映画『トイストーリー4』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?おもちゃの幸せとは?ラストの決断あり?

ピクサー製作映画21作目。遊ばれる機会が減ったウッディは、人見知りのボニーを元気付けるためフォーキーの世話をするが、さらわれてしまいさらにボー・ピープと再会し…。ボーの過去は?おもちゃの干渉範囲とギャビーの矛盾点とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | トイ・ストーリー4 |
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日本公開日 | 2019/7/12 [予告] 上映時間:100分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Toy Story 4 |
監督・キャスト | ジョシュ・クーリー(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:G |
配給/製作 (画像出典) | ディズニー/ピクサー・アニメーション・スタジオ、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ |
日本興行収入 | 100.9億円 年間4位 / 歴代46位 |
世界興行収入 | 10.7億USドル [出典] (歴代41位) |
製作費 | 2.0億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 80(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ピクサー映画一覧 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ウッディ(トム・ハンクス。日本語吹き替え声優:唐沢寿明)仲間思いのカウボーイ人形。ボニーに譲られた後は…
- バズ・ライトイヤー(ティム・アレン。所ジョージ)スペースレンジャー人形でウッディの親友。ボタン押すと「無限の彼方へ」と発声
- ボニー(マデリーン・マックグロウ。中村優月)人間の少女。ウッディやバスの持ち主。人見知りでおとなしい
- ボー・ピープ(アニー・ポッツ。戸田恵子)ライト付属の陶器製スタンド。ウッディの恋人的キャラだったが…
- フォーキー(トニー・ヘイル。竜星涼)先割れスプーン等から作られたフォーク型おもちゃ
- ギャビー・ギャビー(クリスティーナ・ヘンドリックス。新木優子)アンティーク人形。しゃべる機能が故障中
- デューク・カブーン(キアヌ・リーブス。森川智之)バイクに乗るカナダのスタントマン人形
- ギグル・マクディンプルズ(アリー・マキ。竹内順子)ミニチュアのプラスチック警官人形。ボーの相棒
- ダッキー(キーガン=マイケル・キー。松尾駿@チョコレートプラネット)あひるのぬいぐるみ。よくしゃべる
- バニー(ジョーダン・ピール。長田庄平@チョコレートプラネット)うさぎのぬいぐるみ。ダッキーとくっついてる
- ジェシー(ジョーン・キューザック。日下由美)カウガール人形。ウッディの妹的キャラ
ネタバレ感想『トイ・ストーリー4』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督や声優について
監督のジョシュ・クーリーは、ピクサー製作映画に長く関わってきて『インサイドヘッド』で脚本を担当し、ピエロの声優もやりましたが、長編の監督作としては『トイストーリー4』が初めてです。
声優は、ウッディ役のトム・ハンクス、バズ・ライトイヤー役のティム・アレン等ほとんどが続投です。日本語吹き替え声優もそれぞれ、唐沢寿明、所ジョージが続投です。
前作『トイストーリー3』では不在だったボー・ピープ役も、アニー・ポッツと戸田恵子が引き続き演じます。他のおもちゃ達も亡くなった人以外はほぼ続投です。注目すべきは、スタント人形デューク・カブーンをキアヌ・リーブスが演じてます。
テーマは「おもちゃの存在意義や使命や幸せとは?」
ピクサー製作映画は、テーマがわかりやすいのが子どもに受ける要因だと思ってますが、トイストーリーシリーズも常に「おもちゃとは?」という難題をいろんな角度から見せてくれ、そのたびに感動させられました。
本作『トイストーリー4』では、冒頭からボニーに遊ばれなくなったウッディの悲哀が描かれて『トイストーリー3』と似たテーマかなと思いましたが、ウッディは自ら存在意義を見つけ出します。
おもちゃの存在意義は「持ち主を楽しませること。悲しませないこと」と思ったウッディは、幼稚園でひとりぼっちのボニーに、ゴミからフォーキーを作らせて喜ばせ、さらに常に手元にあるように影ながら手助けするのを使命と感じます。
その使命を達成することで「自分(ウッディ)はボニーに必要なおもちゃだ」と信じたいだけで、一種の強迫観念のようにもなっていると感じます。でも今まで描いてきた「おもちゃの幸せは、持ち主を幸せにすること」という理念には反しません。
それなのにラストでは、おもちゃの幸せの別の形として「持ち主から解放されて広い世界を見ること」「好きな人と一緒にいること」を見せられて困惑します。同じくディズニーの『シュガーラッシュ オンライン』を思い出します。
このウッディの決断は「特定の子どもの所有物(おもちゃ)であることを放棄」したわけですが、対称的にフォーキーは食器やゴミの役割を終えて「特定の子どもを元気にできるおもちゃになった」のが興味深いです。
続編は必要だったのか?描きたい内容は?
『トイストーリー3』のラストは「おもちゃと人間との物語」としてほぼ完璧に近い形で終了していたと思うので、続編製作を聞いた時は正直不安や蛇足感しかなかったです。
しかし結論からいうと『トイストーリー4』は、おもちゃの目標をずらすことで、完結編のスピンオフ的な位置づけとしては良い結末だと思います。3作目で描けなかった、ウッディとボーピープとの物語を完結させてくれました。
それこそ制作陣が本作で描きたかった内容だと感じます。一方で、3作目まで追求してきた「おもちゃは持ち主に遊んでもらうのが一番うれしい」という目標を放棄してるし、かなり人間的な選択なので、トイストーリーの続編として描く必要があったのかは疑問です。全く別の新作でも良かった気がします。

ボーピープって何者?性格変わった理由は?
ボー・ピープは1作目からいた、ウッディの恋人的キャラで、ライトスタンドに付属する陶器製の人形です。『トイストーリー3』で登場しなかった理由は、その前に別の家に引き取られたからだと冒頭シーンで判明します。
もとはドレス姿の典型的な女性キャラだったのに、今回は勇ましいパンツ姿で登場し、しかも頭もキレて男勝りのマッチョキャラに様変わりしています。最近のポリコレ感というより、ディズニーによる強い女性像への変化の流れだと感じます。折れた腕をテープでくっつけてたりと、性格が変わるほど苦労してきたこともわかります。
陶器製なのにドレスは着脱可能だったの?や、ライトの側にいなくてもいいの?等ツッコミどころはありますが、かなり魅力的なヒロインでありほぼ主役です。暗い部屋を怖がって眠れなかったモリーのために電気をつけてあげてたエピソード等で、キャラの深掘りもできてます。
ボー・ピープは、引き取られ先からアンティークショップに移され、無駄に飾られる期間を経て外へ飛び出し、7年間もスカンクマシンで偽装しながら自由に行動しています。ずっと狭い子供部屋にこだわってきたウッディとは対称的です。
魅力的な新キャラ一覧と旧キャラの扱い
魅力的な新キャラが多数登場しますが下のとおりです。多くが人間との接し方などで問題を抱えてますが、カブーンは見事にスタントを決め自信を回復し、ギャビーギャビーは迷子少女にもらわれて行き、フォーキーはおもちゃとして自覚します。
- フォーキー(ゴミから作られ最もボニーに必要なおもちゃ)
- ギャビーギャビー(しゃべる機能が故障中で子どもに愛されたことがない)
- ベンソン(ホラー調のアンティークの腹話術人形。ギャビーの手下)
- デューク・カブーン(TVCMのようなスタントできなくて子どもに飽きられた)
- ギグル・マクディンプルズ(ミニチュアの警官人形)
- ビリー&ゴート&グラフ(ボーとセットの、3匹で1体の羊の陶製人形)
- ダッキー&バニー(3年間誰も取らない射的の景品のぬいぐるみ)
ところでトイストーリーシリーズは、新キャラはいつも魅力的なのですが、旧キャラは雑に扱われがちです。本作でもバズ以外のボニーのおもちゃ達は、ひとまとめにされてて台詞も少なめです。せめてジェシーはもっと活躍してほしかったです。
おもちゃが干渉しすぎでは?ギャビーの矛盾点
『トイストーリー4』で議論や賛否両論の的になりそうなのが「おもちゃはどこまで人間に干渉できるのか」という問題です。まず全作とおしての絶対ルール「おもちゃが動いたり話す場面は、人間に知られてはいけない」は守りきっています。
そして基本的には人間の行動を邪魔してもいけないはずです。それなのに本作では、おもちゃ達がボニーの両親のレンタカーのタイヤをパンクさせたり、ナビを偽装したり、アクセルやブレーキを踏んだり、パワーウィンドウを操作したりします。
この干渉は明らかにやりすぎですし、交通事故で人を傷つける危険性もあるので許される範囲を越えています。さらに、バズの「アンティークショップにリュック置き忘れてる」の叫び声や偽ナビ声が、人間に聞こえたのも衝撃的でがっかりです。
そんなことが可能なら、過去作でももっといろいろ楽だった気がします。それに、しゃべる機能が初期不良のため少女に遊んでもらえないギャビーギャビーも、悩む必要なく直接話せば問題解決できたのでは?と矛盾を感じてしまいます。
ウッディの決断はあり?継承者はギャビー?
ラストでウッディは、バズ達ボニーのおもちゃと決別して、ボー・ピープと共に自由な広い世界へ出ると決断します。バズの「彼女は大丈夫だ」の彼女はボーで、戻って来いの意味かと思ったら「ボニーは大丈夫だ」と言い直して支持してくれます。
そこでボニー家へ戻る旧キャラ達と、移動遊園地に残る新キャラ組に別れます。バズの「無限の彼方へ」は、まさに無限の世界に飛び出したウッディへ贈られた言葉です。
このウッディの決断は「ウッディの物語としては祝福したい」です。しかし「トイストーリーという物語としては、持ち主に遊ばれる役割を放棄した」ので困惑します。そのどちらを重視するかで賛否は分かれそうです。
でもウッディの意志を継承する者は3人いるので安心してます。1人はバズ。2人目はウッディの人生を聞いておもちゃとして歩むことを決めたフォーキー。3人目はウッディのトーク装置を譲り受けて、移植されたギャビーギャビーです。
特にギャビー・ギャビーは初期不良品だったので、生まれながらの障害者が臓器移植されたというメタファーにも感じ、ウッディの意志ごと移植されていると期待できます。『人魚の眠る家』を思い出しました。
『トイストーリー4』総括・続編はある?
上では評価しなかったけど、作画というかCGアニメの映像技術には感嘆するのみです。あらを探しても見つかりません。あまり好みではなかったCGアニメですが、もう認めざるをえません。日本の何十年先を行ってるのかと悲しくなります。
4作目が発表された時に感じた不安は、観てみると安心に変わりました。蛇足感やこれまでの物語の否定感やツッコミどころは点在していますが、致命的な駄作ではないどころか、ウッディとボーの物語の完結を見れて良かったとも思います。
『トイストーリー3』できれいに完結した物語だったからこそ、このようなずらした続編でしか表現できなかったとも言えそうです。個人的には「トイストーリー スピンオフ1 ウッディの物語 完」だと認識しました。
ということは、もう1つ「スピンオフ2 バズ・ライトイヤーの物語 完」が製作される可能性もあるかもしれません。また、広い世界に出たウッディとボーピープの冒険物語を、連続ドラマ等で観られる機会も期待できるかも。
エンドロール前の映像で、小学校から戻ったボニーのリュックから、新しいゴミおもちゃが登場し、すっかりおもちゃの一員のフォーキーと恋に落ちそうなシーンで終了します。その話のつづきもどこかで描かれるかもしれませんね。
私の評価 72/100(60が平均)
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