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映画『海獣の子供』評価は?ネタバレ感想考察あらすじ/海空は何の象徴?隕石や人魂や星の正体は?

映画海獣の子供

『海獣の子供』あらすじ概要

ひまな夏休みに突入した琉花(るか)は父の水族館で、ジュゴンに育てられた海という少年と出会い、同じ境遇の兄の空とも知り合います。やがて「祭りの本番」が近づき、くじらや海の生物がさわぎ、流れ星も…。宇宙は人?抽象か科学か?(ネタバレあらすじ↓)

映画名/邦題 海獣の子供
平均評価★★★★★70私の評価↓は含まず)
日本公開日 2019/6/7 [予告↓]上映時間 111分
映倫区分日本 G(年齢制限なし)
映画監督渡辺歩 [キャスト↓]
配給/製作/画像©東宝映像事業部/STUDIO4℃
日本興行収入4.5億円興行収入ランキング

『海獣の子供』予告動画

キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

安海琉花(芦田愛菜。るか)
女子中学生。運動能力はあるが気持ちを言葉にできない。夏休みに海と空と出会う
(石橋陽彩)
ジュゴンに育てられ保護された少年。乾燥に弱いので水中を好む。水族館で琉花と出会う
(浦上晟周)
海とともに保護された中性的な少年。海より乾燥に弱い。アングラードらに体を調べてもらってる
ジム・キューザック(田中泯)
海や空や「祭りの本番」を調べる科学者
アングラード(森崎ウィン)
若き天才海洋学者。ジムの弟子だが、違う角度から海や空を調べる
デデ(富司純子)
海の何でも屋を自称する日に焼けた老婆。ジム、アングラードとも知り合い
安海正明(稲垣吾郎)
琉花の父親。水族館で勤務。ジムの研究も手伝う
安海加奈子(蒼井優)
琉花の母親。ビールを飲む生活で、夫の正明とは別居状態

『海獣の子供』ネタバレあらすじ

この先はネタバレありのあらすじです。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

夏休みにハンドボール部で活躍する安海琉花(声:芦田愛菜。るか)は、部員とのトラブルで部活を離れ、父(稲垣吾郎)が務める江ノ島の水族館へ行きます。そこで海(石橋陽彩)というジュゴンに育てられた少年と出会います。

琉花のファーストキス?相手は?(ネタバレあらすじ)

ある日、琉花は「海」に誘われ「人魂=流れ星」を見ます。海「光るものは見つけてほしいんだ」。海の兄の空(浦上晟周)にも会うが、皮肉屋で気が合いません。別の日、アル中気味の母(蒼井優)から逃げて、琉花は海空と沖へ行きます。

そこでジンベイザメの大群と泳ぐが、取り残された琉花は船に救出され母親に叱られます。人魂が海へ落ちると、海の生物が集まったり、深海魚が打ち上げられたり、ザトウクジラが歌ったりして、研究者ジムは「祭りの本番」が近いと言います。

琉花と「海」はある海岸で「空」を見つけ、3人でジュゴンと遊びます。夜、高熱の「海」に琉花は子守唄を歌い、「空」と夜光虫で満たされた海に入ります。「空」は琉花にキスし隕石を口移しして「海に渡して」と言い、光りながら去ります。

海の中心で愛をさけぶ?(ネタバレあらすじ)

水族館の魚はあるクジラの方に向きます。琉花は言葉を失った「海」と、デデの船でザトウクジラへ向かいます。「海」はタツノオトシゴになり、琉花はクジラに飲まれ、「空」の声「隕石が目覚めた。琉花の役目は終わりだ」を聞きます。

「海」は琉花から隕石を取り出して飲み込み、細胞分裂して赤ちゃんのようになり、琉花は抱きしめるが光になって消えていきます。琉花は両親に見つけられます。別の日、デデは琉花に「私もあなたの年に、海で少年に出会った」と言います。

父とのコミュニケーションを回復させた母は、琉花の妹か弟を産みます。琉花はへその緒を切り「生命を断つ感触」と言います。琉花は部活でケガさせた女子と再会して、微笑みながらボールを返します。

ネタバレ感想『海獣の子供』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★64/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

原作漫画・監督・芦田愛菜など声優について

『海獣の子供』は、五十嵐大介によるマンガを原作としてます。五十嵐大介は『リトル・フォレスト』『魔女』『カボチャの冒険』などで知られた漫画家です。ちらっとしか読めてませんが、かなり独特な雰囲気の作品が多いです。

監督の渡辺歩は、ドラえもんのテレビ版や劇場版に多く関わってきた人で、最近ではTVアニメ『恋は雨上がりのように』の監督や絵コンテ等で知られてるようです。『ハウルの動く城』の原画にも関わったけどノンクレジットぽいです。

声優では、主役るかを芦田愛菜が演じてますが、エンドロールまで気づかなかったほど上手で驚きました。実は子役時代は見たことないです。『パシフィックリム』出演も後で知ったほど。公開中の『ゴジラ キングオブモンスターズ』の娘マディソンの声優もやってます。

海の石橋陽彩、空の浦上晟周、父の正明の稲垣吾郎も良い感じでした。デデの富司純子は年齢や外見のわりに高い声だと感じました。芸人と結婚で話題の蒼井優は、声優でもうつっぽい母親役ですか(笑)

ジムの田中泯はさすが。アングラード役の森崎ウィンってどこかで聞いた名前だと思ったら『レディ・プレイヤー1』でガンダムに乗った人(の声)でしたか。芦田愛菜とはロボットつながりですね。

映画海獣の子供

映像表現・米津玄師『海の幽霊』や久石譲の音楽

予告編を観た時点から、2019年で2番目に期待の邦画アニメとなってました。ちなみに期待の1番目は新海誠の『天気の子』。実際に何位になるかは年末までのお楽しみですが、海洋や魚類や海獣の映像表現は高水準で大満足です。

序盤の陸での描写も決して手抜きではないけど、海シーンを観た後に陸シーンを観ると物足りなく感じます。最初の靴の描き方が気になったけど、ラストで新しいシューズを履いた時には本当に新品に見えたので古さを表現してたのでしょうね。

特筆すべきは海の生物の動きが本物に近いこと。くじらやジンベイザメ、ジュゴンなどの海獣、マンタやエイ、イルカやサメ、ウミガメ、深海魚、サーディンラン(いわしの大群)等。リアルさでは『ファインディング・ドリー』を越えそう。

私は海の生物が大好きで、実際の海でもスキューバダイビングで、大量のサメやジンベイザメ、マンタやウミガメ等を見てきました。その様子をここまで再現した映画は他に思いつきません。熱帯夜には天井に映して眺めてたいほどの映像です。

主題歌は「Lemon」が大ヒットの米津玄師「海の幽霊」YouTube⇒)ですが『海獣の子供』のテーマにぴったりです。ヘビロテしてます。米津玄師は『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(アニメ映画)』のテーマ曲「打上花火」も大好きです。

音楽は数えきれない作品に関わる久石譲が担当してます。『海獣の子供』の世界観を表現するような、壮大だったり静かだったりする音楽を場面にあうように聞かせてくれます。久石譲はNHKスペシャルのイメージも強いので、宇宙や人体を連想させる本作にはぴったりです。

テーマは「宇宙や生命の誕生とどこへ向かうのか」かな?

テーマはこれです!と明言できるアニメ映画ではありません。美術館で見るピカソや抽象画や宗教画を見て何を感じるかは、人それぞれ、同じ人でも時期によって変わるように『海獣の子供』に感じるテーマも、人や時間によって違いそうです。

それを承知であえて今の私が感じたテーマは「宇宙と人体の類似性」「生命の誕生」「命はどこから来て、どこへ向かうのか?」などです。生命を構成する細胞や核が、宇宙や星々に似てることは多くの映画や本でも語られています。

『新世紀エヴァンゲリオン』や『エウレカセブン』でも受精や妊娠を連想させる世界観が描かれていました。『海獣の子供』では「隕石は精子」と明言してます。「空」が人魂と呼ぶ隕石を捕まえ、琉花がクジラ体内に運び「海」が食べて細胞分裂が始まり新しい生命(宇宙)が誕生します。

人魂とはそのまま「人の魂」だったのです。その人魂はどこから来るのかというと「別の宇宙」すなわち「別の人体」から送り込まれるのです。琉花の父と母が再び愛し合い「地球=子宮」に隕石が送り込まれ、結果「新しい宇宙」つまり琉花の弟か妹が生まれてハッピーバースデーの歌が流れました。

どこへ向かうのかというと「再び新しい宇宙」を作ろうと考えるのでしょう。ラストで琉花は、部活でケガさせた女性にあやまりコミュニケーションを取り戻しそうですが、そのことで新しい男性との出会いが生まれるのかもしれません。

最初に書いたとおり上記は「現時点の私の中だけでの考察」なので、その解釈は間違いだ!と言われても私の中では正しいのです。これと違う感じ方をした人は、その感じ方が正しいと思うので大切にしてください。

海と空と琉花の正体・祭りの本番とは?(大胆な仮説)

これも解釈は人によってそれぞれ、ということを前提にあくまでも私だけの考察を書いてみます。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を「使徒(精子)がリリス(卵子)に到達し受精すると役目を終える人類(微生物)があがく物語」と過去に考察した内容とも似てきます。

人魂こと隕石=精子、つまり人の魂の元が「地球=子宮」に流れてくることを感じた「空」は捕まえて、琉花にキス移しで預け「空」自身は海の彼方へ消え去ります。「空」の役割は「精子に生殖機能を持たせる」ことであり、男性を象徴しています。

すると対になる「海」の役割は「卵子に生殖機能を持たせる」ということなのに、なぜ「空」が直接「隕石=精子」を預けなかったかというと、「海」が発熱して寝込んでたことが関係してそうです。

「海」はその時期(祭りの本番)がくるまでは「隕石=精子」を受け取れないので、「クジラの体内=卵巣」へ運ぶ役割を、琉花が果たしたのです。「卵子と一体化した海」は、卵巣で精子を受け取り受精となり、細胞分裂を繰り返し「海⇒産み」へつながります。

琉花だけが消滅せずに残った理由は不明ですが、なんでも屋の老婆デデが昔同じ役割を果たしたとほのめかしてたので、次の受精時に「琉花の後継者(ゲスト)」を運ぶのは琉花の役目になりそうです。ちなみに水族館で「GUEST」の入館証をつけてたのは伏線ですね。

以上の考察から「祭りの本番」とは「受精や妊娠」のことだと考えます。愛する者どおしが交わった瞬間から、ザトウクジラ=卵巣が歌い始め、海=羊水が赤く染まり海洋生物がさわぎ出し、ジムら科学者の観測も始まります。

ラストで、琉花がへその緒を切ると「新しい宇宙=生命が誕生」します。琉花が「命を断つ感触がした」と発言したことは矛盾してそうですが、無理に解釈するなら「海」と「空」の命を断ったと考えられます。海空は新しい命の一部になったのかも。

「空」は琉花と出会った時から、男性が女性を誘うような話し方をしたり「海」よりやや攻撃的でした。一方で乾燥に弱く「海」より劣勢です。これは生物学的にも精神的にも「女性の方が男性より優位」であることを象徴するように感じます。

「空」だけが中性的で金髪な異国人風なのは「精子だけが外から入る異物」であることを象徴してるからと感じます。その「空」の元で研究しているアングラードも同じように中性的なのも興味深いです。

琉花の成長や家族再生の物語?

上の強引なミクロ仮説とは別に、琉花たちの人間ドラマとして捕らえた場合、コミュニケーションが下手で部活の時に部員をケガさせた琉花が、意志や感情を伝える鯨や海や空と出会い、伝えることの大切さを知り成長する物語とも見れます。ちなみに琉花のコミュ障は母からの遺伝ぽいですね。

海と空は、人魚のモデルのジュゴンに育てられ、陸に長く滞在できないという、リアルからかけ離れた存在ですが、琉花が本音で話せる親友なのは確かです。そして琉花を動かして、結果的に琉花の両親の仲を元に戻す役目も果たしました。

その後、琉花の弟か妹が産まれたので「海と空と琉花が新しい生命の誕生に貢献」したことは、上の仮説考察と同じ結果です。四人家族になった琉花の安海家は、海と空のおかげで見事に家族再生を果たしたのです。

一度は崩壊しかけた安海家で悩む琉花が追い込まれ、空想の産物「海と空の世界」に逃げ込んで、精神的なバランスを保ったとする説も考えたけど、それではジムやアングラードの存在がリアルすぎますね。

『海獣の子供』総括

『海獣の子供』視聴中は、理解しようと思って自分なりに解釈してたけど、中盤の極端にセリフが少なくなって以降は、絵画のようにただ眺めてました。視聴直後は、好きかそうでないかさえわからないほどボォ〜としてしまいました。

それから1日考えてたけど、私は芸術家ぽい思考は苦手なので、やはり自分なりに解釈してみました。私自身も他の人の考えを聞きたいと思ったので、そう思った人に私の考えを伝えられたらうれしいし、あなたの解釈も聞きたいです。

他に考えた解釈として、キリスト教などの宗教ベース説、その派生で空をアダム、海をイブとする創世記説、海と空が琉花のイマジナリーフレンド説、水族館の描写が『アクアマン』と似てるので琉花こそ海神説など。

『海獣の子供』は予告編から想像できるような直球のエンタメ映画ではなく、一般人にすすめたいという衝動はおきにくく興行収入的には苦戦しそうですが、2019年の邦画アニメとしては無視できない作品なので多くの人に観てほしいです。

他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

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