超実写版『ライオンキング』ネタバレ感想考察/ラスト結末は?アニメとの違い?王国衰退の原因?
ディズニー実写映画。『ライオンキング(アニメ)』の超実写版リメイク。アフリカのサバンナでムファサ王の息子に生まれたオスライオンのシンバは、ある悲劇で王国を追放されるが…。もふもふ超かわいい?ストレス社会にこそハクナマタタ?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ライオン・キング(超実写版) |
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日本公開日 | 2019/8/9 [予告] 上映時間:119分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
原題/英題 | The Lion King |
監督・キャスト | ジョン・ファヴロー(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG |
配給/製作 (画像出典) | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・ジャパン/ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、フェアビュー・エンターテイメント |
日本興行収入 | 66.7億円 (年間7位) |
世界興行収入 | 16.6億USドル [出典] (歴代10位) |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 73(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ディズニー実写映画一覧 続編『ライオン・キング:ムファサ』 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- シンバ/幼少(JD・マックラリー。熊谷俊輝)
- シンバ/大人(ドナルド・グローヴァー。賀来賢人)オスライオン。ムファサの息子。プライドランドの王子。次期キング
- ナラ/幼少(シャハディ・ライト・ジョセフ。小林星蘭)
- ナラ/大人(ビヨンセ・ノウルズ=カーター。門山葉子)メスライオン。シンバの幼なじみで親友でフィランセ。けんか強い
- ムファサ(ジェームズ・アール・ジョーンズ。大和田伸也)オスライオン。サバンナのプライドランド王国のキング
- スカー(キウェテル・イジョフォー。江口洋介)オスライオン。ムファサの弟。シンバの叔父
- ティモン(ビリー・アイクナー。ミキ・亜生)ミーアキャット。陽気でお調子者。ハクナマタタが口ぐせ
- プンバァ(セス・ローゲン。佐藤二朗)イボイノシシ。陽気で大食い。ハクナマタタが口ぐせ
- ラフィキ(ジョン・カニ。駒谷昌男)年老いたヒヒ。マンドリル。誕生の儀式で王子を掲げる祈祷師
- シェンジ(フローレンス・カサンバ。沢城みゆき)メスハイエナ。ハイエナ達を仕切ってる
ネタバレ感想『ライオン・キング(超実写版)』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
アフリカのサバンナのプライドランド王国は、オスライオンのムファサ王が誠実に治め、緑の草木がしげり動物たちからも信頼されています。その妻サラビは息子オスライオンのシンバを産み、祈祷師ラフィキがプライドロック上でかかげます。
かわいいシンバ王子は、メスライオンのナラと親友になり楽しく遊び回り、将来は自分が王になることを疑っていません。しかしムファサの弟スカーが王位の座をねらっており、その背後にはハイエナの姿もちらつき…
原作アニメ版と超実写版と監督について
1994年に公開された『ライオン・キング(アニメ版)』は、2019年時点でもディズニーアニメ映画の中で3位の世界興行収入で評価も高く、新しい世代にも受け入れられ続ける良作映画の1つです。
今回の『ライオン・キング』は超実写版と呼ばれ、ほぼ全てのシーンがフルCGで描かれています。実際のサバンナの動物たちに演技させるのは不可能なのでこの手法しかないですね。映像は実物と見分けがつかないレベルで驚愕です。
『ジャングルブック』でも感じたけど、もはやディズニーは動物なら好きな動きや会話をさせることが可能です。『ライオンキング』はその最先端のフルCGの動物たちを観に行くだけでも価値あると思います。
ディズニーはピクサー製作としてフルCGアニメの『トイストーリー4』等も作ってるので、アニメと実写の違いや境界線はあいまいになってきていて、人間以外ならなんでも物語を作れる領域に達してると感じます。
監督のジョン・ファヴローは、多くの映画で監督・脚本・出演・製作などに関わっていますが有名なのは、監督作『アイアンマン』です。マーベル映画MCUは現在23作目ですが、その1作目を成功させ礎を築いた功労者でもあります。
俳優としての出演も増えてて『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』では監督・脚本と主役のシェフまでこなしてるし、最近では『スパイダーマン ファーフロムホーム』等のMCU作品でハッピー役として印象に残っています。
日本語吹き替え声優や歌について
ムファサ王の声は原語版も日本語吹き替え版も『ライオンキング(アニメ版)』と同じ、ジェームズ・アール・ジョーンズと大和田伸也なので全く違和感なく安心できます。
今回の日本語吹き替え版の主要な役は、専業の声優ではなく芸能人やタレントが起用されています。私が観たのも日本語吹き替え版なので、そちらについて書いていきます。シンバとナラは幼少期の方がセリフが多いと感じました。
シンバの子供時代の声は、歌唱力の評価が高い11歳の熊谷俊輝です。声優や吹替経験は浅いだろうけど、なまいきであやうい雰囲気を出せてますし、歌はさすがに上手すぎます。もう1曲くらい聞きたかったくらいです。
シンバの大人時代は俳優の賀来賢人です。最近では『ちはやふる 結び』の周防久志名人が印象的です。歌うシーンでは、ナラやプンヴァやティモンの声の方が目立ってましたが、話し方に違和感はなかったです。
ナラの子供時代の声は『若おかみは小学生!』等で実力を発揮してる小林星蘭です。子どもっぽいかわいさと力強さをうまく表現できていました。大人時代は洋画声優初挑戦?の門山葉子で、歌の上手さや声の力強さが印象的です。
それ以外のタレント声優は、スカーは江口洋介、ティモンは吉本のミキ・亜生、プンヴァは佐藤二朗です。江口洋介は悪で小心者のスカーを見事に演じてましたが、いつもと感じが違ったのでかなり調整したのではないでしょうか。
ミキ・亜生は顔も見たことないけど、お調子者のティモンにはぴったりです。プンヴァは間のとり方だけでなく動きも佐藤二朗ぽいです。歌は上手さを要求される歌ではなかったけど、陽気で楽しくなる雰囲気を見事に再現できてました。
アニメ版との違いは?
本作『ライオンキング』(超実写版)は、最近のディズニー実写映画によるリメイク版の中では、旧作アニメに最も忠実だと感じます。ストーリーはほぼ同一です。
歌唱シーンだけでなく、プンヴァとティモンと一緒の時間も長いです。シンバのたてがみがヒヒの祈祷師ラフィキまで飛んでいく過程で「命の環(サークル・オブ・ライフ)」を見せてくれるのもサバンナを感じられる良い改変です。
たてがみで命の環を表現?ラフィキへ届け
成長したシンバの「たてがみ」が風に吹かれてラフィキに届き、シンバの生存に気づくシーンはアニメ版と同様です。アニメ版では髪というより、フケやにおいという感じでしたが、今回の超実写版では完全に「たてがみ」が届けられました。
シンバから抜け落ちたたて髪は風で流され、小鳥の巣に使われるが捨てられ、木にからまった髪をキリンが食べ、そのフンをフンコロガシが転がすが落ちて割れた時にまた風に吹かれ、ラフィキが受け取ってシンバの絵にもたてがみを加えます。
「シンバのたてがみ」が老ヒヒ祈祷師ラフィキに届くまでを「命の環(サークル・オブ・ライフ)」として表現したのでしょう。子どもも観るからか、動物の死や弱肉強食や食物連鎖を描くことはあえてさけたように感じます。
ミュージカルシーン等での主要な歌曲一覧!
冒頭のサバンナでの日の出はシンバの誕生を意味し、今後の繁栄が永遠に続くと感じさせます。その光景の背景で流れる歌曲は「Circle of Life(サークル・オブ・ライフ)」です。神々しすぎるのとCGの素晴らしさに涙さえ出ました。
幼少時代のシンバとナラが、宮廷仕えのお目付け役の鳥ザズーから姿をけして、象の墓場ことハイエナのすみかへ向かうシーンで歌うのは「I Just Can't Wait to Be King(王様になるのが待ちきれない)」です。
プライドランドを追放され落ち込むシンバを、プンヴァとティモンがなぐさめるために「過去を振り返るな。迷いない人生を生きよ」と歌い軽い気持ちにしてくれたのが有名な「Hakuna Matata(ハクナ・マタタ)」です。
プンヴァのバックコーラスで、ティモンがごきげんでハモってた歌曲は「The Lion Sleeps Tonight(ライオンは寝ている)」です。ナラが急に襲ってきて中断しますが。
ナラとシンバが再会して2人っきりで話しはじめた時、やや嫉妬したプンヴァとティモンが歌い出すのが「Can You Feel the Love Tonight(愛を感じて)」です。「シンバとナラの恋」と「ティモンらが嫉妬したイヤな感じ」を歌い上げます。
ハクナマタタとは?ストレス社会にこそ
自分のせいで父ムファサ王を死なせてしまったと思いこむシンバは、砂漠で力尽きてハゲワシの集団に囲まれるが、プンヴァとティモンの「ハゲワシへの特攻」により救われます。人間の子どもがハトの群れに突入する遊びに似てますね。
落ちこんで生きる希望も気力もなくしたシンバに、ミーアキャットのティモンと、イボイノシシ(土豚)のプンバァは「ハクナ・マタタ」の精神を教え、気を楽にしてやります。
ハクナ・マタタとは、スワヒリ語で「過去の事でくよくよするな」「迷わず生きよう」という意味です。仕事や責任は大切だけど「まずは生きのびよ!」という、現代のストレス社会にも通用する心づよい思想だと感じます。
王位奪還の復讐劇!悲劇はなぜ起きた?
『ライオンキング』のストーリーはシンプルな王道の「王座奪還の復讐劇」です。父であるムファサ王を殺害されたとは知らず、自分のせいだと思いこまされたシンバが過去を忘れ成長し、戻ってきて真相を知り復讐を果たす物語です。
今回の『ライオンキング』では、スカーの前でシンバがなまいきに「王になれば太陽の下のこの国は全部ぼくの物になり、スカーおじさんも従わなければならなくなるよ」と言うシーンがあり、これがスカー謀反のきっかけの1つになります。
プライドランド王国は誠実なムファサ王により「肉食動物の厳密な狩りの制限」がもうけられており、王弟スカーは空腹で毛も生え落ちてる状態です。ハイエナたちは空腹感を我慢できなくてルールに従えず、プライドランドの外に住んでます。
ムファサ王はスカーを力で屈服させてるようですが、実の弟ならもう少しよい暮らしを提供してあげてもいいのになとは感じました。それでも従わなくて改心しないなら、王国の将来にとっていいことはないので追放すべきだったのでしょう。
全ハイエナが悪者?虫でライオンが成長?
『ライオンキング(アニメ版)』を観た時に疑問だったのは、ハイエナと虫の描き方です。超実写版で補足されるかなと期待したけど、ほぼ同じ見せ方だったので少し残念です。
ライオンにはムファサやスカーのように善悪それぞれ存在するのに「ハイエナは全員が悪者で欲望を制御できない」という表現には反対です。せっかくリメイクするなら「ムファサに従う良いハイエナ」の存在もぜひ描いてほしかったです。
最近では人間の「完全な悪」は描きにくくなったからこそ、動物に置き換えて自由に表現したいという製作側の意図は感じます。20世紀なら、ソ連、ロシア、北朝鮮などの共産国やアラブ人を悪役にできたけど、今は難しそうなので。
もう1点、虫についての疑問も残ったままです。プライドランドを追われたシンバが、プンヴァとティモンにハゲワシから救われ、砂漠の先のオアシスで虫を食べることを教わります。果たしてライオンが虫だけ食べて成長できるのでしょうか。
オアシスの仲間を食べたくないから虫を食べるという発想ですが「虫の命は無視?」(ティモンのダジャレ風)という部分に納得できません。肉食動物なのだから、ルールは厳密にしても狩りはする設定の方が「命の環」にも忠実だと感じます。
王国衰退の原因は?
ムファサ王とシンバの死が伝えられた後、第3王位継承者の弟スカーが王に即位しますが、その後プライドランド王国は衰退します。シンバがプライドランドへ戻った時にはティモンに「こんな場所の王になりたいのか?」と言われます。
プライドランド王国が衰退した原因は、厳密だった肉食動物による狩りのルールをなくして、ハイエナもスカーも食べ放題にふるまったからです。草食動物は他の土地へ逃げ去り、死体やフンがないため草木も育たず荒れ果てた地になりました。
『ライオンキング 超実写版』の私の評価とリメイクの意義
旧作『ライオンキング(アニメ版)』は完成度が高く、今さら実写版になってもストーリーが同じだと興味がわかなかったけど、結果的には劇場へ観に行ってよかったです。個人的にはアニメ版を置き換える位置づけでもいいと感じます。
フルCGの動物たちやサバンナの光景は実物と区別がつかないほどで、その圧巻の映像技術を周りの誰よりも早く大画面スクリーンで体験できるだけでも『ライオンキング』を観に行く価値はあると思います。
ストーリーに驚きがないのは完全リメイクの欠点だけど、ほぼ完成された物語なのでオリジナルキャラや追加エピソードは批判の対象になりやすく難しいでしょうね。劇場版以外の続編はあるけど、質は高くないので映画化しない方がよさそう。
生まれたてのもふもふシンバが抱き上げられ、くしゃみするシーン、子シンバとナラがじゃれあいコロコロするシーン、プンヴァとティモンとシンバが歌いながら歩くシーンなどは、あざとさを感じるほどかわいすぎて抱っこしたくなるほどなので、観るか迷ってるなら「かわいさ」目当てだけでも充分におすすめできます!
私の評価 70/100(60が平均)
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