映画『ミュージアム』評価は?ネタバレ感想考察/カエル男の連続猟奇殺人事件の理由は?

『ミュージアム』あらすじ概要
刑事の仕事に没頭しすぎて妻と子に出て行かれた沢村は、雨の日のみに起きる猟奇殺人事件を調べていた。いずれの現場でも、メモと見せびらかすような死体が見つかり、カエルのマスクを被ってレインコートを着た、自称殺人アーティストのカエル男が犯人だと判明。沢村は被害者の関..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | ミュージアム |
日本公開日 | 2016/11/12 [予告↓]上映時間 132分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし) |
映画監督 | 大友啓史 |
キャスト 出演者 | 小栗旬、尾野真千子、野村周平、丸山智己、田畑智子 |
配給/製作/画像 | ©Warner Bros. Pictures/ツインズジャパン |
日本興行収入 | 15.0億円(興行収入ランキング) |
平均評価★★★★★66(私の評価↓は含まず) |
『ミュージアム』予告動画
ネタバレ感想『ミュージアム』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『ミュージアム』ネタバレ感想の総括
2016年はバイオレンスな邦画が多かったのですが、この『ミュージアム』も殺し方がグロくて、R指定にするべきだと思いました。苦手な人は注意しましょう。サイコサスペンスとしては、途中までは『セブン』を思わせる展開で、傑作かもしれないと思ったけど、思わせぶり展開のみで残念に終わりました。
この手の映画ではありがちですが、殺害方法が難しいのに、たった1人で見つからずに何度も成功するには、それなりの準備が必要になるはずです。しかしそれは明かされず、雨の日のみとか、被害者の選定方法とか、カエルのマスクをつけての犯行とか、何から何までリアリティを全く感じられません。
小栗旬が演じる沢村刑事も演出のせいで無能にしか思えなくて、人間的にも警察的にもかわいそうなレベルです。最後に捕らえられた後の展開も途中まではドキドキしたけど、カエル男のツメの甘さがこの映画『ミュージアム』を物語ってるようでした。脚本を練り直したら傑作になったかもしれないだけに残念です。

この映画のおすすめ、6つのポイント
- 連続猟奇殺人事件のサイコサスペンス
- 被害者たちのつながりは?
- カエル男の目的や雨の日の理由は?
- 沢村刑事とカエル男の関係は?
- カエル男と女医の橘との関係は?
- 終盤にはいくつも驚きがある
少し残念?つっこみどころ、7つのポイント
- グロいだけで物語がつまらない
- 思わせぶりな割に幼稚な展開
- 犯罪成立のリアリティのなさ
- 真相や計画など犯人が語りすぎ
- 沢村は屋上でわざと犯人逃した?
- カエル男のツメが甘すぎる
- 光線過敏症になる確率は…
『ミュージアム』あらすじにそってネタバレ感想
沢村久志(小栗旬)は刑事の仕事に執着しすぎて、妻子とは別居状態です。そこへ猟奇殺人事件の連絡が入り、雨の中、現場へ向かうと、新米の西野(野村周平)がはいてて、凶暴そうな犬がつながれています。被害者の女性は、犬に食われて死んでて「ドッグフードの刑」と書かれた紙が見つかります。
第二の殺人事件も雨の日に起こります。引きこもりニートで母に感謝してないオタクが、カエルのマスクした男に侵入され椅子に縛られて処刑されます。彼の出生体重と同じ重さの肉体がそぎ取られて「母の痛みを知りましょうの刑」の紙片が残されていました。
この殺害状況は映画で見せてくれるのですが、それが失敗です。カエルのマスクで廊下にいたり、いとも簡単に家に侵入してくるし、考えなしにドアの後ろに隠れてるし、重そうな彼を誰にも見られずに運べたり、外で椅子に縛ってるのに目撃者なしだったりと、知能犯?の割に雑すぎて見てられないです。
警察は2人のつながりを調べあげ、数年前の「幼女樹脂詰め殺人事件」の裁判員らであることが判明します。沢村刑事は妻の遥(尾野真千子)も裁判員だったことを思い出すが連絡が取れなくてあせります。そんな沢村は冷静に捜査できないとして、担当からはずされます。
警察は裁判員と裁判官の保護に動きますが、さらに3人が殺されていました。浮気中の男は「均等の愛の刑」で体を左右に切られて妻と愛人に贈られました。薬で若さを保ってた女は「ずっと美しくの刑」で業務用冷蔵庫で凍ってました。占い師は「針千本飲ますの刑」で針を飲まされ窒息死していました。
映画『セブン』を思い出させる、連続猟奇殺人事件です。刑が主人公の刑事に近づいていくのも似ています。しかしいずれの殺害方法も、たった1人でやるには、いくら金があっても難しそうです。雰囲気は出せてるのに、リアリティが感じられないのが残念です。
沢村は妻の遥の親友の秋山佳代(田畑智子)の職場へ行き、遥らの居場所を尋ねるが「今まで遥のこと気にしなかったのに」と言われます。一方、警察が佳代の部屋へ行くと彼氏が「佳代は職場です」と言ったので、沢村とはち合わせました。この時の佳代の「私、彼氏なんていません」が『ミュージアム』で一番の驚きでした。
佳代の部屋へ向かう途中で、沢村は勝手に車を借りて不審車を追いかけだします。刑事のカンでしょうけど、当たってるだけに映画のご都合主義を感じます。せめて何か根拠がほしいです。しかも犯人の車のナンバープレートを照会しないのでしょうか。盗難車の可能性は高いけど、はっきりさせてほしいです。
カエル男もさすがにこれは計画どおりではないでしょうけど、佳代の部屋に入り込んだりと、行き当たりばったり感がひどいです。部屋には「お仕事見学の刑」の紙が残されています。カーチェイスの後、沢村はカエル男に逃げられてしまいます。車両手配はしたんでしょうか(しつこく)。
沢村は新米の西野を呼び出すが、そこへカエル男が現れ挑発してきます。雨の日とは言え、屋外であのマスク被ってたら、写真や動画を撮られまくると思いますが。そして追いかけるうちに、西野がつかまり、沢村は屋上へ呼び出されて、犯行理由を語られます。西野は屋上から落とされ殺害されます。
「幼女樹脂詰め殺人事件」で捕まり裁判員により有罪判決され、死刑囚となって獄中で自殺した男の復讐だと思われてました。しかしそれはえん罪で、真相は犯人はカエル男であり、彼のアーティスト・表現者としての殺人芸術作品を他人に奪われたことへの復讐が、今回の連続殺人事件だとわかります。
『ミュージアム』の原作漫画は読んでないので評価できませんが、映画版が最もダメな点は、事件の真相や計画などを犯人に語らせることです。警察や沢村刑事が暴き出してほしかったです。しかも沢村刑事は西野が落とされた時、カエル男を逮捕できる最大のチャンスだったのに、黙って逃がします。グルだと深読みしましたよ。
沢村は部下の死や勝手な単独行動などで本庁に呼び出されるが、拘束を振り切って逃げます。ありがち展開ですが、逃げるつもりなら最初から呼び出しにも応じなければいいのにと思います。沢村は、カエル男が屋上で太陽を気にして首をかいてたことから、日光アレルギーの患者を調べはじめます。
またしても根拠が薄く、刑事のカンだけで病院を回ります。実際にこんな刑事がいたら捜査員が何人いても足りませんね。このカンがはずれだったら、時間を無駄にしただけで、カエル男も待ちぼうけです。女医の橘幹絵(市川実日子)を銃でおどした時も、ほぼカンでしたが正解です。ここまでくると超能力者です。
『ミュージアム』ネタバレ結末/ラストシーン
沢村はカルテから「霧島早苗」の家を訪ねます。たった1人で乗り込んだら、つかまるのは当然です。地下室でジグゾーパズルをやらされます。空腹だったので、犯人からの差入れのハンバーガーとコーラを何度も食べます。そしてパズルは沢村の息子が書いてた絵ですが、完成すると「EAT」の文字が見えました。
それをドアの暗証番号に入力すると、外へ出られました。キッチンのような部屋には、作りかけのハンバーガーが置いてあり、不気味な人肉のようなのがつるされていて、冷蔵庫を開けると、なんと妻の遥と息子の将太の生首が冷凍保存されていました。吐き気に襲われる沢村を、カエル男は監視カメラで見ています。
沢村刑事の無能さを演じる小栗旬の演技は素晴らしいのですが、刑事なのに1対1で負けるし、ジグゾーパズルの完成まで文字がわからないし、犯人からのハンバーガーなんてそもそも食べないだろうし、カエル男は遥に言わせたい放題だし、TVドラマなみにツッコミどころ満載です。
妻子の肉を食べたことに悔やみ、復讐に燃える沢村は、カエル男を追って撃とうとします。しかしマスクを取ると、妻の遥です。直後に背後でカエル男が将太に銃を向けながら「妻を撃てば息子は助ける」と言うので、遥は「私を撃って」とせまります。悩んだ沢村は、カエル男を撃ち、自分も撃たれて意識が遠のきます。
この展開もあり得ないですね。銃を持った沢村の前にカエル男が現れるとは。しかも妻を撃たないことは明白で、やはり自分が撃たれます。その後で将太を撃たない理由も謎です。役に立たない警察もやっと到着して、それから逃げるように外へ出ると、カエル男は光線過敏症で倒れて逮捕されます。
カエル男こと霧島は病院で治療中、橘幹絵により点滴に薬品をもられて、けいれんします。たぶん殺されたんでしょう。警察の調べで、橘幹絵は霧島と兄妹(姉弟かも)であることが判明していてます。幼いころに両親が殺されて、その時のストレスで霧島は光線過敏症になったと考えられます。2人ともサイコパスでしょうね。
橘が霧島を殺した理由は不明ですが、カエル男の死により殺人『ミュージアム』の完成ということなのか、計画を失敗した霧島への罰なのか、または橘には良心が残っていて、霧島を楽に死なせてやったのか、などが考えられます。橘を演じる市川実日子(みかこ)は『シン・ゴジラ』と同様に良い雰囲気を演じてます。
沢村は絶対死んだと思いましたが、生きてて後遺症もなさそうで驚きました。妻子とも元どおりの暮らしに戻れて、ハッピーエンド、のようでしたが、運動会でビデオ撮影してると、将太が首をかきむしって光線過敏症のような症状が出てます。誘拐のストレスが原因でしょうけど、確率的にはあり得ないですね。
少しご都合主義な展開が多すぎますが、前半のサイコスリラーとしての描き方は好きですし、沢村に妻子の肉を食べたと思わせたこと、橘と霧島が兄妹だったこと、妻の遥にカエルのマスクをかぶせたこと、橘が霧島を殺害後、沢村の息子の将太に怨念(光線過敏症)が移ったことなど、驚きも多くて好みでした。
しかしそれらの驚きをうまく物語に反映できてなくて残念です。脚本家のドヤ顔が目に浮かびますが、違う人が制作したら傑作になった可能性も考えられます。ところで『ミュージアム』で一番驚いたのは、カエル男を妻夫木聡が演じてたことです。
R指定なみのグロさがあるので注意が必要です。前半は一級のサイコスリラーの雰囲気が味わえます。後半は少し失速ぎみですが、次から次へと驚きは用意されてるので、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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