『DUNE/デューン 砂の惑星(2021)』ネタバレ感想解説/黒幕の正体は?続編は?事前知識や相関図
人類が宇宙帝国を築いた遠い未来。皇帝の命令で砂の惑星デューンへ移住したアトレイデス公爵は、希少資源メランジを巡る陰謀に巻き込まれます。未来が見える後継者ポールも決断をせまられ…。敵の目的は?前提知識が必要か?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | DUNE/デューン 砂の惑星 |
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日本公開日 | 2021/10/15 [予告] 上映時間:155分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Dune |
監督・キャスト | ドゥニ・ヴィルヌーヴ[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ/Legendary Pictures |
日本興行収入 | 7.6億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 4.0億USドル [出典] |
製作費 | 1.7億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | 75(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | SF/ファンタジー映画一覧 続編『デューン 砂の惑星 PART2』7.7億 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン。皆川純子)ポールの母。レト公爵の愛するパートナー
- ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ。入野自由)アトレイデス家の後継者。未来が視える能力者
- ダンカン・アイダホ(ジェイソン・モモア。安元洋貴)アトレイデス家の戦士。ポールは兄のように尊敬
- チャニ(ゼンデイヤ。内田真礼)強き女性戦士。フレメンの女戦士。ポールの夢に何度も出る謎の女
- ユエ博士(チャン・チェン。津田健次郎)アトレイデス家のスク・ドクター
- スティルガー(ハビエル・バルデム。大塚明夫)フレメンのリーダー。救世主出現を待望
- グロッス・ラッバーン(デイヴ・バウティスタ。立木文彦)ハルコンネン男爵の甥。残忍。驚異的な戦闘力
- レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック。森川智之)ポールの父。アトレイデス家の公爵。陰謀に巻き込まれる
- ガーニー・ハレック(ジョシュ・ブローリン。大塚芳忠)アトレイデス家の武術指南役。戦術家。ポールを鍛錬
- ウラディミール・ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド。勝部演之)ハルコンネン家の当主。悪名高い。肥満で重力中和技術を利用
- ガイウス・ヘレネ・モヒアム(シャーロット・ランプリング。野沢由香里)女性のみの秘密結社ベネ・ゲセリットの教母。ポールの母と関係が?
- 宇宙帝国の皇帝/シャッダム四世(???)コリノ家出身。直属親衛隊サーダカーを攻守に用いる
ネタバレ感想『DUNE/デューン 砂の惑星』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は?5度目の映像化?監督やキャスト
映画『DUNE デューン 砂の惑星』の原作はアメリカのフランク・ハーバートによるSF小説『DUNE/デューン』です。通算5度目の映像化で、これまでホドロフスキー、デイヴィッド・リンチ等の大監督も挑んだが成功してません。
今回は二部作の予定です。映画冒頭のタイトルには「Part ONE」と表示されました。監督のドゥニ・ヴィルヌーヴの最近の監督作は『ボーダーライン』『メッセージ』『ブレードランナー 2049』等。
主演のティモシー・シャラメは『インターステラー』『君の名前で僕を呼んで』『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』等、レベッカ・ファーガソンはミッションインポッシブル・シリーズや『レミニセンス』に出演。
オスカー・アイザックはスターウォーズ・シリーズ等、ゼンデイヤは『スパイダーマン ファーフロムホーム』等に出演。
他にも、ステラン・スカルスガルド、ジョシュ・ブローリン、デイヴ・バウティスタ、ジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、シャーロット・ランプリング等の豪華キャスト出演で期待値は上がります!
前提知識と人物相関図と用語解説
かなり複雑な物語なので、事前知識と専門用語は知ってた方が理解しやすいため、序盤あらすじを兼ねて説明します。
西暦10191年、全人類は「宇宙帝国」皇帝と親衛隊サーダカーに統治されてます。皇帝は、美しい海洋惑星カラダンを統治するアトレイデス家に、惑星アラキス/通称デューン(砂の惑星)への移住と統治を命令します。アトレイデス家は由緒ある大公家の1つです。
アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)の愛するパートナーのレディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)は、秘密結社「ベネ・ゲセリット」とつながりあり。その息子ポール(ティモシー・シャラメ)の未来を視る能力も関係ありそうです。
女性のみの結社ベネ・ゲセリットの教母は皇帝の読真師もつとめます。他人を操る術「声/ボイス」など特殊能力者もいます。公家との計画的な婚姻により「クウィサッツ・ハデラック」と呼ばれる救世主の誕生を待望。
惑星アラキスでは、希少資源「メランジ」というスパイスを宇宙で唯一採取できます。メランジは抗老化や他にも効能があるため、複数勢力が欲してます。デューンの前統治者ハルコンネン家や、デューン先住民族「フレメン」や皇帝さえも。
先住民フレメンは独自の掟で生活し、メランジの影響で青い目です。邪悪なハルコンネン家とは敵対。メランジを産出する砂虫=サンドワームを「シャイ=フルード」と呼び崇めて、その死体の歯からは神聖ナイフ「クリスナイフ」を造ります。
ポール・アトレイデスが繰り返し見る夢には、フレメンの女性戦士チャニ(ゼンデイヤ)が現れます。フレメンのリーダー・スティルガー(ハビエル・バルデム)は救世主の出現を信じてます。ベネ・ゲセリットの救世主とも関係ありそうです。
母ジェシカの正体は?フレメンの救世主とは?
大公家アトレイデス家の後継者ポールは、母レディ・ジェシカから「声/ボイス」と呼ばれる他人を操る術の訓練を受けます。これが伏線となり、後半で自分たちの命を守るためにも使われます。スターウォーズのフォースの元ネタとも言われてます。
本来は「秘密結社ベネ・ゲセリット」に属する女性のみの特殊能力です。母ジェシカはその一員だったと思われます。ジェシカは男子ポールを産み、その能力を教えたため、教母の怒りをかって「ポールをいつでも殺せる」と脅迫されます。
ベネ・ゲセリットは数世紀にわたって計画的な婚姻を繰り返して最終的には「救世主=クウィサッツ・ハデラック」の出現を期待しています。惑星デューン先住民のフレメンも救世主を待望してますが、これはベネ・ゲセリットによる洗脳だと明かされます。
ただし、神秘の香料「メランジ」と共生するフレメンなので、精神的にも進化してるだろうから、彼ら独自の能力によっても「救世主」の出現を予知してるように感じます。フレメンは、惑星アラキスに降りたポールを救世主の名でよびます。
他監督による過去作では、このベネ・ゲセリットやレディ・ジェシカの関係性がとてもわかりづらかったのですが、今回の映画『DUNE デューン 砂の惑星』では最初に明確に見せてくれるので理解しやすいです。
裏切り者の正体は?デューン襲撃の黒幕は?
惑星アラキス/通称デューンは、希少資源「メランジ」が唯一とれる星なので「デューンを制する者は宇宙を制する」と言われるほどです。そこを80年間統治したハルコンネン男爵家は、フレメンを恐怖で従え、メランジで巨額の富を築きました。
ところが宇宙皇帝の命令により、惑星アラキスの統治者はアトレイデス家に変更されます。アトレイデス公爵は、陰謀と感じながらも命令には逆らえず移住。一方、フレメンを味方にして皇帝の座に近づく計画を進めるという策士でもあります。
ところが妻を人質にされたユエ博士の裏切りでアトレイデス公爵は捕らわれ、ハルコンネン男爵の前へ連行されます。不本意なユエ博士からもらった「毒ガス入れ歯」を作動させたアトレイデス公爵は、ハルコンネン男爵を道連れに。
しかし男爵は重力中和装置で助かり、謎の黒い液体で回復してました。陰謀を感じてたアトレイデス公爵が、たった1人の裏切り者のみでここまでやられるのはセキュリティが甘すぎるのでは、と思ったけど実は黒幕が巨大すぎたのです。
その黒幕の正体は宇宙皇帝。皇帝は権益を拡大させるため、最強と言われるアトレイデス家と、富をたくわえるハルコンネン家を戦わせて共倒れにし、漁夫の利を得ようとして精鋭の親衛隊サーダカーまで送りこみます。
ユエ博士の「毒ガス入れ歯」も皇帝側の陰謀だったのかも?そしてポールの「未来が見える能力」が機能しなかったのは、皇帝側のベネ・ゲセリット教母が一時的に予知能力を混乱させたからなのでしょう。
砂虫とフレメンの関係は?採掘機を守る方法は?
惑星アラキスのメランジ採掘場を見学に行ったアトレイデス公爵とポールは、砂虫(サンドワーム)のすさまじいパワーを体験し、命を落としそうにもなります。砂虫は、砂の上で小さな音をたてただけで襲ってきます。
メランジ採掘場を迫る砂虫から救う方法は、飛行装置で高く浮かすのです。が、今回は不具合でのみ込まれます。この故障もハルコンネン家の嫌がらせだったのでしょう。
ハルコンネン兵に捕らわれたポールと母ジェシカは「声/ボイス」を使って脱出し、頼れる戦士ダンカンに拾われて地下に隠れます。が、皇帝軍に見つかり、ダンカンとカインズ博士の犠牲で逃げ切ります。ジェイソン・モモア離脱はつらいです。
フレメンの生態学者であるカインズ博士は、かなりあやしい存在でしたが、最後は砂虫を呼ぶ装置で現れた砂虫に、皇帝軍を道連れに丸のみされてポール達を逃がします。フレメンは砂虫をシャイ=フルードとあがめてるので、カインズも最後は神のもとへ行くように幸せそうでした。
その後、ポール達は「フレメン独自の踊るような歩き方」で砂虫を呼ばないよう移動。ところが、フレメンが仕掛けた?砂太鼓というワナで砂虫を呼んでしまいます。結果的には助かるが、フレメン兵に囲まれてしまいます。
砂虫が迫ってくる様子は迫力あったし、全体が見れたシーンもよかったけど、こういうモンスターは他の映画でも見慣れてるので、それらと比べると場面が暗すぎたし映像レベルも低くて残念。他の映像が美しすぎるだけに手抜きを感じました。
砂虫/シャイ=フルードが「メランジ」を産出するという設定については、今回はあまり語られませんでした。設定が細かいので良い取捨選択だと思いますが、制作が決定してる続編で語られるのかも。
ポールの予知夢の内容とは?結末は?
砂虫=サンドワームから逃れたポールと母レディ・ジェシカは、フレメンの一団と遭遇。フレメンのリーダーのスティルガー(ハビエル・バルデム)は、ポールが「本物の救世主」と思ってるので受け入れようとするが、ジャミスは反対。
フレメンの掟でポールとジャミスは決闘します。ポールは何度も敵の急所をつくが人を殺したことがなく躊躇。しかし決闘は片方の死まで続くと知り、ジャミスを倒します。ポールは、一族の星へ戻ろうとする母に反対し「フレメンと共に皇帝を倒す」と宣言。
ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)は、惑星アラキスへ移住する前から、フレメンの少女の夢を見ます。ポールには「未来を視る能力」もあるので、予知夢だと思われます。ダンカンの死を当てたり、母の妊娠まで見とおしてます。
ポールは予知夢で「皇帝への道」まで見てました。夢で一緒にいた女性、フレメンの女戦士チャニ(ゼンデイヤ)も一団にいるので、予知夢が確信に変わったのでしょう。頭の中の不鮮明な未来や霧が晴れ、強い意志の顔には成長が見られます。
ゼンデイヤの出番や台詞が少なすぎたのは残念。ポールが「皇帝を目指す」と断言したシーンは鳥肌立ちました。ドゥニ・ヴィルヌーブ監督はこのセリフ、このシーンを『DUNE デューン 砂の惑星』のハイライトにしたのだと思います。
ただし、この部分を本作の結末にしたのは物足りなく感じました。大事件と悲劇が起こり、そこから逃れただけなので、まだ何も始まっていません。原作を無視できるなら、ハルコンネンのラッバーンとの戦闘くらいは見たかったですね。
旧作超え?『DUNE デューン砂の惑星』私の感想評価と続編
壮大なスケールのSF大河小説『デューン』の始まりを、最高の映像美と音楽(巨匠ハンス・ジマーによる)で見せたドゥニ・ヴィルヌーブ監督の手腕には脱帽。ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン他豪華キャストの特徴を生かした演技も本物にしか見えずいい時間を過ごせました。
一方、リンチ監督の過去作との比較は、本作「Part ONE」(冒頭で表示)のみでは答えられません。SFX技術の進化で見栄えは格段にいいが、前後編に分けた弊害で抑揚が少なく盛り上がりが後編に持ちこされたため、退屈で眠くなった人も多そう。
バトルシーンや砂虫の登場場面は、CGをあまり使わないためか予算削減で暗すぎて残念。見たいものがはっきり見えないのはストレスです。体をおおうシールドのMCU風表現や、遅い攻撃だけきくという設定はよかったけど。
ドゥニ・ヴィルヌーブ監督はSF映画がうまいとは思わないけど、しっかり完成させる監督だとは感じてます。その彼でさえ『デューン』では本領発揮できてない気がするので、もう映画ではなくドラマシリーズで完結させるべき作品だと思ってます。
1本の映画としては物足りないが、取捨選択は過去作よりうまいし、映像美/音楽/俳優女優の演技は高水準なので映画館ばえする作品です。続編がなければ本作は砂と散ることになったのですが『デューン砂の惑星PART2』も公開!
私の評価 66/100(60が平均)
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