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映画『冷たい熱帯魚』評価は?ネタバレ感想考察/平凡から人を透明にする殺人関与へ

映画冷たい熱帯魚

『冷たい熱帯魚』あらすじ概要

いくつかの実話を混ぜて映画化。小さな熱帯魚店を営む社本信行は、妻と前妻の娘にはさまれながらも2人の仲の悪さを解決しようともせず静かに暮らしていた。ある日、娘がスーパーで万引きするが、店長と顔見知りの村田によって許される。大型熱帯魚店を経営する村田は、社本の娘..(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 冷たい熱帯魚
平均評価★★★★★72私の評価↓は含まず)
日本公開日 2011/1/29 [予告↓]上映時間 146分
映倫区分日本 R18+(18歳以上)
映画監督園子温
キャスト
出演者
吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり
配給/製作/画像©日活/日活
日本興行収入公表後すぐ更新(興行収入ランキング

『冷たい熱帯魚』予告動画

ネタバレ感想『冷たい熱帯魚』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★69/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

『冷たい熱帯魚』は、平凡に日常を暮らす男が、ふとしたきっかけで世にも恐ろしい猟奇殺人事件に巻き込まれていく過程を描いた、サスペンス・スリラー映画です。R18指定で、殺人や性描写の様子が生々しいため、そういうのが苦手な人は注意してください。

この映画のおすすめ、6つのポイント

  • 誰にでも起こりえそうな恐ろしい事件
  • 実話の一部だとは信じがたいほど凄惨
  • 優しく近づいてくる人を疑いたくなる
  • 人が思考停止させられ狂う過程を見られる
  • 自分ならどうするか考える
  • 事なかれ主義がまねく悲劇
映画冷たい熱帯魚

少し残念?つっこみどころ、3つのポイント

  • 解体処理が生々しすぎる
  • 警察は山小屋まで尾行すべき
  • 村田、愛子の動機がよくわからない

ネタバレ感想や結末

『冷たい熱帯魚』は、実話のいくつかの事件がもとになっています。映画での主犯格の村田夫妻は狂ってるようにも見えるけど、普段は一般人よりも物腰がやわかくてやさしいです。それでだまされた社本やその家族たちが、どんどん巻き込まれていきます。

社本は前妻とは死別して、年頃になる娘と若い後妻と一緒に、熱帯魚店を経営しながら暮らしてましたが、娘と妻は仲がよくなくて、家庭内の雰囲気は最悪です。社本は努力して改善しようともせず、日々をただやり過ごしていたのが、さらに悪い結果につながりました。

娘が万引きして、村田の好意で許してもらった時、社本は村田に対して大きな恩を感じます。だからそれ以後、村田の申し出を1回も断れなくなります。そもそも村田は社本のことを知ってたし、同じ熱帯魚店なので、以前から目をつけていたのだと思います。

まずは娘をバイトで雇います。不良になりそうだったので、この申し出はとてもありがたいですね。でも実質これは「人質」です。やがて妻も村田のとりこになっていきます。

機が熟すと村田は本性をあらわしてきます。社本に利益率の高い高級魚ビジネスをすすめてきて、まずは同席するだけでいいと言ってきます。この時点ではあやしいと思っても、さすがに初回の会合であんなひどいことになるとは、誰も予測できないです。

村田はお金を持ってそうな吉田に高級魚ビジネスの出資をお願いします。しぶる吉田に対しては、高圧的に話したり、突き放したりしながら、巧みに現金を支払わせます。そして契約書に署名したらすぐに殺してしまいます。

この話術とためらいのない実行力が村田の武器だといえます。また、社本に対しては考える時間さえ与えず、放心状態のうちに話術とおどしで共犯者にしてしまいます。村田を演じた、でんでんの演技力はリアルを通りこしておそろしいです。

村田の妻の愛子もこのへんから本性を現して、その変わりぶりはもはやホラーの領域です。社本は村田夫妻とともに死体を車で運搬して、人の来ない山小屋の教会?へ向かいます。ここでの解体シーンは、洋画・邦画をあわせても類のないくらい恐ろしい光景です。2回は見たくないです。

村田の名言「ボディーを透明にする」は実際の容疑者も言ってたそうです。風呂場で肉と骨を分けて、肉は川に流して魚のエサにしますが熱帯魚店と重なります。骨はしょうゆを付けドラム缶で焼いてお骨のように山にばらまきます。これで人間の形跡は全く残りません。

この『冷たい熱帯魚』で一番気になったのは、この山小屋の時点で社本には逃げる機会があったのに逃げなかったことです。思考停止してたり、恐怖で足がすくんでたと考えることもできますが、あんなにフリーだったのに警察すら呼ばなかったのは不思議です。

あと、村田の動機も気になりました。契約書に署名したのなら殺す必要なんてない気がしますが、そもそも最初から全取りするつもりだったのでしょうか。吉田も舎弟は暴力団っぽかったし、殺すのはリスクが高すぎる気がするのですが。

社本には警察も接触してきますが、映画の警察は無能なのがお約束なので、山小屋まで尾行してきません。村田は子どもの頃にも同じ山小屋?に来たことがあるそうなので、警察がちゃんと調べれば何か出てきたと思うのですが。

村田の妻の愛子の演技もすごかったです。最初の軽薄だけど優しそうな感じから、ヤクザのような話し方に変化します。彼女の動機も不明だけど、ラストの世渡り上手感から、強い者には絶対服従する犬キャラなのだと思います。

だから愛子は、自分より強い村田が、抱かれろや殺せと言うと、そのとおり忠実に実行します。筒井弁護士と運転手の2人を、愛子と社本に殺害させるのは、さすがに無理があり、つなわたりでしたが。

結末/ラストシーン

村田は自分を絶対的な存在に考えていたからか、社本を完全に奴隷化できたと思ったからか、わりと無防備な状態で社本を挑発します。自分の妻の愛子を抱け!とか、どういう意図かさっぱりわかりません。

でもあの場面で社本が愛子と村田を刺した時、スカーとしたのは私だけではなかったはずです。社本の抑圧された気持ちが爆発したのでしょう。それをよめなかった村田はガードが甘すぎる気がします。死体処理はあれだけ用心深いので、キャラ設定がアンバランスに感じます。

この時、愛子も社本も完全に狂ってますね。社本は家族に対して我慢してたことも爆発します。この家族に対しての結末は、村田に会わなくても、いずれ起こった可能性が高いです。

ラストで警察が社本の妻と娘を連れてきたのは変ですが、警官の誰も血まみれの社本を見張らないのはあり得ないです。狂った社本は父性本能なのか、娘の美律子だけは殺さず自殺します。その社本を笑いながら蹴る美津子はこわいです。彼女も既に狂ってますね。

このように、なかなか血なまぐさい映画なので、大衆受けしないし、万人におすすめもできませんが、『愛のむきだし』と並んで園子音監督の代表作になるでしょうから、気になる人はぜひ観てください!

他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

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