映画『アナと雪の女王』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?魔法制御の方法は?
ディズニーアニメ映画。アンデルセン『雪の女王』が原作。氷の魔法を暴走させ王国を雪国にした女王エルサを、妹アナが山男らと迎えに行くが、向かったのは彼らだけではなく…。運命の人は誰?悪役ヴィランの正体とねらいは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | アナと雪の女王 |
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日本公開日 | 2014/3/14 [予告] 上映時間:102分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Frozen |
監督・キャスト | クリス・バック、ジェニファー・リー(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG |
配給/製作 (画像出典) | Walt Disney Studios Motion Pictures/Walt Disney Pictures、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ |
日本興行収入 | 255.0億円 年間1位 / 歴代4位 |
世界興行収入 | 13.0億USドル [出典] (歴代23位) |
製作費 | 1.5億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.31更新) 74(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ディズニーアニメ映画一覧 続編『アナと雪の女王2』133.7億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- 幼いアナ(リビー・スタベンラッチ、ケイティー・ロペス、アガサ・リー・モン。稲葉菜月、諸星すみれ)
- アナ(クリステン・ベル。神田沙也加)アレンデール王国の第二王女。エルサの妹。明るく楽観的で大胆
- 幼いエルサ(エヴァ・ベラ、スペンサー・レイシー・ガーナス。佐々木りお、小林柚葉)
- エルサ(イディナ・メンゼル。松たか子)アレンデール王国の長女。アナの姉。触れたものを凍らせる魔法を持つ。優雅で落ち着きがあり慎重
- クリストフ(ジョナサン・グロフ。原慎一郎)氷を売る山男。荒っぽいが力強く義理堅い。相棒はトナカイのスヴェン
- オラフ(ジョシュ・ギャッド。ピエール瀧、武内駿輔)エルサが魔法で作った、話せる雪だるま。無邪気で人なつっこくハグが大好き。夏に憧れる
- ハンス王子(サンティノ・フォンタナ。津田英佑)サザンアイルズ王国のハンサムな第13王子。礼儀正しくおしゃれ。アナと意気投合
- ウェーゼルトン公爵(アラン・テュディック。多田野曜平)アレンデール隣の貿易国ウェーゼルトン国からエルサ戴冠式に招待された
ネタバレ感想『アナと雪の女王』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
アナ雪の原作・監督・声優・受賞歴
映画『アナと雪の女王』の原作はアンデルセン『雪の女王』。クリス・バックと共同監督のジェニファー・リーは『シュガーラッシュ』共同脚本の後、ディズニー初の女性監督に。続編『アナと雪の女王2』でも共同監督・脚本を担当。
ジェニファー・リーは、アレンデール王妃の声優も演じています。また、彼女の実の娘アガサ・リー・モンは、アナの子供時代の声と「雪だるまつくろう(Do You Want to Build a Snowman?)」の歌手として参加しています。
声優は、アナがクリステン・ベル、エルサがイディナ・メンゼルです。雪だるまオラフ役のジョシュ・ギャッドは、アニー賞声優部門を受賞してます。彼は『僕のワンダフルライフ』『僕のワンダフルジャーニー』のベイリーの声でもおなじみです。
日本語吹き替え版では、アナ役を神田沙也加、エルサ役を松たか子が演じ、歌も社会現象になりました。子供アナ役の諸星すみれはその後、『シュガーラッシュ』ヒロインのヴァネロペの声優も担当してます。
雪だるまオラフ役のピエール瀧の声も高く評価されましたが、彼の逮捕後は声優の武内駿輔に交代となり、動画配信サービスやテレビ放送では差し替えとなるようです。
本作『アナと雪の女王』は、アカデミー賞で長編アニメ映画賞と歌曲賞 (レット・イット・ゴー)で受賞しています。ゴールデングローブ賞でも、長編アニメーション映画賞と主題歌賞を受賞した他、アニー賞など多くの映画賞を受賞しています。
日本では、日本アカデミー賞外国映画賞、報知映画賞 特別賞なども受賞しました。歴代映画興行収入ランキング日本でも250億円突破した『アナと雪の女王』は現在3位(2019年11月時点)です。
テーマは「姉妹の絆。恐れと欲と真実の愛。愛は一瞬では成らず」
私が考える『アナと雪の女王』のテーマです。エルサはアナを傷つけたくなくて部屋にこもっていたし、アナは山に閉じこもったエルサを迎えに行きました。このように、両親が亡くなり唯一の家族である「姉妹の絆」が語られています。
トロールはアナの魔法が「恐れ」により暴走することを指摘しました。南諸国13番目のハンス王子や隣国のウェーゼルトン公爵は「欲望」のためにエルサを利用しようとしました。そしてディズニー定番の「真実の愛」により全て解決します。
一目ぼれでハンスと結婚すると言い出したアナを、エルサは認めませんでした。山男クリストフも友人に恋愛専門家がいると言って、アナに対して会ったばかりの人との結婚を否定しました。
過去のディズニー作品では、まだあまり知らないはずの男女が「真実の愛」を感じることがありますが、今回はそれを真っ向から否定したのです。親の決めた許嫁や政略結婚も多かった時代から、恋愛結婚に移ったことを反映してるようです。
魔法を解けるトロールとは?クリストフの友達?
幼いエルサが妹アナと遊んでいる時、すべって転んであやまってアナの頭に氷の魔法をぶつけてしまいました。両親であるアレンデール王国の王と王妃は急いで、山の丸い石が転がるエリアへアナを連れて行きます。
丸岩の正体は森に住むトロールたちです。その長パビーは気絶したアナの頭を治し、氷の魔法の記憶をなくして目覚めさせます。パビーは「頭への魔法は治療できるが、凍った心を溶かせるのは真実の愛だけ」と言います。
それを隠れて見てた、幼い氷売りのクリストフとトナカイのスヴェンは、その後トロールたちと親しくなったようです。成長したアナとクリストフにトロール達は、つきあっちゃいなよ的な歌を歌います。
エルサが部屋や山に閉じこもる理由は?
エルサの両親のアレンデール王国の王と王妃は、トロール長の助言で氷の魔法をおそれてしまい、二度とアナや他人に迷惑をかけないように城の部屋にエルサを閉じこめて、城の門も閉ざしてしまいます。
両親が亡くなった後もエルサは、アナを傷つけないように部屋にこもりました。女王戴冠式の日には部屋を出ますが、アナの突然の結婚報告に動揺して魔法を暴発してしまい、王国民を傷つけることや周囲の目も気にして山へ逃げます。
誰もいない山へ入ったエルサは、今まで抑えてた魔法を好きなように使える環境が気に入り「ありのままの自分」を隠さずに生きられる喜びを感じたので、ずっと1人で暮らそうと決めたのです。
両親がエルサを閉じこめたのは冷たい対処にも感じますが、生まれつき持つ氷の魔法の力を制御できないエルサの暴走をおそれ、他に方法を思いつかなかったのでしょう。ただ、エルサに魔法制御の訓練くらいはさせるべきだと感じました。
悪役は2人?正体と目的と結末は?
『アナと雪の女王』のヴィラン(悪役)は2人です。アレンデール王国をのっとって王になろうとするハンス王子と、王国やエルサの秘密をあばき富を奪おうとするウェーゼルトン公爵です。
ハンス王子は、戴冠式に招待されたサザンアイルズ王国の第13王子で、アナがひとめぼれして結婚しようと決めた男性です。紳士的で頼りになるが、実は自分の国では13番目なので相手にされておらず、アレンデール王の地位を欲しています。
ウェーゼルトン公爵は、アレンデール王国の隣国で貿易相手でもあるウェーゼルトン国の公爵です。2人のマッチョなボディガードがいつも一緒です。王国の富が目的で、そのためにエルサの命を奪うことも考えています。
ラストでは2人とも強制送還されます。その後、ハンス王子は王位継承権を剥奪され、ウェーゼルトン国は貿易を停止されました。ディズニー作品でヴィランが2人いるのは珍しいけど、目的が似てるので1人にまとめてもよかったと思います。
アナの真実の愛は誰?魔法制御の方法とは?
山にこもったエルサを迎えに行ったアナは、氷の魔法を胸(心)に受けてしまいます。トロールに「心の氷の魔法を溶かすのは真実の愛のキスだけ」と教えられたアナは、城のハンス王子にお願いするが本性を表したハンスに愛はありません。
ハンスからエルサを守ろうとしたアナは凍ってしまいますが、エルサが抱きしめると溶けだします。エルサとアナの姉妹愛の絆こそが真実の愛で、アナの心の魔法も解け、エルサは氷の魔法を制御できるようにもなります。
ディズニー作品の共通テーマである「真実の愛」は、ディズニープリンセスへの王子のキスが定番ですが『アナと雪の女王』では少し意表をついて「姉妹愛こそが真実の愛」としてマンネリを解消してます。『マレフィセント』もおすすめ。
ミュージカル映画としては?歌手や主な楽曲
映画『アナと雪の女王』は主題歌「レット・イット・ゴー ありのままで(Let It Go)」の大ヒットや、松たか子、神田沙也加、May.Jの歌番組出演により、日本でも興行収入をのばして250億円を突破する歴史的ヒット作になりました。
ミュージカル映画が歌のヒットにより伸びることはありますが、ここまで大ヒットした例は初めてです。その後の『君の名は。』もミュージカル映画ではないけど、RADWIMPSの歌の力でアナ雪にせまりました。
歌詞の内容が物語に直結するタイプのミュージカル映画なので、映画内のほぼ全ての楽曲で日本語吹替版が作られましたが、ディズニーアニメ映画でも珍しいことです。キャラが歌う間、物語の進行が止まるシーンがあるのは少し気になります。
歌曲「レット・イット・ゴー ありのままで」以外にも「生まれて初めて」「とびら開けて」「雪だるまつくろう」「あこがれの夏」「溶けたってかまわないさ」「真実の愛だけだ」「雪の国のワルツ」等はテレビや街でよく流れていました。
『アナと雪の女王1』私の評価と続編
ディズニーアニメ映画は『塔の上のラプンツェル』前後から、強い女性が王子さまに頼らずとも自分で道を切り開いていくストーリーが増えています。本作『アナと雪の女王』も強い姉妹の愛と絆が描かれています。
妹アナは古いタイプの歴代ディズニープリンセスと同じく、突然現れた白馬の王子の外見や優しさだけにほれてしまいますが、思慮深い姉がいたことにより不幸な結婚は回避できます。そんなことからも昔の「真実の愛」への皮肉を感じます。
アンデルセンの原作『雪の女王』はあるが、ほぼオリジナルストーリーで先をよみにくい展開は好みです。ただしシンプルな物語なので、もっとひねりはほしかったです。ハンス王子や公爵など悪役に深掘りがなく雑な点も気になります。
ミュージカル映画としての歌曲や、多幸感あふれるシーンやキャラの動きなどは素晴らしいので、それらを観るだけでも価値はあります。歌を覚えてリズムにのりながら観ると楽しさ倍増するので、多くの人におすすめしたいです。
続編として『アナと雪の女王2』が2019年に公開されますが、エルサが魔法を使えるようになった理由が明かされるかもしれないのでとても楽しみです。雪だるまのオラフ、トナカイのスヴェン、トロール達とも会える日を期待してます!
- 魔法の国の冒険ファンタジー
- エルサの魔法制御の方法とは?
- 外見で結婚決めたアナの反省
- 仲間を得て冒険で成長するアナ
- 真実の愛とは身近で育むもの
- 友情や姉妹愛も大切
- 歌やミュージカルの素晴らしさ
- 子どもや家族と一緒に楽しめる
- ストーリーはシンプル
- 冒険物語としては物足りない
- ハンスの本心が理解不能
- 魔法を解く方法がありきたり
- 頼れるまともな大人が不在
私の評価 69/100(60が平均)
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