映画『あなたを抱きしめる日まで』評価は?ネタバレ感想考察/教皇庁や政府も動いた笑い驚きの実話
『あなたを抱きしめる日まで』あらすじ概要
イギリスの実話が基のベストセラーを映画化。イギリスの田舎で暮らすフィロミナは、娘ジェーンに50年前の秘密を話した。それはアイルランドで未婚時代に出産した息子アンソニーを、強制的に修道院に養子として出されたことだった。ジェーンの知り合いのジャーナリストのマーテ..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | あなたを抱きしめる日まで |
日本興行収入 | 2.0億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 1.0億USドル [出典] |
製作費 | 0.1億USドル |
平均評価★★★★★78(私の評価↓は含まず)
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原題/英題 | Philomena |
日本公開日 | 2014/3/15 [予告↓]上映時間 98分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA PG-13 |
製作国 | イギリス・アメリカ・フランス合作 |
映画監督 | スティーブン・フリアーズ |
キャスト 出演者 | ジュディ・デンチ、スティーブ・クーガン、ソフィ・ケネディ・クラーク、アンナ・マックスウェル・マーティン、ミシェル・フェアリー |
配給/製作/画像 | ©ファントム・フィルム/BBC Films、Baby Cow Productions、British Film Institute、Magnolia Mae Films、Pathe |
『あなたを抱きしめる日まで』予告動画
ネタバレ感想『あなたを抱きしめる日まで』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『あなたを抱きしめる日まで』は、50年前に出産した息子を養子に出されて行方知れずになったフィロミナおばあちゃんが、落ちぶれたジャーナリストと共にアメリカまで探しに行き衝撃の事実を知るという、実話ベースのヒューマンドラマ映画です。1950年代のアイルランド修道院の負の歴史を描いています。
この映画のおすすめ、7つのポイント
- アイルランド修道院の負の歴史
- 養子に出された息子を探す物語
- 修道院の対応が腹立たしい
- ジャーナリストの再生物語
- 2人の会話が笑える
- 息子の職業や行動が予想外
- ラストに行きつく場所に驚き
少し残念?つっこみどころ、3つのポイント
- 最初が退屈
- 今調べてる内容がわかりづらい
- 演出が控えめで淡々と進む
『あなたを抱きしめる日まで』ネタバレ感想の総括
タイトルや説明文や写真では全く興味をひかれなかったのですが、アカデミー賞ノミネート作と聞いて観たら、驚きや悲しみや腹立たしさまで味わえて名作だと感じました。宣伝が少し下手すぎで残念ですが、内容的に派手なキャッチコピーも難しいのかなとは思いました。
この映画では、アイルランドで18世紀から最後は1996年まで女性に強制労働を強いたという黒歴史について描いています。映画『マグダレンの祈り』ではさらにくわしくその内容について語られているので、機会があれば観てみてください。
この『あなたを抱きしめる日まで』もかなり話題になり、カトリック教会の総本山、ヴァチカン市国で上映会が行われ、ローマ法王によりフィロミナ本人も招かれたそうです。またこの映画を機に、他の養子についても情報公開を求める「フィロミナ・プロジェクト」も設立されたようです。
『あなたを抱きしめる日まで』ネタバレ感想や印象的シーン
最初の方は、50年前に養子に出された息子探しの様子が淡々と進行していき、他の映画でも観たことあるような展開なので結構退屈でした。そして元BBCのジャーナリストのマーティン・シックススミス(スティーヴ・クーガン)の失脚話もわかりづらくて、導入部は成功してるとは思えませんでした。
しかし2人でアイルランドの修道院を尋ねて行ったあたりから、ただの息子探しとは違うなと感じてきて、さらに修道院の対応が明らかにあやしいため、マーティン同様に少しづつ引き込まれていきました。
修道院のシスターは丁寧ですが何かを警戒したような雰囲気が漂っていました。息子アンソニーがどこの養子になったのかという記録は火事で焼失したそうですが、フィロミナが息子に関わらないとした誓約書だけは焼けずに残ってたのがあやしすぎます。
ジャーナリスト魂に火がついたマーティンは近くのバーで、修道院が過去に子どもたちをアメリカ人に売っていた事実を聞きだします。この聞き込みはあっさりすぎて物足りないくらいでした。あの感じなら多くの人に話してそうだけど、命の危険はないのか心配になります。
養子としてアメリカへ売られたことがわかっても、広すぎるのでどうするのかと思ったら、マーティンのジャーナリスト情報網によってわりとすぐに身元が判明します。この部分の調査が最難関だと思ってたので、少し肩透かしをくらった感じでしたが時間が限られてるので仕方ないですね。
息子アンソニーは、フィロミナ(ジュディ・デンチ)が未婚時に妊娠した子どもで、信心深いフィロミナの父親により母子とも修道院に預けられました。フィロミナは毎日強制労働をさせられました。当時のアイルランドでは他にも数か所の修道院で、同様の強制労働を女性にさせていました。
カトリック施設で約90年間も行われてたという事実も驚きですが、なんとアイルランド政府も関わってたと最近認めて補償を開始したようです。同じような宗教施設内での黒歴史を描いた映画では『スポットライト 世紀のスクープ』や『トガニ』なども思い出せます。
修道院内でフィロミナは息子アンソニーと会える時間が限られていました。そして3歳になった時、アンソニーは誰かに養子として引き取られていき、フィロミナは悲しみながらも今後一切、息子とは関わらないという誓約書を書かされたのです。
マーティンは最初、飛行機で無料アルコールを飲めて喜んだりするフィロミナのようなおばあちゃんと一緒の旅は面倒だと感じてます。古いタイプの恋愛小説について細かく説明したり、自身の性体験について赤裸々に告白するフィロミナにもうんざりしてる感じです。
しかしそんな開放的で表裏のないフィロミナと一緒に行動してるうちに、少しづつマーティンも自分を取り戻していき、ジャーナリストとしての使命も思い出していきます。この旅はフィロミナのためだけでなく、マーティンの再生にも役立っていたのです。
息子アンソニーはアメリカではヘス夫妻に引き取られて、マイケル・ヘスと改名していることがわかり、ネット検索するとすぐ職業がわかります。なんとレーガンやブッシュ大統領の政権下の法律顧問を務めていて、マーティンも会ったことある人物だと判明します。
これも実話だとするとまさに「事実は小説より奇なり」です。マイケルはアメリカで努力して法律を学び立派な職業についていたのです。しかしそれ以上に衝撃的なのが、当時アメリカに赴任してたマーティンと話したことがあることです。まさに神のなせる偶然だと感じました。
『あなたを抱きしめる日まで』結末/ラストシーン
しかし残念なことにマイケルは既に亡くなっていました。彼の友人女性、妹を尋ねる旅が続きます。するとマイケルはゲイであり、エイズにかかって死んだことがわかります。ちなみにこの妹メアリーは、修道院から一緒に引き取られていった少女と同一人物ですよね?明確には触れられてなかった気がしますが。
次にマイケルの恋人男性ピートを尋ねると、マイケルがアイルランドの修道院を訪れて母親を探していた事実が判明します。これにも衝撃的で涙してしまいます。母子ともに何度も修道院へ行き、お互いを探しあっていたことになります。しかし修道院が再会させないよう画策していたわけです。
本来神に仕えるカトリック修道院が、自らが神になり代わるように母子の人生をもてあそび、嘘にウソを重ねて都合の悪い事実を隠蔽してきたことが、本当に腹立たしいです。フィロミナなど我が子を養子として売られた女性にとっては、まさに悪の所業です。
再びアイルランドのカトリック修道院へ戻ったフィロミナとマーティンは、当時のシスターを見つけ出します。マーティンは怒りを爆発させて詰め寄りますが、フィロミナは信心深いため、あっさりとゆるしてしまいます。多くの視聴者は納得できないでしょうけど、マーティンが許さないと言って代弁してくれました。
この場面はフィロミナに聖母を重ね合わせたのではないかと深読みしました。悪魔に取りつかれたカトリック修道院をゆるすことによって、神のしもべに戻したのだと感じました。確かに国がらみで行ってたことなので、1人の修道女を罰してもキリがないかもしれません。
結局フィロミナが探してた息子アンソニーことマイケルは、最初に訪れた修道院の墓地に眠っていることがわかります。まるで『青い鳥』です。フィロミナは墓参りに行くようになり、他の行方不明の養子探しも組織化することになります。
マーティンは映画中盤でフィロミナに記事にしないでと言われますが、その後のやりとりは不明ですが結局は事実を世の中に暴露して、ジャーナリストとして注目されるようになります。そしてこの2人の旅により、アイルランドの社会問題にまで発展していき現在に至ります。
内容的には大衆ウケしませんが、アイルランドの黒歴史なのに、ユーモアセンスたっぷりのフィロミナおばあちゃんのおかげで笑える要素もあり、マーティンの再生物語やうれしい驚きも味わえるため、できるだけ多くの人に1度は観ることをおすすめしたい作品です!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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