映画『ぼくらのよあけ』感想ネタバレ解説考察/結末は?ミッション内容とは?
西暦2049年。小学4年の沢渡悠真(さわたりゆうま)は地球に大接近の彗星に夢中に。家のAIロボ・ナナコがハッキングされ、犯人の宇宙人は悠真たちにあるミッションを頼むのだが…。宇宙人は帰還できるのか?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ぼくらのよあけ |
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日本公開日 | 2022/10/21 [予告] 上映時間:120分 |
監督・キャスト | 黒川智之[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | ギャガ、エイベックス・ピクチャーズ/ゼロジー |
日本興行収入 | 0.1億円 興行収入ランキング |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 65(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | SF/ファンタジー映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ナナコ(悠木碧)家庭用の人工知能搭載オートボット
- 田所銀之介/銀くん(岡本信彦)悠真の友達。小学6年生
- 河合花香/ほのか(水瀬いのり)クラスメイトには馴染めない小学5年生
- 二月の黎明号(朴璐美)謎の無人宇宙探査機
- 沢渡悠真/ゆうま(杉咲花)主人公。小学4年生。オートボットのナナコが苦手
- 岸真悟(藤原夏海)悠真のクラスメイト。わこの弟
- 岸わこ(戸松遥)花香のクラスメイト。花香を敵視
- 沢渡はるか(花澤香菜)悠真の母
- 沢渡遼(細谷佳正)悠真の父
- 河合義達(津田健次郎)花香の父
- 岸みふゆ(横澤夏子)真悟とわこの母
ネタバレ感想『ぼくらのよあけ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は漫画?杉咲花が主人公の声優?
映画『ぼくらのよあけ』の原作は、今井哲也のSFジュブナイル漫画『ぼくらのよあけ』(2011年に連載)の全2巻です。SF賞「星雲賞」の候補に選出。
声優は、悠木碧、藤原夏海、岡本信彦、水瀬いのり、花澤香菜に加え、主人公を女優の杉咲花がつとめます。
謎の団地の正体とは?
阿佐ヶ谷団地に住む小学4年生の沢渡悠真/さわたりゆうま(声:杉咲花)は、接近中の彗星やロボットが大好きだが、なぜか家庭用AIオートボットのナナコ(声:悠木碧)には反発。ある日、石を団地の屋上へ投げると何かが反応。
放課後、クラスメイトの岸真悟、6年生の田所銀之介=銀くんとTVゲームしてると、真悟の姉・わこが「友達少ない」とイヤミを言います。ナナコが悠真を迎えに来るが、道中で謎の光をあびてて、悠真と会話中も処理落ちするが復帰。
しかしハッキングされたナナコは、取り壊し中の団地の屋上へ悠真たちを導きます。その団地の1棟は丸ごと「ニ月の黎明号」と名乗る宇宙船で、1万2000年かけて地球へ不時着し休眠してたが、故郷星への帰還を手伝ってほしいと頼みます。
以上が序盤あらすじ。彗星の存在や、主人公の声優を女優がつとめる点などが、新海誠の『君の名は。』と共通してて、影響作が増えてると感じます。いい面もあるけど、二番煎じが多く興行収入も惨敗が続いてるのが心配。
主人公の声優をつとめた杉咲花に責任はないが、がんばりすぎてる感が目立ちすぎてキャラにはあってない気がしました。それでも『君の名は。』級のストーリー展開なら帳消しにできるのですが、そうではないので違和感が持続。
「宇宙船が団地に擬態」という設定は斬新ではないが面白く、先の展開は気になりました。AIオートボットの存在もこの物語のキモですが、宇宙船、彗星、AIロボとSF設定を欲張りすぎてあまり有効活用できてなくて残念。
ナナコがハッキングされた理由?3つ目コアは誰が?
惑星「虹の根」の海底で動かず暮らしてた知的生命体は「知りたい・つながりたい・伝えたい」という欲求を満たすため、各方面へ無人探査機を発射。その1つ「ニ月の黎明号」は太陽風で故障し、27年前に地球に不時着。
「ニ月の黎明号」は、不時着前に「人工衛星SH3」のAIに接続して救われました。ナナコがハッキングされた理由は、SH3と同系のAIを搭載してたから。黎明号は「3つ目のコアが見つかれば故郷星へ帰還できる」と。
その3つ目のコアの持ち主は、小学5年生の河合花香/ほのかだと判明。悠真たちと合流した花香は好奇心から協力する意志を示すが、いじわるクラスメイト岸わこが真悟の姉だと分かると悠真たちから去り連絡も絶ちます。
以上が中盤あらすじ。惑星「虹の根」から発信した宇宙船の様子は冒頭でも語られました。また、序盤から繰り返された「SH III」の役割も、同系AIのナナコのハッキングという形で回収されます。
サブストーリーとして、花香とわこの関係性がクローズアップされますが、個人的には不要と感じました。人類の争いの歴史の縮図のような関係ですが、SNS依存・自己承認欲求・周囲の目などテーマが多すぎて焦点がボヤけてます。
結末は?宇宙船は出発できる?ナナコの運命は?
学校内外で花香に猛アピールした悠真たちは、花香の父・河合義達に注意されるが、義達は「二月の黎明号」にくわしいようです。自分の頑固さをかえりみた花香は、悠真たちに協力しようとするが、わこと遭遇。
わこは、花香と一緒の所を見たクラスメイトから仲間はずれにされ、いらつきを花香にぶつけます。花香は去りぎわに真悟を押して屋上から落としかけます。駆けつけた悠真の母により、黎明号は再び眠りに。
27年前の2022年に黎明号を救ったのは、悠真の両親と花香の父の義達でした。3人はコアを1つずつ持ち、いずれ黎明号を帰還させる誓いをたてたが、大人になりあきらめてしまいました。義達の足が不自由なのは悠真の母のせいでした。
悠真達はあきらめず帰還に必要な大量の水を用意し、トラブルも仲間で解決。花香と真悟も加わり「ニ月の黎明号」は1万2000年の帰還旅へ出発。人間にウソついたためリセットされるナナコの記憶も、黎明号と共に「虹の根」への旅に同行。
以上が終盤からラスト結末へのあらすじ。故郷へ帰還する条件がコア以外に「水だけ」なのは、小学生の主人公にあわせてると感じますが、簡単すぎて拍子抜け。大雨の水を貯めてれば数ヶ月で可能なのでは?水を隠せないのかな?
『真夏の方程式』で登場したペットボトル・ロケットの伏線も回収されましたね。27年前に黎明号を眠らせたのが、悠真の両親だったのは、コア所持から偶然ではないにしてもかなりのご都合主義に思えて意外性は感じなかったです。
悠真の母が花香の父に告白された時、屋上から落としてしまい足を不自由にしたサブストーリーも、いまいち有効には感じませんでした。告白ではなく、黎明号の帰還をめぐってのトラブルの方が興味深く描けたと思うのですが。
「SH IIIが宇宙船の存在を人間にだまってたこと」も伏線でした。その同系AIの「ナナコも黎明号の存在を他の人間に内緒に」。それによりナナコは宇宙船と共に旅立つことになるが、悠真との別れはあざといが涙させられました。
映画『ぼくらのよあけ』私の感想と評価
新海誠『君の名は。』の二番煎じ作品、今年だけでも数作目ですが、どれもそこそこの水準に達してるのは底上げを感じます。一方で、本作だけでの特徴があるかと考えれば、あまりなかった気がして残念。
SF設定も聞いたことある内容ばかりだし、宇宙人を故郷へ返すというメインストーリーも『E.T.』から数えきれないほど観てきてるので、その先の何かを見せてもらえないと物足りなさを感じます。主人公の声も気になりました。
数々の伏線回収はていねいで見事。主人公を高校生にして「水」より難易度高いミッションを課してほしかったけど、対象が小学生だとすると、わかりやすくてSFの入門作品としては最適だと思います。
私の評価 62/100(60が平均)
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