『ナイブズアウト』評価は?ネタバレ感想考察/真犯人と真相は?遺産相続は誰が?
世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーが誕生日パーティーの翌朝、遺体で発見され、クセの強い家族全員が容疑者となります。名探偵ブノワ・ブランは、ハーランの看護師マルタと真相にせまるが…。自殺か他殺か?犯人の動機は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 |
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日本公開日 | 2020/1/31 [予告] 上映時間:131分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Knives Out |
監督・キャスト | ライアン・ジョンソン(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ロングライド/メディア・ライツ・キャピタル、ラム・バーグマン・プロダクションズ |
日本興行収入 | 3.2億円 興行収入ランキング |
世界興行収入 | 3.1億USドル [出典] |
製作費 | 0.4億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.16更新) 78(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ミステリ/サスペンス映画一覧 続編『ナイブズ・アウト グラスオニオン』評価75 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)謎の誰かに依頼された名探偵
- ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)ミステリー作家。85歳の誕生パーティ翌朝に遺体で発見
- マルタ・カブレラ(アナ・デ・アルマス)ハーランの看護師。母は南米からの移民。ウソつくと必ずはく
- リンダ・ドライズデール(ジェイミー・リー・カーティス)ハーランの長女。父の金で不動産会社を経営
- リチャード・ドライズデール(ドン・ジョンソン)リンダの夫。妻の会社経営を支援
- ランサム・ドライズデール(クリス・エヴァンス)長女リンダとリチャードの息子。ハーランの孫。遊び人
- ジョニ・スロンビー(トニ・コレット)亡き長男ニールの未亡人。インフルエンサー
- メグ・スロンビー(キャサリン・ラングフォード)亡き長男ニールとジョニの娘。ハーランの孫。大学生
- ウォルト・スロンビー(マイケル・シャノン)ハーランの次男。父親の出版社を継いだ現CEO
- ドナ・スロンビー(リキ・リンドホーム)ウォルトの妻
- ジェイコブ・スロンビー(ジェイデン・マーテル)次男ウォルトとドナの息子。ハーランの孫。スマホ好き
- グレート・ナナ・ワネッタ(K・カラン)老婆。ハーランの母親。年齢は家族の誰も知らない
- アラン・スティーヴンス(フランク・オズ)ハーランの弁護士。遺言書をあずかっている
- フラン(エディ・パターソン)スロンビー家の家政婦。ハーラン遺体の第一発見者
ネタバレ感想『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督とキャストとカメオ出演とアカデミー賞
監督のライアン・ジョンソンは『LOOPER ルーパー』の手腕が認められて『スターウォーズ 最後のジェダイ』を監督しました。興行収入的には成功でしたが、ファンには低評価で続編には関われませんでした。
ライアン・ジョンソンは、自ら脚本を書いて監督するスタイルですが、本作『ナイブズアウト 名探偵と刃の館の秘密』の脚本も自ら書いたようです。映画化は難しいとされる、本格ミステリーなので期待は高まります。
主演の名探偵を演じるダニエル・クレイグは007シリーズ数作で、主役の007を演じてて有名です。もう1人の主役アナ・デ・アルマスは『ブレードランナー2049』でかわいいキャラを演じて話題になりました。
2人はゴールデングローブ賞で主演男優賞、主演女優賞にノミネートされました。同賞では作品賞にもノミネート。アカデミー賞では脚本賞にノミネートされています。
他の出演者も豪華です。『シビルウォー キャプテンアメリカ』等のクリス・エヴァンス、『へレディタリー』のトニ・コレット、スターウォーズシリーズのヨーダの声とパペット操作のフランク・オズ、他にジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノンなど。
わかりにくいけど、俳優ジョゼフ・ゴードン=レヴィットが声でカメオ出演してます。序盤にマルタの妹が観てて母に叱られたTVの探偵ものに登場してます。ジョゼフは『LOOPER』の主演で、『最後のジェダイ』にもカメオ出演してます。
アガサクリスティに捧げる?オリジナル本格ミステリー
監督・脚本のライアン・ジョンソンが、アガサ・クリスティーに捧げると断言するほどの本格ミステリー映画です。しかもオリジナル脚本。社会とは切り離されたような場所に建つ大きな館で発生した殺人事件を、名探偵が推理して解決します。
名探偵ブノワ・ブランは、フランス系ぽい名前のアメリカ人です。アガサ・クリスティーの代表的な名探偵ポワロの名前を連想しますが、性格は全く違います。思わせぶりな口調はポワロっぽいけど、推理力や洞察力はポワロには劣りそうです。
大富豪の死により遺産目当ての大家族が全員容疑者になる設定は、本格ミステリー黄金期(1920年代から約20年間)から現在まで書き続けられてる定番です。漫画の名探偵コナンシリーズや金田一少年などもその継承です。
本格推理小説では、警察ではなく名探偵が推理解決することが多く、犯人探し(フーダニット)、動機探し(ホワイダニット)、殺害方法やアリバイの究明(ハウダニット)等が主軸になります。
犯人は当初あやしい人物よりも、意外な人物なほどラストの驚きが増すのですが、意外性だけを求めると「そんな動機で殺人する?」となって「人間が描けてない」と言われがちです。
本作『ナイブズアウト 名探偵と刃の館の秘密』は、倒叙ミステリ(死ぬ時の状況や人物は先に明かされる)の一面もあります。真犯人や動機の意外性はあまり感じないけど捜査過程は楽しめます。「名探偵が呼ばれた理由」は納得できます。
クセ者家族の動機とは?一覧
冒頭からクセの強い家族たちの紹介もかねて、警察による事情聴取がおこなわれます。この時の人物切り替えは多すぎて、理解しづらかったです。事前に家族構成くらいは頭に入れておいたほうがよさそうです。ミステリ小説ではそうするし。
何人かの動機は事情聴取で明らかになります。しかし序盤で明らかになる動機が、真犯人の動機とは別物なのはミステリーでは定石です。ただ、この中の動機がさらなる動機を生むことはあるので一覧にします。
- 長女リンダ(ジェイミー・リー・カーティス)不動産経営の支援資金
- リンダの夫リチャード(ドン・ジョンソン)ハーランに浮気がバレた
- リンダらの息子ランサム(クリス・エヴァンス)遊び人で相続人から除名
- 次男ウォルト(マイケル・シャノン)父の出版社CEOだが首にされた
- 亡き長男の妻ジョニ(トニ・コレット)義父からの娘の大学資金を着服
もう犯人発覚?作家の死の理由とは?
85歳の誕生日パーティーの翌朝、自室で遺体で発見されたハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)は、ナイフで自分の頸動脈(首)を切ったようでした。警察は自殺の可能性が高いと判断しています。発見者は家政婦フランです。
持病を持つハーランには、看護師マルタ(アナ・デ・アルマス)がついていて、パーティーの晩も薬を投与してから帰りました。生きているハーランの最後の目撃者は次男ウォルトです。夜遅く階段を降りようとするハーランが目撃されました。
看護師マルタは「ウソつくと必ずはいてしまう」という特殊体質です。ブノワ・ブランによる事情聴取時も嘘つこうとしてはきます。ただし、ウソを口に出さなければ大丈夫だし、吐くことを数秒ほど我慢できる能力が示されます。
この時点でなんと、マルタは回想シーンでハーランの死の理由を見せてくれます。マルタは帰宅前、ハーランに持病用の注射をするが、100mlで死ぬモルヒネを誤って投与してしまいます。すぐ解毒薬を入手しようとするマルタをハーランが止めます。
ハーランはもう間に合わないと言って、移民のマルタを犯人にしないよう、アリバイ工作を演じさせます。マルタは家族に印象づけるように館を出て、防犯カメラに映らないよう外からハシゴでハーランの部屋に戻ります。
ハーランに変装したマルタは、階段を降りてウォルトに「もう寝ろ」と注意され部屋に戻ります。ハーランが首を切り自殺するのを見たマルタは、くじけそうだがハシゴを降ります。そこでハーランの母、老婆グレート・ナナと窓ごしに目があい「また戻ったの、ランサム?」と言われるが、無事帰宅します。
このように序盤で、看護師マルタがまねいたハーランの死の理由が明かされたのは驚きです。しかし視聴者にも「薬品を入れ替えた人物は誰?」「名探偵をまねいたのは誰?」等の疑問が残ったままなので、名探偵と一緒に推理を進められます。
マルタの捜査協力がコメディ?
マルタは真相を回想した後、ブノワ・ブランから捜査協力をお願いされ同行します。マルタは嘘つくとバレるのですが、吐くまでの時間差を利用して、何度かウソついたり証拠品を隠そうとしてそれが笑いにつながり見どころになってます
ビデオテープや庭の足跡は、気づかれないように証拠隠滅します。はしごを登る時に壊れて落ちた木くずを、犬がくわえてきたので、バレないように遠くへ投げます。しかし犬は拾ってきて、名探偵ブノワの前に落としてしまいます。
はしごからの通路には、外の泥が確認され、何者かが侵入したことが判明します。また、マルタが手紙の謎の人物に会いに行くために、探偵ブノワに嘘ついてしまい、コーヒーカップにゲロはいて隠すのは苦笑シーンです。
遺言書の遺産相続人は誰?マルタは天使?
弁護士アラン(フランク・オズ)が、ハーランの遺言書を開封する日、放蕩孫ランサムも含めて大家族全員が屋敷に集合します。そして弁護士は、ハーランの遺言書を読み上げ、全ての遺産は看護師マルタが相続することが告げられます。
スロンビー家の人々はそれまで、マルタの献身的な仕事ぶりを認めて、移民の娘という肩身せまい境遇にも同情しながら、ハーランの死後の仕事も世話しようとする発言までしてました。しかし相続人の発表後、いっせいに非難をはじめます。
その手のひら返したような家族の態度に追いつめられたマルタを、遊び人ランサムが救います。そしてマルタは、ハーランの死の真相をすべてランサムに話してしまいます。ランサムの性格を知りながらも話してしまうマルタは素直すぎます。
マルタは脅迫手紙の送り主、家政婦フランに会いに行きます。しかしフランはひん死状態で、ブノワにバレることもいとわずマルタは救急車を手配します。これら優しすぎる行動から、私の「マルタの遺産総取り犯人説」はかなりゆらぎます。
遺言書発表後のスロンビー家のひょう変ぶりは、映画『ナイブズアウト 名探偵と刃の館の秘密』のハイライトです。マルタと仲良くしてた同年代のメグでさえ、大学授業料を払えなくなるおそれから、マルタへの電話で遺産放棄をうながします。
つまり自分たちの生活が順風でなくなれば本性を表すのです。社会的地位やお金に余裕があったからこそ、上から目線で移民の娘にも優しく接してたのだとわかります。
タイトル「ナイブズアウト」の意味は?ドーナツとは?
邦題には『名探偵と刃の館の秘密』という変な副題がついてますが、原題は『Knives Out』(ナイブズ・アウト)です。直訳すると「複数のナイフ(刃物)が突き出している」でしょうか。
つまりタイトル『ナイブズ・アウト』が意味するのは、遺産を待ち望む家族たちが隠し持つナイフは、常にハーランに向けられていることを表しています。すなわち、全員が容疑者候補です。
しかし遺言書の発表後、それらのナイフは全て、看護師マルタへ向けられます。この構造は面白いです。そして居間には「ナイブスアウト」を象徴するような無数の刃が頭に向けられる椅子があります。
名探偵ブノワ・ブランは、この椅子に座りラストの謎解き推理を披露します。彼は「真実の中心にドーナツのような穴がある」と発言してましたが、ナイフが作る中心の穴をブノワ自身の頭(名探偵の脳)がふさいで「真実」が完成したのです。
ブノワの後に、マルタが椅子に座って語りだすと、さらに「真実の穴」が埋められていきます。
真犯人の正体と目的は?名探偵が呼ばれた理由?
マルタは自分がしたことを、ランサムが警察で話したと思い、スロンビー家のみんなの前で真実を語ろうとします。遺産放棄も考えてたと思います。しかし名探偵ブノワ・ブランが何かをひらめいて、発言を止めます。
ブノワはマルタとある人物だけを居間に呼んで、謎解き推理をひろうします。マルタ不在時に薬とモルヒネのラベルを入れ替えた真犯人は、ランサムでした。その理由は、遺産相続人のマルタを殺人者にして、相続権を放棄させるためです。
しかしマルタは、ミステリ作家ハーランの描いたアリバイ工作と自殺により殺人犯となりませんでした。自殺と処理されればマルタの罪は問われず計画は失敗なので、ランサムは名探偵ブノワ・ブランに匿名で捜査依頼したのです。
ブノワが、ランサムの真犯人説を確信したのは、老婆グレート・ナナの証言だったようです。ランサムはパーティーの当日、相続人をはずされたことを知り、ハーランと言い争って館を飛び出ます。しかしその後、防犯カメラに注意して戻ります。
ランサムは、はしごからハーランの部屋へ侵入し、マルタの薬品ラベルを入れ替えて帰ったのです。はしごを降りた所で、窓ごしに老婆と目があい「もどったのね」と言われるが立ち去ります。老婆はその後、マルタが降りた姿も目撃して「また戻ったのね」と発言してます。2度目だから「また」です。
ランサムは、マルタを急かす発言を繰り返してますが、それでマルタはうまく誘導されてたんですね。名探偵がいなければ、マルタは家族全員の前で遺産放棄しただろうから、結果的に探偵呼んだのは失敗となり皮肉です。ブノワの能力が思った以上に優れてたということです。
フランからマルタへの脅迫状も、ランサムが仕組んだのでしょう。フランが死の直前にマルタに「You did..」(あなたが犯人)と言ったは「Hugh did..」(ヒューが犯人)の聞き間違いでした。ランサムが使用人にヒューと呼ばせてた事が伏線です。
真犯人の罪は?マルタも殺人犯?
真犯人ランサムのハーランに対する罪は、殺人未遂になるのでしょうか。ハーランが自殺した原因を作ったけど、直接手を下してないので軽かったかもしれません。その時、マルタは病院からの電話を受け「フランが回復した」ことを伝えます。
するとランサムは罪が軽いと思い、フランへのモルヒネ投与を自白します。しかしマルタが盛大にランサムに向かって吐いたことから「フラン回復」はウソで「フランは死亡」したと判明します。この瞬間、ランサムの殺人罪が成立します!
だまされて発狂したランサムは、椅子のナイフの1本をつかんでマルタを刺し倒します。しかし、そのナイフはすぐ引っ込むおもちゃで、マルタは無傷です。ランサムは、マルタへの殺人未遂も加えられた形で逮捕されます。
ちなみに薬品を射ち間違えたマルタの罪ですが、実際にはモルヒネではなくいつもの薬品を射ってたことが、ハーランの血液検査から明らかになってます。その証拠を隠蔽するために、ランサムは検査所を放火したのです。
マルタは長い看護師経験から、薬品のラベルにだまされずに微妙な色やニオイの違いで本物を見極めてハーランに注射していたのです。だからハーランは自殺しなければ死ななかったはずです。つまり、マルタに全く罪はありません。
ちなみに、本作は「マルタ真犯人説。吐く体質じたいが嘘」も完全に否定できませんが、証拠は見つけられませんでした。また、この殺人事件じたいが「ハーランの最後のミステリ作品説」も考えましたが、こちらの確率は低いように思えます。
名探偵はいつ真相を見抜いたのか?
ブノワ・ブランは名探偵とはいえ、神や視聴者の私たちほど全ては見えてないので、ランサム犯人説は老婆からの証言を聴くまで確信を持てなかったと思います。ただし、マルタがハーランの死に関わってるのは最初の事情聴取で気づいてます。
マルタの白い靴には、わずかですがハーランの返り血がかかっていて、ブノワはそれを見逃しませんでした。ちなみに、ハーランが自殺現場をマルタに見せたことに違和感あったのですが「返り血が映画上の都合」とわかったので残念です。
ブノワはマルタと捜査中いろいろ見ぬふりしてますが、マルタがしでかしたことに薄々気づいてたから泳がせてたのかもしれません。「真実」は最初からわかってたが、あと少しの「ドーナツの穴」だけを埋めるため捜査してたのでしょう。
アメリカ社会の風刺?トランプを皮肉?
本作『ナイブズアウト 名探偵と刃の館の秘密』には、明らかに現代のアメリカの移民政策についての皮肉がこめられています。つまり中米メキシコとの間に壁を建設するトランプ大統領についての皮肉です。
聖人や天使のように優しくておとなしくて欲深くもなく犬にも好かれ、看護師としてもプロで仕事にすきのないマルタですが、金持ちの世話をしてもそれほどいい暮らしはできていません。「南米からの不法移民の娘」という生い立ちだけで成功できません。
一方、人気ミステリー作家ハーラン・スロンビーの家族に生まれただけで、能力も努力もしなくても高級車に乗ってごちそうを食べて、働かずに大学にさえ通えます。この格差の表現は、アメリカ社会の縮図です。
金持ちの上から目線で、あわれで従順な移民マルタは優しくあつかわれますが、白人以上の富を移民がつかもうとすると、一変して徹底的に非難されます。その状況が現代のアメリカであり、富を守るためにトランプ大統領が指示されるのです。
金持ち家族がマルタに全く感心を持ってなかったことは、家族で移民政策などについて議論してる時、マルタがそばにいても気にしない点や、マルタの本当の出身地を知る者がいなかった点から明らかです。結局エクアドル、ブラジルではなくウルグアイ出身?
映画『ナイブズアウト 名探偵と刃の館の秘密』のラストで、屋敷の外に出てさわぐ家族を、上のテラスから見おろしながらコーヒーを楽しむ移民マルタの姿がとても印象的です。移民をないがしろにするアメリカも、いつか見おろされるかもしれないという皮肉がこめられています。
マルタのコーヒーカップには「My House My Rules My Coffee」(私の家、私のルール、私のコーヒー)の文字が描かれています。これは冒頭で館の当主ハーランがコーヒーを飲んでたカップなので、当主がマルタになったことを表してます。
ただ、ブノワの・ブランとの別れぎわに話したように、マルタは相続した遺産をどうすべきか悩んでいるようです。この映画の後のスロンビー家の態度によっては、分配することも、総取りすることも考えてそうで興味深いです。
『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』私の評価と続編
アガサ・クリスティーに捧げると言うだけのことはある、見事な館ものミステリー映画です。豪華キャストのクセある競演も見ごたえあります。ライアン・ジョンソン監督の得意な、派手でかっこいい演出も印象的です。
正直、本格ミステリーとしてのストーリーの出来ばえは普通レベルなので、もうひと工夫・ひとひねりほしいなと思います。また、マルタと真犯人のランサム以外の容疑者たちが、中盤以降ほとんど背景のようになってたのは物足りないです。
アガサ・クリスティーに捧げるのなら、あと2件くらいの殺人事件はあった方が楽しめたとも思います。あと、もっと犯人っぽく疑われる人物がいた方が、最後の真犯人に意外性を感じられたとも思います。
死の理由を明かしてからの倒叙ミステリーと見せかけてのフーダニット(真犯人探し)は、前例はいくつかあるけど、本作では最後まで飽きさせない良い工夫でした。名探偵ブノワ・ブランの続編も計画されてるようなので期待したいです!
私の評価 68/100(60が平均)
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