映画『ミナリ』評価は?ネタバレ感想考察/タイトル意味は?韓国系移民の結末は?

『ミナリ』あらすじ概要
韓国系移民のジェイコブは農業での成功を夢みて、妻と息子と娘と共に田舎町へ引っ越してきます。しかしいくつもの困難に直面するうちに…。祖母の存在意義は?宗教と罰あたり?(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | ミナリ |
原題/英題 | Minari |
日本公開日 | 2021/3/19 [予告↓]上映時間 115分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA PG-13 |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | リー・アイザック・チョン [キャスト↓] |
配給/製作/画像 | ©ギャガ/A24、Plan B Entertainment |
日本興行収入 | 2.0億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 0.1億USドル [出典] |
平均評価★★★★★76(私の評価↓は含まず)
|
『ミナリ』予告動画
キャラ ランキング(キャスト/出演者/吹替声優)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者)
- 1位スンジャ(ユン・ヨジョン)毒舌で破天荒な祖母。モニカの母親
- 2位デビッド(アラン・キム)ジェイコブとモニカの、好奇心旺盛な長男。アンの弟
- 3位ジェイコブ・イー(スティーヴン・ユァン)韓国系移民。農業での成功を夢見て田舎町に引っ越し
- 4位モニカ・イー(ハン・イェリ)ジェイコブの妻。子どものためにも安定した生活を望む
- 5位ポール(ウィル・パットン)独特な雰囲気を持つ地元アメリカ人。ジェイコブの農業を助ける
- 6位アン(ネイル・ケイト・チョー)ジェイコブとモニカの、しっかり者の長女。デビッドの姉
- ビリー(スコット・ヘイズ)
- ミスター・ハーラン(ダリル・コックス)
- ミセス・オー(エスター・ムーン)
ネタバレ感想『ミナリ』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
韓国映画?監督とキャストや受賞歴
映画『ミナリ』は、ほとんどの主要人物が韓国人(米への移民一世家族)なので韓国映画のようだが、アメリカ合衆国で製作されたアメリカ映画です。ブラッド・ピットによるプランBや『ミッドサマー』のA24が製作。
監督・脚本のリー・アイザック・チョンは、イェール大学で生物学を学び映画学の博士号も取得。デビュー作『Munyurangabo』はカンヌ国際映画祭でプレミア上映。『君の名は。』ハリウッドリメイク版『YourName』監督としても期待されてます。
主演のスティーヴン・ユァンは、海外ドラマ『ウォーキングデッド』のグレン役で大ブレイクした韓国系アメリカ人です。映画『バーニング 劇場版』の助演男優としても評価されています。『ミナリ』では製作にも関わっています。
妻役のハン・イェリは『群盗』『海にかかる霧』、祖母役のユン・ヨジョンは『チャンシルさんには福が多いね』『藁にもすがる獣たち』が最近の出演作です。子役のアラン・キム、ネイル・ケイト・チョーの今後も楽しみ。
本作『ミナリ』はアカデミー賞の作品賞・監督賞・脚本賞だけでなく、スティーヴン・ユァンが主演男優賞、ユン・ヨジョンが助演女優賞にノミネートされました。ゴールデングローブ賞 外国語映画賞も受賞。

夢を追うのは悪いのか?成功の法則とは?
韓国系移民ジェイコブ・イー(スティーヴン・ユァン)は、アーカンソー州の田舎で農業を成功させるため移住して来ます。妻モニカ(ハン・イェリ)、息子デビッド、娘アンの4人家族。しばらく後に、モニカの母スンジャも合流。
住まいがトレーラーハウスだと言ってなかったジェイコブに対し、妻モニカが怒るのは当然ですね。「前(韓国?)よりましだ」というのは『パラサイト半地下の家族』のような住まいだったのかも。
ジェイコブとモニカの夫婦は、経験を生かした「ひよこの雌雄鑑別」で生計を立てながら、ジェイコブは広大な土地で農業にも取り組み始めます。井戸の水脈を探すための「木の枝を使ったダウジング」には懐疑的で、自分で探し当てます。
しかし井戸はかれて水道水を農業に使い始めると、支払いに苦労し水道を止められます。妻モニカは子どもたちとの現実的な生活を望み離婚を考えます。そんな状態でもジェイコブは農業をあきらめることができず、より専念していきます。
ジェイコブは農業が大好きというより、先細りの人生を農業で逆転したいように見えます。韓国映画では、財閥系に就職しないと望むような暮らしができない、と描かれるのを見かけますがジェイコブもそこから脱したいのだと感じます。
この状況は日本でも似ているし、今の貧弱な経済状態から抜け出すために一発逆転をねらいたいジェイコブの気持ちもよくわかります。また、いつ成功するのかそもそも成功する日がくるのか疑いたい、現実的な妻モニカの気持ちもわかります。
「夢を追うことの是非」はよく映画のテーマになりますが、結論からいうとバランスが重要だと思います。家族を幸せにするために夢ばかり追って家族や生活を犠牲にしつづけるのは本末転倒です。ジェイコブも視野が狭くなってました。
しかしリスクを一切負わずに裕福になることはできないので「ある生活水準は保ちながら、一歩ずつでも夢の実現を目指す」のが正解だと思ってます。もちろん言葉ほど簡単ではないので、成功者の影には多くの失敗者がいるのでしょうけど。
タイトル『ミナリ』の意味は?祖母の存在意義は?
モニカの母スンジャ(ユン・ヨジョン)は、やや毒舌でクッキーを焼くどころか家事全般をせずプロレス中継が好みです。そんな祖母をデビットは「おばあちゃんらしくない」と表現。スンジャが孫に教えることができるのは「花札」だけでした。
そんな風に家庭的にはダメなスンジャでしたが、川辺に香味野菜のセリ(芹)を植えて後に重要な意味を持ちます。タイトルの「ミナリ」とは韓国語でセリ。丈夫に育ち薬にもでき二度目の旬がおいしいことから、子供世代の幸せのために親世代が懸命に生きるという意味がこめられてるそうです。
つまり、祖母スンジャは親としては欠陥だらけだったが、子ども世代であるジェイコブとモニカの幸せを願ってたことが表現されています。また、ラストで韓国産のミナリが根づいた様子は、イー家がアメリカに根をはることを表してそうです。
孫のデビッドは、最初スンジャをくさいとか嫌ってて、おねしょをからかわれたりした仕返しに小便を飲ませたりします。しかしスンジャに「強い子」と言われたり、心臓病の病人あつかいされなかったり一緒に寝るうちになついていきます。
ある晩、病気が心配で眠れないデビッドは、祖母スンジャのおまじないやワンダフルミナリの歌を聞いて眠ります。翌朝スンジャは脳卒中で入院し退院後も話せなくなります。一方、その後の検査でデビッドの心臓病は回復に向かってると判明します。
老いて不自由になっていくスンジャの姿は、成長して元気になっていくデビッドとは対象的です。孫のおねしょをからかった祖母がおねしょしたのも、世代交代を表してるようです。まるで朽ちて次の世代の肥料となるミナリのように。
『ミナリ』での宗教とは?脳卒中や火事は罰?
ジェイコブは友人がいなくてさみしそうなモニカのために、地元の教会へ家族で行くことにします。そこでモニカらはなけなしの金から寄付しますが、祖母スンジャは逆に盗み取ります。
教会へ行くことで、息子デビットと娘アンには友達ができます。特にデビッドが泊めてもらった友達との交流シーンはほっこりします。祖母に教えてもらった「花札」が初めてここで役立ち、デビットが祖母のマネしてる姿もかわいい。
ジェイコブがトラクターを購入したアメリカ人ポールもかなり信心深いけど、地元民からは「変人あつかい」されてます。日曜にはゴルゴダの丘へ十字架を運ぶイエスの苦行を行ったり、畑やスンジャの部屋で悪魔ばらいをしたり。
井戸の水脈を探すダウジングも、科学というより宗教にちかい感じがしました。それらがうさんくさく見えるのは、合理主義者ジェイコブの冷めた視線が映されるからでしょう。でもラストでは、ダウジングを信じて目印の石を置いてました。
映画『ミナリ』における「宗教」とは、地元民との交流のきっかけです。豊作祈願や神だのみの意味は薄いです。ただ、寄付金を盗んだ祖母スンジャが脳卒中になったり、無信心なジェイコブの作物が全焼したのを罰だと考えると奥深いです。
映画『ミナリ』私の感想と評価
アカデミー賞、ゴールデングローブ賞等で結果を出してるだけあり考えさせられる良作です。当時に限らずアジア系移民が、アメリカで生活を確立するのは困難の連続だと思いました。
それでも祖国や都市部での低い生活水準から脱するために、リスクを承知で農業に取り組むジェイコブの姿は応援したくなります。一方、子どもの将来を心配して都会での暮らしを求める妻モニカにも共感します。
そんなアジア系移民の苦難を見てるだけではつらいけど、祖母と孫デビッドの人間的な交流が笑いや喜びや悲しみを感じさせてくれて「三世代の移民家族の物語」を引き立ててたのが印象的です。
全体的なストーリーは、アジア系移民の初期の苦労を描いてるだけなので、映画的な楽しみは期待してたほどではなかったです。ただ、映画賞で評価されてるだけでなく、夫婦や、祖母と孫の関係性の変化は観る価値あるので多くの人におすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『ミナリ』含む映画ランキングや映画賞
- アカデミー賞(2003-2023年)
- 2021映画興行収入ランキング日本
- ゴールデングローブ賞(2010-2023)
- 報知映画賞(1990-2022年末)
- 映画ブルーリボン賞(1990-2023)
- 日本アカデミー賞(2006-2023)
- キネマ旬報ベスト(2010-2023)
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