『アナと雪の女王2』ネタバレ感想考察/ラスト結末は?氷の魔法の秘密とは?歌は前作を越える?
ディズニーアニメ映画『アナと雪の女王』続編。氷の魔法を持つエルサは、妹アナと真実の愛を見つけ平穏に暮らしてました。ある日、不思議な歌声に導かれ、魔法の秘密を解き明かす冒険に出るのだが…。誰の歌声?過去の悲劇と両親の愛?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | アナと雪の女王2 |
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日本公開日 | 2019/11/22 [予告] 上映時間:103分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Frozen 2 |
監督・キャスト | クリス・バックジェニファー・リー(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG |
配給/製作 (画像出典) | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ/ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ |
日本興行収入 | 133.7億円(年間2位 / 歴代27位) |
世界興行収入 | 14.5億USドル [出典] (歴代14位) |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 74(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ディズニーアニメ映画一覧 前作『アナと雪の女王』255億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- エルサ(イディナ・メンゼル。松たか子)アレンデール王国女王。アナの姉。触れたものを凍らせる魔法を持つ。まじめで落ち着きがある
- アナ(クリステン・ベル。神田沙也加)アレンデール王国の第二王女。エルサの妹。好奇心旺盛で活発
- クリストフ(ジョナサン・グロフ。原慎一郎)氷を売る山男。アナの恋人。相棒はトナカイのスヴェン
- オラフ(ジョシュ・ギャッド。武内駿輔)エルサが魔法で作った話せる雪だるま。無邪気で人なつっこくハグが大好き。夏に憧れる
- イドゥナ(エヴァン・レイチェル・ウッド。吉田羊)アレンデール王国の元王妃。エルサとアナの母親
- アグナル(アルフレッド・モリーナ。根本泰彦)アレンデール王国の元国王。エルサとアナの父親。過去に何者かに救われた
ネタバレ感想『アナと雪の女王2』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
アナ雪2の監督や声優陣ほぼ続投!吹替版は?
前作同様、原作はアンデルセン『雪の女王』ですが、内容はオリジナルストーリーです。共同監督のクリス・バックとジェニファー・リーを含めて、原語版の声優も日本語吹き替え版もほぼ続投なので「作品愛」は保たれそうで安心できます。
前作『アナと雪の女王』の日本語吹き替え版は、エルサ役の松たか子、アナ役の神田沙也加に歌手May.Jも加わった歌曲「ありのままで」が社会現象となり、映画も歴代興行収入3位になるほど大ヒットしました。今回の歌はどうでしょうか?
松たか子、神田沙也加は今回も継続で、エルサとアナの母イデゥナ女王役の吉田羊が新たに加わります。不祥事を起こしたピエール瀧が担当した雪だるまオラフは、声優の武内駿輔が引き継ぎます。原語版オラフは『僕のワンダフルライフ』ベイリー役で人気のジョシュ・ギャッドが続投です。
前作より面白い?歌やストーリーを比較
前作アナ雪の興行収入記録をやぶるのは難しいけど、半分の130億円くらいは期待されてそうです。その鍵をにぎるのは「ありのままで」に匹敵するほどの楽曲があるかどうかです。結論から言うと歌のインパクトは弱いです。
松たか子が歌う「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」が「ありのままで」に対抗する楽曲のようですが、導入部からセリフのようで盛り上がらないし、サビの部分も声を張り上げるだけで歌詞に魅力も感じません。
他の新曲というかミュージカルシーンでは、キャラごとの歌唱披露会が行われるので推しキャラいる人は興奮できるでしょう。しかし歌のいくつかは話にあまり関係ないどころか物語の進行を止めているので、個人的にはあわなかったです。
一方、ストーリー面では冒険やアクションの比重が増してたり、両親や魔法の起源をたどる物語が興味深かったり、もう説明のいらないキャラたちが本気で動き回ったりします。個人的には「行って帰るだけ」の前作よりは楽しめました。
キャラクターとしては、雪だるまオラフの出番が多くて、シリアスになりがちなアナ雪2を無茶ぶりギャグで笑わせてくれます。トナカイのスヴェンが話すシーンもあります。クリストフはプロポーズの空回りキャラですが、ラストでは役立ち、アナへの婚約後なんと王に出世します。
ただし多少の蛇足感もあるので、ディズニーは本当に描きたいことが先にあって『アナと雪の女王』の続編を選んだのか気になります。「ヒット作の続編を作ろう」から始まったような気がします。
映像面とアクションは文句なしで、IMAXで観れる人はおすすめです。3Dアニメは不気味さも感じるけど、アナ雪2では幼い頃も含めてかわいいです。火の精霊サラマンダー(とかげ)もあざといがかわいいし、風の精霊ゲール(落ち葉)、水の精霊ノック(馬)、土の精霊アースジャイアントも好みです。
エルサが居場所を見つける物語?トランプ否定?
前作でエルサは、引きこもってた部屋から逃げ出して、山に氷の城を築き「ありのままの自分」で生きる喜びを初めて実感します。そして妹アナはそんなエルサでも認めて受け入れ、姉妹で一緒にアレンデール王国で暮らせることになりました。
しかし自分だけが魔法使いであるエルサは、ずっと居心地がわるかったようです。悩むエルサを楽観的なアナははげまし続けますが、成長するにつれエルサは「自分の居場所は本当にここでいいのか?」と自問自答を繰り返します。
そんな時、エルサにしか聞こえない歌声で、過去に因縁の大事件が起こった北国ノースルドラ族の地へ導かれ、やがてエルサは自分の居場所を見つけます。
ディズニーは最近「自分の居場所を探す物語」を続けて製作してます。『シュガーラッシュ2オンライン』『トイストーリー4』『ライオンキング(超実写版)』等もそうです。
他作品についてはネタバレになるので伏せますが、本作『アナと雪の女王2』のエルサのラストの結末(決断)は、ハッピーエンドと同時に「多様性の否定」も感じます。つまり「魔法使いは魔法の地で暮せばいい」と見えなくもないからです。
確かに「自分の魔法の起源が精霊の地」だとわかったエルサは、アレンデール王国よりもノースルドラの方が居心地いいのでしょう。「姉妹は橋のたもとの2つ」の意味は、両国に「たもと」ができれば平和を維持できるという事なのでしょう。
これには、メキシコ国境に壁を建設するトランプ大統領への批判もこめられてるように感じます。しかし、移民や他種族(魔法使いエルサ)は自国で暮らした方が幸せでしょ?というおしつけも感じるので、結論として上手いと思えません。
ノースルドラ族の地での過去の因縁とは?
幼いエルサとアナは、両親であるアグナル王から、彼が若かった頃に北のノースルドラ族の地との間に起こった大事件を聞きます。アグナルの父(アナ達の祖父)が両国の友好のためにダムを建設し、その祝宴を開いた日に起こった事件です。
アレンデール王国とノースルドラ族は突然争い始めるが、それで四大精霊が怒り、魔法の森に霧で閉じこめてしまいます。父アグナルは何者かに救われて脱出し、アレンデールの王に即位したそうです。
ラスト近くでそれらの真相が明らかにされますが、冒険で見つけたというよりも、エルサの氷の魔法で「水の記憶」を再現するだけで、魔法が万能すぎていまいちな展開でした。もっと会話や物証などから証拠集めしてほしかったです。
また、命を救われて王になったアグナルやイドゥナ王妃が、なぜノースルドラに閉じ込められた人々を救いに行かなかったのか疑問です。行ったけどダメだったのならその描写も観たかったし、行ってないのなら無責任だと感じます。
エルサを呼ぶ歌声の正体は?導く理由は?
エルサは自分にしか聞こえない歌声や、トロールの長パビーの助言を聞いて、王国の因縁の地ノースルドラへ向かいます。誰も侵入できない霧の壁を、エルサと周辺の人だけは通り抜けられます。そこでは閉じ込められた人々が生きのびてました。
歌声に導かれるエルサはアナと一緒にさらに北へ向かい、両親がサザンシーで嵐にのまれて死亡した難破船の残骸を発見します。さらに防水の棚から「ダークシーを越えてアートハランへ向かう地図」も見つけ、エルサは1人で向かいます。
歌声の歌い主の正体は、エルサの母イドゥナ王妃(声:吉田羊)だと判明します。しかし、なぜ死んだ人の声が今頃になって聞こえるのかはわかりません。船を沈めたのも精霊のしわざ?
両親の船旅の目的は、エルサの魔法の起源を知るために、アートハランの「水の記憶」を目指したのです。母の歌声に導かれたエルサは「水の記憶」と「氷の魔法」で真実を知りますが、精霊の力?により凍らされてしまいます。
エルサ達の両親が船旅で向かった先は南の国の『塔の上のラプンツェル』の結婚式だというウワサもありましたが、本作『アナ雪2』でその説は否定されたことになるのでしょう。
ノースルドラの悲劇の真相とは?解決策は?
エルサが知った真相とは、当時のアレンデール王国のルナード王(エルサとアナの祖父)がノースルドラの長を殺害したことでした。ルナード国王は魔法の力を恐れたので、ダム建設を口実にノースルドラに攻撃を仕掛けたのです。
戦争中に四大精霊は怒りでその地を閉ざしました。その理由は「戦争」だけではなく「ダム建設で自然が破壊される」ことだったのです。ノースルドラ族は悪くないように感じますが、ダム建設を了承した時点で精霊に敵とみなされたのでしょう。
若かった父アグナルは、ノースルドラ族の少女イドゥナに助けられて、外に出ることができました。そしてアグナルとイドゥナは結婚して、アレンデール王国の国王と王妃になり、エルサとアナが生まれたのです。
エルサが凍らされた時、雪だるまオラフも消滅し、悲しむアナは「ダムを破壊するのが精霊の願いであり解決策」だと気づきます。アナがなぜこの結論に行きついたのかわかりませんでした。
アナは「土の精霊」アースジャイアントを挑発してダムを破壊させますが、飛んできた岩で死んでもおかしくなかったので作戦としては強引すぎます。でもそれがアナらしい。
アレンデール王国の災害の理由とは?
エルサが歌声を聞いた後、アレンデール王国を火・風・水・土の災害が襲ってきたため、全国民をフィヨルドの上部へ避難させます。この災害を起こした精霊の目的は、ダム破壊時に沈む王国から人々を救いたかったのです。
アナがダムの破壊に成功すると精霊の怒りや呪いが解けて、復活したエルサはアレンデール王国へ急行して、大放水の津波を凍らせて王国を守り救世主となります。
エルサの魔法の秘密とは?第5の精霊とは?
エルサが魔法使いである理由は、母イドゥナが魔法の森に住むノースルドラ族だったからです。アナが魔法を使えない理由は不明ですが。
4大魔法ではなく第5の精霊「氷の魔法」である理由は、「水の記憶」を再現できる力を与えられたのだと思います。また、アレンデール王国への放水津波を止めるためにも「氷の魔法」が役立ったので必然だったのかもしれません。
『アナと雪の女王2』私の評価
前作『アナと雪の女王』が歴代レベルで大ヒットしたので、かなりハードルの高かった続編です。個人的には、歌とミュージカルシーンに魅力は感じなかったけど、ストーリーやキャラと冒険アクションはハマれなかった前作より好きです。
オラフの出番や役割が増えたのは楽しかったけど、物語進行を妨げてたシーンも多いのは残念。クリフトフのソロ歌唱シーンも長いし、夢に出てきそうなアップ演出とかはファンはうれしいだろうけど、私は不要だったなと感じました。
また、アナとエルサとクリストフを別ルートにしたり、行き先があれこれ変わり目的や方法が行き当たりばったりの繰り返しなのは、子どもも観る映画としては見づらいです。宣伝文句「エルサの魔法の秘密」も納得感うすいし。
同じディズニー映画なら私は『ズートピア』『マレフィセント』の方が好みです。それでも一般映画レベルからすると、アナ雪2はかなり高い水準であることは間違いないです。
最近のディズニー映画の「女性が自立して強い」流れも継承してますが、一方で男性が軽視されてる印象は受けます。クリストフとスヴェンがアナを救うシーンは2回繰り返されるし、ダムでも助けるだけのキャラ。プロポーズ作戦はコメディ演出のためだけに見えてしまいます。
と評価の難しいアナ雪2ですが、興行収入記録が気になる人も多いでしょう。まず100億円は期待されそうですね。ヒットすれば続編の可能性もあるけど、既にエルサがマーベルヒーローみたいになってるので方向性は気になるところです!
私の評価 71/100(60が平均)
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