『ブレット・トレイン』感想ネタバレ解説考察/結末は?勝者は?過去の因縁とは?
伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」映画化。世界一運の悪い殺し屋がうけたのは、東京発の超高速列車での盗み。簡単な仕事のはずが次々に殺し屋に狙われ、最悪のボスがいる京都へ…。黒幕は誰?京都の先に何が?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ブレット・トレイン |
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日本公開日 | 2022/9/1 [予告] 上映時間:127分 |
製作国 | アメリカ、日本、スペイン |
原題/英題 | Bullet Train |
監督・キャスト | デヴィッド・リーチ[キャスト] |
映倫区分 | 日本:R15+(15歳以上) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント/87North Productions、CTB Inc.、Fuqua Films、コロンビア ピクチャーズ |
日本興行収入 | 13.5億円 (年間29位) |
世界興行収入 | 2.3億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 70(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | アクション/スポーツ/冒険映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- てんとう虫/レディバグ(ブラッド・ピット。堀内賢雄)世界一不運なベテラン殺し屋
- レモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー。関智一)黒人イギリス人の殺し屋。タンジェリンの仲間
- 王子/プリンス(ジョーイ・キング。山本舞香)イギリス人の女子学生の殺し屋
- 長老/エルダー(真田広之。井上和彦)サムライのような剣術に優れた殺し屋。木村の父親
- ミカン/タンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン。津田健次郎)イギリス人の殺し屋。レモンの仲間
- ホーネット(ザジー・ビーツ。フワちゃん)アメリカ人の殺し屋。毒針注射を使う
- オオカミ/ウルフ(ベニート・A・マルティネス・オカシオ。木村昴)メキシコ人の殺し屋
- 白い死神/ホワイト・デス(マイケル・シャノン。立川三貴)世界最大の犯罪組織のリーダー。鬼面をかぶってる
- 木村雄一(アンドリュー・小路。阪口周平)日本人の殺し屋
- サン(ローガン・ラーマン。吉野裕行)ホワイト・デスの息子
- マリア・ビートル(サンドラ・ブロック。米倉涼子)レディバグに仕事を依頼する仲介業者
ネタバレ感想『ブレット・トレイン』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は伊坂幸太郎の小説?監督とブラピや真田広之のキャスト
映画『ブレット・トレイン』の原作は、日本の伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』です。原作小説での登場人物は全て日本人だが、映画『ブレット・トレイン』では木村家以外は全て外国人に変更されてます。
デヴィッド・リーチ監督は、最近では『デッドプール2』『ワイルドスピード スーパーコンボ』等の監督や、『ジョン・ウィック』の制作に関わってます。本作ではカメオ出演も。
主演のブラッド・ピット(通称ブラピ)は、最近は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『アド・アストラ』等に出演。『デッドプール2』にもカメオ出演。
アーロン・テイラー=ジョンソンは『TENET』やMCUのクイックシルバー役。真田広之は『アベンジャーズ エンドゲーム』『モータルコンバット』等に最近出演。
他に、チャニング・テイタムと、ライアン・レイノルズがカメオ出演してますよ。
タイトルの意味は?ブレットトレイン、マリアビートル
映画のタイトル『ブレット・トレイン』とは直訳で「弾丸 列車」(映画の冒頭でも表示)。先頭が銃弾の形に似てるという意味で「日本の新幹線」を表す英語でもあります。電車内で殺し屋たちが銃弾で殺しあう内容にもかけてますね。
ちなみに原作小説のタイトル『マリアビートル』とは「てんとう虫」のこと。てんとう虫は別英語で「レディバグ」とも言うので、映画版の主人公の名前はそこから。仲介業者のサンドラ・ブロックの本名はマリア・ビートル。
映画内でも語られますが、7つの点を持つナナホシテントウムシはこの世の7つの悲しみを背負うと言われ、それがキリスト教の聖母マリアとも重なるためマリア・ビートルと呼ばれてるとか。害虫を食べる益虫とされ、日本では天道虫とも書かれます。
ブラピを最初に襲うのは誰?ワタルを落とした真犯人は?
冒頭、何者かに屋上から落とされ入院した息子ワタルを見守る木村雄一。ワタルの祖父エルダー/長老(真田広之)は、息子から目を離した(←伏線)木村をしかります。一方、不運なレディバグ(ブラッド・ピット)は簡単な仕事を受けて東京発の新幹線に乗車。
レディバグは仲介業者の話を無視して銃は持たず。新幹線には、ブリーフケースと犯罪組織の京都ボス「白い死神」の息子を保護する殺し屋ミカン(アーロン・テイラー=ジョンソン)と、機関車トーマスおたくのレモンも乗車。
学生風の美少女プリンス/王子(ジョーイ・キング)も乗車。彼女は木村を呼び寄せ、入院中の息子ワタルを人質にとって、暴発する銃を使い京都の白い死神の殺害を依頼。ワタルを突き落とした真犯人もプリンス。
レディバグは依頼のブリーフケースを奪い、品川で降りようとすると、乗車してきたウルフ/オオカミにいきなり刺されて列車内で倒れます。スマホのおかげで命は助かり、格闘の末にオオカミはケースに跳ね返ったナイフが刺さり死亡。
以上が、序盤あらすじです。情報量も登場人物も多く、後に回収される伏線も散りばめられてますが、キャラは特徴的なので覚えやすいです。ウルフ/オオカミが、レディバグの降りる扉前で待てた理由は不明。世界一不運だから?
プリンス/王子がワタルを落として死ななかったのも偶然と思いますが、死んでれば人質にはできないので他の方法を使ったのでしょう。これ以外にも本作の多すぎる「偶然」はツッコミどころですが「運命」もテーマの1つなのでしょう。
ブラピが狙われた理由は?レモンが負けた理由は?
極貧のウルフはカルテルで出世したが、結婚式で花嫁もボスも出席者全員を毒殺されました。その式に出席してたレディバグが狙われたのだが、真犯人は別人(後述)。ブリーフケースを盗まれたミカンとレモンは、レディバグを探します。
そのすきに、ホワイトデスの息子は何者かに殺害されました。また降車できなかったレディバグは、レモンを倒してスマホを奪い、乗客(チャニング・テイタム)に黒眼鏡をあげて、トイレに隠れます。列車内を毒蛇も徘徊。
ミカンは、探知アプリでレディバグを見つけて格闘に。しかし次駅でホワイトデスの手下達にブリーフケースを見せるために協力。だが失敗し2人は列車へもどります。
一方、レモンはプリンスと木村を疑い、一方を撃つと宣言。木村は息子を救うため自分が撃たれます。その直後レモンは、レディバグが水に入れた睡眠薬がきいてきて倒れ、プリンスに胸を数発撃たれ、木村と共にトイレに放置。
中盤はもうメチャクチャ(笑)ウルフがレディバグの居場所を知れた理由は後述。護衛任務のミカンとレモンが2人とも息子から離れるのは無能すぎ。新幹線の停車駅ごとにホワイトデス部下がいるのも無茶な設定だが、後の種明かしで配置してたのだとわかります。
チャニング・テイタムのカメオ出演は予想外だが、サンドラ・ブロックと共に『ザ・ロストシティ』がらみでしょうね。ブラピは新幹線を降りられませんが、そもそもブリーフケースを探す様子すら見られず本筋は?となりますね…
レモンの方が圧倒的に格上とはいえ、反撃しないプリンスには殺し屋としてがっかり。と思ったが、プリンスは肉体派の殺し屋ではなく、暴発銃や爆弾ブリーフケースを作れる技術派の殺し屋なんですね。
ボス息子と結婚式の毒殺犯の正体は?ブラピが毒死しない理由?
レディバグは、自分を襲ったウルフの所持品を調べ、女殺し屋ホーネットの写真を見つけます。少し前、ホーネット(ザジー・ビーツ)はマスコットキャラ「モモもん」の中の人だったが、乗務員(福原かれん)に変装。
ホーネットは、レディバグを襲い毒針を注射するが自分も注射されます。彼女があわてて取った解毒剤をレディバグが横取りし解毒し、ホーネットは毒死。ウルフの結婚式とホワイトデスの息子の毒殺犯人の正体はホーネットでした。
一方、レモンの死体を見つけたミカンは「機関車トーマスの悪役ディーゼル」のシールが貼られたプリンスを犯人と断定して銃(プリンスが持ってた銃)を撃つが、暴発しミカン自身が死亡。レディバグは少女を守るため列車を降りず。
2人の隣へエルダー/長老(真田広之)が座ります。レディバグは不審に思うが、毒蛇にかまれてトイレへ。幸運にも解毒剤を注射してたので毒死せず。エルダーが孫ワタルを人質にした者を排除したと語ると、プリンスは逃亡。冒頭の「家族から目を離すな」の伏線回収。
中盤から終盤にかけては伏線回収のオンパレード。動物園を逃げた毒蛇と、その毒を使うホーネットが同じ新幹線に乗ってたのは偶然だが、毒使いが毒に耐性ない事や毒蛇が暗殺に使われなかったのは残念。誰か2人を噛んでブラピだけ助かると予想したのに。
序盤から存在感を発揮してた「ゆるキャラ モモもん」には絶対殺し屋が入ってると思ったが予想どうり。乗務員の福原かれんも殺し屋だと予想したのはハズレ。彼女も車掌のマシ・オカも、無事に京都で降りたことを祈るのみ。富士山って静岡駅の先?
全ての黒幕は?エルダーとプリンスの正体は?
エルダー/長老はかつて巨大犯罪組織ボス峯岸の友人だったが、ロシアから来たホワイトデスが峯岸を裏切ってロシアンルーレットで銃殺。木村雄一の妻も殺害され、エルダーはホワイトデスへの復讐を誓うがずっと近づけませんでした。
トイレに放置されたレモンは防弾チョッキのおかげで生存、木村雄一も生きてました。ミカンの死を知ったレモンは、レディバグと反目するが、エルダーの元で打倒ホワイトデスのため共闘。京都に到着すると、ホワイトデス一味が乗車。
プリンス/王子の正体は、ホワイトデス/白い死神の娘でした。彼女は父に相手にされなくて殺意を抱いたが、暴発銃の誘いにも失敗。新幹線に殺し屋を集め、息子殺害やボリビアの大量殺人を支持した黒幕はホワイトデスでした。
ホワイトデスは妻の殺害犯カーバーへの復讐を計画したが、不幸にも代わりに呼ばれたレディバグがねらわれます。その時、レモンが新幹線を京都から発車させ、同時にブリーフケースにプリンスが仕掛けた爆弾が爆発。一瞬だけ登場したカーバーは、ライアン・レイノルズがカメオ出演で演じてました。
いよいよのクライマックスは、裏社会の大物ホワイトデスが登場し、全ての謎が明らかに。といってもミステリーというほどではなく、謎だった部分のつじつま合わせって感じ。息子の殺害まで指示してたのは意外でしたが。
レモンが生きてたのは防弾チョッキや、殺しに慣れてない?プリンスの銃撃だったとしても、ベテランのレモンが木村を殺せてない理由はほしいですね。エルダーが息子の生存に気づいてた理由も不明。親子のカンのようなもの?
プリンスは誰かの娘だろうと予想できましたが、ホワイトデスの娘でしたか。少し意表はつかれたけど、それにより父を殺害したくなった理由は納得感が弱いです。ブリーフケースの爆発はビジュアル効果のためだけ?
結末は?京都ボスを倒したのは誰?プリンスの最期は?
レモンとレディバグはヤクザ達を倒しながら、超高速の新幹線を止めようとするが、他の新幹線をはじき飛ばして車体が削られても減速せず。レモンは敵と共に湖へ落下。一方、エルダーはホワイトデスと因縁の日本刀対決。
ヤクザ達を倒した木村は倒れるが、転がってきたペットボトル(レモンが購入しレディバグが睡眠薬入れ、様々めぐってきた)を投げつけ、そのすきにエルダーはホワイトデスに斬りつけます。その時、レディバグが新幹線を緊急停車。
京都風の街が破壊されるが、レディバグはモモもんの着ぐるみで衝撃を吸収し生き残り。主要人物達も生存。ホワイトデスはレディバグへ発砲するが、それは暴発銃で自分が死亡。エルダーはデスに刺さった日本刀を抜き、木村と去ります。
銃で皆殺しにしようとしたプリンスは、みかん配送車にひかれて死亡。その運転手は、湖へ落下し生存したレモン。相棒ミカンが、プリンスの暴発銃で死んだことへの復讐達成。仲介業者マリア・ビートル(サンドラ・ブロック)はレディバグの悪運で車を失い、2人は歩いて帰ります。
ラストの加速感は想像以上で好み。もっと早くからこのくらいの動きを見せてほしかったかも。新幹線が街へ突っ込んでも主要人物が無事なのは『名探偵コナン 緋色の弾丸』とかぶっててデジャブ。新幹線と衝突した分こちらが上?
転がってきたペットボトルが旅してきた感じとか、伊坂幸太郎の風味ですね。真田広之は、登場時間短いが存在感はバツグンでした。日本刀での勝負はもっと見たかったけど。京都ボスを倒したのは結局、娘のプリンスってことですね。
ラスト時点の生き残り乗客は、レディバグ、レモン、エルダー、木村雄一の4人のみ。車掌、乗務員、チャニング・テイタムの生存は不明、というか京都で降りたと信じたい。
映画『ブレット・トレイン』私の感想と評価
ハリウッド大作にありがちな大味アクション映画と予想したが、伊坂幸太郎の風味満載で、人間関係が複雑に交錯した伏線回収バトルは楽しめました。特に終盤の加速感はリアリティを無視した迫力で大興奮させてくれました。
一方、特徴的で覚えやすいとはいえキャラが多くて小刻みにシーンが切り替わるため、本筋を見失いがちでついて行くのがやっと。キャラの行動は速いが、シーン切替の多用により逆にスピード感は失われてるように感じました。
日本が舞台のわりに新幹線の車内では全く日本を感じられず、外の風景は「なんちゃって日本」だったのは、さすがにわざとでしょうね。昔のハリウッド映画にありがちな風景。ブラピの年齢が役とあってなかったのも気になりました。
また、立ち止まっての無駄な会話も長くて退屈した場面もちらほら。まぁそれがないと本当に殺しあいだけになるし、原作小説の持ち味を残したかったのもあるだろうから、そんな会話も含めて本作を楽しむ方がいいのでしょうけど。
日本からの真田広之は存在感あったし、ブラピ等も個性的でキャラ映画としては良いデキだと思います。個人的にはしつこいほどの伏線回収も好みだったし、アクションもそこそこ満足できたので平均点スレスレです。
私の評価 69/100(60が平均)
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