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映画『パラサイト 半地下の家族』評価は?ネタバレ感想考察/衝撃の伏線を解説!寄生家族の結末は?

映画パラサイト 半地下の家族

『パラサイト 半地下の家族』あらすじ概要

カンヌ最高賞パルムドール受賞作。キム家は失業中なので半地下で貧しく暮らしてたが、長男ギウがIT企業CEOの豪邸で家庭教師に採用された後、キム家4人の人生は大きく変わり…。インディアンは何の象徴?(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 パラサイト 半地下の家族
日本興行収入47.4億円年間3位
世界興行収入2.6億USドル [出典]
平均評価★★★★★84私の評価↓は含まず)
原題/英題Parasite
日本公開日 2020/1/10 [予告↓]上映時間 132分
映倫区分日本 PG12(小学生指導必要)USA R
製作国韓国
映画監督ポン・ジュノ [キャスト↓]
配給/製作/画像©ビターズ・エンド/Barunson E&A
受賞ノミネートアカデミー賞(作品賞/監督/国際/脚本+2ノミ)、ゴールデングローブ賞(外国映画賞+2ノミ)、カンヌ国際映画祭 最高賞パルムドール受賞

『パラサイト 半地下の家族』予告動画

登場キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

キム・ギテク(ソン・ガンホ)
貧乏一家の大黒柱。元タクシードライバー
キム・チュンスク(チャン・ヘジン)
キテクの妻。元ハンマー投げのメダリスト
キム・ギウ(チェ・ウシク)
キテクの長男。大学受験に失敗し続けてる
キム・ギジョン(パク・ソダム)
キテクの長女。デザインセンス抜群で美大に通いたい
パク・ドンイク(イ・ソンギュン)
IT企業の社長。家族と豪邸に住む
パク・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)
パク社長の妻。若くて美しくて純真
パク・ダヘ(チョン・ジソ)
パク社長の娘。女子高生2年。家庭教師の気を引きたい
パク・ダソン(チョン・ヒョンジュン)
パク社長の息子。いたずらざかり。好奇心旺盛でよく気がつく
ムングァン(イ・ジョンウン)
パク社長宅の家政婦。家のことは熟知し信頼されている
ミニョク(パク・ソジュン)
ギウの友人。エリート大学生。パク家の家庭教師をギウにまかせる

ネタバレ感想『パラサイト 半地下の家族』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★69/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

カンヌ最高賞とアカデミー賞!監督やキャスト

本作『パラサイト 半地下の家族』は、2019年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを韓国映画で初めて受賞しました。その前年は『万引き家族』が受賞したので、2年連続のアジア映画受賞となります。

また、アカデミー賞の作品賞で『1917命をかけた伝令[ネタバレ感想考察⇒]』等と競い、アジア映画どころか英語作品以外では初受賞する快挙で話題独占です。同賞での監督賞・国際長編賞・脚本賞や、ゴールデングローブ賞の外国映画賞も受賞し総なめ状態です。

監督のポン・ジュノはカンヌ映画祭の常連でもあり、『殺人の追憶』『グエムル 漢江の怪物』『母なる証明』『オクジャ okja』など過去作も、内外でとても高評価されています。

主演のソン・ガンホは、多くの国際映画賞でも知られる韓国俳優で、ポン・ジュノ監督映画以外では『シュリ』『JSA』『シークレット・サンシャイン 』『タクシー運転手 約束は海を越えて 』他多数作品に出演してます。

その他も、韓国の大小の映画やテレビで活躍してる俳優女優たちが出演していて、その熱演や競演が楽しみな映画でもあります。同じ時期に映画賞を競う『ナイブズアウト名探偵と刃の館の秘密[ネタバレ感想考察⇒]』も格差を見下ろす映画なので比較したいですね。

映画パラサイト 半地下の家族

キム家の暮らす半地下とは?実際にある?

父ギテク達、キム家4人が暮らす半地下とは、韓国に独特な実在する住居形態です。1970年に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が、北朝鮮との朝鮮戦争に備え防空壕の役割として建築法で義務付けました。

1989年に義務化は解かれたが、それまでの半地下を賃貸として貸し出す家やマンションが増えて、低所得者の住まいとして普及したようです。高湿度、カビ、不衛生、犯罪の温床とされ減少傾向ではあるようです。

学力や職能もあるのに低所得な理由は?

まず韓国に特有の現象として、10大財閥(サムスン、LG、ヒュンダイ自動車、ロッテ等)が富の大半を獲得してるため、その一族や従業員と、それ以外の人々の貧富の格差は広がる一方だそうです。

韓国は教育に熱心で勤勉な国民性ですが、高学歴で努力しても財閥系に関わることができなければ低所得から抜け出すのは難しいようです。なお貧富の差の拡大は、日本を含む先進国でも問題になりつつあります。

本作『パラサイト 半地下の家族』のキム家は、運転の上手な父ギテクが就職できなくて、低家賃の半地下に住んでいます。家族全員が怠惰なのは悪いけど、仕事はきっちりこなすので、あんなに底辺の暮らしになるのは見ててつらいです。

受験勉強を教えられるギウ、フォトショップやデザインセンスありそうなギジョンが大学に行けなくて、才能を台無しにしたまま成長します。こうして貧困は次の世代にも継承されるので、逆転は不可能に思えます。

キム家がパク家に寄生した方法とは?

まず、キム家の長男ギウが友人の大学生ミニョクの紹介で、IT社長のパク家の娘ダヘの家庭教師の面接へ行きます。ギウは、妹ギジョンのフォトショップ技能で大学入学証を偽造作成してもらい採用され、ダヘとキスする関係にまでなります。

ダヘの弟ダソンは落ち着きがないので、ギウはパク家の母親ヨンギョに、妹ギジョンを「知り合いの美大生」として紹介します。母ヨンギョは純粋なお嬢様育ちなので、あまり疑わずにギジョンを雇い「美術セラピー」をお願いします。

ギジョンは、パク家の運転手に送ってもらった時、車にわざと下着を放置しました。それを発見したIT社長は運転手を首にし、ギジョンに推薦されたギテクをテストして正式にドライバーとして採用します。

パク家には、以前の家の持ち主から仕える有能な家政婦がいます。彼女の桃アレルギーを感染病に見せて、ギウとギテクの策略で追い出します。ギテクは社長に富裕層向けニセ人材派遣業を紹介し、妻チュンスクが家政婦として家に入ります。

貧乏一家のキム家が、IT社長一家のパク家に寄生虫のように入りこんでいく過程はスパイ映画のようで面白くて、本作の大きな見どころです。パク家の母ヨンギュがお嬢様にしてもだまされやすいけど、純真で気の毒にさえ思えてきます。

また、職を失ったというか奪われたドライバーと家政婦にも同情します。下着を車に残したギジョンや、桃の皮の毛でアレルギーを誘発させたギウは、特にモラルが低いと感じますが、その報いは映画後半で受けることになります。

半地下のキム家より更に地下の存在とは?

パク家は息子ダソンの誕生祝いでキャンプに出かけます。するとキム家4人は豪邸で、好き放題に食べて飲んではしゃぎます。このような後先考えない刹那的な行動や雑さが、キム家が地上で暮らせない理由にも思えます。

そこへ元家政婦ムングァンが忘れ物を取りたいと尋ねてきて地下へ降ります。すると、そこにはムングァンの亭主が4年間も隠れ住んでたことが判明します。IT社長のセリフ「あの家政婦は人の倍食べる」も伏線だったことに驚かされます。

ムングァンは、キム家が一家で寄生してたことに気づき、スマホ写真をパク家に送信すると言っておどすが、油断したスキにキム家におさえられて地下へ戻されます。キム家の母にけり落とされたムングァンは、それが致命傷となり絶命します。

この展開はまったく予想してなかったので衝撃的でした!この後、パク家が急帰宅してからキム家が隠れる展開は、スパイ映画っぽくてスリル満点ですが、コメディ要素もあり笑えます。

キム家は中流階層に昇格?差別概念のめばえ

半地下に住むキム家は最下層民かと思ってましたが、窓もない地下に住むムングァンの夫の存在が明らかになると「キム家は中流家庭」に昇格したようになります。つまり、自分らより上層しか見てなかったが、下層民がいることに気づきます。

この構造は上層でも同様で、パク家はいつもは下層の人々をあまり認識してないが「におい」や「言葉づかい」で下層階級に気づくことがあります。しかし見下すことはなく、かわいそうに思うが何もしてやれないという感情が近そうです。

半地下で笑いながら生活してたキム家ですが、地下の存在を知ってから「笑い」が消えます。特に父ギテクは、地下に残してきたムングァン夫妻のことを気にします。と同時に自分が、地下の男を見下し差別してることにも気づいた感じです。

すると、パク家の夫婦が「におい」でキム家を無意識に見下してることにも気づきます。大洪水で多くの人が体育館で寝泊まりしてる時に、豪邸の庭で誕生日パーティーを楽しむ上流階級の「下層を気にもかけない」無頓着さにも腹が立ちます。

キム家は、さらに下層の地下に住む男の存在を知ったことで、今まで見て見ぬふりしてきた「格差差別という概念」を認識し、自分たちも差別される対象であることを笑えなくなります。「自我のめざめ」的な表現にも感じます。

インディアン・階段・石の意味とは?

本作『パラサイト 半地下の家族』には、伏線やメタファー(暗喩)が散りばめられています。たとえば階段や坂道は、下層から上層へ上がる時、または上層から下層へ戻る時の象徴として映し出されます。

高台に住むIT社長宅は上層であり、そこから降りた地上が一般中流家庭で、半地下にはキム家のような運や努力しだいで地上にはい上がれそうな下流家庭が住んでいます。さらに窓のない地下には、最下層民が暮らしています。

上と下の関係については、急に帰宅したパク家から隠れたキム家が常に下にいて、さらに地下にはムングァン夫妻がいるという構図でも表されています。ベッド上のダヘと下に隠れるギウ、ソファでいちゃつくパク夫妻と下に隠れるキム親子など。

裕福なパク家の息子ダソンが「インディアンごっこ」で弓矢やテントで遊ぶのも、キム家がパク家を侵略することの伏線やメタファーになってます。アメリカ大陸の先住民(インディアン)は、ヨーロッパ人により侵略されたのです。

大雨の日に洪水が起こり、キム家の半地下は下水まで流れて大災害となり、多くの一般市民と共に体育館で雑魚寝します。同じ大雨の中、わざわざ外の庭でインディアン・テントを張って寝るダソンと見守るパク夫婦は、雑魚寝と対象的です。

キム・ギウの金持ち友人ミニョクが持ってきた「石」は、人生が好転するという意味以外はよくわかりませんでした。ミニョクの祖父が石を収集してると言ってたけど「金持ちの道楽は、貧乏人には価値がない」ことを表してそうです。

ラストでパク家のパーティーに行く時、ギウは石を持って地下へ降りたけど、ムングァン夫婦を殺害するつもりだったのでしょうか。その殺意があだとなり、自分が石で脳を打たれたのは、報いを受けたのだと思います。

衝撃の結末は下から上へ?ギテクの犯行理由は?

パク家のパーティーに誘われたと思いきや、当たり前のように仕事を手伝わされるキム家は一生、招待客とは見なされないのでしょう。元家政婦ムングァン夫婦の様子を見るため、地下へ降りたギウは返りうちにあいます。

地下から出てナイフを持ったムングァンの夫が刺したのは、IT社長家族ではなく、半地下のキム家のギジョンです。その理由は、自分の妻の死因がキム家にあるからですが、剣の矛先が1つ上の階層に対してだとも感じます。

現実でも私達がねたんだり恨んだりするのは、手の届かない大富豪に対してではなく、私達を搾取する1つ上の階層(雇用主や元請けや親会社など)ではないでしょうか。つまり貧富格差の復讐対象は、1つ上の階層になりがちです。

ギジョンを刺された父ギテクも、実行犯ムングァン夫へ復讐せずに、上層のIT社長を刺します。その理由は「車のキーを投げろ」と言って家族を逃がすことしか考えず、実行犯のにおいに不快感を示したのが決定打となりました。

ギテクは社長妻とのショッピング時も、体育館で寝泊まりしてる人とは天と地ほどの差を感じ、車の中でも「くさい」と窓を開けられ、インディアンの格好をさせられたこと等でもストレスが最高潮に高まってました。

ちなみに「インディアンは侵略・殺害される者の象徴」として使われています。キム家に侵略されつつあるIT社長家はインディアン側でしたが、半地下のギテクもインディアン側・狩られる側になった、というメタファーだと思います。

前半のギテクは貧乏でもニコニコ暮らしてるようでしたが、妻に「ゴキブリ」あつかいされた時は本気で激怒してたので、「差別されること」には敏感だったのでしょう。社会経験は家族で一番長いですからね。

事件後のキム家とパク家は?罪と罰と報いは?

結局、半地下のキム家では娘ギジョンが死亡し、息子ギウは脳に障害が残り、夫ギテクは地下生活へ格下げとなりました。妻チュンスクは報いを受けてないように見えるけど、娘の死を悲しみ脳障害のギウと半地下で暮らす事が罰だと感じます。

ギウはキム家の地下からの父のモールス信号を解読し、自分が裕福になったら豪邸ごと購入しようと考えますが、脳障害あって難しそうだし、それじたいが妄想の可能性も高そうです。ちなみに内覧時でも、工夫すれば救えそうですよね。

ただ、ギテクはムングァンを葬ったり冷蔵庫に食料調達に出たりするけど、自分の意志で地下へ戻っています。たとえ豪邸を買い取っても、指名手配されてるので時効までは外出できないのです。

IT社長家は、裕福な家庭を1人で支えてた夫が殺害された後、引っ越したようです。貯金・資産・保険金などで上流のままだろうけど、大きなトラウマは残りそうです。

死亡したのは、キム家のギジョン、パク家のIT社長ですが、その家族で最もダメージの大きな人物の死だと感じます。罪と罰の観点では、最初に運転手を追い出したギジョン、無意識に下層を臭い等で差別したIT社長への報いだと思います。

元家政婦ムングァン夫妻の悲劇は同情したいけど、4年間の食料盗難も犯罪なので報いを受けたのでしょう。最も重い罪のムングァン夫、ギテク、チュンスクの3人の殺人者は、現世で業を背負ったまま生き地獄を味わうのでしょう。

『パラサイト 半地下の家族』私の評価と映画賞

カンヌ最高賞パルムドールということで、観る前からハードルが上がってた映画『パラサイト 半地下の家族』ですが、予想以上の展開に驚いたし、貧富の格差など社会問題を描いてるわりにコメディ・エンタメ要素も多くて満足です。

一方、前半の思わせぶりなシーンは、最後まで回収しないのならカットしてもよかったかも。また、上流階級のIT社長が報いを受けるにしても、ではどうすれば両者ハッピーになれたのか、わからないのでモヤモヤします。

最近の世界では「格差社会」を描く映画が増えてて、本作には『万引き家族』『アス』『ジョーカー』を連想させるシーンもありますが、全く違う決着のさせ方なので興味深いです。

上で語りきれなかったけど、いろんな食事風景も見どころの1つです。IT社長妻が食べた「ジャージャーラーメン(ラムドン)」はインスタントのジャージャー麺とうどん風のノグリの合体料理で韓国では「チャパグリ」と呼ばれます。それにサーロインステーキの角切り、フルーツ盛り合わせを組み合わせるのは、成り金を連想させますが、ぜひ食べたいB級グルメです!

アカデミー賞ゴールデングローブ賞も受賞したので、日本での興行収入も楽しみです。多くの人にぜひ観てほしいです!

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