『バズ・ライトイヤー』感想ネタバレ解説考察/結末は?敵の正体は?人生変えた絆とは?
ピクサー製作。自身に満ちたバズ・ライトイヤーだが危険な惑星に不時着。多数の乗組員を地球に帰還させようとミッションに挑むが、現れた敵の正体に衝撃を受け…。地球に帰還できる?バズの決断は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | バズ・ライトイヤー |
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日本公開日 | 2022/7/1 [予告] 上映時間:105分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Lightyear |
監督・キャスト | アンガス・マクレーン[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG |
配給/製作 (画像出典) | ウォルト・ディズニー・ジャパン/Pixar Animation Studios、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ |
日本興行収入 | 12.2億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 2.2億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | 67(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ピクサー映画一覧 前作『トイ・ストーリー4』100.9億 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ソックス(ピーター・ソーン。山内健司@かまいたち)超ハイスペックな猫型友だちロボット
- バズ・ライトイヤー(クリス・エヴァンス。鈴木亮平)ハイパー航行に挑む伝説のスペース・レンジャー
- アリーシャ・ホーソーン(ウゾ・アドゥーバ。りょう)バズの相棒。スターコマンド指揮官
- アイヴァン(メアリー・マクドナルド=ルイス。沢城みゆき)自動操縦AI
- ザーグ(ジェームズ・ブローリン。銀河万丈)バズ達をねらう謎の敵。その正体は…
- イジー・ホーソーン(キキ・パーマー。今田美桜)アリーシャの孫娘。ジュニア・パトロール隊員
- ダービー・スティール(デール・ソウルズ。磯辺万沙子)仮釈放中の爆弾作りの達人
- モー・モリソン(タイカ・ワイティティ。三木眞一郎)弱々しいパトロール隊員
ネタバレ感想『バズ・ライトイヤー』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
トイストーリー前日譚?26作目?監督やキャスト
映画『バズ・ライトイヤー』は、ピクサー製作映画26作目で『トイ・ストーリー』の前日譚です。ピクサー映画の劇場公開は『2分の1の魔法』以来で4作品ぶり(3作はディズニープラス配信のみ)。
アンガス・マクレーン監督は、ピクサー所属のアニメーターで『トイ・ストーリー』関連の短編アニメや、『ファインディング・ドリー』では共同監督を務め、長編の単独監督としては本作が初となります。
主役バズの声優はマーベル映画(MCU)でキャプテン・アメリカを演じたクリス・エヴァンスが務めます。MCUの『マイティソー バトルロイヤル』を監督したタイカ・ワイティティも声優で出演。
バズライトイヤーとは?トイストーリーとの関係は?
『トイ・ストーリー』1作目で、アンディのお気に入りおもちゃとして登場した、ウッディとバズ・ライトイヤー。アンディがバズ・ライトイヤーを好きな理由は『スペース・レンジャー』という映画の主人公だったからです。
本作『バズ・ライトイヤー』は、ウッディが大好きなその映画です。だから本作内でのバズ・ライトイヤーは、おもちゃでも機械でもなく「人間」のスペース・レンジャー(宇宙飛行士で戦闘員)という設定です。
『トイ・ストーリー2』で登場した宿敵などの伏線も見事に回収されます。
バズのミッションと代償とは?同性愛描写は必要?
多数の科学者を乗せた宇宙船で探査中のスペース・レンジャー「バズ・ライトイヤー」達は、生物反応ある惑星を見つけ、寄り道して調査。しかしそこは攻撃的な植物が支配する惑星で、脱出をはかるが失敗し、皆でしばらく暮らすことに。
宇宙船のハイパースピード用エネルギー源「クリスタル」が損傷したため、科学者たちを冷凍睡眠から目覚めさせ、その惑星の資源から生成することに。長期間暮らすため、外敵にも備え、食料や電力などもまかえるよう開拓。
最初の「ハイパースピード用クリスタル」が完成すると、バズは小型戦闘機で大勢に見送られて試験飛行に出発。しかし実験は失敗に終わり、バズは惑星に帰還。光速を超えた「ウラシマ効果」により4年が経過してます。
アリーシャ・ホーソーンは、バズと合言葉「無限の彼方へ、さあ行くぞ」を言える相棒で今は惑星指揮官。彼女は3年前に知りあった女性科学者と同性結婚。他の皆も惑星での新生活に慣れ始めてます。しかしバズだけは、ハイパー航行を繰り返します。
バズ・ライトイヤーが惑星帰還するたびに数年が経ってて、アリーシャは妊娠し、その子が成長して結婚し孫まで生まれます。やがてアリーシャはこの世を去り、スペース・レンジャーも解体されてバズの役割も終わります。
バズが「ウラシマ効果」に驚くのは違和感でした。そもそも宇宙探査でもハイパースピード航行(ワープ)は繰り返してたと思うので、気づかなったのは変ですよね。通常どおり地球へ戻っても家族は亡くなってたと思いますが。
アリーシャの同性婚については現在では違和感ないですが、この映画をアンディが観たのは1995年以前という設定を考えると、先進的すぎるというかありえない気がします。アリーシャの妊娠は、精子バンクからの人工授精でしょうか。
同性どおしのキスシーンもあるため、中国と中東やアジアのイスラム圏など「同性愛を犯罪とする国」14カ国以上は、本作『バズ・ライトイヤー』を上映禁止すると決定。
最近のディズニー映画は積極的に「同性愛」「白人以外の多民族」等を作品に盛りこみ「多様性」や「ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)」をアピールしてますが、本作に限ってはあまり必須だとは感じにくいです。
新クリスタル開発者は誰?バズの過去は?新人嫌いの理由は?
惑星で暮らして一世代以上たつと、地球帰還よりもこの惑星での快適な生活を優先し始めます。新指揮官は外敵植物から国民を守るレーザーシールドを開発中。バズは拘束されそうなソックスと共に新クリスタルと戦闘機を盗んで宇宙へ。
新クリスタルを開発したのは、猫型ロボットのソックス。ソックスは、バスの1回目の試験飛行後にアリーシャがプレゼントしてくれた高性能AIの話せるロボットです。自分以外を信じないバズも、ソックスにだけは気をゆるしがちに。
ハイパースピード航行に初成功のバズだが、勢いあまって不時着。そこで機械兵器に襲われるが、謎の3人組と出会います。3人組は、アリーシャの孫イジー・ホーソーンと、仮釈放中の爆弾魔ダービーと、弱そうなモーです。
バズ・ライトイヤーは冒頭から「新人は自動操縦AIアイヴァンと同じで指示待ちだ」と言い、自分一人でなんでも解決。相棒アリーシャが猫型ロボットのソックスをプレゼントしたのは、バズの心の氷をとかすためだったと感じます。
そのねらいどおり、バズはソックスにだけは本音を話すようになります。ただし、高性能AIだとしても、ソックスが単独で「新クリスタルを開発」したのはやりすぎですね。優秀な科学者が何人で挑んでも完成できなかったのに。
バズは出会った新人3人たちを最初は頼りにしませんが、何度か(偶然)救われるうちに、しぶしぶ協力しあうことに。そしてバズ自身も新人の時は落ちこぼれで、アリーシャに救われたことも打ち明けます。バズの新人嫌いの理由は、そんな自分を思い出すからでしょう。
3人の新人は、視聴者から観ても頼りなさげだし、重大なトラブルも発生させます。「誰でも最初は新人だった」ことを強調したいのだろうけど、命がかかった現場でのミスは正当化できないし、観てても気持ちよくはなかったです。
ラスボスの正体と目的とは?バズの決断の理由は?
バズ達はクリスタルを使って脱出を試みるが、イジーのミスでクリスタルを敵に奪われます。気落ちしたバズだが、敵宇宙船でラスボス「ザーグ」と対峙。イジー達も敵の転送装置を使って敵宇宙母艦へ侵入。
ラスボス「ザーグ」の正体は、バズの父…ではなく、老いたバズ・ライトイヤー本人。別次元(マルチバース?)でのハイパー航行中に未来の機械文明の進んだ宇宙船を見つけ、過去への移動技術も確立させたようです。
ザーグが「クリスタル」を求める理由は「この惑星へ着陸する前の時間に戻るため」。ザーグのクリスタルは、過去への試験飛行で使い切ったので、この世界のバズのクリスタルが必要なのです。しかしバズはクリスタルを渡しません。
バズは、時間をもどす代償として「その後生まれたイジー達」「家族と暮らしたアリーシャの幸せ」等がなかったことになるので賛同できません。絶体絶命のバズは、老バズ側のソックスの犠牲と、勇気を出して飛んだイジーのおかげで脱出。
ザーグの兵士ロボットが、ガンダムのズゴックに似すぎてて驚きました。目だけでなく3本指の手まで同じ。ザーグは『トイストーリー2』ではおもちゃで登場し「私が父だ」とスターウォーズシリーズの名シーンをマネて話題になりました。
2人のバズ・ライトイヤーが別々の決断をする理由は「仲間がいるかどうか」が影響してます。つまり、頼りなくても3人の新人と共に行動するうちに、若いバズには「他人への思いやり」が芽生えてます。一方の老バズは50年以上?も1人で暮らしてきて、孤独で過去へ戻る選択肢しかなかったのでしょう。
若いバズも「なんでも1人でこなす性格」のまま歳を重ねてれば、老バズと同じ運命をたどったかもしれないと考えると皮肉。つまり「どんなに優秀な人間でも、1人では生きていけない」というのが、本作のテーマに近いのかも。
結末は?地球へ帰還できるのか?
敵宇宙船の爆破に巻き込まれ、3人の新人の宇宙船は飛ばされます。バズは、宇宙空間でザーグに追いつかれてクリスタルを奪われるが、それを誘爆させてザーグを宇宙の彼方へ。バズは3人の宇宙船をあきらめずに押して惑星に不時着。
惑星の新司令官バーンサイドは、バズを称賛して宇宙防衛軍のトップにして優秀な部下たちの指揮官に任命。しかしバズは、優秀な部下イジー、ダービー、モーの隊長になることを希望し、再びスペース・レンジャーとして活躍します。
エンドクレジット、エンドロール前後には3つのオマケ映像が。バーンサイド司令官は完成したレーザーシールドに満足。侵入経路を説明するロボットは、誰も聞いてないと気づきます。宇宙空間のザーグは生きのびてたようです。
結局バズ達は、地球へ帰還する夢はあきらめました。というか、新天地での暮らしを確立した世代にとってはこの惑星こそが故郷星だし、既に地球をなつかしむ人もバズ以外は寿命がつきたのでしょう。
最後のザーグの結末というかバズとの関係性の終わり方は、もう少し丁寧に見せてほしかったです。ザーグを倒したとたんに現れるバーンサイド司令官ですが、バズ達に全く加勢しなかったのに漁夫の利だけあさりにくるのは違和感。
他の国民はともかく、バズが地球帰還を目指さないのも納得できません。ソックスは生きてるのでクリスタルも生成できるはずなのに。また、優秀な訓練兵よりイジー達を選んだ理由も、本作で築いた「絆」だけでは弱いと感じます。
映画『バズ・ライトイヤー』私の感想と評価
『トイ・ストーリー』とは直接関係ないスピンオフですが、単純な宇宙SFじゃなくウラシマ効果もからむ複雑さもあり、その点では好みでした。同じ人物でも何か1つ状況が違えば悪役になる未来もある、というテーマも考えさせられます。
しかし、スターウォーズシリーズやスタートレックなどからネタを多数流用してて、全体的なストーリーや部分的な演出にもオリジナリティは感じられず残念。テーマや解決法が子ども向けなのもアンバランス。
特に分かりづらかったのが「転送装置」の多用。それ使えば、ザーグはもっとスマートにクリスタルを入手できたはず。そもそも、そばにソックスがいるなら「新しいクリスタル」も作れたのでは?50年間も何してたのか本当に疑問。
ピクサーの映画キャラ(バズ)の作品だが、ピクサーが作るべき作品ではないとも感じました。あと不運だったのは『トップガン マーヴェリック』がまだ大ヒット上映中なこと。偶然だろうけど似てる部分があるので…
それでも、普通の宇宙SFアニメとしてなら意外性もあるし、かわいかしこいソックスも魅力的だし、テーマもわかりやすいので、子どもと気楽に夏休み映画として楽しむならありだと思います。
観た直後は、トイストーリーのバズが頭にありノレなかったが、1本の新作SFとして考えると結構攻めたストーリーに仕上がってて好きかも。バズを主人公にしない方がウケたのでは?無限の彼方へ、さぁ行くぞ!
私の評価 68/100(60が平均)
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