』と共に好成績で『バーベンハイマー』とも。しかし『バービー』公式Xが原爆画像に好意的な投稿をし日本で炎上。米本社が謝罪するも、日本では炎上下での公開となり興行収入にも影響が出そう。
バービーの異変とは?治す方法は?
ピンクまみれの「バービーランド」で朝起きたバービー(マーゴット・ロビー)は朝食後にオシャレして、いい車でビーチへ行き、他のバービー達とケン達とその他にあいさつして今日もごきげん。ケンは複数いてケンカ。
バービーの恋人設定のブロンド髪のケン(ライアン・ゴズリング)は、サーフィンに挑戦して大波に飛ばされ緊急搬送されるが異常なし。夜は皆でダンス。バービーが「死について考えることある」と言うと場が凍りつくが上手くごまかします。
しかし翌日、かかとが地面についたバービーは、他のバービーの助言を聞き「変てこバービー」の所へ。彼女は人間にめちゃくちゃにされたバービーで常に開脚。彼女は、バービーの劣化を止めるには遊んでくれた人間に会いに行くしかないと。
その助言通り、車、ボート、ロケット、自転車、ローラーブレード等の順番で人間界へ。ところが人間界は極端な男性社会で、バービーが女の子に与えた夢は実現してません。同行して来たケンは自信を得て、馬と強い男の本を入手。
以上が序盤あらすじ。実物のバービー人形を見たこともなく遊んだこともないが、バービーランドが女性のあこがれの場所ということは感じられました。その中で、男性ケンは付属品であり、職業もなく雑にあつかわれてることが笑いのネタに。
少女たちが夢みるように毎日ダンスパーティーや女子会を楽しみ、つらいことは持ちこまない理想の世界。そこで「死」を考えたバービーが変人あつかいされるのは当然。現実では少女ではなく、その母親が不安からイメージしたものでした。
荒っぽい少女にめちゃくちゃにされた「変てこバービー」の話は『トイストーリー3』でも似た話が語られましたね。本作ではかわいそうだけど、現実的になり仙人のような存在として登場し、定番バービーを導きます。
バービーランドから人間界へ行く方法がよく分からなかったが、バービー人形のネタなのかな?。ただの付属品だったケンがアイデンティティを認識し始める展開は、子どもには難しそうだが大人には興味深いですね。
バービーで遊んだ少女の本音は?ランドが崩壊?
バービーは自分で遊んでくれた人間サーシャを見つけ挨拶するが「セクシーだけがうりの頭からっぽ人形が、女性の進出を阻害してる」と批判され失望。かわいい老婆に挨拶した後、マテル社のCEOと幹部の男たちに追われます。
マテル社のグロリアは娘サーシャを乗せて運転中だったが、追われてるバービーを救い、マテル社の幹部達とカーチェイス。一方、生きがいを発見したケンは、先にバービーランドへ戻り「ムキムキマッチョな男中心の社会」を築きます。
バービーが人間のグロリアと娘サーシャと共に戻ると、そこは「ケンダム」になってました。バービーだけが大統領、外交官、科学者、作家などの職業についてたのに、今はケン達だけが職業を独占し、女性は男性に従うだけで満足。
以上が中盤あらすじ。サーシャのバービーに発する一言は強烈でマトを得ていました。バービーは少女達に無限の可能性を見せましたが現実では夢にすぎなかったのです。かわいい顔、スタイル、おしゃれな服は、男性にとっての女性の理想型でもあります。
付属品だったケンが「自分」を発見して、ケンや男性の権利を主張しだしたのは、最近アメリカを中心に起こった「MeToo運動」に似た展開を逆に見せてて上手いです。ところがその先の「ケンだけの男社会」は度を超えてます。
この現象の逆「女性中心の世界」は現実ではまだまだですが、一部エンタメでは度を超えた配慮による「ポリコレ表現」が目につくようにはなってきてます。もっとも現実では男女差だけでなく、人種、同性愛なども混ざってさらに複雑ですが。
結局、バービーランドも現実も、極端な「バービー優位」「男性優位」に傾いてたため、その揺り戻しが起こったのでしょう。それらが完全に払拭されるには「全員が平等にあつかわれる社会」の実現ですが、それこそ夢の世界に思えますね。
結末は?バービーはどうなる?老婆の正体は?
人間界で女性の不遇を感じてきたグロリアとサーシャは定番バービーと組んでバービー達の洗脳をといていき、憲法改正の投票日までは男に従うふりを続けさせます。そして投票日、バービー達は反乱を起こしてケン達を仲間われさせます。
ケンは自分の存在意義がわからなくなり混乱するが、定番バービーは「ケンはそのままでいい」と。乗り込んできたマテル社のCEOにグロリアは「普通のバービー」の生産を提案し了承されます。
定番バービーはどこへ向かうのか悩んでると、謎の老婆が現れます。老婆の正体は、バービー人形の生みの親ルース・ハンドラーでした。本人は2002年に亡くなってるので、女優リー・パールマンが演じてます。
ルース・ハンドラーに「完璧でなくていい。自分の好きな道へ行くのに親の許可は不要」と言われたバービーは人間になることを選びます。バービーの名の由来「ルースの娘の名バーバラ」を名乗り、人間界でバービーは婦人科に入ります。
以上がラストまでのネタバレあらすじです。ケンが男社会を築いたとこまでは社会風刺でよかったのだが、女性が洗脳を解かれるあたりから何をしたいのかよくわかりません。ケンはそのままでいいとか、グロリアが普通のバービー作るとか、何かの解決になるのでしょうか?
極めつけは、定番バービーが生みの親ルース・ハンドラーの霊に会うのはいいとして、人間になることを選ぶラストも意味不明。何も目的や目標がないのに「人間」になりたいと言われても納得しづらいですよね…
結局、大統領バービー、宇宙飛行士バービー、お医者さんバービー等に加えて「人間バービー」ができただけでは?と思ってしまいます。男女差別の1つの解消法や、バービー人形の現在の存在価値をただ見せてくれればよかったのに…
映画『バービー』私の感想と評価
バービー人形で遊んだことはなく、ケンの扱いや、数あるバージョンについては思い入れがないが、バービーランドでのコメディシーンでなんとなく雰囲気はつかめました。特に序盤のキラキラだが不思議な世界観は楽しめました。
しかし、人間界へ向かったあたりから違和感をおぼえ、バービーたちが反乱を起こした後はほとんど意味不明。その他、冒頭の「2001年宇宙の旅」のモノリスをバービーにしたような場面で、赤ちゃん人形をたたきこわすシーンはやり過ぎと感じました。
雑な扱いだったケンがアイデンティティを認識していった展開は、現実社会で「女性の権利」が確立していった歴史のように社会性あるテーマで興味深かったです。この「男女での権利の取り合い」を深掘りしてほしかったほど。
それなのにバービーが人間になるという変な結末なので、気持ちをどこへ持っていけばいいかわかりません。とはいえ、メッセージ性はあるので、1本の映画としては好きかどうか判断しにくいが、2023年の代表作の1つになりそうな気はしてます!
私の評価 65/100(60が平均)
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