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映画『AI崩壊』評価は?ネタバレ感想考察/真犯人の正体と目的は?総理との関係は?

映画AI崩壊

『AI崩壊』あらすじ概要

2030年、国民の個人情報と健康を管理する医療AI「のぞみ」が暴走し、開発者の桐生が容疑者として追われます。かつて妻をAIで救えなかった桐生は、娘を救うために真相をつきとめようとするが…。天才の逃げ方とは?らせんの部屋?(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 AI崩壊
日本興行収入10.0億円興行収入ランキング
平均評価★★★★★67私の評価↓は含まず)
日本公開日 2020/1/31 [予告↓]上映時間 131分
映倫区分日本 G(年齢制限なし)
映画監督入江悠 [キャスト↓]
配給/製作/画像©ワーナー・ブラザース/CREDEUS

『AI崩壊』予告動画

登場キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

桐生浩介(大沢たかお)
AI「のぞみ」を開発した天才科学者
桐生望(松嶋菜々子)
浩介の亡くなった妻。AI研究者だった
西村悟(賀来賢人)
浩介の義弟。AIの管理を行うHOPE社の代表取締役
飯田眞子(玉城ティナ)
HOPE社の広報担当
桜庭誠(岩田剛典)
警察庁サイバー犯罪対策課の理事官
望月剣(髙嶋政宏)
サイバー犯罪対策課の係長。桜庭の部下
奥瀬久未(広瀬アリス)
警察庁捜査一課の新米刑事。合田とペアを組む。
合田京一(三浦友和)
所轄のベテラン刑事。奥瀬とペアを組む。桜庭と捜査方針で対立
田中英子(余貴美子)
初の女性内閣総理大臣

ネタバレ感想『AI崩壊』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★65/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

入江悠監督や大沢たかお等キャスト

監督の入江悠は『SRサイタマノラッパー』三部作で注目されだして、2015年の『ジョーカー・ゲーム』以後は中規模以上のメジャー作品で脚光をあび始めています。個人的には『22年目の告白 私が殺人犯です』が一番好きです。

入江悠監督は、劇団イキウメによる舞台が原作だった『太陽』で描いたような近未来SFに興味があると語っています。本作『AI崩壊』は、オリジナル脚本でその夢を実現させた作品です。

主役を演じる大沢たかおは、数々の映画やテレビドラマに出演してて、我の強い役も優しい役もこなせるベテラン俳優です。最近では『キングダム』の王騎将軍を見事に演じて話題になりました。

大沢たかおの妻役の松嶋菜々子とは、カンヌ国際映画祭にも出品された『藁の楯 わらのたて』でも共演したので相性よさそうです。その娘役は、多くのCM子役で活躍した女優の田牧そらがつとめます。

他にも、賀来賢人、広瀬アリス、玉城ティナ、岩田剛典など人気のある若手俳優陣が起用されています。それだけでなく、三浦友和、余貴美子、髙嶋政宏などの中堅・ベテラン俳優が脇を固める強力な布陣なので演技は期待できそうです。

映画AI崩壊

近未来AI作品として差別化できる?

本作『AI崩壊』の予告編を観た時、真っ先に浮かんだ類似の旧作は東野圭吾原作でニノこと二宮和也主演の『プラチナデータ』です。AIが反乱を起こし、関係者が容疑者になる点までそっくりです。

また、AIが国民の個人情報をにぎって人類存続の害になりそうな人物を選別するという設定は、テレビアニメや劇場版も人気の『サイコパス』シリーズに似すぎています。AIの反乱はターミネーターシリーズ等、近未来SFの定番にもなっています。

映画『AI崩壊』がこれら名作ぞろいのジャンルで違いを発揮し、さらに斬新なストーリーを展開できるのか心配です。実際観た後も、ストーリー展開や真相については既視感だらけで期待を超えるものはなかったです。

洋画では1990年代から量産され続けたジャンルですが、駄作の方が多かった印象です。ただ、それらの失敗があったからこそ、改善を繰り返して少ない傑作・名作も生まれています。

だから今回、SF/ファンタジーのジャンルをあきらめてた邦画実写で、これだけのものが作れると見せてくれた入江悠監督には称賛をおくりたいです。そして多くの人に観てほしいです。ここから邦画実写の挑戦が始まることを望みます!

桐生と総理の因縁とは?

桐生浩介(大沢たかお)と妻になる望/のぞみ(松嶋菜々子)は、東北情報先端大学の大学院研究室で共に医療AIの開発に関わり成功しました。しかし国の認可がえられないうちに、妻の望はがんにおかされて亡くなってしまいます。

望の弟の西村悟(賀来賢人)は、非認可でも完成してる医療AIを使って望を救いたいと提案するが、まじめな桐生にはできません。望も亡くなる前に「違法でAIを使えば、将来きっとAIが人間を軽んじる時がくる」と言って桐生に賛成します。

医療AIの認可を拒否したのは、当時の厚生労働大臣だった田中英子(余貴美子)です。その後、田中はAI「のぞみ」と連動する心臓ペースメーカーで延命して認可を出し、内閣総理大臣に出世するが、すでに望は亡くなった後でした。

冒頭で海外で暮らす桐生が、総理からの功労賞に対して少し反発した理由は、そういう因縁があったからです。田中英子総理は医療AI「のぞみ」に命を救われたが、桐生の妻の望の命は救わなかったのです。

娘が閉じ込められたのは偶然?

しぶしぶ海外から帰国した桐生は、新しいAIのぞみを観た後、総理のもとへ向かいます。娘の心は母の写真を探すためにサーバールームへ戻り、偶然にもAI暴走時に閉じ込められます。

その時に大人たちが先に逃げたので、犯人とグルだと思ったのですが違ったようで、それはそれでダメな大人たちですね。心はその後、冷却と酸素不足により低体温症などで倒れたままです。

心が閉じこめられたのは全くの偶然で、犯人側の計画ではなかったけど、映画としてはタイムリミットを設定したかったのと、桐生がAI崩壊を止めようとする動機にしたかったのでしょう。

引きこもり警察やCITEの無能とアナログ刑事の対比?

この手の物語ではありがちですが、警察や捜査関係者は無能ぞろいです。特に特殊捜査班CITE(サイト。実在する?現実のSITがモデル?)は簡単に桐生に逃げられるし、武装してない桐生や西村を過度に警戒してまた逃げられたりします。

桜庭誠(岩田剛典)とその部下の望月剣(髙嶋政宏)が指揮するサイバー犯罪対策課のやりとりも、キレ者っぽく振る舞ってるけど、ただの「引きこもり警察官」にしか見えません。オペレーターが多いのですが何をしてるのか不明です。

それを見せられる所轄の合田(三浦友和)と捜査一課新人の奥瀬(広瀬アリス)の心境は、私たち視聴者に近い感じがしました。捜査AI「百眼(ひゃくめ)」は『ワイルドスピード SKY MISSION』のゴッドアイの縮小版ですね。

百眼は個人所有のスマホ・自動車や防犯カメラに不正侵入してカメラ機能を使い、全国の犯罪を追跡するシステムです。合田が奥瀬に言ったセクハラ発言のとおり、個人情報を無視する違法行為ですが、現実でも使われてそうでこわいです。

しびれを切らした合田は古いタイプの刑事の勘(かん)により、桐生が向かう先を仙台、移動手段をフェリー「ひまわり」にしぼりこみ、なんと見事に的中させます。右へ曲がることも予測したAIに、刑事の勘が勝ったのです。

らせんの部屋とは?プログラミング早すぎ

桐生は電話で「らせんの部屋」という暗号を残します。らせんの部屋とは、最初に望らとAIのぞみのプロトタイプを開発した場所「東北情報先端大学の大学院研究室」です。放置されたままとはいえ、電気がとおったままなのはさすがにご都合主義です。

しかも桐生のプログラミング早すぎです。あの時間で修復プログラムだけでなく、自動運転車のホログラム変更と自動走行と爆発演出、捜査AI百眼のハッキングもおこなったのは、さすがに天才すぎだし逆にHOPE技術者が無能に思えます。

ちなみに、海に飛びこんだ桐生が生きてたのも偶然です。その時助けてくれた漁師が「何をしでかしたか知らんが、妻はAIで長生きできた」と言って車まで与えて逃したのは、本来のAIのぞみが果たした役割を気づかせてくれる良いシーンです。

天才AI科学者の逃げ方が見どころ!

桐生はAIのぞみを開発したほどの天才科学者であり、AI百眼の捜査方法もすぐ気づいて、ネットワークに接続されてる電子機器(防犯カメラ、個人所有のスマホや自動車)を警戒しながら逃げます。

仙台行きフェリー「ひまわり」に乗船するトラックには、大型トラックの裏に隠れながら乗り込みます。盗んだタブレット端末もすぐ起動せず、フェリーが洋上に出てから作業を始めます。

研究所から千葉のデータセンターへ行く時には、自動運転車のドライバーホログラムを偽装して特殊部隊CITEや警察に追わせて爆発炎上も演出し時間をかせぎます。捜査AI百眼には、多くの法の違反者を桐生と判別させて混乱をまねきます。

このようにIT知識を駆使した逃げ方は見どころの1つです。そして合理的な逃げ方をすればするほど、合田のような経験豊かな刑事には先を読まれやすいという流れも見事です。AI百眼が、自動運転車の細工に気づかなったのはツッコミどころですが。

AI崩壊の真犯人の正体や目的とは?

無能なサイトや警察の包囲網を軽々とかわしながら、AIのぞみを運用するHOPE社のデータセンターにたどり着いた桐生は、サイバー犯罪対策課の桜庭らに囲まれます。そこで銃を向ける林原(芦名星)やCITE達は現実感なかったですね。

桐生は、義弟の西村(賀来賢人)がAIのぞみに「スパムをスキャンするコード」を入力した動画を見て西村が犯人だと思いました。しかしガラスの反射で、それを指示したのはサイバー犯罪対策課の桜庭(岩田剛典)だと気づきます。

また、西村はCITEに射殺されて亡くなる直前に、所轄刑事の合田に「AI崩壊の犯人は桜庭」だと語りました。桜庭は、動画はねつ造だとしらを切り通せば逃げられたかもしれないのに、すぐ撤回して自白し始めます。

桜庭の目的の1つは「捜査AI百眼の個人情報を増やすため、AIのぞみと接続したかった」ことです。しかし本音は「財政状態が悪化するばかりの日本のため、納税等の経済活動に貢献しない人や病人や高齢者や身障者を減らしたかった」のです。

桐生はその証言を全国の動画サイトで配信して、桜庭の逃げ道を封じます。

のちに、副総理から総理に昇格した人物と桜庭がつながってたことも判明し、個人情報をにぎって大規模に日本を改革しようとする過激政治思想の持ち主だとわかります。保守派の首相も、心臓ペースメーカーの誤動作で暗殺されたのです。

この真相は予想どおりで驚きました。ミステリ映画では「一番あやしい人は犯人ではない」ことが多いので、本作も深読みしながら観てましたが、最も単純な真犯人に拍子抜けです。複雑化を避けたのでしょうけど、ひとひねりほしかったです。

娘の救出方法は?

桐生は完成させたプログラムコードを、外部から拒絶する「AIのぞみ」に直接入力する(カメラにコードを見せる)ためにサーバールーム前へたどり着きます。しかしカメラまでは遠くてコードの光が届きません。

そこで心(娘の名前)に「鏡で反射させろ」と願うが声も届きません。しかし心は理解したように、母の映る写真立ての裏の鏡でコードを反射させ、AIのぞみのカメラにコードを読ませて、密室が解除され無事に救出されます。

桐生がのぞみ(妻の名前)に伝えたかった言葉を、娘の心がつないだ」シーンなので感動的です。AIのぞみには「母親の望の脳や愛」が移植されてるかもと深読みしましたが、さすがに使い古されたオチなのでなくてよかったです。

AIへの警鐘?

ラストで逮捕された桜庭が「AIにより人間が選別される時代はきっとくる」とうったえますが同感です。そして「地球上の一番の害虫は人間」と判断されて、AIやロボットにより人類抹殺が引き起こされるSF映画や小説は山ほどあります。

本作『AI崩壊』でも、AIのぞみは人を幸せにするためだけに運用されるべきと桐生は言いますが、あれだけの個人情報を管理すると「生き死に」まで左右されるので現実では起こりにくいと思います。

と思いきや、すでにスマートウォッチや健康管理デバイスは普及しつつあるので「便利」をとるか「リスクをこばむ」かという時期にきています。その結果は「車」「スマホ」の普及状況を見ればわかるように「便利」が「リスク」に勝ります。

「AIは人間を幸せにできるか?」の問いに「親が子を幸せにできるか?」と同じだと桐生は娘に言います。これにはしびれました。人の親でさえ幼児虐待やネグレクト(育児放棄)があるので、AIも運用する人間しだいになるとの警鐘でしょうか。

もう1つ、桐生は「AIにできなくて、人間にできること、それは責任をとること」だと言います。AIが悪事をはたらいた時、AIを運用した人間は責任をとれるけど、AIじたいは責任を感じず反省もしないのは確かに大問題です。

しかしもはや「AI」「ネット」の便利さから逃れることは難しい社会になってきてるので、それら技術をあつかう人間の「愛」や「良心」によって最悪の事態はさけねばなりません。そのためにまず人間どおしの「愛」「思いやり」こそ重要ですね。

『AI崩壊』私の評価と総括

ストーリーには既視感あるし、真犯人に意外性もないけど、邦画実写オリジナル脚本で近未来SFサスペンスが観られる機会は少ないので、意気込みは応援したいし、次に続く作品(監督は違っても)も期待しています。

日本では予算の都合で、大仕掛けのミステリー・SF・ファンタジーのジャンルは少ないため、オリジナル脚本を書ける人材も育っていない印象です。この状況が「漫画/アニメ/ラノベの実写化」を助長してるので、失敗してでもオリジナル脚本は作られ続けてほしいです。

本作は大手の大作でもないのに、俳優女優陣がなにげに豪華ですが、日本映画を愛する監督の意気込みに賛同した意図すら感じられます。ただ、本作では役者を使いこなしてたとはいえず、見せ場も少なくてもったいないと感じました。

特に、広瀬アリス、玉城ティナ、芦名星、髙嶋政宏などはキャラを立たせようとしてるけど成功してないイメージです。入江悠監督は初期のオリジナル作では濃いキャラ(賛否は両論)を描けてるので、次回作では魅力キャラを期待したいです。

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