映画『かがみの孤城』感想ネタバレ解説考察/結末は?なぜこの7人?最後の奇跡とは?
本屋大賞受賞の小説の映画化。学校に居場所をなくした中学生こころは鏡に導かれ「鍵を見つければ願いを叶える」という城へ。見ず知らずの7人の中学生達には1つの共通点があるとわかるが…。共通点とは?人に言えない願いとは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | かがみの孤城 |
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日本公開日 | 2022/12/23 [予告] 上映時間:116分 |
監督・キャスト | 原恵一[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 松竹/A-1 Pictures |
日本興行収入 | 10.9億円(興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | 79(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | SF/ファンタジー映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- こころ(當真あみ)中学1年。引っ込み思案。学校に行けなくなる
- アキ(吉柳咲良)中学3年。しっかり者でお姉さん的な存在
- 喜多嶋先生(宮﨑あおい)フリースクールの頼もしい先生
- オオカミさま(芦田愛菜)かがみの孤城の案内人
- リオン(北村匠海)中学1年。サッカー少年
- ウレシノ(梶裕貴)中学1年。ほれっぽい性格
- マサムネ(高山みなみ)中学2年。ゲーム好き少年
- フウカ(横溝菜帆)中学2年。ピアノ好きなメガネ女子
- スバル(板垣李光人)中学3年。落ちついた男子
- こころの母(麻生久美子)
ネタバレ感想『かがみの孤城』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は本屋大賞作?監督や声優について
映画『かがみの孤城』の原作は、辻村深月の小説『かがみの孤城』(2017年刊行)です。累計発行部数は100万部を突破し、2018年の「本屋大賞」も受賞。
原恵一監督は、クレヨンしんちゃんシリーズや『カラフル』『バースデー・ワンダーランド』等を監督。
声優は、今作で初のアニメ主演声優を演じる當真あみの他、『天気の子』凪役の吉柳咲良、高山みなみ、梶裕貴や、俳優/タレントからは北村匠海、芦田愛菜、宮崎あおい、麻生久美子、滝沢カレン、藤森慎吾などが出演。
かがみの孤城のルールは?7人のメンバーとは?
こころは学校へ行けなくなり部屋で過ごすが、鏡が光りだして吸いこまれます。オオカミ面の少女に導かれた城には、6人の見知らぬ中学生が。オオカミさまは「1年間で城内の鍵を見つけた者は願いを1つかなえられる」と説明。
城のルールは「毎日午前9-午後5時に鏡から行き来が可能。午後5時に城内に残ってる者がいると、城にいた全員がオオカミに食われる」。女性陣は、中3でしっかり者のアキ、中2でピアノが上手な眼鏡女子のフウカ、中1の大人しいこころ。
男性陣4人は、中3の物静かなスバル、中2のゲーム少年マサムネ、中1のほれっぽいウレシノ、中1のサッカー少年リオン。こころは、しばらく学校も城へも行かずだったが、6月に城へ行くと他のメンバーもいて居心地がよく感じました。
以上が序盤あらすじです。異世界である「かがみの孤城」へ行くまでの導入がスムーズですぐにひきこまれます。城にいられる時間帯や1年間という設定などから、7人が学校へ行けてない境遇は予測しやすいですね。
海に囲まれた孤城、オオカミさま、鍵さがし、ルール破った時の罰則など、デスゲームにも似た状況だが、より優しい世界でのファンタジーとして先の展開が気になりました。上映時間の関係でキャラが薄く感じたのは残念。
作画レベルは、最近のアニメ映画を見慣れてると少し劣る気がします。ところどろこ手抜きに見える動きも気になりました。専業声優は言うまでもなく、北村匠海などタレントもうまくて、芦田愛菜だけ場違いを感じたが後半は気にならなかったです。
かがみの孤城の7人の共通点とは?こころの願いは?
城の7人は親しくなります。ウレシノは次々と女子に恋するが、皆から面白がられてると知り「皆と違い、俺は学校へ行く」と宣言。しかし学校でケガさせられ戻ってきます。リオン以外の5人も訳あって不登校の生徒だとわかります。
7人は本格的に鍵を捜索しはじめるが見つかりません。そんな時、オオカミさまが現れ「誰かが鍵で願いを叶えると、ここでの記憶は全て失う」と言い足します。こころは「同級生の真田を消したい」という願いをあきらめると告白。
真田は明るくて教師にも人気の女子だが、彼氏の昔の告白相手だったこころに敵意を向けます。こころと親しい転校生も仲間に加えて、多数の取り巻きと共にこころの家へ押しかけました。その事件がきっかけで、こころは学校へ行けなくなりました。
こころは勇気を出して母に話し学校にも伝えるが、教師も真田も表面の反省のみで改善せず。ある日、アキが泣きながら鏡から現れ、その学生服から皆は同じ中学校だと判明。リオンもその学校の予定だったが、今はハワイに留学中。
以上が中盤あらすじです。ついに7人の共通点や、こころが学校に行きたくない理由が判明。恋愛脳の女子が彼氏に近づく者をいじめるという展開は映画でも現実でもありがちだが、本作の真田はひどすぎて「消えてほしい」に心底共感。
その後の手紙などを見ても真田は「大人の前でだけいい子になるタイプ」なので、それにだまされてる学校の教師程度では解決するのが難しそう。家を襲撃に来た時の動画を撮っとけば、悪質なので休学くらいには持ちこめたかも。
7人は学校で会えるのか?
ある日、マサムネが皆と学校で会おうと提案。こころも勇気を出して学校へ行くが転校生に無視され、真田の心ない手紙で倒れます。誰とも会えなかった理由はそれぞれの世界が「パラレルワールド」と推測するが、オオカミさまは否定。
城メンバーの何人かは、フリースクールの喜多嶋先生にお世話になってると判明。喜多嶋先生は学校と交渉し、こころが新年度に真田たちと別クラスになるようにし、転校も可能だと説明。近所に住む転校生の東条萌はまた転校に。
3月30日、久々に東条と会ったこころは、最近は東条が真田達に仲間はずれにされてると聞くが、「真田は恋愛脳で幼稚。たかが学校」と割り切ってる東条の言葉にはげまされます。家に戻ると鏡が割れてて、城の皆が「狼に食われる」と。
以上が終盤のあらすじです。7人は同じ中学校の生徒なのに学校で会えず、ゲーム脳のマサムネは「皆の世界はパラレルワールド説」を主張。個人的には別の可能性を思いついたのですが、それは本作のオチ(後述)と同じでした。
こころが他の引きこもりと違うのは、東条萌という頼もしい存在がいる点。そんな強い東条でさえ一時は真田の術中にハマってたので、学校でのヒエラルキー(階層)は魔物ですね。真田のような人間とはなるべく出会いたくないですね。
願いと結末は?オオカミさまの正体?皆のその後?
こころは「アキが5時に帰るルールを破ったから皆が狼に食われた」と知り、急いで城で鍵を探すことに。東条萌から借りた絵画で「七匹の子ヤギ」が隠れる場所「X印」にふれて皆の記憶を見た後、時計の鍵を取り「アキのルール破りはなかった」との願いをかなえます。
幼いリオンの7歳上の姉ミオは、病室で城のドールハウスで遊んでたが「リオンと遊ぶ夢」はかなわず亡くなりました。アキは、義父に乱暴されかけて城へ逃げました。最終日も現実へ戻りたくないため、5時にも帰らず狼に食われたのです。
再会した7人は、パラレルワールドではなく「7年ごとに生まれた別時間の中学生」でした。リオンの7年前には、オオカミさまの正体である姉ミオが生まれました。そしてフリースクールの喜多嶋先生の正体はアキと判明。
リオンの最後の願い「記憶を保ちたい」に姉は「善処する」と。7歳違いのウレシノとフウカはいい感じに。マサムネが好きなゲーム制作者の正体はスバルに。こころは登校時、同じ歳のリオンと出会います。
以上がラストまでの展開と結末です。中盤はやや中だるみも感じたけど、最終日にかけての怒涛のたたみ込み展開で全ての謎が明らかになっていく流れは本当にお見事!皆が「別時代の生徒」であることは、個人的には予想通りでした。
喜多嶋先生の正体がアキかフウカなのは途中から気づいたけど、結婚して「喜多嶋」となったアキであることが判明すると涙がとまらなくなりました。かがみの孤城での記憶はあるのか不明だが、学校へ行けない生徒を助けてきたんですね。
オオカミさまの正体がリオンの姉ミオであることも伏線/回収とも見事です。ミオが元気な頃の幼い姿であったことから、全く予想できなかったです。かがみの孤城へ弟たちを呼ぶことが「ミオの最後の願い」だったんですね。
映画『かがみの孤城』私の感想と評価
子ども向けの教育的アニメ映画かなと軽い気持ちで観に行ったら、中盤まではほぼそのとおりだったが、終盤からラストにかけての展開が濃厚でミステリ要素も好みでした。よくあるテーマを扱ってるが調理の仕方が上手くて号泣。
7人の城メンバーと学校の真田や東条など登場キャラが多いので、2時間の映画では描ききれてない部分もありました。しかし重要な部分はしっかり見せてくれて、少しの中だるみを除けば、すばらしい脚本・構成・演出です。
こころと似たような境遇の人が観ると「最後は彼氏まで見つかるハッピーエンドか」とがっかりする可能性もあるけど、映画のメッセージは間違ってないと思うので、子どもも大人も多くの人に届いてほしいアニメ映画です!
私の評価 74/100(60が平均)
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