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『シン・ゴジラ』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?倒し方は?最後のアレは?

シン・ゴジラ 映画/ドラマ

ゴジラ映画29作目。内閣官房副長官の矢口はやがてゴジラと名付けられる巨大生物を日本の脅威と考えます。政府も対応を迫られるのだが…。ゴジラが進化?内閣で生き残るのは?(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題シン・ゴジラ
日本公開日2016/7/29 [予告] 上映時間:119分
監督・キャスト庵野秀明、樋口真嗣
キャスト
出演者
長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、高良健吾、大杉漣
映倫区分日本:G(年齢制限なし)
配給/製作
(画像出典)
東宝/東宝映画、シネバザール
日本興行収入82.5億円 (年間2位 / 歴代78位
世界興行収入0.7億USドル [出典]
平均評価
平均:100換算
*批評家と一般は単純平均
(興収・評価: 2024.8.27更新)
75私の評価は含まず)
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ネタバレ感想『シン・ゴジラ』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

映画『シン・ゴジラ』は日本が誇る怪獣映画を、エヴァンゲリヲン監督である庵野秀明が脚本・総監督として日本では12年ぶりに作られたゴジラ映画です。ゴジラが主役だが、災害ディザスター映画や政治家が奔走する内容になってます。

映画『シン・ゴジラ』ネタバレ感想や解説

『シン・ゴジラ』は、東京湾で異変が発生し、アクアラインがトンネル崩壊し、政府が海底火山じゃないの?とか東日本大震災の時のように議論してるうちに、巨大生物が上陸して被害が拡大するシーンからはじまります。

2014年のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』は怪獣映画としては面白かったし、そこそこ成功もしたようだけど、正直ゴジラはしばらく見なくていいかなと思っていました。そんな人は多そうなので、制作陣のプレッシャーは大きかったと思います。

実際に上映開始時にはあまり観客が入ってなかったようです。しかしすぐに「なんかすごいの見た!」という口コミがSNSなどで広まって、あっという間に大ヒットとなりました。私も見るのは遅くなったけど、良い意味で裏切られまくって、ゴジラ史上最も面白い映画となりました。

東日本大震災との対比は?

この映画を一言で語るなら、怪獣映画ではなく、完全な災害パニック映画です。特に311の東日本大震災とその時の政権を連想させるシーンが満載でした。最初のアクアライン崩壊や尻尾の第一形態時は「遠くで地震が発生したけど大丈夫かな?念のために情報収集しとけ」程度の対応です。

すぐに第二形態の水生生物風になってからは、上陸して東京都の大田区や蒲田あたりを破壊しはじめます。政府はこの時点でやっと深刻な災害である巨大生物を認識しますが、まだ有害鳥獣駆除というわけのわからない名目で自衛隊を出動させます。

巨大生物はさらに進化して、第三形態となり二足歩行をしようとします。自衛隊に攻撃命令がくだりますが、逃げ遅れた住民がいたため、攻撃は中止されます。優柔不断な総理の決断力を皮肉ってるのかもしれませんが、リアルで起こった場合も同様に処理された気がします。

アメリカなら攻撃したかもしれません。やがて急激な進化で熱を持ちすぎたのか、巨大生物は東京湾へ戻ってしまいます。次に現れるまで政府はフル回転業務だったけど、肝心の住民の避難が後回しで、さらに多くの犠牲者をだしてしまいます。

この第四形態での再襲来は、大震災での「津波」や「原発事故」を表現してる気もしました。つまり最初に本震があった後に、住民の避難を急がせなかったことにより、本来なら防げたはずの被害を拡大させてしまったのです。

驚かされたシーンは?

怪獣映画は初期の頃は、怪獣が現れてそれを人間が退治するというものでした。しかしすぐに飽きられて、今度は別のもっと悪い怪獣が現れて怪獣vs怪獣になり、人間も協力して悪い方をやっつけるという王道パターンが出来上がり、現在に至ります。

今年上映の『デッドプール』『スーサイド・スクワッド』は怪獣ではないけど、同じように「毒をもって毒を制す」的なアメコミ原作のヒーロー映画です。

『シン・ゴジラ』はこの最近の流れを逆流して、原点回帰したところに、まず意表をつかれました。つまり、人類の脅威になりえる怪獣が出現して、これを人類の知恵のみで倒そうとします。しかも非核三原則のとおり、核兵器は使わず使わせずにという難問付きです。

最初に驚かされたのは、多摩川を上陸しながらはい進むエラのある水生生物の姿です。モスラでもガメラでもなく、全く新しい怪獣が現れて街を破壊し、それをゴジラが倒しに来るんだなと思いました。ところがすぐ、二足歩行の姿になると、まぎれもなくこいつがゴジラだとわかります。

この第二形態については、ゴジラに愛着がある人ほど驚いたのではないでしょうか。ゴジラっていつもあの怪獣の姿で上陸してくるので、まさかその前の進化の形があるとは予想してなかったです。エヴァンゲリヲンでも形態が変わる使徒がいたので、ゴジラにも取り入れたのでしょう。

第二形態を見た時、今回の映画は「ゴジラ」シリーズだと思って見てはいけないと思いました。あの怪獣は動く災害であり、人間よりも進化した生物であり、おそらく人類をうるさい虫ていどにしか見てないのだと感じました。

さらに二足歩行の第四形態で鎌倉に再上陸して横浜や川崎を歩行した時には、今度こそ「タバ作戦」で自衛隊が持つ最高の攻撃をしかけたけど、ゴジラはたたき落とそうともしないので、蚊以下にしか感じてない様子です。

そしてこの映画で2回めの驚きがおとずれます。米軍の爆撃機が地中貫通爆弾?をあびせた時に、はじめてゴジラが負傷します。そして怒ったというよりも、うっとうしい虫を殺虫剤で落とすように、口から火炎放射やレーザー光線、背びれから複数の光線を出して爆撃機を全て撃ち落とします。

歴代ゴジラも口から火炎放射は出しますが、レーザー光線ははじめて見たし、背びれからの複数レーザーなんて、ゴジラどころか実写映画では見たことありません。それゆえに間違いなく、ゴジラ史上でも最強のゴジラだと思います。

この攻撃により、いそいそとヘリで逃げようとしていた総理大臣を含む主な閣僚は、見逃してしまうほどあっさりと消滅します。あまり活躍してないどころか、決断も遅い老害ばかりだったので、感傷的にはなれませんでした。それも監督の皮肉でしょうか。

アメリカ映画なら、大統領だけ生き残って、核兵器の許可をだしたり、自ら戦闘機に乗って攻撃をしかけるのでしょうね。『インデペンデンス・デイ』のように。余談ですが日本の首相が有事に良い方向に化けた漫画として『沈黙の艦隊』をあげておきます。

いずれにしろ、総理大臣など閣僚があっという間に消滅したのは、この映画で3回目に驚かされた場面です。そして次の4回目の驚きもすぐでした。これまでのゴジラ映画では「進化」どころか「増殖」も全く考えたことなかったのに、その可能性がでてきたのです。

なんとゴジラは無性生殖つまり異性がいなくても1体のみで増殖できる可能性があるとのことです。次の世代に持ちこさずに、単体で進化できるため、突然翼が生えてきて大陸間を超えて拡散する可能性もありそうです。まさに「神」です。

もし続編があるなら『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』ならぬ『ゴジラの惑星』になりそうです。そうなるとターミネーターでも作らないかぎり、人類に勝ち目はなさそうです。

シン・ゴジラ 映画/ドラマ

気になる登場人物たち

主人公はおそらく長谷川博己が演じる矢口 蘭堂(らんどう)なのでしょうが、キャラの特徴が薄いです。竹野内豊が演じる赤坂は、有能さよりも世渡り上手なだけです。

一番印象的だったのは、アメリカ大統領特使の日系人でバイリンガルの、石原さとみ演じるカヨコ・アン・パタースンです。不必要にカタカナ英語まじりの話し方はともかく、エヴァのみさとさん的キャラで頼もしいのですが、結果的に国連との交渉でしか役立たなくて残念キャラでした。

日本の政治家や官僚は、リアルでもいそうな人ばかりで納得感ありましたが、最も印象的だったのは、市川実日子が演じる尾頭ヒロミです。環境省の課長補佐という微妙な役職だけど、生物オタクでゴジラの生体解析では大活躍します。

巨大生物が最初現れた時に述べた意見は、あり得ないと一蹴されますが、これが日本の官民がオタク人材を生かしきれてない皮肉になってると思います。その後「巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)」が設置された時には主要メンバーに加えられます。

この巨災対には、尾頭のように専門知識はあるけどコミュニケーション能力に問題がありそうなメンバーがたくさん集められて、一種のオタク部隊になっています。ただ本来なら一匹狼の彼らを束ねたことにより、とんでもなく強力なチームが出来上がりました。

あとは防衛省の統合幕僚長も「仕事ですから」という日本の官僚的なセリフが特徴的でした。日本が滅びそうな時に、仕事でなければやらないのか、とつっこんでおきます。

映画『シン・ゴジラ』ネタバレ結末ラスト

ゴジラがエネルギー不足で2週間くらい凍結してる間に、日本政府はゴジラの発見者?の牧教授の暗号を解読して「ヤシオリ作戦」を実行することになります。それが失敗すると国連安保理が核攻撃することが決定しているので背水の陣です。

ここまででかなり驚いてきたので、少しくらいではもう感心しないぞと思ってたけど、無人の新幹線を爆弾化してゴジラにぶつけた時には、5度目の興奮をしてしまいました。新幹線といえば世界でも名が通る、日本の技術力の象徴なので、欧米人も興奮させようという意図も含んでると思います。

さらに在来線も複数、爆弾としてぶつけて、空からドローン攻撃もし、ゴジラを消耗させたあとで、東京の高層ビル群を爆破して下敷きにします。ちなみにこの時のゴジラは休息中なので、反撃はほぼ自動化された防衛本能のようなものなのでしょうか。

そしてついにゴジラのしっぽからもレーザー光線が出た時には、6回目の驚きというか、もう大興奮です。もはやこのゴジラは巨神兵ですね。富士山も切り落としてほしかったです。

そんな中、日本人(自衛隊員?)はせこせこと地道にポンプ車で大量の血液凝固剤を、倒れたゴジラの口から流し込みます。口から入れても血液は固まらない気もしますが、そのへんは何か工夫をしているのでしょう。第一陣はあっさり全滅します。

しかし人間は人海戦術で、次々とわいて出てきて、せっせと口に血液凝固剤を流し込み続けます。これを見たゴジラは、後に人型に進化しようと考えたのかもしれません。なんとか人間側というか日本人側が勝利して、ゴジラも国連の核攻撃も防ぐことができたのです。

少し残念だったのは、ラストのゴジラは米軍の爆撃機をやっつけた時よりも、明らかに動きが悪くて弱かったです。エネルギー不足に追い込んだとは言え、人間より進化した生物が、口から何かやばい薬品を入れられてるのに、吐き出さないのは都合良すぎます。

ゴジラの放射線の半減期がかなり短いのも気になるけど、どちらにしろゴジラが動き出したら即座に国連の核攻撃があるため、もはや東京周辺に人は住めないでしょうね。首都機能は大阪か福岡に移転でしょうか。箱根の第3新東京市はゴジラに近すぎて却下ですね。

トリビアや考察など

東京湾で行方不明になった牧元教授については、情報がなさすぎて推測すらできませんが、ゴジラ調査中に巻き込まれたのか、自殺したのかのどちらかだと解釈しました。

ラストでゴジラの尻尾に人型が見られましたが、これについては考察できます。ゴジラは人間を虫けらのように見てる上位の存在なのに、その小さな人間によって倒されようとしてることを悟ります。つまり人間の方が、巨大なゴジラよりも上位に位置すると判断したのです。

だからこそ次の進化は小さな人型になるか、人型をたくさん産むか、または人型に分裂するかだったのではないでしょうか。なぜしっぽなのかというと、第一形態の時から存在するしっぽは、ゴジラの体内では最も古く、進化の秘密もそこに隠されてる気がします。

しっぽからレーザー光線を出した時に、独立して生きてる感じもしたので、大胆仮説としては、脳すらも尻尾にある可能性があります。

そして続編の有無に関わらず、この映画の世界で最も恐ろしい事態があるとすれば、しっぽから切り離された人型ゴジラが既に人間社会の中に入ったという可能性です。まさに新世紀エヴァンゲリオンの第1の使徒(第13の使徒でもある?)の渚カヲルです。

何度も書きますが、ゴジラの歴代映画では最も興奮できるし、怪獣映画というよりは大震災の災害シミュレーション的な見方もできる『シン・ゴジラ』は、食わず嫌いにならずに、できるだけ多くの人に観てほしいしおすすめしたい作品です!

この映画のおすすめ8ポイント
少し残念ツッコミどころ2ポイント

私の評価 78/100(60が平均)

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