『THE BATMAN ザ・バットマン』感想ネタバレ解説考察/ヴィランと黒幕の正体や目的とは?
ブルースは、過去に両親を殺され復讐を誓い「バットマン」として犯罪者を退治してます。そんな時、権力者の連続殺人事件が発生し、知能犯リドラーはブルースの過去や父の罪も暴き出し…。標的はバットマン?父の罪とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | THE BATMAN ザ・バットマン |
---|---|
日本公開日 | 2022/3/11 [予告] 上映時間:176分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | The Batman |
監督・キャスト | マット・リーヴス[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース映画/6th&Idaho、Dylan Clark Productions |
日本興行収入 | 11.9億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 7.7億USドル [出典] |
製作費 | 1.0億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 79(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | DCU/DCユニバース一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ブルース・ウェイン/バットマン(ロバート・パティンソン。櫻井孝宏)素顔は億万長者。両親殺害の復讐を誓い、2年間ゴッサムシティの悪と戦ってる
- セリーナ・カイル/キャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ。ファイルーズあい)ネコスーツでゴッサムシティの権力者から盗む。ブルースに近づくが…
- リドラー(ポール・ダノ。石田彰)ゴッサムシティの権力者の連続殺人事件の知能犯。凶悪な謎かけを仕掛ける
- ペンギン/別名オズ(コリン・ファレル。金田明夫)悪党も集う高級ナイトクラブ アイスバーグラウンジの経営者
- カーマイン・ファルコーネ(ジョン・タトゥーロ。千葉繁)ゴッサムシティのマフィアのボス
- ジェームズ・ゴードン刑事(ジェフリー・ライト。辻親八)ゴッサム市警察の警部補。バットマンとつながってる
- アルフレッド・ペニーワース(アンディ・サーキス。相沢まさき)ウェイン家に仕える執事。バットマンの正体を知る唯一の人物
- ベラ・リアル(ジェイミー・ローソン。村中知)ゴッサムシティの市長候補
- アニカ(ハナ・ハルジック)セリーナのルームメイトでかつガールフレンド
ネタバレ感想『THE BATMAN ザ・バットマン』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
完全新作?続編は?監督とキャスト
映画『THE BATMAN ザ・バットマン』は、アメコミのDCコミックスのスーパーヒーロー映画『バットマン』を元にしてます。しかしDCEUシリーズ、『ダークナイト』『ジョーカー』とは別世界のリブート版だそうです。
マット・リーヴス監督は、映画『クローバーフィールド HAKAISHA』で注目された後、『猿の惑星 新世紀ライジング』『猿の惑星 聖戦記グレートウォー』も監督しました。
主演のロバート・パティンソンは、ハリーポッター映画シリーズのセドリックや、トワイライトシリーズを経て『TENET テネット』のニール役で広く知られました。
他の出演者も、ゾーイ・クラヴィッツ、ポール・ダノ、ジェフリー・ライト、コリン・ファレル、アンディ・サーキス、ジョン・タトゥーロなど、豪華なクセ者ぞろいなので楽しみです!
すでに続編『THE BATMAN ザ・バットマン2(仮題)』の製作が決定してます。またHBO Maxではスピンオフの前日譚ドラマシリーズ『ペンギン(仮題)』も予定されてるので、本作『ザ・バットマン』は観ておきましょう!
最初と2人目の犠牲者は?キャットウーマン登場?
犯罪が蔓延する街ゴッサムシティの大企業の御曹司ブルース・ウェインは、少年時代に両親を何者かに殺害されました。それ以後「バットマン」として武装し自ら「復讐」と名乗り、「恐怖」を犯罪の抑止力にすべく2年間活動中。
バットマンは、地下鉄のピエロ風チンピラ達も徹底的に痛めつけるが、助けた男性にさえおそれられます。バットマンは、ビジランテ(自警団)として警察にも歓迎されてないが、ゴードン刑事にだけは必要悪と認められています。
ある晩、市長が知能犯リドラー(Riddle:日本語「なぞなぞ」)に殺害され、バットマン宛の謎かけが残されました。続けて、ゴードン刑事の上司の警察本部長も殺害され、リドラーは2人の麻薬組織とのつながりもSNSや動画で暴露。
バットマンは謎かけ暗号と警察からの情報をもとに探偵し「アイスバーグ・ラウンジ」にたどりつきます。ペンギンと呼ばれる経営者は非協力的だが、出入りする女性セリーナ・カイルを追うと正体は泥棒キャットウーマンだと判明。
序盤のあらすじは以上。冒頭からずっと暗くて重い空気感です。もともと『バットマン』『スーパーマン』で映画では先行してたDCシリーズですが、近年はMCU(マーベル映画)の成功の影に隠れがちです。
しかし『ジョーカー』のヒットでダーク路線にかじをきるのでしょうか。地下鉄で一般人を襲うピエロ集団は『ジョーカー』信者と深読みしましたが、ラストまで観るとその可能性も高そうです(後述)。
リドラー、ペンギン、キャットウーマンが次々に登場するのは序盤の見どころですね。リドラーのなぞなぞは『ダークナイト』のような選択型でないし、謎解きや解答を聞いてもすっきりしないので映画向きではないかも。
3,4人目の犠牲者は?リドラーの正体と目的は?
最大の麻薬組織ボス「マローニ」は最近逮捕されたが、人気のヤク「ドロップ」は街中に蔓延。バットマンは、カメラ付コンタクトレンズをはめたセリーナをアイスバーグに潜入させ、ドロップ漬けの地方検事から情報を得ます。
犯罪者を賄賂でかばってた地方検事は、リドラーに爆弾をつけられ、市長の葬式の場に出されます。バットマンはなぞなぞ2つを解くが「マローニ逮捕時のネズミ(スパイ)の正体」を、家族を守るために答えなかった検事は爆破されます。
バットマンとゴードン刑事は、謎かけから「ネズミの正体は翼ある鳥ペンギン」と推理し麻薬取引現場に向かうが、激しい銃撃戦に。取引金を奪いに来たキャットウーマンは、行方不明のガールフレンドのアニカを遺体で発見。
バットマンは長いカーチェイスの末、ペンギンを捕まえるが今回の犯人としては不発。もらったヒントで
ブルースの両親が運営した孤児院の廃墟へたどりつき、リドラーがその孤児院出身者でウェイン家をうらんでると判明。執事アルフレッドが爆破に巻きこまれて重傷。
ついにリドラーの正体も明かされ、目的は「裕福な者たちの都合で放置されたうらみ」とわかります。両親を殺されて孤独になったブルース少年は高層マンションで不自由なく暮らし続けたが、リドラーら孤児は忘れ去られて地獄の日々でした。
リドラーのなぞなぞは英語圏向けってのもあるけど、問題と回答だけで考えても面白みがなくて残念。バットマンが即答できてるのはウケました。リドラーと思考が似てるってことでしょうか?ペンギンも存在感はあるが役割は微妙。
アニカの遺体も唐突すぎました。ペンギンとのカーチェイスは『THE BATMAN ザ・バットマン』で一番の見どころアクションシーンでしたが、ワイスピとか見慣れてると長すぎるし何か物足りません。
ブルース父の罪は?キャットウーマン出生の秘密?ネズミは誰?
リドラーは、ブルースの父トーマス・ウェインのスキャンダルを暴露。妻マーサが精神病だった過去を記事にしようとした記者を、トーマスがファルコーネに殺害させたのです。実際はそこまで指示しなかったトーマスは、事実を公表しようとして妻と共に殺害されました。
キャットウーマンことセリーナも、恋人アニカを葬ったのがファルコーネだと気づきます。セリーナはバットマンに、ファルコーネが父であると白状します。セリーナは、アニカ殺害現場での音声記録を世間に公表。
ネズミでもあったファルコーネ(ファルコンも鳥)は逮捕されるが、リドラーに射殺されます。逮捕されアーカム精神病院に収容されたリドラーは、ブルース殺害の失敗は残念がるが、悪を裁くバットマンには共感。共闘を持ちかけるが断られます。
終盤に様々な事実が明かされますが、会話によるものが多いし、そもそも予想の範囲内なので意外性は低いです。セリーナの父がファルコーネだったことに一番驚かされたけど、知りたい謎ではないため唐突でした。バットマンが、セリーナの「父殺し」を止めた展開はよかったです。
ブルースが、父の市長選中の黒歴史や、ファルコーネが両親殺しの犯人だったことに今まで気づかなかったのは納得できません。少なくとも、ファルコーネとの関係を知ってたアルフレッドは気づけたはず。
人生を「復讐」にささげてきたバットマンが、復讐相手ファルコーネの亡きがらを見る姿はさみしそうでした。と同時に、あの時点からラストでの「復讐の終わり」が始まってたのでしょう(後述)。
最後の敵集団の正体は?続編でジョーカー登場?
バットマンは、リドラーの部屋を捜索し、ゴッサムシティ周囲の防波堤の破壊計画をつきとめるが、止める時間はありません。また、リドラーのSNS信者達が集団で、新市長候補ベラの暗殺をねらいます。
バットマン、キャットウーマン、ゴードンの警察部隊の奮闘でベラを守りぬきます。しかしゴッサムシティは大洪水に。バットマンは一度倒されるが、アドレナリン注射で復活。興奮で敵を殺しそうになるが、ゴードンに止められます。
その敵のマスクをはがして犯行の理由を問うと「復讐」と。バットマンは自分と同じ目的の人間を見て、今度は「希望」になろうと改心し、洪水で苦しむ市民の人命救助を始めます。そしてそこからゴッサムシティを変えようと思ってます。
一方、キャットウーマンはゴッサムシティに見切りをつけて街を去ります。バットマンは、キャットウーマンに心ひかれながらも街に残ります。アーカム精神病院のリドラーは計画失敗に叫ぶが、ジョーカーらしき人物と意気投合。
結末はここまで。リドラーの部屋の捜索時、冒頭で市長を殺害した凶器「じゅうたん用の金属ベラ」が伏線回収されます。最後の敵集団は、リドラーのSNS信者達でしたが、孤児院の生き残り達の方がよかったのでは。
監督や脚本家の意図したのは「SNSの安全圏から人をたたきまくる集団」を具現化したかったのでしょうけど、あんなにリスクしかない場に出てくるとは考えづらいです。ただし現代的なテーマは感じられます。
ゴッサムシティが洪水で沈むという結末には驚いたが、続編はここから始まるのでしょうか。リドラーが会ったジョーカーらしき人物(俳優はバリー・コーガン)は続編のヴィラン?映画『ジョーカー』との関係も気になります。冒頭のピエロ集団はジョーカー信者でしょうね。
映画『THE BATMAN ザ・バットマン』私の感想と評価
バットマンがヴィランを倒すだけという、ヒーロー映画のテンプレを大きくはずし、謎解きを重視する展開は斬新で見ごたえもありました。キャットウーマンとの関係性(キスは不要だが)、リドラー、ペンギンの魅力も充分です。
一方、物語の進行がムダに遅くて、3時間の長尺映画も歓迎な私でさえ長すぎると感じました。リドラーの謎かけは面白みも意外性も少ないし、ミステリー映画としては不満です。アクション映画としても過去作より弱いですし。
俳優女優の演技はみんな素晴らしかったです。特に闇とともに生きるブルースを演じたロバート・パティンソン、狂気のリドラー演じたポール・ダノ、かわいさと強さを共存させたキャットウーマンのゾーイ・クラヴィッツは観る価値大。
ゴードン警部補を演じたジェフリー・ライトや、ペンギン演じたコリン・ファレルもよかったが、ペンギンの存在意義は微妙でしたね。ドラマ版への布石かな。ジョーカー登場だけでなく俳優がバリー・コーガン(『エターナルズ』のドルイグ役)だったのはダブルで驚きました。
既にアメコミ映画として大成功のMCU(マーベル映画)と違う方向性にしたのは英断だと思います。続編も決まったし、今これを作れるDCの底の深さには驚嘆とともに今後も期待したいです!
私の評価 66/100(60が平均)
シリーズやジャンル⇒DCU/DCユニバース一覧