映画『日本で一番悪い奴ら』評価は?ネタバレ感想考察/北海道警察の銃と麻薬の闇をコミカルに

『日本で一番悪い奴ら』あらすじ概要
大学柔道部での活躍により北海道警察に勧誘された諸星要一は、まじめではあるが成績は良くなかった。ある日、好成績の刑事の村井から、裏社会に「S」(スパイ)を作って点数を稼ぐことが出世への早道だと聞き、暴力団員などと密接になっていく。やがて道警に新設された銃器対策..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | 日本で一番悪い奴ら |
日本公開日 | 2016/6/25 [予告↓]上映時間 135分 |
映倫区分 | 日本 R15+(15歳以上) |
映画監督 | 白石和彌 |
キャスト 出演者 | 綾野剛、YOUNG DAIS、植野行雄、矢吹春奈、瀧内公美 |
配給/製作/画像 | ©東映、日活/ジャンゴフィルム、フラミンゴ |
日本興行収入 | 4.0億円(興行収入ランキング) |
平均評価★★★★★72(私の評価↓は含まず) |
『日本で一番悪い奴ら』予告動画
ネタバレ感想『日本で一番悪い奴ら』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『日本で一番悪い奴ら』ネタバレ感想の総括
タイトルから『凶悪』のようなイヤ〜な展開になるのではないかと覚悟して観たんですが、綾野剛が演じる警察官が悪行をおかすわりには、終始コミカルに描かれていて、思ったよりは見やすかったです。でもR指定のとおり、暴力や違法行為だらけなので、その点は注意して観てください。
私は北海道警察の不祥事、というくらいしか前知識がなかったので、こんなひどいことが実際に行われていたことを知りショックを受けました。しかも罪をつぐなうべき警察官が、今もなお現職で働いている可能性があることにも驚きです。
まじめすぎて、警察のノルマ戦争に巻き込まれていく警官役を、綾野剛がうまく演じていますが、その協力者たちや警察の上司らもキャラが立っていて、暗い事件を暗くなりすぎないように描いている点も好感が持てました。
今回の悲劇の原因は、検挙数などをノルマや点数にしたことに尽きると思います。本来は事件がないこと、平和なことが評価されるべきですが、それだと警察官が努力しなくなる可能性もあるので評価が難しくなるのでしょう。そんなわけで警察の評価方法を考えさせられる映画です。

この映画のおすすめ、7つのポイント
- 北海道警察の黒歴史
- 綾野剛が変わっていく様子
- 裏社会の連中とのチーム感
- キャラ立ちした人物が多い
- 警察ノルマ制の闇を知れる
- 個人と組織、どちらが悪?
- ラストの展開
少し残念?つっこみどころ、2つのポイント
- 諸星のモラル度が理解不能
- 終盤を深く描けていない
『日本で一番悪い奴ら』あらすじにそってネタバレ感想
大学の柔道部で活躍してた諸星要一(綾野剛)は、勧誘されて北海道警察の刑事となるが、正義感やまじめさだけでは成果は出ませんでした。ある日、凄腕の先輩刑事の村井(ピエール瀧)に、点数を稼げ、裏社会に「S」(スパイ)を作れとアドバイスされ、素直に実行すると暴力団員を逮捕できます。
体育会系で柔道しかやってこなかった諸星が、力仕事はともかく事務処理や手続き関係で成果を出せないのは当然だと思います。そういう人間には、最初についた先輩や上司が大きな影響を与えがちですが、諸星はあまり恵まれなかったようで、それが悲劇につながる原因だと思いました。
案の定、やり手で成績も良いが正攻法ではなく裏社会を利用する村井刑事に目をかけられてしまい、教えられた方法をまじめに実行すると成果が上がったため、それが諸星にとっての正攻法となります。『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』で暗黒卿に従うアナキンを思い出しました。
違法捜査に腹を立てた暴力団幹部の黒岩(中村獅童)は諸星と対立するも、S(スパイ)になってお互いが得する関係になることを選びます。ロシア語を話せる山辺太郎(YOUNG DAIS)、ロシア拳銃ルートとつながる盗難車ディーラーのパキスタン人のアクラム・ラシード(デニスの植野行雄)もSとなります。
諸星は道警のマル暴(暴力犯係)を経て、その実績がかわれ、道警に新たに新設された銃器対策課に配属されます。 しかし新設された部署は成果をあげることを要求されるため、拳銃の検挙数を増やす必要が出てきます。そこで諸星は暴力団やロシアルートを使って、拳銃を購入して検挙数をかせぎます。
それもなんと、上司も拳銃購入を公認してることから、道警では伝統的に繰り返されてた可能性が高いです。まじめな漆原次長(勝矢)だけが、正常に近いモラル感覚で、いろんな場面で驚いてつっこみを入れてくれるので、私たち視聴者の代弁者のような存在です。映画見てると笑えますが、当事者だったら身の危険さえ感じるほど恐いと思います。
やがてロシア側も足元を見て拳銃の値段を上げたので、東京のヤクザから購入することにしますが、宅配便を警視庁におさえられて彼らの手柄にされてしまいます。その時点で、道警の違法を見過ごした警視庁もまともではないです。拳銃を税金で購入して検挙数と数えることが、全国的に許されていたのなら恐ろしいです。
この事件以降、資金不足になり、それでも拳銃を購入したい諸星はついに黒岩らとシャブ(麻薬)をさばきはじめます。そうして銃の検挙率は一気に上がります。そんな時、警視庁からおとり捜査を頼まれ諸星が実行しますが、柔道経験がバレて警察だと疑われ殺されそうになり、醜態をさらしてしまいます。
さらに恋人がシャブ中毒になり、回復させるために自らの手で刑務所送りにします。不幸が重なり閉塞感の諸星は一発逆転をねらうため、香港から函館への拳銃200丁の密輸をおさえる作戦を上司に提案します。その前に同じルートで麻薬密売もあるが、それは函館税関に見逃してもらうことにします。
麻薬の量は事前情報より大量でしたが、予定どおり泳がせて黒岩が運びました。しかし黒岩は別のヤクザに脅されて、麻薬を持ち逃げします。これにより諸星は関東ヤクザに袋だたきにされ、拳銃200丁密輸もなくなりました。諸星は夕張署へ左遷され、毛嫌いしてた麻薬に手を出して薬物中毒になっていきます。
ちなみに持ち逃げされた麻薬は末端価格40億円というとんでもない量で、黒岩ともども現在も行方不明だそうです。実質的に警察がヤクザの資金稼ぎに協力したことになります。そもそも拳銃を購入すると、税金をヤクザなどに渡すのと同じ行為なので、警察の敵を育ててることになります。
『日本で一番悪い奴ら』ネタバレ結末/ラストシーン
夕張署の諸星のもとへ銃器対策課の先輩の岸谷が、太郎におどされてるから助けてほしいとやって来ます。しかし太郎はもはや諸星の言うことは聞かず、妻子にも捨てられたため、あきらめて警察へ出頭して違法捜査の経緯を暴露します。その証言をもとに諸星も逮捕されます。
諸星は道警をかばい、組織的反抗は否定し続けますが、太郎と岸谷の自殺を聞くと一変して道警の犯罪をうったえますが、映画の結末は諸星1人の有罪で終わってしまいます。ちなみに実話でも、多くの関係者の名が上がりましたが訓戒など軽い処分で済んで、現職の人もいるようです。
北海道警察のノルマのために猪突猛進した諸星は、結局はその組織から見捨てられてしまいます。この映画を観ると、日本の警察を信用できなくなりますが、ラスト近くで入ってきた新人が「公共の安全を守るため」働きたいと言ったことで少し希望を残しています。諸星が一瞬新人時代の自分を思い出したように固まる演出は好きです。
実話でも映画でも後味は良くないですが、1人のまじめな警官がふとしたきっかけで道を踏み外して行きます。誰でもそこへ落ちる可能性があると考えさせられます。後戻りのできない悪の道を突き進んで行く様子を綾野剛が熱演しているので、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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