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映画『ナイチンゲール』評価は?ネタバレ感想考察/タイトル意味は?一番の復讐対象は?

映画ナイチンゲール

『ナイチンゲール』あらすじ概要

19世紀のオーストラリア・タスマニア。囚人クレアは、先住民を追い出す英軍の将校ホーキンスに尊厳を奪われ復讐を誓い、アボリジニの道案内ビリーと共に将校を追いかけるのだが…。クレアも差別主義者?ガンダムとの関係?(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 ナイチンゲール
平均評価★★★★★74私の評価↓は含まず)
原題/英題The Nightingale
日本公開日 2020/3/20 [予告↓]上映時間 136分
映倫区分日本 R15+(15歳以上)USA R
製作国オーストラリア・カナダ・アメリカ合作
映画監督ジェニファー・ケント [キャスト↓]
配給/製作/画像©トランスフォーマー/コーズウェイ・フィルムズ、ブロン・スタジオズ
日本興行収入公表後すぐ更新(興行収入ランキング
世界興行収入0.010億USドル [出典]
受賞ノミネートベネチア国際映画祭コンペティション部門 審査員特別賞と最優秀新人賞

『ナイチンゲール』予告動画

キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

クレア(アイスリング・フランシオシ)
アイルランド人の女性。復讐を誓い行動にでる
ビリー(バイカリ・ガナンバル)
先住民タスマニアン・アボリジニー。クレアの案内人
ホーキンス(サム・クラフリン)
横暴なイギリス軍将校。クレアの復讐対象
ルース(デイモン・ヘリマン)
ホーキンスの部下。かなり横暴な野心家
ジャゴ(ハリー・グリーンウッド)
ホーキンスの部下。良心を持っている
エイデン(マイケル・シェズビー)
クレアの夫
エディ(チャーリー・ショットウェル)
白人囚人の孤児。ホーキンスの荷物持ちの1人

ネタバレ感想『ナイチンゲール』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★62/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

女性監督や主要キャストについて

ジェニファー・ケント監督は、オーストラリアの女性監督です。2014年のオーストラリア製ホラー映画『ババドック 暗闇の魔物』が、シッチェス映画祭など世界の映画祭で絶賛されました。米バラエティ誌では『スターウォーズ』を監督すべき女性にも選ばれています。

出演キャストは日本ではほぼ知られてません。主演クレア役のアイスリング・フランシオシは、アイルランド出身でオペラ歌手でもあります。日本では『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン6,7のリアナ・スターク役が最も有名です。

ホーキンス将校役のサム・クラフリンは、『パイレーツオブカリビアン 生命の泉』『スノーホワイト』や、ハンガーゲーム・シリーズにも出演してたので覚えてる人はいるかもしれません。

先住民アボリジニのビリー役のバイカリ・ガナンバルは、ジェキ・マラという伝統ダンスのダンサーで、本作『ナイチンゲール』で初めて俳優も務めました。

映画ナイチンゲール

ブラックウォーとは?タスマニア原住民の歴史

オーストラリアに入植したイギリス植民者は、タスマニア島の原住民アボリジニー族と衝突していました。ブラックウォーとは、1820年代にタスマニアン・アボリジニーを一掃するために追いこんだブラック・ライン作戦のことです。

このブラック・ライン作戦によって、多くのタスマニアン・アボリジニー族はフリンダーズ島へ移住させられました。しかし劣悪な生活環境によって人口は激減し文化も失われていき、1876年には最後のアボリジニが亡くなって絶滅しました。

女性と先住民による復讐物語?

予告編やポスターや、コピー「復讐を歌え」「私はあなたのものではない」等から、映画『ナイチンゲール』が復讐物語であることはネタバレされています。

復讐を誓うのは、夫と赤ちゃんを殺害された女性クレアと、家族を殺害されて奴隷あつかいのアボリジニ黒人ビリーです。復讐相手は、イギリスからの入植者で英国軍将校のホーキンスと、それに従うゲスなルースと、良心は残ってるジャゴです。

家族を殺害した者に復讐する映画は数多くありますが、土地を奪われた先住民のうらみも混ぜてきたのは斬新です。将校ホーキンスは差別主義者を代表するようなクズで、女性・アイルランド人・先住民・白人囚人・部下の全てを見下しています。

だからこそ観てる側は、ホーキンスに罰がくだされるべきと思えて、クレアとビリーによる復讐を応援したくなります。しかし本作は入植者の無慈悲さを強調したかったようで、復讐による爽快感はそれほど感じられませんでした。

ホーキンスが殺害した動機は?

ホーキンスがクレアに暴行をくわえ、夫エイデンと赤ちゃんを殺害した最大の動機は、エイデンの直談判を査察官に見られて出世をはばまれたからです。夫は口止めのために、赤ちゃんは泣き声がうるさかったからという理由で殺害させました。

そもそもホーキンスは女性や囚人や先住民を見下してたので、彼らの命の重みは感じてません。そして自由にする期限をすぎてもクレアを手放さかった理由は、単純に欲求のはけ口にしたかっただけというゲスな人物です。

ローンセストンへ向かう理由は?

ホーキンスがローンセストンの町へ向かう理由は、上官であるベクスリー大佐に出世を直訴するためです。早く着きたいホーキンスは、原住民アボリジニの黒人案内人、囚人の孤児エディ(チャーリー・ショットウェル)等を引き連れます。

ブラックウォーの当時、イギリス人は先住民タスマニアン・アボリジニーを迫害してたため、先住民側も生き残るために抵抗していました。それにしてはホーキンスの装備と人員は身軽すぎますが、銃があるため過信してたのでしょうか。

ホーキンスは残酷な入植者の象徴?罪の一覧

ホーキンス一行は、アボリジニ案内人に連れられてローンセストンへ向かう途中、先住民グループに襲撃されます。それは偶然ではなく、アボリジニ案内人がその場所に引き連れてきたことが、後の展開でわかります。

襲撃される前に、ゲスな部下ルースがアボリジニ黒人女性を拉致して、ホーキンスとともに性的暴行しました。先住民の目的はホーキンスらの全滅ではなく、この女性を救いに来たようですが、なんとホーキンスは女性を銃殺してしまいます。

このようにホーキンス、ルースは特に残忍なイギリス入植者の象徴として描かれています。クレアの赤ちゃんを殺害して良心の呵責に苦しむジャゴも含めた、罪の一覧は下のとおりです。

ホーキンスら入植者の罪の一覧
  • ホーキンス: クレアへの性的暴行
  • ホーキンス: クレアの夫の銃殺・子の殺害指示
  • ホーキンス: アボリジニ女性への性的暴行と銃殺
  • ホーキンス: 白人囚人の孤児エディの銃殺
  • ルース: クレアへの性的暴行
  • ルース: アボリジニ女性の拉致と性的暴行
  • ルース: アボリジニ案内人の銃殺
  • ルース: 案内人ビリーへの銃撃で致命傷
  • ジャゴ: クレアの赤ちゃんの殺害

クレアの唯一の復讐対象とは?復讐は中盤で終了?

映画『ナイチンゲール』は、女性が男性に復讐する物語と予想してたのですが、クレアの復讐は中盤で終わってしまうのがかなり物足りなかったです。特にクレアが銃で狙ったホーキンスを撃たないシーンはかなり残念に思いました。

もちろん理由はあって、クレアが最も復讐したい対象は、赤ちゃんを殺害したジャゴだったのです。しかも最初の殺人で、ジャゴにナイフを何度も突き刺して、最後は赤ちゃんと同じように撲殺して怒りを全てぶつけました。

その行為により、クレアの復讐心は一気に冷めたのだと思います。クレアは自分を何度も暴行して夫も銃殺したホーキンスやゲスなルースよりも、我が子を殺害した張本人であるジャゴを最も憎んだのです。女性監督らしい描写だと感じます。

クレアも差別主義者?ビリーとの関係性は?

当時のオーストラリアは、イギリスの流刑地だったので、植民地のようにあつかわれてたアイルランド人の囚人も連れてこられ奴隷のように働かされました。クレアもちょっとした罪を犯して囚人となり、ホーキンスにこき使われてます。

ところが、そんなアイルランド人のクレアから見ても、先住民アボリジニ人は差別対象です。それはクレアが差別主義者というよりは、先祖代々しみついた習慣なので、いわば当時の白人の「常識」だったのだと感じます。

そして差別される側のアボリジニ人ビリーからも、クレアは「差別主義者の白人」にしか見えなかったのでしょう。クレアが「私はアイルランド人」と言っても、ビリーにとっては「家族を殺害した白人」と違いがわかりません。

だから序盤は距離感のあるクレアとビリーですが、クレアが最初のジャゴを殺害後、ビリーはクレアも家族を殺害されたことを知って意気投合していきます。そして終盤は、クレアの復讐をビリーが引き継ぐ形になります。ルースこそがビリーのかたきだったようにも感じます。

悪い人間は白人にも先住民にもいる?

映画『ナイチンゲール』のホーキンスらは、弁解の余地ないくらいの悪党ですが、入植者イギリス人にもジャゴのように良心を持つ者もいます。ジャゴの悲劇は、上官ホーキンスに逆らえるだけの強い心を持ち合わせてなかった点です。

クレアが、ローンセストンの英国軍上官たちの前でホーキンスの非人道的行為を暴露した時、上官達はホーキンスを非難する目で見ます。どう対処するのか不明ですが、少なくともホーキンスよりは人間的な心を持ち合わせてそうな描き方です。

また、逆にアボリジニ人にも悪い人はいるとビリーは語ります。結局は「白人全員が悪人」というわけではなく「どんな人種にも、悪人は存在する」という描き方です。

タイトルの意味は?鳥は何の象徴?ガンダムを連想?

ホーキンスを銃で狙うが撃てなかったクレアは森に隠れます。しかし復讐を引き継ぐようにアボリジニのビリーが銃を向けるが撃てずに、捕まってしまいます。しかしその後、逃げてクレアと合流できます。この辺の展開は不要にも思えます。

案内人を失ったクレアは森で迷うが、うぐいすに似た泣き声に導かれ、オウムのような黒い鳥に付いていくとローンセストンへの道へ出られてビリーとも合流できます。この黒い鳥は、クレアの死んだ夫か赤ちゃんの生まれ変わりとも感じます。

ちなみにタイトル『ナイチンゲール』とは、小夜啼鳥(サヨナキドリ)のことで、美しい鳴き声から西洋のうぐいす夜鳴鶯(ヨナキウグイス)とも呼ばれる鳥のことです。有名な看護婦のことではありません。

ナイチンゲールは、夕暮れ後など暗い時間帯に鳴くので、墓場鳥とも呼ばれるようで、この時のクレアの境遇も表してるように感じます。また、美しい歌声のクレアこそ、ナイチンゲールを連想させる存在であることも表現されています。

クレア役でオペラ歌手でもある女優アイスリング・フランシオシは、何度も美しい歌声を心境を語るように披露します。特に「…糸巻き棒も糸巻きも売って、たった1つの糸車も売って…」のアイルランド民謡「シューリ・ルゥ」は涙を誘います。

余談ですが、ガンダムファンなら映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』での「ナイチンゲール」を思い出すでしょう。あのシャア専用モビルスーツのナイチンゲールも「死を告げる鳥」という伝承から付けられたネーミングです。

銃を撃つ者と撃てない者の物語?

映画『ナイチンゲール』では、銃を撃つ者(ホーキンスやルース)と撃てない者(クレアとビリーとエディ)を対称的に描いています。ホーキンスとルースは、何のためらいもなく銃で殺害します。

クレアとアボリジニ人ビリーと囚人孤児エディは銃を相手に向けるが、うまく発砲できません。つまり「銃」は差別対象を無慈悲に殺害する兵器であるが、良心を持つ者や人間の命を簡単に奪えない者には撃てない設定になっています。

映画『ナイチンゲール』私の評価と総括

映画『ナイチンゲール』は、植民地であり流刑地でもあるオーストラリアで行われた、入植者イギリス人による、先住民・女性・囚人・アイルランド人などへの差別と非人道的行為をオブラートに包まず徹底的に見せてくれます。

世界各地の映画賞などでは、序盤の不快な描写に我慢できず退場した人も続出したそうです。現実にはホーキンスのような人間は、いたでしょうし1人ではなかったと思うので、個人的には忖度なく描いたことは評価したいです。

一方、中盤以降でクレアが失速する展開は復讐映画として物足りなさを感じました。先住民ビリーに復讐を引き継ぐ展開にしたかったのでしょうけど、私が感情移入したのはクレアであり、夫とクレア自身の屈辱の復讐も果たしてほしかったのです。

日本であまり知られていない、オーストラリでの植民地政策やブラックウォーについて考える機会を得られたのはよかったです。序盤は苦しい展開もありますが、そんな暗黒の歴史を描く映画『ナイチンゲール』は多くの人に観てほしいです。

他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

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