『コンフィデンスマンJP3/英雄編』感想ネタバレ解説考察/真相は?勝者は誰?誕生の秘密とは?
英雄コンフィデンスマン「ツチノコ」の称号をかけて、ダー子、ボクちゃん、リチャードが、マルタ島ヴァレッタで勝負することに。古代ギリシャ彫刻「踊るビーナス」に迫る3人だが…。本当の英雄は?最後の真実とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | コンフィデンスマンJP 英雄編 |
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日本公開日 | 2022/1/14 [予告] 上映時間:127分 |
監督・キャスト | 田中亮[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/FILM |
日本興行収入 | 28.9億円 (年間16位) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 78(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | TVドラマ映画化一覧 前作『コンフィデンスマンJP プリンセス編』38.4億 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ダー子(長澤まさみ)美しきコンフィデンスウーマン。天才的な頭脳と集中力の持ち主
- マルセル・真梨邑/まりむら(瀬戸康史)インターポール(国際刑事警察機構)のスーパーエリート捜査官
- ジェラール・ゴンザレス(城田優)今回のオサカナ。密輸で財を成し引退したスペイン・マフィア
- 三代目ツチノコ(角野卓造)伝説的なコンフィデンスマン
- ボクちゃん(東出昌大)まじめで小心者の若きコンフィデンスマン(信用詐欺師)。ダー子の幼なじみ
- リチャード(小日向文世)百戦錬磨のコンフィデンスマン。変装の達人。ダー子の幼少期からの知り合い
- 丹波(松重豊)警視庁捜査二課の無骨な刑事
- 赤星栄介(江口洋介)あかぼし財団会長。日本のゴッドファーザー。ダー子らに何度もだまされてる
- 謎の女(真木よう子)モナコの知り合い?
- 五十嵐(小手伸也)腕利きのコンフィデンスマン。ダー子に心酔
- 畠山麗奈(生田絵梨花)ゴンザレスの内縁の妻。心臓がわるい
- 韮山波子(広末涼子)女性詐欺師でハニートラッパー
- コックリ(関水渚)フウ家当主
- モナコ(織田梨沙)あるきっかけでダー子の弟子となった子猫ちゃん
ネタバレ感想『コンフィデンスマンJP 英雄編』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
TVドラマ続編?監督とキャスト
本作は、2018年にフジテレビ「月9」で放送されたテレビドラマと劇場版『ロマンス編』『プリンセス編』の続編です。TVから継続して監督を務めた田中亮は、ロマンス編が映画デビュー作で今回も続投。
主演の長澤まさみは『MOTHER マザー』『マスカレードナイト』『キングダム』等で大活躍中。ロマンス編では報知映画賞ノミネート、ブルーリボン賞は主演女優賞を受賞。
ダー子と共に詐欺師を演じる東出昌大、小日向文世、小手伸也の他、シリーズから江口洋介、織田梨沙、関水渚、広末涼子等も詐欺師として続投。
今回新キャストとして、瀬戸康史、城田優、生田絵梨花、松重豊(最近出演作『罪の声』)、真木よう子(最近出演作『聖地X』)などもクセあるキャラとして出演。
ドラマや前作の視聴は必須?前作ネタバレもある?
本作『コンフィデンスマンJP 英雄編』では、前作『プリンセス編』で重要キャラだったコックリ(関水渚)も登場するので、彼女に関するネタバレは含まれるけど、観てない人はあっさり流せるので問題ないです。
テレビドラマ版『コンフィデンスマンJP』からのキャラも数人ほど出演してましたが、大した役割は与えられてないため観てなくてもOK(私もTV版は1話も観てないし)。もちろんTV版観てた人は「おっ!」となれてお得かも。
英雄ツチノコとは?最初のコンフィデンスマンとは?
ヨーロッパで子どもが誘拐され、慈善家フランス婦人が所有する高価な絵画も盗まれる事件が発生。インターポール捜査官マルセル・真梨邑(瀬戸康史)は、日本のコンフィデンスマン「ツチノコ」が犯人と断定し捜査を開始。
ツチノコとは、100年前の日本の英雄的コンフィデンスマンです。国民を搾取して優雅な暮らしをしてた貴族等から盗み、不景気に苦しむ人々に還元。その称号は継承されてるが、現在の三代目ツチノコ(角野卓造)はちょうど息を引き取りました。
一方、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)は、警視庁の捜査をおそれて2年間仕事せず。そこでダー子は「ザ・ラストコンゲームグランドフィナーレバトルロワイヤル勝者は何でも命令できる」と提案。
マルタ島で騙し合いバトルが開催。ダー子は五十嵐(小手伸也)と組み、元マフィアのジェラール・ゴンザレス(城田優)の館へ、古代ギリシャ彫刻「踊るビーナス」を盗むため海上自衛官として潜入。そこには美術商としてボクちゃんもいて…。
序盤のあらすじは以上。開始から10分間くらいは情報量が多くて頭パンクしそう。コンフィデンスマンの起源は、石川五右衛門のような「義賊」でした。映画「GOEMON」でゴエモンを演じた江口洋介に先祖役やってほしかったかも。
ダー子ら3人は、三代目ツチノコの弟子として知り合ったようです。ツチノコ継承者は、この3人のうちの誰か!という匂わせで物語は展開。元マフィアが城田優で最初は気になったけど、皆からはスペイン人に見えてたようです(笑)オサカナ候補で「阿部寛」写真があったのは続編用か「ドラゴン桜」つながりかな。
四代目ツチノコの正体は?裏切り者は誰?
ゴンザレスの所蔵品を守るため、インターポールの狼と呼ばれたマルセル・真梨邑/まりむら一団と、日本の警視庁捜査二課の丹波刑事が合流。ダー子らとの探りあいが開始。そんな時、ゴンザレスの内縁の妻・麗奈とボクちゃんが誘拐されます。
誘拐犯の正体は四代目ツチノコを名のるリチャードで、手下達はハニートラッパー波子(広末涼子)が調達。丹波刑事とインターポールの黒人は潜入捜査。ボクちゃん達は逃走するが、麗奈が心臓発作で倒れて昏睡状態となります。
丹波刑事に責められたボクちゃんは、誘拐までして麗奈の命も危うくしたリチャードとダー子を裏切り、インターポールに通報。ダー子ら3人は投獄後、マルセル一味に消されそうになるが、日本政府高官が強引に3人の身柄を引き取って移送。
その後、マルセル・真梨邑の正体は「四代目ツチノコ」を名乗るコンフィデンスマンと判明。「踊るビーナス」も冒頭の絵画も彼の金庫に保管されます。マルセルは三代目ツチノコから称号継承を断られたが、自ら四代目と名乗ってます。
本作『コンフィデンスマンJP 英雄編』は前作までと違い、ツチノコ、ダー子、ボクちゃん、リチャード、狼たち、などそれぞれの視点で語られるのですが、少しずつ真相が明らかになる順番は見事。結局インターポールと、麗奈を心肺停止と診断した医師団は、マルセル側の子猫でした。
リチャードの手下に丹波刑事とインターポール黒人が混ざってることから、警視庁かインターポールの少なくともどちらかは子猫ちゃん(詐欺を仕掛ける側)であるとも推測できました。リチャードは、素性を調べずに仲間には加えないので。
そして勘のいい人なら、麗奈か医師団のどちらかが子猫であることにも気づくはず。なぜなら、リチャードが心臓の弱い麗奈を誘拐して危険にさらすはずないから。
黒幕の正体は?本当のオサカナ(獲物)は誰?
勝者となったかのように思えたマルセル・真梨邑だが、ゴンザレスのSNSで「踊るビーナス」の写真を見てあわてて金庫へ行くと空っぽで呆然。さらにゴンザレスの豪邸も空で、金庫の「踊るビーナス」は「©ダー子」印の偽物。
黒幕の正体はダー子。本当のオサカナはマルセル・真梨邑でした。ダー子は、三代目ツチノコから遺言で「ツチノコを名乗る悪党が現れたら退治してくれ」と頼まれたので、4代目を名乗るマルセルをオサカナに設定。ボクちゃんにだけ計画を明かさず泳がせ、結果的にいい方向に。
ゴンザレスと麗奈は、冒頭の慈善家フランス婦人に世話になった子ども達。心臓病もウソ。ダー子達を拘束した日本政府関係者もみんな子猫です。丹波(松重豊)も実は弱腰の詐欺師。政府高官の正体は、ダー子の宿敵のはずの赤星栄介(江口洋介)の変装でした。
赤星はダー子を捕まえるためにマルタ島へ来ましたが、マルセルに侮辱され、丹波に土下座で説得され、ダー子に報酬を約束されて味方につきました。その変装を助けたハリウッド特殊造形師のジョージ松原(山田孝之)はTV版からの出演。
私はツチノコの正体はマルセルか丹波だとにらんでましたが、ダー子らを殺害しようとした時点でマルセルは「英雄」に値せず脱落。ツチノコは自分で名乗ってるだけです。オサカナの正体がマルセルだったのは予想できなかったので驚き。
麗奈も子猫(ダー子の仲間)だったのですが、医師団が本物なら心臓病の嘘は見破られてたのでしょうね。医師団がマルセルの仕込みであることを、ダー子は見抜いてたのかも。医師も患者も子猫(ニセモノ)なのは結果論として馬鹿げてますが。
赤星がダー子側なのは予測できたけど、マルセルに髪をつかまれて顔をたたきつけられたのが復讐の決定打だったのでしょう。なぜなら、ダー子らを引き取る時に日本政府高官として、マルセルの髪を思いっきりつかんでたから。
金庫開けの方法?ジェシー/スタア/コックリの役割?
マルセルの金庫のお宝を奪ったのは、もちろんダー子達。まず金庫番のおばちゃんを、恋愛詐欺師ジェシー(前作の三浦春馬)がまるめこみ、夢だった世界旅行へ飛び立たせます。金庫室の設計図はスタア(前作の竹内結子)が盗みました。
マルセルは、SNSで宝を確認するよう仕向けられて金庫を開けるが空。真相は、小屋への目印トーテムポールを細工され、手前の別小屋へ誘導されたのです。そして金庫を開ける暗証番号と手形をとられて、ダー子がそれで本物の金庫を解錠。
冒頭の新聞記事で、ミシェル・フウが来日ってありましたが、フウことコックリ(関水渚)こそがダー子に「ニセの四代目ツチノコ」の存在を最初に伝えました。コックリは、尊敬する慈善家フランス婦人を苦境から救いたかったのです。
コックリについての詳細は前作『プリンセス編』のネタバレになるのでそちらを見てください。コンフィデンスマンとしては変則的な前作ですが、コックリを見たら思い出して泣きそうに(涙)元気そうでよかった。全視聴者の孫キャラかも。
残念ながら亡くなられた三浦春馬さん、竹内結子さんの続投はありませんでしたが、コンフィデンスマンJPになくてはならないキャラなので、本作でのあつかいにはリスペクトを感じてこちらも涙。今回もいい仕事をしてくれました(涙)
凄腕コンフィデンスマンのマルセル・真梨邑が、ニセの小屋と金庫に気づかなかったのはややご都合主義を感じます。ダー子が金庫番婦人として倒れてるのも無理があります。普通ならマルセルは、何があったか尋ねるために生死を確認するはず。
真木よう子の正体は?続編のライバル?
モナコが仲良くしてた謎の女(真木よう子)の正体は、本物のインターポールの狼マルセル・真梨邑・イルンデス。マルセル・真梨邑(瀬戸康史)は、変装もせず名前をかたってたのです。さすがに性別まで違うのは無理ありますが。
ラストのエンドロールで、真木よう子が瀬戸康史を蹴る殴るして捕らえるシーンが静止画で流れます。そして本物のマルセル・真梨邑は「(ダー子、ボクちゃん、リチャードの)3人は私が捕らえる」と宣言したので続編のライバルになりそう?
ダー子の英雄は誰?最後の勝者とは?
三代目ツチノコの前でダー子は「ツチノコの称号はいらない。私にとっての英雄は周りの人たち」だと語ります。ボクちゃんやリチャードだけでなく、ジェシーやスタアも含まれると考えるとジーンときました。
エンドロール前のラストシーンで、マルタ島で「踊るビーナス」のニセモノを製作した職人の正体が、死んだはずの三代目ツチノコ(角野卓造)ことミミズと判明。死を偽装してたようです。
ボクちゃんが支払った大金は三代目に奪われ、ダー子達のはニセ札。「ミミズ」はダー子が冗談でつけた名前のはずでした。また、リチャードも「ジャパニーズ・パスタ」の売上金をごっそり波子(広末涼子)に持ち逃げされました。
おかげでダー子達は報酬を得られず(美術品はすぐ換金できない?)、エンドロール後、一団は動物のきぐるみを着て2.5次元ミュージカルを踊り、悪徳芸能プロモーターのホウ・ナムシェン(生瀬勝久)をだまそうとします。
一方、日本のゴッドファーザー赤星は、ダー子から約束された20億円を期待してたが、送られてきたのが小さな猿の彫刻だったので怒りで投げて彫刻を破壊。悪徳美術商の城ヶ崎(石黒賢)によると、古代メソポタミアの超高価な彫刻だったのに。
赤星はいつもダー子に騙されてるので「だますと思わせてだまさないとは、だまされた」と結果的にまた騙されたことになります。しかしダー子に騙されるのが快感になってるので、今回も笑い声をあげて意外と満足そう。
『コンフィデンスマンJP 英雄編』私の感想と評価と続編
今回は3人が勝負!でしたが、それすらダー子の大仕掛けの一部(ボクちゃん以外は)で脱帽。本当のオサカナの正体や三代目ツチノコのあれこれや金庫の奪い方や真木よう子の正体など、ドンデン返しの連続で気持ちよくだまされました。
一方で、大仕掛け以外での表面的な詐欺部分は雑すぎたし、中盤やや退屈なシーンもつづきました。また、今回のトリックは『ロマンス編』と同じ系統なのもマンネリ感やネタ切れを感じさせます。
副題の「英雄」の意味も「プリンセス」ほど響かなくて残念。まぁ『プリンセス編』は1回限りの変則技なので、上がりすぎた騙しハードルを下げるにはとても効果的だったとは思います。
長澤まさみ劇場とも言えるコメディエンヌぶりには磨きがかかり、それだけでも観る価値ありですが、今回は瀬戸康史、城田優、松重豊、真木よう子、生田絵梨花などの怪演名演も楽しめました。続編での再登場も期待したいです!
私の評価 70/100(60が平均)
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