映画『おまえの罪を自白しろ』ネタバレ感想解説/結末は?真犯人と真相は?罪の内容は?
ミステリ小説の映画化。政治スキャンダル国会議員の宇田清治郎の長女・麻由美の幼い娘が誘拐され、清治郎は罪の告白を要求されるが応じず。次男の晄司は真相を暴こうと立ち上がるのだが…。少女は生還?犠牲者は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | おまえの罪を自白しろ |
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日本公開日 | 2023/10/20 [予告] 上映時間:101分 |
監督・キャスト | 水田伸生[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 松竹/松竹撮影所 |
日本興行収入 | 3.2億円 興行収入ランキング |
平均評価 平均:100換算 | 69(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ミステリ/サスペンス映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 宇田 清治郎(堤真一 ) 衆議院議員・内閣府副大臣。晄司らの父
- 宇田 晄司/こうじ(中島健人)政治家一族・宇田家の次男。父で国会議員の清治郎の議員秘書
- 緒形 麻由美(池田エライザ)宇田家の長女。柚葉の母
- 宇田 揚一朗(中島歩)宇田家の長男。埼玉県議員
- 神谷 美咲(美波)中央テレビの報道記者
- 夏川 泰平(金田明夫)内閣総理大臣
- 木美 塚壮助(角野卓造)日本新民党幹事長
- 寺中初美(尾野真千子)恒之の支援ボランティア
- 緒形 恒之(浅利陽介)麻由美の夫。市議会議員
- 緒形 柚葉/ゆずは(佐藤恋和)麻由美の娘。誘拐された
- 平尾 宣樹(山崎育三郎)埼玉県警、捜査一課の刑事
ネタバレ感想『おまえの罪を自白しろ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は小説?監督やキャストについて
映画『おまえの罪を自白しろ』の原作は、真保裕一の同名のサスペンス小説(2019年4月刊行)です。
水田伸生監督は、これまでに映画では『ゆとりですがなにか インターナショナル』『アイ・アム まきもと』『あやしい彼女』などを監督。
主演の中島健人は『ラーゲリより愛を込めて』等、堤真一は『望み』『ザファブル 殺さない殺し屋』等に最近 出演。
他の主な出演は、池田エライザ、尾野真千子、中島歩、浅利陽介、美波、金田明夫など。
誘拐犯の要求は?総理との取引内容とは?
上荒川の橋の建設で不正を問われてる衆議院議員の宇田清治郎(堤真一)には、長男で埼玉県議員の揚一朗、次男で秘書の晄司/こうじ(中島健人)、長女の麻由美がいます。麻由美の夫の緒形恒之は市議会議員で、2人の娘は柚葉/ゆずは。
ある日、柚葉が誘拐され身代金ではなく、犯人は清治郎に「おまえの罪を自白しろ」と要求。清治郎は自白で総理を巻きこまないことを条件に、官房長官に「指揮権発動(自白しても罪に問われない特権)」と「宇田家の世襲」を要望。
しかし総理側は難色を示し、要求の17時に清治郎は別の賄賂の罪を報道陣に自白するが、犯人は「やりなおせ」と。次男の晄司は、柚葉を優先しない父に反発し「橋建設の移転」をリークした官僚を見つけ、次期総理をねらう幹事長と取引き。
以上が序盤あらすじ。利権がからむ建設スキャンダル渦中の議員の孫娘が誘拐される事件から始まり、よく聞く設定だなとは感じたが「指揮権発動」とか「総理・官房長官の陣営と幹事長との政争」等、面白そうな展開を期待しました。
ところが、それらは薄っぺらい描写だけで置き去りにされて残念…。本作はそのような「面白そうな設定」をことごとく放置して、変な部分で意外性をつこうとする構成が全く上手くいってない作品だと感じました。
娘は無事に返されるか?清治郎のもう1つの自白?
晄司は総理からの伝言を父に伝えず、総理に見放されたと思った清治郎は、期限の22時に「橋の建設地の移転理由は、総理の友人の会社の土地を高値で購入するため」と自白。報道陣は内閣を追求。柚葉は無事に返されます。
しかし犯人は捕まらず、心当たりある晄司は刑事と共闘。清治郎が進める「新競艇場の移転」ストップで利益を得る地元議員と移転地をあやしみ再度記者会見。清治郎は議員辞職するが、長男が「新競艇場の移転」を引き継ぎ、土地調査を開始。
晄司はかつて政治家の世界に反発し建設会社を運営したが、社員引き抜きで倒産してから秘書となりました。その会社を影から倒産に追いこんだのは父でした。父の清治郎は、跡継ぎは長男ではなく晄司がいいと思い仕組んだと、晄司だけに自白。
以上が中盤あらすじ。タイトルの「おまえの罪を自白しろ」がこんなに早く達成され、ひねりもトラブルも混乱もトリックも少ないことにがっかり…原作どおりなんでしょうか?それとも映像化の失敗なのでしょうか?
指揮権発動も知らず、言動からあまり優秀には見えない次男の晄司がいきなり名探偵として動き出したのも違和感。極めつけは、父・清治郎が長男ではなく晄司を跡継ぎにしたいと自白するシーン。長男が盗み聞きした伏線も回収されなかった?
本作を複雑にしてる最大の要因は「橋建設地の移転」と「新競艇場の移転」が別ものだと気づきにくい点にあります。前者は汚職ですが、後者は地元議員の利権を奪うだけなので汚職とは無関係。もっと上手く見せることはできたと思いますが。
結末は?真犯人の正体は?真相は?
中身ない会見に報道陣は激怒するが、実はこれは警察主導のおとり作戦。真犯人は宇田家の選挙支援ボランティアの寺中初美(尾野真千子)とその弟でした。2人は、橋移転で土地を売れなくなり狂乱した父を殺害し埋めたが、その場所が競艇場移転地に。
そこが掘り返される前に父の遺体を移そうとして、待ち伏せした警官隊に逮捕されました。初美は再開発の情報を得るため、議員支援ボランティアに出入りしてました。新総理には幹事長が就任し、新議員の晄司がその片腕として期待されてるようです。
以上がラストまでのネタバレあらすじです。名探偵ばりの晄司を信じて、宇田家が決意の会見を開きますが、清治郎や長男が晄司をここまで信じる理由がよくわからなかったです。報道陣も刑事も地元議員すら、晄司に従ったのは不思議…
そして真犯人が政治家も汚職も無関係な一般人だったのも拍子抜け…。邦画実写の弱点の1つと言われる「キャストで真犯人がわかる問題」が本作でも発動。尾野真千子が何か大きな役割なのは、誰もが予想できたはず。
その姉弟が父を殺害した経緯も、狂乱して階段から落ちて死亡したのなら遺体を隠す必要もなかったのでは?とか、議員の孫娘を誘拐するよりも最初から遺体を移転する方が楽だったのでは?とかツッコミどころだらけです。
映画『おまえの罪を自白しろ』私の感想と評価
ミステリ小説はかなり読んでて好きなので、ミステリ映画も優先して観がちです。今回の原作小説は未読ですが、よくある「政治家に関わる誘拐事件」を題材にしてるので、他との差別化を期待して観たのですが、予想を裏切られる内容でした。
一番の驚きは「真犯人や真相に政治家がからまなかったこと」。ただし、意表をつかれたというよりも「小さな事件」に落ち着いたなという残念な感覚です。官房長官、幹事長、地元議員や刑事やマスコミが全てフェイクなのはがっかり…
演じてた中島健人、堤真一、池田エライザ、美波らは安定感ある演技力を見せてくれましたが、尾野真千子を端役に見せたのは完全に失敗ですね(笑)いい意味で。原作小説との違いは知りませんが、本作は小説の方がいいのかなとは感じました。
私の評価 61/100(60が平均)
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