ジブリ新作『君たちはどう生きるか』ネタバレ感想解説/結末は?主人公と敵は誰?テーマは?
スタジオジブリ制作アニメ映画。眞人/マヒトは戦時中に母親を亡くし父と疎開先へ。「母は生きてる」と言う謎のアオサギを追うと…。実際の内容は?同名小説の関連性とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 君たちはどう生きるか |
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日本公開日 | 2023/7/14 [予告] 上映時間:124分 |
監督・キャスト | 宮崎駿[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/スタジオジブリ |
日本興行収入 | 93.3億円 年間3位 / 歴代60位 |
世界興行収入 | 1.7億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.14更新) 74(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ジブリ映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ヒミ(あいみょん)謎の少女
- 牧眞人/マキ マヒト(山時聡真)主人公。戦時中に父と疎開
- アオサギ(菅田将暉)眞人を挑発?する謎の鳥
- キリコ(柴崎コウ)眞人の疎開先の女中の1人
- 牧眞人の父(木村拓哉)豪快で行動的
- 夏子/ナツコ(木村佳乃)眞人の母の妹
- 大叔父様(火野正平)眞人達の大叔父
- インコ大王(國村隼)インコの城の王
- ばあやたち(竹下景子,大竹しのぶ,風吹ジュン,阿川佐和子)疎開先の女中の老婆たち
- 老ペリカン(小林薫)力つきたペリカン
ネタバレ感想『君たちはどう生きるか』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は?内容はオリジナル?監督とキャストは?
スタジオジブリと宮崎駿による10年ぶりの長編アニメーション映画です。タイトルは吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』からだが、映画は小説が少し関わるだけのオリジナルストーリーで冒険活劇ファンタジーといわれてます。
キャストの声優も一切明かされずスタッフも、宮崎駿が脚本・監督、鈴木敏夫がプロデューサー、久石譲が音楽を担当する以外はほとんど不明です。公開前までは、宣伝・情報がない状態ですが、ジブリ新作なので期待はふくらむばかりです!
声優としては、菅田将暉、あいみょん、柴咲コウ、木村佳乃、木村拓哉などが出演。ラストの主題歌は米津玄師が担当。
ジブリ映画『君たちはどう生きるか』ネタバレなし感想
かなり難易度高めの映画で、家族や子どもと行くにはあまり向かない作品かなというのが直後の感想です。個人的には、ロジカル系(論理的)の難しい映画は大好きだけど、アート系(詩的)寄りの本作はあまりハマれなかったです。
序盤は戦争時代の風景や、大人の事情についていけない子どもの葛藤などがゆっくり描かれ、中盤から冒険に入るが「何?なぜ?」な展開や描写が続き、回収もされないまま終わるので、ラストの感動もいまいち。深読みが足りなかったかも。
作画は予想よりは良かったです。新海誠作品や『THE FIRST SLAM DUNK』『シンエヴァンゲリオン』等、あらゆる方面の作画レベルがインフレ状態で、昔のジブリのままなら「時代おくれ」だと心配したが、現在活躍中のスタジオにも協力してもらったようです。
作中でジブリ過去作品のオマージュがあったり、13個の積み木が過去作を暗示してたり、キャスト声優がおなじみの人ばかりだったりと、ジブリや宮崎駿の集大成であることは間違いないでしょう。それを初日に映画館で観れたのは感激。
個人的にはジブリ作品の中で下位になりそうだが、2度目観たら高評価に変化する可能性もありえる作品です。「集大成」って言葉は他にほめ要素ない時に使われることが多いので好きじゃないけど、ジブリ映画ファンにはこの集大成が心に響くと思います。ネタバレ前にぜひ観てほしいです!
主人公は誰?冒険の目的とは?
太平洋戦争(第二次世界大戦)中、大好きだった母を亡くした牧眞人/マヒト(山時聡真)は父と疎開先へ。そこでは母の妹の夏子が出迎え、父との子を妊娠中で再婚することが判明。いろいろ疲れて、眞人はベッドで横になります。
起きて外へ出ると、アオサギが目の前で飛び立ち、少し先の塔の中へ入ります。眞人も追うが、屋敷の女中老婆に呼び止められて帰ります。翌日、眞人は転校先の学校でいじめられ、大ごとにするためか自分の頭を石で出血させ帰宅。
父(木村拓哉)は学校へ抗議に行きます。しばらく寝こんだ後、外へ出た眞人は、挑発するアオサギを倒すため木刀で挑むがかみくだかれます。アオサギは「母親は生きてるぞ」と。眞人は小説『君たちはどう生きるか』と母が書いた言葉を見つけます。
眞人は、妊娠で寝込む夏子を見舞うふりしてタバコを盗み、お手伝いの老人に渡し、弓矢作りを手伝ってもらいます。アオサギの羽をつけて完成。夏子がいなくなり皆が探すが、眞人は森へ入る姿を見かけたので弓矢を持ち塔へ向かいます。
以上が序盤あらすじ。冒険の目的は、実の母と母になる予定の夏子を探しに行くことです。それがテーマの1つではあったが、最後まで観ても説明不足を感じました。
学校でのいじめの原因は父が車で送った過保護さでしょうね。原作小説『君たちはどう生きるか』でもいじめは語られますが映画では深入りしません。自分で頭を出血させた行為は、父の気を引くため、学校を休みたいから等でしょうか。
タイトルでもある『君たちはどう生きるか』は、作中でも吉野源三郎の小説として登場します。眞人は少し読んだようですが直接的には本作に影響を与えてないように感じました。
サギや船女性の正体は?どこを冒険?わらわらは何?
付いてきた女中老婆キリコ(柴咲コウ)が「大叔父様は塔で行方不明になった」と。眞人は塔内の本だらけの書斎奥で寝てる夏子を見つけるが水になり消滅。眞人にくちばしを射られたアオサギは飛べなくなり、中からおっさんが登場。
誰かが叫んだ後、眞人、女中キリコ、青サギおじさんは床に吸い込まれて異世界へ。眞人はペリカンの大群に「ワレヲ学ブモノハシス」と書かれた門に押し込まれ石舞台の前で倒れます。若い女性が船で通り、火ムチで救い出してくれます。
大魚を釣った女性は「わらわら」という白風船のような生物が待つ家へ帰ります。眠った眞人が起きると、女中老婆達の人形に囲まれてます。船の女性の正体は、老婆の1人キリコの若かりし姿です。大魚を食ったわらわらが上昇していきます。
DNAのらせん状に昇るわらわらは、これから人間になるそうです。わらわらを空で食い始めたペリカンは、船で炎を操る少女ヒミに邪魔されます。落下した重傷ペリカンは、眞人にトドメ刺してくれと言いながら絶命。
以上が中盤あらすじ。冒険してる場所は「下の世界」や「地獄」のように表現されました。わらわらの正体は、人間になる前の魂でしょうか。満腹になると人間になる権利が得られ上昇するが、ほとんどはペリカンに食われて選別されます。
アオサギの中身は少年か少女と予想したが、まさかのおっさんで驚き。異世界でも同じ姿だし話せるし、最後まで謎の存在でしたが、彼も「宇宙船や石の力」により生まれた者なのでしょうか。または、眞人が空想で生んだ友達なのかも?
「我を学ぶものは死す」の意味は不明ですが、調べると何人かの著名人が発した言葉のようです。宮崎駿が後進や若手クリエーターに向けて発した言葉のようにも感じます。実際、新海誠はジブリのオマージュ多いですし。
老ペリカンが「トドメをさしてくれ」というシーンは「若者よ、老人を超えて行け」という意味かと。食べる魚がなくなったので「わらわら」を食べてたというのは「老害が新しい命を邪魔するのが世の常」ということでしょうか。
消えた大叔父はどこに?塔の正体とは?
眞人は、アオサギのためにくちばしの矢穴をふさぐコルク状を作ってやります。インコの城へ夏子を救いに行き、助けてくれたヒミと同行。バタージャムたっぷりの食パンを一緒に食べます。ヒミは場内の「時の回廊」に案内します。
時の回廊の窓は元の世界につながってて、父と女中達が捜索する姿も見えました。産屋で夏子を見つけた眞人は初めて「お母さん」と呼びます。インコの大王が追ってきたが、眞人は大叔父様の部屋を見つけます。
大叔父は「塔は宇宙から降ってきた(宇宙船?)。石と契約してここへ来た」「元の世界は13個の積み木が崩れると終わる」と言い、同族の眞人に「石を1つ足して安定させ」後継者になることをせまります。躊躇した眞人は、別の空間へ飛ばされます。
以上が終盤のあらすじ。食パンをほおばるシーンは、ジブリ名物の「食事シーン」でカロリー高めだが美味しそうでした。産屋での紙テープ?包帯?がくっつく描写は意味不明でしたが、病院のメタファーでしょうか。ヒミが火で焼きました。
本作のファンタジー要素と異世界は「宇宙からの物体=塔」によるパワーだと判明。アオサギ、ペリカン、セキセイインコの擬人化もでしょうか。わらわらが人間になるプロセスも塔の力かは不明ですが、元からあった「下の世界」へ移ったと考えた方がいいのかも?
大叔父の後継者を躊躇した眞人が飛ばされますが、この描写はとてもわかりづらく、ジブリの過去作を含めても最も低質なシーン切替えです。編集の失敗?とも思ったほど…。月並みな手法ですが「夢」にするのもありだったかも。
結末は?ヒミの正体は?13個の積み木の意味?テーマ?
眞人は、ヒミの正体が自分の母親の若かりし姿だと知ります。ヒミもキリコも若い頃に塔へ入ったが、年が経つと忘れていったようです。塔内は時間を超越した時空間なので、眞人と若い母ヒミは出会えたのです。
アオサギが「母は生きてる」と言った意味も「若い母のこと」なのでしょう。再び大叔父様の所へ戻った眞人は「悪意ある頭の傷をつけた自分には資格がない」と13個の積み木の維持を断り、夏子、アオサギを連れて元の世界へ戻ると決断。
インコ大王が積み石を切断し、崩壊する塔の時空間から、ヒミと若いキリコは過去の世界へ。元の世界へ戻った眞人は、塔の記憶を持つ事にアオサギから驚かれ、積み石を持ってきたから数年は忘れないと言われます。
キリコの人形が巨大化し、老婆キリコも復活。眞人と夏子は、父や女中達と合流。眞人とアオサギは「友達」になります。
以上がラストまでのネタバレあらすじです。異世界へ行くきっかけ「母は生きている」の結末が過去の母ヒミだったのは予想外でしたが、演出が薄すぎて驚きや伏線回収の気持ちよさは全くなかったです。あっさりすぎてもったいない。
この映画のテーマは多いけど「宮崎駿から後進への言葉」「眞人が母の死を乗り越えて、新しい母の夏子と暮らす決意・成長」「君たちはどう生きるかの回答の1つ『友達をつくること』」「眞人が自分の中の悪意を認める」等でしょうか。
大叔父の申し出「後継者になれ」は、ファンタジーではよく聞く表現だが、普通は「後継者になるメリットが大きいのに、愛や夢であきらめる」展開なのに、本作はメリットがほぼないことに驚きました。私もこの後継者、即断りますね。
「13個の積み木」は過去作品だろうと予想できたので、視聴後に数えたがジブリ以外も含めた長編監督作の13作か、ジブリの宮崎吾朗作品を含めて13作品のどちらかでしょうか。今までの多くのジブリ作品をたたき斬って、新世代が自由に作りなさいのメッセージかな。
宮崎吾朗も含めてジブリ作品に関わってきた多くの人達への感謝のようにも感じました。ただ「俺を超えて行け」と言うのならもっと早く言うべきでした。なぜなら、協力したアニメスタジオは既に技術面ではジブリ超えしてますよね…
私の評価 55/100(60が平均)
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