映画『来る』評価は?ネタバレ感想考察/その正体と原因とは?続編は?豪華俳優競演

『来る』あらすじ概要
日本ホラー大賞の澤村伊智の小説が原作。結婚して娘も生まれ、夫のイクメンブログも好調で幸せな夫婦を、謎の存在が襲います。やがてオカルトライター、霊媒師姉妹から国家機関も巻きこむ事態に...。幸せ家族の真相とは?光と闇の勝敗は?(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | 来る |
日本公開日 | 2018/12/7 [予告↓]上映時間 134分 |
映倫区分 | 日本 PG12(小学生指導必要) |
映画監督 | 中島哲也 |
キャスト 出演者 | 岡田准一、黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡、柴田理恵 |
配給/製作/画像 | ©東宝/東宝映画、ギークサイト |
日本興行収入 | 9.0億円(興行収入ランキング) |
平均評価★★★★★67(私の評価↓は含まず)
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『来る』予告動画
ネタバレ感想『来る』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
中島哲也監督・キャスト・原作
映画『来る』は、2015年第22回日本ホラー小説大賞の澤村伊智『ぼぎわんが、来る』を、『告白』『嫌われ松子の一生』『渇き。』の中島哲也監督が、豪華な俳優女優の出演者たちを適材適所に配役した、エンタメホラー映画です。
中島哲也は大ヒット作は多くないが、ジャンル等の型にはまらない・先の展開を予想しにくい作品を作るので、映画を見慣れた人でも意表をつかれたりして楽しめるため、一定数以上の評価を得ている映画監督です。出演者の極限に近い演技も見ものです。
主演は岡田准一ですが、観た人ならわかるとおり、序盤は妻夫木聡、中盤は黒木華、終盤は岡田准一と松たか子と小松菜奈がメインになるオムニバス群像劇に近いです。5人とも素晴らしい演技をするので、ウソっぽい話も現実味を帯びてきて没頭できました。
5人の中では特に、陰陽を演じ分けるのが特徴の小松菜奈が印象的です。登場時は「霊媒師のキャバ嬢」というお色気キャラであまり期待しなかったけど、子どもにふれることで「いつもの小松菜奈」の雰囲気も出てきて、大げさすぎない演技が逆に映えてます。
黒木華も最初は存在感を感じさせない、少しコミュ障の普通の妻・ママキャラだけど、実は裏では「それ」が来る原因を作り出すという二面性を見事に演じ分けて見せます。妻夫木聡は「根は良い人だけど、ややサイコパス」な軽率キャラがぴったりです。
岡田准一、松たか子は、かなり漫画的キャラなので現実感は薄いけど、他の俳優が演じてたらもっとひどいことになってたと思うと、経験値の高い2人は良い配役だと感じます。2人とも新境地的な役だけど、今後もこのような挑戦的な役を演じてほしいです。
期待してた以上に好演してたのが、霊媒師の柴田理恵と、民俗学者の青木崇高です。柴田理恵はTVシーンではコメディ調を感じましたが、その後の真剣霊媒師でのギャップが柴田理恵史上最高です。青木崇高もサイコパスぶりがハマってます。

「来る」のは何者なのか?ホラー映画なのか?
田原秀樹(妻夫木聡)が子ども時代に住んでた地方には「ぼぎわん」と呼ばれる「人さらい妖怪」の話が伝承されています。秀樹の親友で民俗学者の津田大吾(青木崇高)は、昔の日本では「間引き・口べらし・子捨て」の原因として妖怪物語を作り上げたという説明をします。
また、霊媒師の比嘉琴子(松たか子)は、太古から多くの赤ん坊や産まれる前の子ども達が犠牲になり蓄積して亡霊になったり、「死」に興味を持って虫などを殺す子どもがいるのと合せ鏡で、「生」に興味を持つ異世界の異形の「何か」がいるとも話します。
つまり、何者が「来る」のかは明確にされないけど、「子ども」に関連する何か、「子ども」をさらう何か超常的オカルト的な存在です。本作では、両親不仲という心の闇を抱える幼い知紗と強く結びつき、その意志を実行する「何か」として描かれます。
何かが「来る」時には、ガラスに血の手形を残したり、低い声で話しかけたりと、子どもの恐怖心をあおります。そして「緑のあおむし」が大量にわいてくるのも気持ち悪いです。ただ個人的に怖かったのはこれくらいで、ホラー映画としての魅力には欠けます。
ラストの柴田理恵が参戦する大祈祷式や、松たか子が岡田准一に「痛み」を与えるシーン等では笑いがこみ上げました。「利用できるものは全て利用する」という琴子と、それらを減らそうと攻撃してくる「何か」の決戦は意味不明だけどワクワクします。
ちなみに「ぼぎわん」とは、原作者の澤村伊智のオリジナルおばけらしいけど、各地に似たような伝承はあるようです。「ぼぎわん」はホラー洋画でも何度か聞いたことのある「Bogey Man(ブギーマン)」から由来するようです。
テーマは「子育て」「子ども」「家族」から「少子化の原因」へ?
主要登場人物の「子ども」に関する考え方は次とのとおりです。妻夫木聡が演じる秀樹以外は、両親にも恵まれなかったようです。
- イクメンブロガーだが育児には協力しない夫(妻夫木聡)
- 育児ノイローゼで浮気し我が子を邪魔と思う妻(黒木華)
- 子どもを好きだが産めない体の霊媒師キャバ嬢(小松菜奈)
- 子どもはいらないのでおろさせた男(岡田准一)
- 子どもはお荷物で不要と考えるスゴ腕の霊媒師(松たか子)
田原秀樹(妻夫木聡)は、イクメンブロガーとして友人達や世間的には「良い父親」を演じますが、実際は会社で浮気し、家では育児にほとんど協力しません。外ヅラだけ良く見せる夫のせいで、妻の田原香奈(黒木華)は育児ノイローゼのようになります。
オカルトライターの野崎(岡田准一)は恋人が妊娠した時「自分の子どもはいらない」と堕胎させました。今つきあってる?キャバ嬢の比嘉真琴(小松菜奈)は過去の傷が原因で子どもを産めない体ですが、子どもは大好きです。
その姉の琴子(松たか子)は国家機関を動かせるほどの霊媒師で、子どもはお荷物になるので全く興味ないようです。琴子と野崎は「子ども不要」という点で意見が一致しててタバコもよく吸います。野崎は子どものそばで吸うくらいダメなヘビースモーカーです。
本作は、愛のない両親に「精神的な虐待や育児放棄」された知紗が復讐する物語でもあります。イクメンブロガーや子ども不要で気楽に暮らす者を皮肉ったり、実の母には頼れないコミュ障のシングルマザーが1人で子育てする大変さなど社会問題も描かれています。
現代日本で「子育て」する大変さを描くことにより「少子化の原因」にもふれています。特に身近に頼れる両親などがいないシングルマザーは、仕事と育児の両立なんてほぼ不可能に思えます。映画での保育園や職場が特に冷たいわけではないと感じます。
前半と後半では全く違うジャンル映画?
視点で考えると三部構成で、序盤は妻夫木聡による結婚とイクメンブロガーとしての幸せな日々、中盤は黒木華による仕事と育児の両立と夫が生きてた時の裏事情、終盤は松たか子による大祈祷式の準備と岡田准一の葛藤が描かれます。
序盤と中盤は「新しい家族の誕生から崩壊まで」を、妻夫木聡と黒木華の名演により現実っぽく見せてくれます。どこかの家ではありそうな関係性です。イクメンやイクママの、人気ブロガーやSNSインフルエンサーやママタレなどは耳が痛いかも知れません。
黒木華の章で驚いたのは「最初の『来る』」は彼女による演出だったことです。お守りを切り部屋を散らかし、すみで知紗を抱えて夫の秀樹の前で怖がりますが「娘の知紗は全て見てて知ってるはず」なので、教育上は最悪です。
そんな両親に失望した知紗は「それ」を呼び込んで、両親を殺害してしまいます。指輪を知紗に与えた真琴(小松菜奈)が重傷ですんだのは「本物の愛情」を感じたからでしょうか。母・香奈(黒木華)も浮気はしたけど最後以外は愛してくれてたので、殺すのはひどすぎます。
終盤、ついに日本有数の霊能力者である比嘉琴子(松たか子)が登場し、霊媒師の逢坂セツ子(柴田理恵)や国家機関や沖縄のユタ、仏教の坊さん、神道の神官や巫女さん、韓国の祈祷師などを集めて、それぞれの手法で「お祓い(はらい)」を実施します。
序盤と中盤は崩壊していくとはいえファミリー映画ですが、終盤は「光vs闇」の祈祷対決となります。祈祷式は大規模すぎて現実感がなくなり笑いさえこみあげるけど、監督や制作陣の意図もそこにある気がします。映画『貞子vs伽椰子』などを思い出します。
「それ」は滅びたのか?続編はある?
ラストの祈祷式決戦で、田原家のマンション部屋に「それ」を呼び込んだ琴子(松たか子)は、「それ」をこの世につなぎとめてる知紗ごと「元の世界」へ封印しようとします。しかし野崎(岡田准一)と真琴(小松菜奈)は知紗を救う道を選びます。
琴子もそれを受け入れ、妹の真琴と野崎と知紗を逃した後、1人で「それ」と戦って流血して生死も勝敗も不明となります。真琴たち3人は生きのびて、知紗も正常に戻ったようで、夢では「オムライスの国でオムライスの歌」を楽しそうに歌います。
映画の続編については未発表ですが、興行収入や評価しだいでは「高い確率で続編あり」と感じますし、個人的にも比嘉姉妹の活躍をまた観たいと思っています。もちろん琴子は本作後も生きているという前提です。野崎や知紗も登場してほしいですね。
ちなみに原作小説では、『ずうのめ人形』『などらきの首
』などを比嘉姉妹の続編として読むことができます。だから映画の続編が決まるためにも、本作『来る』を多くの人におすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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