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映画『その街のこども 劇場版』評価は?ネタバレ感想考察/阪神大震災15年後に自然と泣ける

映画その街のこども 劇場版

『その街のこども 劇場版』あらすじ概要

NHKのTVドラマに新映像を加えた劇場版。1995年1月17日、午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災から15年後。勇治は出張の途中で、急に神戸で下車して先輩に電話で叱られる。同じ駅で降りた美夏と偶然話すうちに、翌日の「追悼のつどい」へ行くことになる。2人..(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 その街のこども 劇場版
日本興行収入公表後すぐ更新(興行収入ランキング
平均評価★★★★★78私の評価↓は含まず)
日本公開日 2011/1/15 [予告↓]上映時間 83分
映画監督井上剛
キャスト
出演者
森山未來、佐藤江梨子、津田寛治
配給/製作/画像©トランスフォーマー/NHK大阪

『その街のこども 劇場版』予告動画

ネタバレ感想『その街のこども 劇場版』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★72/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

『その街のこども 劇場版』は、阪神淡路大震災から15年後に神戸を訪れた見ず知らずの男女が、真夜中に「追悼のつどい」へ歩いていく中で、それぞれの心の傷をさらけ出すことにより、改めて震災と向き合って一歩を踏み出すという、ドキュメンタリー風のヒューマンドラマです。

どこまでがアドリブだかわからないくらい自然な会話で、最初はノレないけど、しだいに引き込まれてしまいます。NHKはドラマなんて作る必要ないと思ってますが、こういう社会派なら年1作くらいならありかもと感じました。

この映画のおすすめ、8つのポイント

  • 大震災のことを思い出せる
  • ドキュメンタリー風で共感しやすい
  • 震災での傷は人それぞれ
  • 震災で時間が止まった人もいる
  • 心傷ついた人を癒せるのは人だけ
  • 説教っぽくなくていい
  • 東日本大震災の2ヶ月前に公開
  • 子どもや家族と一緒に観られる
映画その街のこども 劇場版

少し残念?つっこみどころ、2つのポイント

  • 勇治の先輩の写メ要求とか不要
  • 撮影方法は普通のでいいかも

映画のネタバレ感想や結末

『その街のこども 劇場版』は、森山未來が演じる勇治が先輩と新幹線?で広島へ向かう出張中に目の前で、佐藤江梨子が演じる美夏が神戸に降りていく場面からはじまります。なぜか勇治もすぐ降りたので、ナンパ映画かと思ってしまいました。

自分の部下が急に途中下車したら、さすがに驚きますし、翌日の仕事のことを考えてしまいますよね。しかし先輩はそんなことよりも、美夏の顔を写メで撮れとか、携帯番号かスリーサイズを聞け、とかゲス全開で、牛丼屋の女性客同様にひいてしまいました。この映画には不要だと思います。

勇治と美夏、どちらの第一印象も最悪です。勇治は震災や被災者に対して軽薄だし、勇治の父親は震災後の屋根修理を10倍以上の価格設定にして儲けたことに対しても、需要があるなら商売として悪くないという発言までします。

美夏は、15年ぶりに神戸に来ることを決意してからでしょうけど、みんなが被災者のことを考えたり、それぞれの心の傷は人が支え合って癒やしていくしかない、といったような、少し押し付けがましさを発言から感じました。勇治はそれに反発して極端なことを言ったのだと思います。

勇治と美夏の震災の傷を癒やす場所

2人は文字通りのターニングポイントというべき、前へ踏み出すためにとても重要な場所を偶然ですが訪れます。この展開はさすがにフィクション映画ならではです。完全ドキュメンタリーなら、やらせになってしまいます。

勇治の場所は、震災前まで野球したり仲良しだった友達の家です。震災後は父親が足元見たような法外な値段で屋根修理をしたため、勇治の家族全員が悪者のように見られて、この友達とも疎遠になってしまったようです。家にはベビーカーがあり、幸せそうです。

結局、勇治の家族は神戸には住めなくなってしまい東京へと引っ越しました。そして両親は離婚したようです。一時のお金ほしさで土地も追われ、家族も崩壊したわけです。これも震災での被害者のひとつの形です。高い屋根代を支払った家の方が幸せそうなのは皮肉ですね。

美夏の場所は、震災で亡くなった親友よっちのマンションの部屋です。勇治がショートカットしようとして通った公園から、偶然その部屋に明かりが付いているのが見えました。まるで、死んだよっちが呼んだようです。たぶん時間は午前3〜4時なのに、1部屋だけ明かりがついています。

美夏は東京に行く時、被災したよっちの家に寄りたかったけど、お父さんの悲壮な顔を見るのがこわくて寄れなかった過去があります。物語冒頭から3度も「よっち」のことを話そうとしたのに、言葉が出てきませんでした。トラウマになってるようです。

勇治が背中を押したこともあって、ついに美夏はよっちのお父さんを訪ねていきます。インターホンを鳴らすと、こんな深夜なのにすぐに返答があり、しかも美夏のことを待ってたような対応です。1.17の当日だし、追悼のつどいに行くかもしれないので起きていたのでしょう。

美夏が公園へ戻ってくると、よっちのお父さんがマンションのベランダに出てきて、美夏と勇治の方へ手を振っています。美夏は泣いてて最初それに応えられないけど、勇治のおかげで向き合うことができました。もうこのへんから涙腺崩壊です。

ちなみに、よっちのお父さんを演じたおじさんは、阪神淡路大震災の本物の震災遺族だそうです。その当時もNPO法人の代表として被災者のケアなどに関わってたそうです。だからインターホンからの声も演技ではなく、実感がこもってたんです。

映画の結末/ラストシーン

公園をあとにすると、2人とも少しですが震災で受けた心の傷が軽くなったようで、トラウマから一歩だけ前進したように見えました。そして身軽になった分、走り出すシーンはいろんなことを象徴してる気がしました。

これから2人が人生を走り出せること、走ることによりポジティブな感情を周りにも見せられること、震災で停滞してた時間が動き出したことなどです。自転車を盗もうとするのは何を表現したのか不明ですが、夜は警官の職質多いのでつかまりますよ。

そしてついに「追悼のつどい」の会場に着きます。早朝5時頃の真っ暗闇なのに、人がぞろぞろ歩いています。この場面は本当に当日撮影したそうです。だから映ってた人たちは本物の震災遺族です。撮影後に2人やスタッフたちもお祈りにいったのでしょうか。

美夏は追悼のつどいへ行きますが、勇治は行きません。美夏も無理強いしません。この結末は好きです。被災者にもまだ向き合えない人はいると思います。人の絆により傷を軽くはできますが、最後に心を決めるのは自分自身だけです。

毎年の追悼のつどいへ行くことで心のバランスを保つ人もいれば、思い出すので行きたくない人もいるだろうし、まだ震災時から時間が動いてない人もいるでしょう。勇治の場合は父親の件での後ろめたさがあったり、軽い気分で会場へ行きたくないという感情なのかと思いました。

ラストは2人でハグしてあっさりお別れ。また来年!って言ったけど会える可能性は低いでしょうね。でもこれ以外にないくらい最高の結末だと感じました。ゲスな先輩はこの対比のために存在したのだと気づきました。先輩は震災とは無関係だった人の一例ですかね。

普通の映画として面白いかを評価するのは難しいけど、周りにも被災者はいるだろうし、これからも震災とつきあわなければならない日本人としては、ぜひ一度は観ることをおすすめしたい映画です。ちなみにこの映画が公開された年に、東日本大震災が発生したことにも考えさせられました。

他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

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