『NOPE ノープ』感想ネタバレ解説考察/結末は？真相は？現代の闇とは？
牧場を受け継いだOJは、父の事故死の真相を調べるうち、一瞬見えた飛行物体をあやしみます。妹はその撮影動画をバズらせようと挑むが、怪奇現象が連発し想像を絶する最悪の奇跡が…。飛行物体の正体は？黒幕はいる？（ネタバレ感想あらすじ↓）
| 映画名/邦題 | NOPE ノープ |
|---|---|
| 日本公開日 | 2022/8/25 [予告] 上映時間:131分 |
| 製作国 | アメリカ |
| 原題/英題 | Nope |
| 監督･キャスト | ジョーダン・ピール［キャスト］ |
| 映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
| 配給/製作 （画像出典） | ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝東和／Monkeypaw Productions |
| 日本興行収入 | 3.9億円 （興行収入ランキング） |
| 世界興行収入 | 1.7億USドル [出典] |
| 平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | （興収･評価: 2024.8.15更新） 71（私の評価は含まず） |
| シリーズ 関連作品 | ホラー/パニック/バイオレンス映画一覧 |
キャラ･ランキング（キャスト/出演者）
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名（キャスト/出演者/声優）
キャラ・ランキングは公開後すぐ更新します！
- リッキー・パーク/通称ジュープ（スティーヴン・ユァン）元子役。テーマパーク「ジュピターズ・クレイム」のオーナー兼クリエイター
- ゴーディー（テリー・ノタリー）チンパンジー。シットコム『ゴーディーズ・ホーム』のスター
- アントラーズ・ホルスト（マイケル・ウィンコット）有名な撮影監督
- エンジェル・トレス（ブランドン・ペレア）フライズ・エレクトロニックスの技術セールスマン
- エメラルド・ヘイウッド（キキ・パーマー）OJの妹。父はオーティス
- OJ・ヘイウッド（ダニエル・カルーヤ）エメラルドの兄。父はオーティス
- オーティス・ヘイウッド・Sr（キース・デイヴィッド）OJとエメラルドの父。ヘイウッド・ハリウッド牧場の所有者
- アンバー・パーク（レン・シュミット）ジュープの妻
- ライダー・マイブリッジ（デヴォン・グレイ）TMZの記者
- フィン・べイチマン（オズ・パーキンス）コマーシャルの監督
- ボニー・クライトン（ドナ・ミルズ）女優
ネタバレ感想『NOPE ノープ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を！
アノ監督の最新作？個性的なキャスト
ジョーダン･ピール監督は、私も大好きなホラー映画『ゲットアウト』と、やや勢いは落ちたように見える『アス』をこれまでに監督。本人が出演することでも話題でしたが、今回は出演してなさそう？
主人公OJを演じたダニエル･カルーヤは『ゲットアウト』でも主役でした。最近はMCUの『ブラックパンサー』等にも出演。
妹役の女優キキ･パーマーは歌手ですが、最近は『ハスラーズ』や『バズ･ライトイヤー』のイジー役等で出演。
韓国系アメリカ人のスティーヴン･ユァンは、米ドラマ『ウォーキング･デッド』でブレイクし最近は『バーニング 劇場版』や『ミナリ』（アカデミー主演男優賞ノミネート）に出演し存在感を発揮してますね。
父の死の原因は？冒頭チンパンジーや旧約聖書の意味は？
ヘイウッド･ハリウッド牧場では、映画撮影に使う馬を父が調教。その時、息子OJが空に異変を感じると同時に何かが大量に降ってきました。降ってきたコインに当たり、父は絶命。馬にも鍵が刺さってます。牧場はOJが継ぐことに。
しかしOJ（ダニエル･カルーヤ）は人間関係が苦手ぽくて撮影仕事はなくなります。OJは、西部劇テーマーパーク「ジュピターズ･クレイム」オーナーのジュープ（スティーヴン･ユァン）に馬を売りに行きます。
OJの妹エメラルドは、そこでチンパンジー「ゴーディー」のチラシを発見。ジュープは、シットコム（ファミリードラマ）の元子役でしたが、ゴーディーと共演した時に起きた大きな悲劇がトラウマとなってるようです。
以上が序盤あらすじです。冒頭、手を血に染めたチンパンジーの不穏なシーンから始まります。これは、ジュープが子役時代に出演したシットコムドラマで起きた惨劇のようです。さらなる詳細は後に明かされます（後述）。
撮影現場でOJが「馬と目をあわせるな」と言うのは後の伏線にもなります。「馬の後ろへ行くな」という注意を聞かない女優が、後ろ足で蹴られそうになってました。動物に敬意を感じてない人間への制裁という意味でこれも伏線です。
冒頭の旧約聖書「ナホム書3章6節」の一節「あなたに汚物をかけ、はずかしめ、見せ物にする」とは、飛行物体から降ってきた汚物（コインや鍵）を表してそう。「ごうまんな人類に罰がくだされる」という内容も本作のテーマの1つです。
謎の飛行物体の正体とは？UAPとは？
OJは空飛ぶ飛行物体を見たため、妹エメラルドと共に防犯カメラを購入し店員に設置を依頼。電気屋店員エンジェルは、複数台のカメラを上向きにつける理由を教えてもらえず、気になって店で盗み見。付いたカマキリが宇宙人に見えます。
その時、付近が停電になり、謎の飛行物体が現れ、エメラルドが設置した馬の模型を旗ごと吸いこみます。決定的瞬間は映せなかったが「ある雲」だけ動いてないと判明。その雲の裏に謎の飛行物体UAPは隠れてると予想されます。
店員エンジェルも本気になって撮影を手伝うが、また円盤状の飛行物体が現れ、模型馬の部品等をはき出して去ります。OJは、飛行物体は生物と断定。エメラルドは、撮影現場で会った撮影監督に依頼するが、信じてもらえず交渉決裂。
ついに謎の飛行物体の全容が明らかにされ衝撃的。UAPとは「未確認空中現象=Unidentified Aerial Phenomena」で、2021年のアメリカ国家情報長官の報告書から、UFO（未確認飛行物体=Unidentified Flying Object）の代わりに使われてる呼称です。
今回のUAPが生物であることは、冒頭でコインや鍵が降ってきた時点で推測できた人が私も含めて多そうですね。今まで確認されてないことや、他の地域にはいないことから、宇宙から来訪した説が濃厚でしょうか。
生体については一切不明ですが、模型の馬を食べたりするのは、視力が弱いのか知能が低いからでしょうか。または、地球の生物についての情報を持ってないため、過去に喰った動物の形状に似てるものを食べあさってるのでしょうか。
飛行生物の飛ぶ原理も謎だらけですが、重力を操作してそう。OJの父親が亡くなった理由は、飛行生物が排泄した無生物（コイン）に運悪く当たってしまったからですね。それにしても当たる確率は低そうなので不運としか言えません。
子役時代の惨劇？顔の傷の意味？大量失踪事件の真相？
西部劇テーマパークのオーナーのジュープはトラウマを思い出すと固まるので、優しい妻が支えてます。ジュープが子役として出演したシットコムドラマは、チンパンジーのゴーディーの誕生日を祝った会が最後の撮影となりました。
その日、皆から誕生日プレゼントをもらったゴーディーは、何度もジャングルをネタにされたからか怒り狂い、出演者達を動かなくなるまで攻撃。テーブル下に隠れたジュープも見つかりグータッチする瞬間、チンパンジーは射殺されました。
成長したジュープはトラウマを乗り越え、テーマパークで観客を集めて未知のショーを開催。OJをおどかした「いたずらっ子3人組」の余興を始めようとすると飛行生物が現れ、写真撮影する観客達とジュープら主催側も全員のみこみます。
飛行生物に吸い上げられて飲み込まれた光景もまた衝撃的です。のどのような器官を通って押しつぶされていき、最後は胃のような場所で消化されるのでしょう。ある程度の期間は飲まれた人は生きてるため、悲鳴が聞こえるのも残酷。
ジュープの子役時代の惨劇は一見本筋とは無関係に思えますが「人間が人間以外の生物を軽んじると、大きなしっぺ返しを受ける」という意味では共通してます。序盤で、女優が馬の後ろへ行き蹴られそうになったのも伏線でした。
チンパンジーのゴーディーへのプレゼント「空に舞う風船」は、ラストで飛行生物を倒す時に伏線回収されます。血のついたクツが立ってたのも、何か意味ありそうですが不明です。
ジュープの初恋相手と紹介された客が、顔に大きな傷を負ってましたが、チンパンジーのゴーディーにやられた傷だと思います。つまりあの女性は、シットコムドラマでジュープの姉役を演じてた子役女優です。
チンパンジーに怖い目にあわされたジュープが、再び生物を軽視して最後は喰われてしまったのは皮肉。過去から何も学ばなかったのかとも思ったけど「死に場所を探してた」ようにも感じます。
結末は？飛行物体の最終形態と倒し方は？
テーマパークでの失踪事件はニュースになり、撮影監督ホルストも電子機器停止の影響を受けない手回しIMAXカメラを持参して参戦。周囲には電気で空気を注入するバルーンかかし（エアレンジャー）も配置し、UAPの接近を知らせます。
ホルストとエンジェルは丘で撮影に専念。OJは馬に乗り「Gジャン=JEAN JACKET」と名づけた飛行生物のおとりになります。OJは「Gジャンと目をあわせなければ喰われる確率が低い」ことを利用して、Gジャンをおびき寄せる作戦。
しかし狂ったバイク部外者が乱入し、OJは作戦変更し救おうとするが、上を見たバイカーは吸い込まれます。撮影に成功したホルストは大興奮してGジャンに向かい、喰われる瞬間まで撮影。エンジェルは有刺鉄線を巻きつけ難を逃れます。
OJは妹を救うため、Gジャンに向かい消失。妹エメラルドは、亡きジュープのテーマパークから人型の巨大バルーンを飛ばします。くらげ風に形態変化したGジャンが食いつくと、ヘリウスガスが爆発しGジャンも破裂。その様子を井戸カメラで撮影。OJは生きてました。マスコミも殺到。
ラストの大決戦が近づくと伏線回収が忙しい。電気で動くバルーンかかし、昔売られた馬Gジャン、馬や猿と目をあわせると攻撃されること、テーマパークの巨大バルーンと井戸をのぞくと撮影される写真機、父を殺したコイン等。
警察や軍隊に依頼しない理由は、自分達が独占撮影して一攫千金を得るためでしょうけど、井戸カメラでの写真のおかげで牧場は再建できたのでしょうか。ホルストの行動は驚いたけど、ハリケーンに向かう撮影者と似た心境かな。
Gジャンと名づけられた謎の飛行生物は「動く物体に引き寄せられる」「無生物でも目があうと食う」「目をあわせない者は襲わない」という低知能とも思える習性があるため、巻きぞえ吸入さえさければ対処しやすいと感じます。
くらげ、大王イカ等に形状進化したGジャンですが、あれが最終形態なのかは不明。形態変化する様子は『シンゴジラ』、浮遊する巨大くらげは『シンエヴァンゲリオン劇場版』の使徒にも見えるので、シン最新作かと錯覚。
映画『NOPE ノープ』私の感想と評価
『ゲットアウト』『アス』のジョーダン･ピール監督らしく「変なホラー映画」ですが、予測できないストーリー、何考えてるか不明な人々、容赦ない残虐性、メタファーや伏線の数々などは健在で楽しめました。
一方、ホラー映画というより宇宙生物の侵略SF映画なので怖さは皆無で、子どもが思いつきそうなネタを堂々と披露された感じです。意外とありそうでなかった？結論だけど、思いついても誰も着手しなかったというのが正しそう？
飛行生物の意外性はともかく「おごる人類が別生物を軽視して復讐されることへの警鐘」というテーマは感じます。「現代の闇」もこれでしょうね。全体的につかみどころない映画で、自分が好きか好きじゃないのか、すぐ決められません。
『シンウルトラマン』が出てもおかしくない世界感で、庵野秀明のシンシリーズと似た描写も数点あるので、監督は観てるかも？個人的には「アス＜ NOPE＜＜ ゲットアウト」ですが、ネタSFとして語られる映画になる可能性も…
私の評価 65/100（60が平均）
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