『“それ”がいる森』感想ネタバレ解説考察/結末は?それの正体と目的は?
田舎町の農家で働く田中の所へ、元妻のもとで暮らしてるはずの息子・一也が訪ねてきます。一方、近くの森では怪奇現象が発生し、住民の不審死や失踪事件が続き、田中と一也も「それ」を目撃し…。森には何が?60年前の事件?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | “それ”がいる森 |
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日本公開日 | 2022/9/30 [予告] 上映時間:107分 |
監督・キャスト | 中田秀夫[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 松竹/松竹撮影所 |
日本興行収入 | 4.8億円(興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | 51(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ホラー/パニック/バイオレンス映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 田中淳一(相葉雅紀)農家。爽子とは離婚。一也の父
- 赤井一也/かずや(上原剣心)淳一の息子
- 北見絵里(松本穂香)一也の担任の先生
- 児玉勉(小日向文世)“それ”の目撃者
- 赤井爽子/さわこ(江口のりこ)淳一の元妻
- 岩村義男(酒向芳)町長
- 綾波武史(眞島秀和)警部
- 長尾良平(宇野祥平)淳一の農業仲間
ネタバレ感想『“それ”がいる森』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は?監督やキャストについて
『それがいる森』は、漫画や小説が原作ではなく映画オリジナル・ストーリーのようです。
中田秀夫監督は『スマホを落としただけなのに』『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』や『貞子』『事故物件 恐い間取り』など、ミステリーやホラー映画を多く手がけています。
主演の相葉雅紀は、映画では『ピカ☆★☆ンチ LIFE IS HARD たぶんHAPPY』のシリーズや『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』に出演。
松本穂香は、最近の映画では『青くて痛くて脆い』『みをつくし料理帖』『今夜、世界からこの恋が消えても』等に出演。
他、江口のりこ、眞島秀和、宇野祥平、酒向芳、小日向文世など、あやしい俳優女優が出演。
田中と妻子の関係は?最初の犠牲者は誰?
田中淳一(相葉雅紀)は、福島県の田舎町の農家でオレンジを作ってるが、農家仲間が細菌にやれれた枝を見つけて焼いてくれます。そこへ、東京で元妻と暮らしてるはずの息子・一也がタクシーで訪れ、しばらく一緒に暮らすことに。
田中は、元妻の爽子/さわこ(江口のりこ)と息子の一也とはうまくいってたが、爽子の実家の事業で、爽子の父に認められる成果を出せず、追い出されるような形で家を出ました。一也には「逃げるの?」とけいべつされながら。
一也は中学受験の勉強で成績が伸びず、母のプレッシャーに疲れて父の家へ来たのです。一也は学校でなかよくなった友達に誘われ出入り禁止の森へ入り銀色の物体を発見。仲間に証明するため再訪すると「それ」が友達をさらいました。
以上が序盤のあらすじ。主人公の田中淳一が妻子と離れて暮らす(姓が違うので離婚?)理由は、この種類の映画にしては意外と複雑で予想外。ようするに、妻とも息子とも険悪だったわけではなく、妻の父から追い出されただけです。
オレンジが感染した細菌は、後に回収される伏線です。息子からの「逃げるの?」も田中には呪縛のように感じられ、ラストで軽く回収されます。「銀色の物体」は「それ」の正体を絞り込めるので、早すぎる登場だと感じました。
最初の殺害犠牲者は、冒頭のホストクラブ強盗の男女。最初の誘拐犠牲者は、一也の友達男子です。
“それ”はクマ?スマホの写真には何が?
家に戻らない一也を心配した田中は、スマホの位置情報アプリで森で倒れてる一也を発見。翌朝、警察と村人とで森を捜索するが友達は見つからず。冒頭のホストクラブ強盗の男女の遺体と現金が発見され、クマのしわざとされます。
一也の主張する銀色物体はないが、円形のくぼみと岩石が溶けた跡が。田中は夜のビニールハウスで奇妙な影を見かけます。女子小学生が三つ爪の「それ」に誘拐される事件も発生。猟師たちは森へ熊狩りへ行き、クマをしとめます。
田中は一也の友達が落としたスマホを探しだし、銀色の生物「それ」の写真を入手。しかし警察には取りあってもらえず、一也の教師(松本穂香)と共に調べます。すると、60年前にも同じ場所で2人の子供が行方不明になったと知ります。
中盤は「それ」がクマとして決着するが、田中は息子の言葉を信じて真相に近づく展開。「円形のくぼみ」「三つ爪の足跡」を警察が見逃すはずないので「国家陰謀」も疑ったが、ラストまで観ると「警察が無能だっただけ」でした…
予算と時間の関係でしょうけど、この辺りをもっとリアルに描かないと『“それ”がいる森』全体が雑に思えるので、もったいないです。邦画の課題ですね。60年前の事件をからめたのはワクワクしたけど、逆になぜ「今」かが疑問に。
60年前の目撃者の衝撃証言?子供をさらう理由は?
田中は、夜のビニールハウスで、2人の銀色生物「それ」に襲われるが、腐ったオレンジに触った「それ」は退散。60年前に2人の子供が行方不明になった事件で助かった子を、教師の協力で見つけてもらった田中はその目撃者を訪問。
目撃者の児玉(小日向文世)は2人に、銀色の物体はUFOで、銀色の宇宙人が子どもをさらったと証言。宇宙人の絵も描いたが、当時も警察は無視。宇宙人は、子供の骨の成長板を欲して捕食し、大人は不要なので殺害してると仮定。
町から逃げようとした親子が銀色の「それ」を見たり、キャンプ中の家族が襲われて大人は殺害され、子どもはさらわれた事件も発生。ついに警察隊が森へ調査に入るが「それ」に襲われて全滅。子ども達は学校に避難し警官が守ります。
子ども達がかくまわれた学校へ、銀色宇宙船が飛来し、銀色の「それ」3人が門の警官をあっさり殺害し侵入。「それ」の存在に懐疑的でイヤミばかり言ってた教頭だが、最後は自分が犠牲になって女教師と子ども達を逃します。
終盤は「それ」がクリーチャーとして姿を隠さなくなって(笑)人間を襲い始める展開。警官隊を全滅させるほどの強敵なのに、大人の殺害シーンはほぼ映されないし、歩くのも瞬間移動はあるが遅すぎて全く怖さを感じられず残念。
宇宙人が腐ったオレンジから逃げた時に、トム・クルーズ主演のあの映画(ネタバレなので題名はふせ)のオチを連想した人は多そう。60年前の目撃者で小日向文世が登場した時、この人が黒幕だ!と確信したのは私だけ?(笑)
ホラー映画では、人間性に問題ある人物は次々と殺害される法則があるが、本作もそれに忠実で「教頭」と、一也をライバル視した「コージ」が犠牲に。ただ、2人とも憎たらしい悪人に描かれておらず、爽快感いまいちでした。
それの正体とは?弱点や繁殖法は?結末は?
一也は、1人で倒しに出た友達コージが「それ」にさらわれたのを追います。銀色宇宙人は、口を顔より大きく開いてコージを食べると、2人に分裂。今度は一也がねらわれるが、田中が追いつき、謎の液体を布にぬった棒で宇宙人を撃退。
児玉の助言によると、60年前に子どもを捕食した理由は「地球上の細菌/ウィルス/病原菌に慣れるため」でもあったと。しかし植物の細菌まで研究できてなかった銀色宇宙人は、オレンジの細菌に驚きビニールハウスから逃げたようです。
田中はその細菌を布にぬったのです。しかし1体は起き上がり、まだ追ってきます。一也は、友達が作った秘密基地のワナ「落とし穴」を思い出して宇宙人をさそい落とします。が、同時に一也とそれを支える田中も飲みこまれます!
しかし田中は宇宙人の体内でオレンジの細菌をまき、2人はナイフで脱出。学校で生徒を守ってた女教師は、扉が破られ絶体絶命の時に、宇宙人が去ってくれました。宇宙人は仲間が倒されたため、宇宙船に戻り森から去ります。
一也はこの村で暮らすと決め、母・爽子も会社は後輩に引き継いで引っ越してきて、田中とヨリを戻しそうな雰囲気。
ラストは、田中の父子が宇宙人と対決する展開、そして結末へ。宇宙人の繁殖方法は、地球人の子どもを丸のみすること、だったのは驚き。消化早すぎ。宇宙人の正体は、食われた子ども自身だと深読みしたけど違ったようです。
宇宙人の弱点は、予想通り「植物の病原菌」。警官隊を全滅させるほどの戦闘力を有するのに、細菌のついた棒を全くよけられないのは違和感だらけですが。細菌がついた瞬間に倒れるのも反応早すぎ。代謝が地球人の何百倍とか?
一也の友達の落とし穴の伏線回収も予想できましたが、一緒に落ちるとこまで伏線だったとは…。今になってあのポッチャリ少年がいなくてさみしくなります。ちなみに宇宙人が、仲間のかたき討ちをするタイプでなくよかったですね。
映画『“それ”がいる森』私の感想と評価
この手のホラー邦画はパターンが出つくしてるので観ないつもりだったが「それ」が何か気になってしまい視聴。「それ」の正体は予想の範囲内だったが、ジャンル変わるほど斜め上で怖さより笑いが。意外性はあり、観てよかったです。
一方、予算少ないのを隠す気もない貧弱な映像表現、説明セリフの多用、子役の微妙な演技など、テレビドラマ品質だったのは残念。「世にも奇妙な物語」と同レベルなので、動画配信して世界に流すのは恥ずかしいのでやめてほしい。
あと本作『“それ”がいる森』にとって不幸だったのは、同じ公開年の新作映画で、同じオチを扱った映画が私が観ただけでも2本あったことです。それらを観てない人なら「それ」の正体を観るだけでもおすすめ!
私の評価 60/100(60が平均)
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