映画1作目『コンフィデンスマンJPロマンス編』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?黒幕スタアの正体は?
フジテレビの月9枠TVドラマの続編を映画化。ダー子らは新たな獲物(お魚ちゃん)を香港マフィアの女帝、通称「氷姫」に決めて詐欺を仕掛けるが、過去にだまされた赤星が復讐のため邪魔に入り…。ウソつきは誰?最後笑うのは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | コンフィデンスマンJP ロマンス編 |
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日本公開日 | 2019/5/17 [予告] 上映時間:116分 |
監督・キャスト | 田中亮[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/FILM |
日本興行収入 | 29.7億円 年間20位 |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 79(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | TVドラマ映画化一覧 続編『コンフィデンスマンJP プリンセス編』38.4億 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- モナコ(織田梨沙)あるきっかけでダー子の一番弟子となる詐欺師
- ダー子(長澤まさみ)美しきコンフィデンスウーマン。天才的な頭脳と集中力の持ち主
- ラン・リウ(竹内結子)香港マフィアの女帝、通称「氷姫」。莫大な資産を持つ
- ジェシー(三浦春馬)天才的な恋愛詐欺師。ダー子と昔恋人だった?
- 赤星栄介(江口洋介)あかぼし財団会長。日本のゴッドファーザー。以前ダー子らに20億円をだまし取られた
- ボクちゃん(東出昌大)まじめで小心者の若きコンフィデンスマン(信用詐欺師)。ダー子の幼なじみ
- リチャード(小日向文世)百戦錬磨のコンフィデンスマン。変装の達人。ダー子の幼少期からの知り合い
- 五十嵐(小手伸也)腕利きのコンフィデンスマン。ダー子に心酔。二重スパイなどもこなせる
- 鈴木さん(前田敦子)ダー子の仲間(子猫ちゃん)の1人。失恋直後
ネタバレ感想『コンフィデンスマンJP ロマンス編』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
TVドラマ続編・監督とキャスト
『コンフィデンスマンJP』は、2018年にフジテレビ「月9」で放送されたテレビドラマです。今回のロマンス編はその続編となる劇場版です。TVから継続して監督を務めた田中亮は、本作が映画デビュー作となります。
主演の長澤まさみは、TVと映画の両方で人気の女優です。同年『マスカレードホテル』『キングダム』にも出演し、報知映画賞、ブルーリボン賞で主演女優賞を受賞してます。
ダー子と共に詐欺師を演じる東出昌大、小日向文世、前田敦子の他、テレビドラマ版から江口洋介、小手伸也、以外にもカメオ出演だらけです。映画版から登場の、三浦春馬、竹内結子、織田梨沙もいい感じで「だましだまされ」ます!
香港財閥の女帝ランリウが獲物?氷姫とは?
ラン・リウ(劉藍)は、香港の大財閥「射手座集団(サジタリウスグループ)」総帥で女帝や氷姫の異名を持ちます。リストラが不当と非難され、香港では大規模デモで似顔絵を焼かれます。その報道を見たダー子は獲物を彼女に定めます。
この先の記述は事実とダー子らの仕掛けが混ざっている可能性があります。なお本物のラン・リウはメディア嫌いで表舞台に顔を出しませんが、その素顔に関しては後の章で解説します。
8年前に父が引退後、ラン・リウはあとを継ぎ、裏社会も使って司法や警察も金で手なづけてます。個人資産は数千億円で、宝飾品コレクションは博物館レベル。伝説の宝石パープルダイヤも所有してるといううわさ。
10年前、四大財閥の御曹司コウカイトウ(孔海東)と政略結婚したが、商才ない怠け者とわかり離別。コウは自由を好むので財閥を飛び出し、食堂オーナーとして町で暮らしてます。モナコとボクちゃんは彼から氷姫の情報収集します。
ランリウの母は父の3番目の妻で、日本人のホステスでした。ランリウも12歳まで博多で育ちました。お抱え占い師にビジネスの相談をしますが、その1人は最近水死体で発見されてます。写真は、コウが結婚式で隠し撮りした1枚だけです。
占い師として潜入する作戦は成功?
ランリウは氷姫の異名どおり、恋や浮いた話もなく側近にも頼れる者がいないため、お抱え占い師に相談しながらビジネスをすすめてます。所有の競走馬のデビュー戦は観戦に来るため、ダー子とモナコは祈祷師として待ちぶせし印象づけます。
ランリウ側もすぐ採用せず、ある男にダー子らの調査をさせた後に屋敷へ呼んで試します。ある男とはジェシー(三浦春馬)で、かつてダー子と恋仲だった恋愛詐欺師です。リチャードらはモナコの前でジェシーを「スタア」と印象づけます。
ダー子らはジェシーのおかげで採用されます。ジェシーはランリウの信頼を深めるためにダー子らを採用させました。ダー子らは、南アフリカのダイヤモンド鉱山からの偽宝石や、福岡の商業施設をお告げとしてすすめ高額を手に入れようとします。
しかしランリウは全く動かず失敗に終わります。全編観たあとで考えると、コウカイトウ(正体はリチャード)の存在と彼から得た氷姫の情報は、モナコとジェシーをだますためだけのものです。
ランリウが本当にほしいものとは?運命の人は誰?
恋愛詐欺師ジェシーもランリウの心を開きかけるが失敗つづきです。そこでジェシーはダー子に「恋人」になっての詐欺を提案します。ダー子はジェシーに聞いたランの元家庭教師から、ランが本当にほしいのは「愛」であるとつきとめます。
ダー子が「お心の大きな鉛の弾が幸福をさまたげている」とお告げすると、ランは「(ダー子)が祈祷師より男を選んだ理由」を聞きます。ダー子の「ただ全てを捨ててもいいと思ったから」を聞いたランは、真の想い人のことを話します。
ランは12歳のパーティーで知りあったコウカイトウを想い続けて結婚しました。しかしその後、両財閥が決定的に対立したため離婚させられ、コウからのかけ落ち提案を断ったランリウは、今でも後悔しながら苦しんでいます。
後にダー子とランリウ(竹内結子)はグルだと判明するので、この時のランによる告白は、ジェシーとモナコに聞かせるだけが目的の会話です。ダー子がこの時もらった写真を、コウからの封書に入れた演出は視聴者へのネタバレと感じました。
ダー子とジェシーが共同で仕掛けた詐欺とは?
ジェシーはあらかじめ調査したランの元家庭教師の情報をダー子に教え「ランの運命の人がコウカイトウ」である事実をボクちゃんとリチャードにも知らせます。そしてダー子らは、ランとコウカイトウ両者に駆け落ちを求める手紙を出します。
慎重なランは、バンクーバーへ飛ぶ前にコウカイトウの真意を確認しに行き、コウが金髪美女に「ランの所なんて行くはずない」と話してるのを聞きます。傷心のランはジェシーの所へ向かうが、ジェシーに片想いしてたダー子に撃たれます。
ランは命を救ってくれたジェシーに病院で「世界へ連れて行ってほしい」と告白します。しかし目覚めたランは、消えたジェシーと病院が詐欺だったと気づきます。眠ったのは、看護師に変装したダー子が運んだ睡眠薬コーヒーのせいです。
眠ったランの首から「パープルダイヤ」を盗んだダー子とジェシーは、ランリウだけでなくボクちゃんやモナコらもだまして逃亡します。ジェシーとダー子の計画は、金髪美女にコウカイトウを高飛びさせなかった部分からです。
しかし真相は、その部分すらジェシーをだまして30億円を出させるための演出だったのです。
ジェシーとモナコの正体は?
ジェシーとヘリで逃亡しようとするダー子を、ボクちゃんとリチャードらが追ってきます。そこの住所は雑誌のメモでわかります。ボクちゃんの告白にもなびかず逃亡をはかるダー子だが、実はジェシーにだまされ利用されただけでした。
ヘリから出てきた赤星は、かつてダー子らに20億円をだまし取られた(TV版第1話)仕返しのため、ダー子をよく知るジェシーを雇い入れたのです。そしてモナコもジェシーが送りこんだスパイと判明。皆を集めるため雑誌にメモしたのもモナコ。
ジェシーはダー子にふられたのを根に持ち復讐したかったそうです。思ってたより小者な理由で驚き。赤星の手下で意味深に映ってた香港の商店のおやじの正体は、ジェシーの失敗時の処理役でした。スタアだと思わせるミスリードもありましたが。
ジェシーとモナコ、どこからだまされてた?
ダー子が「ラン・リウ」を詐欺に使うことを思いついたTV映像を見ましたが、あれ以外のランやコウカイトウの情報は全て、ジェシーとモナコをだますためのウソです。コウカイトウや家庭教師への聞き取りは、わざとモナコを同伴させてます。
そのモナコからの情報をもとにジェシーも動いてたため、ランリウとコウカイトウがニモ者であることは全く疑わなかったのでしょう。ダー子がジェシーの計画に乗ったように見せたり、ランがジェシーに「ついていく」と言ったのも偽装です。
実はコーヒーに睡眠薬は入ってなくて、パープルダイヤはわざとジェシーに盗ませたのです。モナコだけはどちらの計画も聞いてないので「ジェシーが撃たれた時」「ダー子が皆を捨ててジェシーと逃げた時」等、本気で感情が動かされてます。
「ランとコウの20年越しの愛を聞いた時」「ボクちゃんやリチャードが金は捨てて他人の愛の成就を選んだ時」にも、モナコだけは本気で胸キュンを感じててかわいすぎます。しかしモナコの視点で2回め観るとかわいそうで泣けてきます。
黒幕スタアの正体とは?今回のお魚ちゃんは誰?
赤星栄介(江口洋介)とジェシーの2人が今回のおサカナちゃんです。赤星から30億円をだまし取りました。赤星はダー子の仲間の詐欺師をねらう者として、ジェシーは鈴木さん(前田敦子)をだました恋愛詐欺師として報復対象になったのです。
赤星は鑑定させたパープルダイヤが贋作とわかるとジェシーと香港へ戻り、ランリウの屋敷やコウカイトウのいた商店などが全て空き家になってることにショックを受けます。見事にだまされた小者ジェシーは赤星に責められます。
しかし赤星は、ダー子からのアツいラブレターと、パープルダイヤに彫られた「ダー子」の文字に気づき爆笑。ジェシーはそのすきに逃亡。ダー子は、モナコがペディグリーペットを仕掛けた犬に赤星の名前「エイスケ」と名付けます。
コウカイトウはリチャード(小日向文世)、金髪美女は鈴木さんが演じてました。鈴木さんは顔をチラ見せしてジェシーへのうらみを直接はらしました。リチャードの弟子の矢島理花(佐津川愛美)は、赤星がジェシーを選ぶよう仕向けました。
そして黒幕スタアの正体は、ラン・リウ(竹内結子)を見事に演じた女性です。その一連の種明かしがされるたび、ジェシーのスパイだったモナコがクラクラする様子がまたかわいいし、かわいそうになります。
本物のランリウの正体は?何度も登場してるよ
ラストで、町を掃除してる香港の眼帯おばちゃんこそが、本物のラン・リウだったのです。衝撃です!。車内で眼帯をはずすと、なんとそこには真のパープルダイヤがはまっています。
ちなみにこの眼帯おばちゃん、ダー子らが香港上陸した直後にも、ダー子らに点心料理を運んできたり喫煙休憩してました。ボクちゃんとモナコに、コウカイトウの商店街の場所も示してたのでダー子らの計画のエキストラも務めてたかも。
序盤でのテレビ映像で、氷姫のネットでの悪意ある似顔絵の中にも、右目に星(パープルダイヤ)をはめた絵がありました。また、デモで焼かれた中にも同じ絵がありました。2回目に観る時は、探してみるのも楽しいと思います。
何人わかった?TV版からの出演者やトリビア
本作『コンフィデンスマンJP ロマンス編』では、TVドラマ版からのカメオ出演が多数あったのでまとめます。一瞬しか出てない人たちは省略しています。
ランをだますため南アフリカの偽ダイヤを加工したり、偽パープルダイヤを作った宝石職人はラストに顔を見せ、なんと「小栗旬」でした。小栗旬はエンドロールで「from???」なので、2020年の「プリンセス編」以降に出演かもしれません。
また、エンドロール後にアイドルグループを演じるダー子を「センターのババアははずそう」と言うアジア系の人物は、生瀬勝久が演じてますが、2020年「プリンセス編」での出演が決定しています。
- 与論祐弥/キンタ(岡田義徳)遊園地で詐欺未遂
- 与論弥栄/ギンコ(桜井ユキ)同上
- 桂公彦(小池徹平)赤星と記者会見
- 鉢巻秀男(佐藤隆太)TVの香港デモ
- 桜田しず子(吉瀬美智子)香港ホテル「ミチクサ」オーナー
- ジャッキーチェン?(ジャッキーちゃん)競馬場で
- 高松千鶴(山口紗弥加)ランの元家庭教師
- 城ヶ崎善三(石黒賢)赤星のパープルダイヤを贋作と鑑定
- 矢島理花(佐津川愛美)赤星にジェシー情報吹き込む
- 鈴木さん(前田敦子)コウカイトウの金髪美女
- 宝石研磨職人(小栗旬)偽宝石を作成
- ホー・ナムシェン(生瀬勝久)エンドロール後
これ以外のトリビアネタも多数あります。例えばジャッキー・チェンのそっくりさんと関連して、長澤まさみが「サモ・ハン・キンポーいないかな」と発言してます。同時に、待ってたボクちゃんらに対して「ハチ公以来」とも言ってましたね。
テーマの「愛」に笑えない?東出昌大のせい?
『コンフィデンスマンJP』はコメディ映画でもあるので、ド派手な演出やカメラ目線の決め台詞などで笑わせにきますが、爆笑系ではなく笑顔になるていどです。もちろん人によります。
ところが、映画公開の翌年に発覚した東出昌大の不倫騒動により、それ以後に観ると苦笑するセリフだらけで映画の見方が変わりました。例えば、長澤まさみのセリフ「芸能界きってのおしどり夫婦は、ビジネスではないのか?」は核心すぎ。
そのあとの東出昌大の「運命の赤い糸は本当にあるのか」も唐田えりかと杏のどちらが「赤い糸」なのか考えると笑えません。ちなみに赤い糸は、ラストで長澤まさみが東出とつないでて「韻」になってます。
他にも東出昌大の「人を愛する気持ちはこの世で一番尊いものだ。それを利用して人をだますなんてすべきじゃない」「愛をもてあそんじゃいけない」という台詞はブーメランになっていますね。
終盤で告白する東出昌大が長澤まさみに「なかなかいけるじゃん、恋愛詐欺も。ウソでもそう言ってくれてうれしい」には、苦笑ではすまされない人もいるかもしれません。
『コンフィデンスマンJPロマンス編』私の評価と続編
冒頭の名言「恋は、いつだって自分をあざむくことから始まり、他人をあざむくことで終わる。」は、オスカー・ワイルド著『ドリアン・グレイの肖像』からです。名言の続き「これがロマンスである」は、まさに「ロマンス編」の始まりです。
本作はコンゲーム映画(だましだまされ、どんでん返しのミステリー)として上質で、オーシャンズ11シリーズ、ミッションインポッシブルシリーズに劣らないほど先がよめませんでした。邦画コンゲームの中ではベスト級だと感じます!
一方、演技はおおげさすぎて、カメラ目線も多いので気になる人はいるかもしれません。ただ、特にダー子やボクちゃん、リチャード、赤星はそもそもマンガ的なコメディ寄りなので、そういうキャラだと思えば許せる範囲です。
東出昌大の「棒読み」が、詐欺師を演じきれないボクちゃんの演技としては一流になってて皮肉です。トリックや仕掛けに後だしのずるさも感じたけど、モナコやジェシーをだますための言動がそのまま視聴者をだます演出になってるのは上手すぎ。
翌年2020年には続編『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が公開予定なので、まただまされるのが楽しみです。そしてどんな豪華キャストが、どんな風にだまされるのか期待したいです!
私の評価 72/100(60が平均)
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