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ネタバレ感想『若おかみは小学生!』誰もこばまないの意味?アレが消える理由?/評価あらすじ

若おかみは小学生!

累計発行部数300万部超えの児童文学を映画化。大人は泣けるとSNSで話題に。小学生の少女おっこは祖母の春の屋旅館に引き取られ、なりゆきで若おかみの修行をはじめ、心の傷を持つ客たちを癒やすのだが...。過酷な試練とは?(ネタバレあらすじ↓)

若おかみは小学生!の予告動画

映画『若おかみは小学生!』評価まとめや作品情報

興行成績、公開日、上映時間などは↑に掲載してます。
原題/英題
Okko`s Inn
映倫区分
日本: G
配給/製作
(C)ギャガ、DLE、マッドハウス
参考
公式サイト⇒ Wikipedia⇒
映画監督
高坂希太郎
キャスト/出演者
小林星蘭、水樹奈々、松田颯水、遠藤璃菜、小桜エツ子、薬丸裕英、鈴木杏樹
レビューサイト平均評価 ★★★★★80/100換算

『若おかみは小学生!』ネタバレあらすじや結末

この先はネタバレありのあらすじです。

関織子(声:小林星蘭。せき おりこ)通称おっこは、祖母の住む「花の湯温泉」で両親と祭りのお神楽を見て、母親は「踊りたい」とはしゃぎます。車での帰り道、幸せな家族の会話中、反対車線からトラックが突っこんできます。おっこは飛ぶ少年を見ます。

春の屋旅館には虫もヤモリも幽霊も?(ネタバレあらすじ)

小学生のおっこは1人でマンションを出て、スーツケースを運び、母方のおばあちゃん関峰子(一龍斎春水)が経営する花の湯温泉街の「春の屋旅館」へ向かいます。ベテラン仲居エツ子、料理人の康さん(こう)にも迎えられ、そこで暮らすことになります。

都会育ちのおっこは蜘蛛(クモ)やヤモリをいやがります。旅館の自室で幽霊ウリ坊(松田颯水)に遭遇したおっこは大声を出すが、おばあちゃんに「客が驚くから」と叱られます。ウリ坊はおばあちゃんを峰子ちゃんと呼び、幼なじみだそうです。

おっこは両親の死を知ってるけど、心では死を受け入れられてないようで、母や父と一緒に寝たり、時々現れて話したりします。生死の境を見たので、幽霊も見えるのではとウリ坊は推測します。エツ子や康さんが同情してもおっこは上の空です。

若おかみは小学生!の誕生?1番目の客(ネタバレあらすじ)

当初はおばあちゃん家で暮らすだけのはずでしたが、「峰子ちゃんを助けて!」とウリ坊が頼むので、おっこは成り行きで「春の屋旅館の若おかみ」として修行することになります。学校では秋好旅館の秋野真月(声:水樹奈々。まつき)通称ピンふりと衝突します。

おっこが最初に接客したのは、美少年の神田あかね(小松未可子)とその父親の幸水(設楽統)の親子です。あかねは母親を亡くしてから落ち込み、ひねくれた性格で、おっこは客であることを忘れて説教してしまい、おばあちゃんに叱られます。

おっこはあかねが希望したオムライスを康さんに作ってもらい、買えなかったケーキの代わりに特性の露天温泉プリンをあかね親子に作ります。ひねくれたあかねも、両親を亡くしたおっこの頑張りを見て回復し、翌朝プリンも食べて感謝して帰っていきます。

2番目の客グローリー水領とファッションショー?(ネタバレあらすじ)

おっこは真月の秋好旅館が飛ばす大量のこいのぼりに感動するが、その1つが春の屋旅館の入口まで飛んできます。その真犯人は秋野美陽(声:遠藤璃菜。みよ)という白髪長髪の美少女幽霊で、真月の死んだ姉です。美陽も春の屋旅館を気に入り住みつきます。

2番目の女性客は食事もせず部屋でワインを飲んであやしげだったので、おっこは軽く食べられる物を用意し温泉に入れ着物を着せたりもします。客は占い師グローリー水領(声:ホラン千秋。すいりょう)と名乗り、おっこは気に入られて買い物に誘われます。

ドライブ中、両親の事故を思い出したおっこは過呼吸になるが、おっこの希望で買い物は続行します。グローリー水領の大量の買い物後、おっこも様々な服を試着し、ウリ坊と美陽も混ざってファッションショーを楽しみ、水領はおっこに服をプレゼントします。

おっこが死と向き合う時?3番目の客(ネタバレあらすじ)

春の屋旅館では鈴鬼(声:小桜エツ子。すずき)という食いしん坊な子鬼も現れます。天才なのに努力も怠らない真月と一緒に御神楽の練習を始めたおっこは足を引っ張り、真月にイヤミを言われて口ゲンカします。おっこはウリ坊と美陽が見えにくくなります。

3番目の客は、木瀬文太(声:山寺宏一。きせぶんた)と寅子と幼い少年の翔太の親子です。おっこはヤモリをいじめる翔太に注意します。事故の後遺症で食事制限がある文太のために、おっこはライバルの真月に「医食同源」料理のヒントをもらいに行きます。

料理人の康さんに作ってもらった料理は文太に大好評でおっこは喜びます。文太は前の自動車事故を避けるため反対車線にトラックで突っ込み、3人家族の両親が亡くなったと話します。おっこは文太が両親の死の加害者と知ります。おばあちゃんも気づきます。

『若おかみは小学生!』ネタバレ結末と最後/ラスト

泣きながら旅館を出るおっこの前に、占いで心配して来たグローリー水領さまが現れなぐさめます。文太も心苦しくなり真月の旅館へ移ろうとするが、おっこ「花の湯温泉のお湯は誰もこばまない。すべて受け入れ、いやしてくれる」と宿泊をお願いします。

祭りの日、花の湯温泉で白装束で一緒に身を清める時、真月はおっこに辛い時に誰かのはげましの声を聞いたことがあり、姉の美陽ではないかとはじめて弱さを見せます。2人は見事なお神楽を舞い、幽霊のウリ坊と美陽も舞いながら成仏して消えていきます。

ネタバレ感想『若おかみは小学生!』考察・評価・レビュー

この先はネタバレありの感想・考察です。若おかみは小学生!

★★★★★ 80点/100(60が平均)

『若おかみは小学生!』は令丈ヒロ子による児童文学でイラストは亜沙美で、全20巻で完結しています。漫画家やTVアニメ化もされています。初の映画化でそこそこの上映館数で公開されたものの一度も週末TOP10には入らず、公開規模も縮小されていきました。

タイトルもポスターの作風も児童向けなので、大人が敬遠したのかもしれません。しかしその後ツイッター等のSNSで高い評価と支持を得て復活していきました。同じ年の『カメラを止めるな!』も都内2館から全国へ拡大したので似ています。

私もタイトルや作画から小さな子ども向けアニメ映画だと思い、全く観る気はなかったです。しかし信頼できる人たちが勧めてるのでかなり遅れて行ったのですが劇場で観れて本当に良かったです。特に脚本の質の高さは多くの邦画が見習うべきだと思います。

ジブリ関連制作陣もいて作画が見事!

本作の高坂希太郎監督は、スタジオジブリ(作品一覧)の原画や作画監督を何度もつとめたこともある実力者で、長編アニメ映画『茄子アンダルシアの夏』を監督して高く評価されています。

脚本家の吉田玲子さんもジブリ製作の『猫の恩返し』や、最近では『映画 聲の形』『リズと青い鳥』『ガルパン』『けいおん!』など多数作品で素晴らしい脚本を書いています。他のスタッフもジブリ出身者がいるようです。

本作は絵がらが子ども向けの萌え風なので大人は近づきにくい雰囲気もありますが、作画レベルはかなり高くて驚きます。特に背景作画や映りこみ(包丁・水晶玉など)などにはこだわりを感じるし、幽霊の透明具合やスピード感・俯瞰映像なども見事です。

スタジオジブリつながりでいうとストーリーも少し似てる部分があって、例えば主人公を支え助言し消えていく幽霊の存在は『魔女の宅急便』のジジそっくりだし、両親がいなくなって旅館で働く境遇は『千と千尋の神隠し』を思い出させます。

一度見ると忘れられない魅力的なキャラクターたち?

上映時間のわりには登場キャラクターが多いのですが、みんな特徴的で最初から魅力全開なので、覚えるのに苦労しない点が児童文学らしいし脚本の素晴らしさでもあると感じます。特に幽霊のウリ坊と美陽ちゃんは登場シーンからひきつけられます。

春の屋旅館に訪れる客については後述しますが、グローリー水領さまの魅力は言うまでもないです。おっことライバル関係になるピンふり真月も敵キャラとしてでなく、おっこが目指すべき理想の若おかみ像や同年齢の理解者として欠かせないキャラです。

声優は最近よく問題になるタレント声優も何人か起用してますが、おっこの両親とあかねの父親が少し浮いた感じだった以外は違和感なかったです。しかし芸能人による宣伝よりも、一般人のSNSの方が顧客を呼び込めるというのはある意味健全ですよね。

おっこ役の小林星蘭と、美陽役の遠藤璃菜は本物の子どもで子役声優らしいけど全く違和感なかったので今後が楽しみです。この2人の子役と口ゲンカしてた、真月役の水樹奈々も負けてなかったので録音風景を見てみたいです。

癒やし求めて来る客はおっこの現在・未来・過去?

パンフレットで高坂希太郎監督が書いてるとおり、本作でおっこが担当する旅館客たちは、おっこの現在・未来・過去の写し鏡を象徴しています。彼らの心の傷を癒やすことにより、おっこ自身も心の傷と向き合えるようになり、受け入れ準備ができていくのです。

1番目の旅館客は、母親を亡くした喪失感で身も心もぼろぼろになりかけてる、美少年の神田あかね君と父親です。あかねはおっこと同年齢なので「現在」のおっこもこうなる可能性があったという合せ鏡です。

あかねはすぐに現実を受け入れようとして苦しんでひねくれてますが、それは父親がいるからこその「甘え」だと感じます。おっこもそう感じたからか、わがままなあかねに最初は反発します。そして両親とも亡くしたおっこを知り、あかねは回復していきます。

2番めの旅館客は、子供の頃に両親を亡くし、最近は強運の日に恋人から別れを告げられた占い師グローリー水領です。悩みを抱える客をいやす仕事をしてるが、仕事を過信すると失敗につながるという、「未来」のおっこを連想させるキャラクターです。

失恋して食事もせずアルコールに浸ってたグローリー水領を、おっこが全力で看病する姿は見てるだけで癒やされます。特に着物を着付けるシーンは最高すぎます。温泉につかって回復したグローリー水領が、今度は全力でおっこを発散させたげるのもいいですね。

おっこが高速道路をドライブ中に両親の事故を思い出して過呼吸になったのも、グローリー水領様が隣にいたからではないでしょうか。あかねが父に甘えたように、おっこもやっと水領に甘えることができ、両親の死と向き合う準備が整っていきます。

3番目の旅館客は、誰も身近な人を亡くした感じはないけど、何かの事故で内臓器官に後遺症がある父親と、その妻と幼い息子の3人親子です。少年の翔太は両親に甘えたり、ヤモリを嫌っていじめたりする「過去」のおっこの合せ鏡的キャラクターです。

おっこはライバル真月に頭を下げてまで医食同源のヒントをもらい、食事制限の厳しいその父親を癒やして「生きる」喜びを思い出させます。ところが彼が起こした事故とは、おっこの両親の命を奪ったもので、さすがのおっこも仕事を放棄して飛び出します。

おっこを受け止めて支えたのが、空想のイマジナリーフレンド的な幽霊たちではなく、現実世界のグローリー水領だったことは象徴的です。そしてトラウマのある車の中で全てはき出したおっこは、やっと「生死の境」から「生の世界」へ戻ったのだと思います。

子どもは笑えて大人は泣ける?実はホラーで過酷な話?

確かに泣いたシーンはいくつもあったのですが、ラストまで観終わった後で変な違和感も残りました。まず冒頭での自動車事故は必然とはいえ、児童も見る映画であそこまで見せるのはトラウマにならないか心配です。1人でマンション出て旅館へ行くのも変です。

そして最も気になったのは「まだ将来を決められない小学生が、やや誘導されて旅館の若おかみの修行をはじめること」です。もちろん途中でやめてもいいのでしょうけど、跡継ぎは1人だけだし、おっこの性格を考えると多少イヤでも跡を継ぐでしょう。

一方で、居場所のなくなったおっこに役割や生きがいを与えて、両親の死や喪失感から目を背けさせて「現実世界の今をしっかり生きる」ことに専念させた意義はあると思います。友達とも遊んでたので、小学生の労働問題はクリアしてるのでしょう。

そしてラストで、おっこが最も会いたくない客がやって来て、おっこに全力でおもてなしをさせた後、それが両親の死の加害者であると判明した時は、脚本家をはじめ制作陣の「感動テロ」へのあざとさや冷酷さを感じてしまいました。

小学生でまだ12歳くらいの少女に、そこまでの試練を乗り越えさせるの?と不快感すらおぼえます。しかしこのストーリーの優れてる点は、無防備なおっこにラスボス(悪い人ではない)をぶつけたわけではなく、心の準備とサポーターの徹底を優先した事です。

母を亡くして父に甘えるあかねの姿を見て、母の代わりに甘えられそうなグローリー水領さまと交流して、本音を言い合える良き親友にもなれそうな、ピンふり真月というライバルもできた後に、鈴鬼の能力でラスボスが呼び寄せられたのです。

心の傷は時間が解決してくれるかもしれないけど、しっかりサポートしてくれる人と出会えれば、もっと早く回復できるのです。それはあかね、グローリー水領に対して、おっこが実践してきたことでもあり、今度はおっこがサポートされる側に回り、最後はおっこが加害者に「ゆるし」を与える聖母マリアのように描かれています。

おっこに幽霊が見えなくなる理由とは?

おっこの成長物語なので「生の世界」に自分の居場所を見つけていくにつれ、幽霊のサポートも不要になり、現実逃避的な幽霊が見えなくなるのだと思います。親ばなれ的な「幽霊ばなれ」です。

また個別に考えると、ウリ坊が現世に縛られてた理由は「幼なじみの峰子ちゃん(おっこのおばあちゃん)が心配」だったのですが、おっこが立派な若おかみになったので、安心して成仏できるのでしょう。

美陽が現世に縛られてた理由は「1人でがんばりすぎる妹の真月が心配」だったのですが、おっこが真月の良きライバル、良き親友、良き相談相手になったので、安心して成仏できるのでしょう。ウリ坊も美陽もおっこの登場によって、その役割を終えたのです。

また、幽霊ではないけど、おっこに両親が見えなくなる理由も同じように、現実世界のグローリー水領やあかねやピンふり真月が両親の代わりとしてサポートしてくれるからだと感じます。ラストのお神楽は、まさにその引き継ぎシーンだと思います。

小学生のおっこが加害者をゆるせるのか?ロジカルな結末

原作の児童文学は300万部以上も売れてるそうですが未読で、アニメ版も見ていませんが、劇場版のストーリーは児童文学とは言えないくらいロジックがしっかりしています。特に大人の鑑賞に耐えられるように、細かい配慮が行き届いています。

たとえば、おっこだけに幽霊が見える理由が「生死の境をさまよったから」とか、逆に幽霊が見えなくなる理由は前述のとおりです。不幸な変わった客ばかりが来る理由は鈴鬼が呼んでるからだし、おっこが両親の死を悲しまない理由も明確に示されます。

ラストで加害者が泊まりに来た理由も、鈴鬼が呼び寄せたからだけでなく、1番目の客の神田幸水が紹介してくれた雑誌記事のおかげでもあるのです。しかもその記事には「おっこ」の本名が書いてないという伏線まであって周到さに脱帽です。

まだ小学生のおっこが加害者を、あの場ですぐゆるせるのか?というラストの展開には賛否ありそうです。前述したように、グローリー水領や真月やあかねの存在をクッションにしたとしても、あそこまで寛容にふるまうには、まだ時間が必要な気もします。

だから個人的には、おっこがグローリー水領の車内で泣いてる間は「精神と時の部屋」(数日間経過)にいると脳内補完した上でギリOKと解釈しました。最後の「花の湯温泉のお湯は誰もこばまない。すべてを受け入れて癒してくれる」には完全にやられました!

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ゆめぴょん(管理人/執筆/映画好き)
ゆめぴょん@ピクシーン
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