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映画『鳩の撃退法』評価は?ネタバレ感想考察/真相と結末は?衝撃の真実とは?

鳩の撃退法 映画/ドラマ

直木賞受賞作家・津田は執筆中の新作小説を、担当編集者の鳥飼に読ませてます。鳥飼はその小説が現実ではないかと疑って検証を始めるが…。一家失踪と偽札事件の関係は?小説と現実の境界は?(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題鳩の撃退法
日本公開日2021/8/27 [予告] 上映時間:119分
監督・キャストタカハタ秀太[キャスト
映倫区分日本:G(年齢制限なし)
配給/製作
(画像出典)
松竹/AOI Pro.、松竹撮影所、松竹映像センター
日本興行収入4.3億円(興行収入ランキング
平均評価
平均:100換算
70私の評価は含まず)
シリーズ
関連作品
ミステリ/サスペンス映画一覧

キャラ・ランキング(キャスト/出演者)

個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)

  1. 津田伸一(藤原竜也)直木賞作家。新作小説を執筆中
  2. 鳥飼なほみ(土屋太鳳)津田の担当編集者。新作が現実だと疑い考察をはじめ…
  3. 幸地奈々美(佐津川愛美)秀吉の妻。4歳の娘と家族3人で幸せに暮らしてたが一家失踪
  4. 幸地秀吉(風間俊介)富山のバーのマスター。津田の小説談義仲間。その後一家失踪
  5. 倉田健次郎(豊川悦司)富山の裏社会を仕切るドン。囲いを出た鳩=ニセ札と津田の行方を追う
  6. まえだ(リリー・フランキー)床屋「まえだ」の主人。加奈子の中学の知人
  7. 沼本/ぬもと(西野七瀬)津田行きつけのコーヒーショップ店員。津田のことが気になる
  8. 加奈子(坂井真紀)バー「オリビア」のママ。鳥飼と共に小説の結末を見守る。まえだの先輩
  9. 堀之内(濱田岳)慈善家の男。津田を訪ね、バー「オリビア」へ
  10. 房州老人(ミッキー・カーチス)古本屋「房州書店」店主。津田の相談相手
  11. 川島社長(岩松了)富山のデリヘル「女優俱楽部」社長。街の事情通。津田に忠告
  12. 加賀まりこ(桜井ユキ)デリヘル「女優俱楽部」での源氏名。津田に借金

ネタバレ感想『鳩の撃退法』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

原作はミステリ小説?監督やキャスト

映画『鳩の撃退法』の原作は、佐藤正午による長編ミステリ小説『鳩の撃退法』(2014)です。本作で山田風太郎賞を受賞。佐藤正午は、本作の後の『月の満ち欠け』(2017)で直木賞を受賞

監督のタカハタ秀太は、TV番組制作に長く関わった後、長編映画「ホテルビーナス」で監督デビュー。その他の映画は短編が多く、私が観た作品もないため、期待と不安が入り混じります。

主演の藤原竜也は『るろうに剣心 伝説の最期編』『22年目の告白 私が殺人犯です』『太陽は動かない』等、土屋太鳳は『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『累 かさね』『哀愁しんでれら』等に出演。

豊川悦司は『ラストレター』『ミッドウェイ』等、西野七瀬は『あさひなぐ』『孤狼の血 LEVEL2』等に出演。

小説と現実、過去と現在の時系列で混乱?少し整理

直木賞作家の津田伸一(藤原竜也)は、東京のバーでバイトしながらミステリ小説を執筆し、編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に読んでもらいます。以前、津田は現実の不倫話を小説に書いて裁判ざたになったので、鳥飼は今回も疑ってます。

小説の主人公、売れなくなった作家の津田は、富山のデリヘル「女優倶楽部」のドライバーをしてます。仕事帰りの深夜、行きつけのコーヒーショップで読書してると、幸地秀吉(風間俊介)という本好きの男と知り合い読書談義しました。

秀吉は妻との関係で悩んでたが、津田の読む古本「ピーターパンとウェンディ」の一節で「どうしようもない事をどうにかしたい時は手をたたく」を見つけます。その日のうちに秀吉と妻と娘は一家失踪するが、津田が知るのは1年以上後です。

過去と現在の時系列が順番にならんでなくて混乱するけど、津田と秀吉の出会いで始まる「2月28日」に起こる事件が基準です。これより過去は、房州書店に奥平親子が古本を売りに来て、津田が古本を買うシーンのみ

これより未来は、津田が房州老人から「3千万円+3万円とピーターパン古本」を譲られてからの時間軸になります。ちなみにそれら全て「小説の時間軸」です。土屋太鳳のいる時間軸は「現実であり現在」

一家失踪事件の真相は?時系列で解説

2月28日、幸地秀吉は津田と別れた後、娘あかねを保育園に送り、知人女性に夕食まで預かってもらうことに。余談だがその女性は房州書店を管理し津田と交際中です。秀吉は家で妻の奈々美(佐津川愛美)から妊娠を告げられます。

秀吉が即座に自分の子ではないと答えた理由は、秀吉が子種を持たない体だからです。動揺した秀吉は、裏社会のドン・倉田健次郎(豊田悦司)の頼み事「店に届けた3万円の管理」を他人にまかせ、それが一家失踪の原因となります。

その夜、津田は女優倶楽部の加賀まりこの要望で送った晴山が、ある女性と会うのを目撃。その女性は秀吉の妻・奈々美であり、妊娠させた男の正体が晴山です。2人はカケオチを考えるが、倉田ら一味に捕まって一家失踪となります。

奈々美は、幸地秀吉が晴山を救おうとする姿に負けて最後は秀吉を選び、今もどこかで3人+1の家族で暮らしています。発見された男女の遺体は、晴山とどこかの女性でしょう。

以上の出来事は「津田が推測して小説に書いた内容(願い)」です。秀吉が古本で知った「手をたたく」ことで窮地を乗り切った点も事実ではなく津田の妄想です。

ラストで津田は、倉田と同乗してる幸地秀吉の姿を見ますが、あれが「現実」なら秀吉は本当に生きています。いまいち納得しにくいのは、ただ不倫しただけで殺害された晴山の悲劇です。秀吉がヤクザ関係者だったから仕方ないのでしょうが。

子を作れない体質の秀吉は、新たな子を授けてくれた晴山に感謝の気持ちも持ったため、殺害されるのを止めようとしたのでしょう。そして浮気しても奈々美とは別れられないのでしょう。娘の茜が「実の父の殺害犯=秀吉」と知ってそうな点は回収されなくて消化不良

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ニセ札事件の真相は?時系列で解説

2月28日、裏社会ドンの倉田健次郎は「偽札3万円」を、倉田の管理するバーのマスター幸地秀吉に預けます。ちなみに秀吉の妻・奈々美は地元女優でしたが、秀吉が出会ったとき妊娠してました。その相手の男を殺害したのは倉田と秀吉です。

ニセ1万円札3枚は、バーの店員の佐野が「秀吉からの前借り」として持ち出し、友人の大学生に渡します。大学生は女優倶楽部の加賀まりこにサービスを受けて3万円を支払います。まりこはドライバー津田に借りてた3万円として返しました。

津田はまりこの要望で晴山を駅まで送った後、社長の要望でファミレスの奥平という子連れ主婦を家へ送り届けます。奥平の娘は車内の古本「ピーターパンとウェンディ」を持ち帰りますが、そのしおりとして「ニセ札3万円」がはさんでました。

奥平は、房州書店で津田を見かけてたので老人に古本と3万円を預けました。房州老人は津田に貸してた3万円として受け取ります。その1年以上後、老人の遺書で津田は「小説に専念するための資金」として「妻の保険金3千万円+3万円と古本」を受領

しかし津田が理髪店「まえだ」で使ったその中の1万円は偽札と判明。倉田を恐れる女優倶楽部の社長は、津田にもう使うなと警告。店主まえだは、倉田がニセ札の持ち主に気づいたと知り、津田に富山を去って東京の先輩のバーで働くよう指示。

津田はその事を倉田に伝えるため、倉田が管理し秀吉がマスターのバーへ。そこの店員の吟子と意気投合し一夜を過ごすが、ヤクザの女だったため殺害されそうになります。津田は倉田と交渉し「3千万円+2万円と古本」を渡すことで許してもらいます。

その後、東京のバーで働く津田の所へ、堀之内(濱田岳)という男が訪ねてきて「3千万円の寄付金受領証明証」を渡します。倉田は「3千万円」を津田名義で慈善団体へ寄付してたのです。ということは老人からの3千万円は本物だったのです。

これは衝撃の真相ですが、多くの人は「やっぱり」と思ったのでは。津田が改札機で試した時、札束の札を試さないのはご都合主義に感じましたし。ピーターパンの古本は、ラストで倉田と秀吉が東京のバーへ返却に来ました。

以上の出来事のうち、津田が関わってる部分は「現実」でそれ以外のニセ札の流れ等は「津田が推測して書いた小説」です。

タイトル「鳩の撃退法」の意味は?

倉田は預けたニセ札が行方不明になった時「鳩が囲いから出た」と発言。そのことから「鳩=偽札の1万円札」です。「鳩のつがい(二羽)はいまどこ?」とは、津田が散髪代で使った1万円を除いた「残り2枚のニセ札の行方」についてです。

「鳩の撃退法」とは「倉田の手元に偽札が戻ること」だと推測。そしてもう1つ、伝書鳩から連想できる郵便局員つまり「不倫男・晴山の撃退法」というダブルミーニングにもなってそうです。鳩が囲いから出た原因でもありますので。

映画『鳩の撃退法』私の評価と感想

藤原竜也のクズっぷりは健在で、1人で物語を引っ張るパワーも見事でした。小説と現実、過去と現在の境界線があいまいなまま、2つの大きな事件の真相が明かされていくので、人間関係のつながりと結末がずっと気になり楽しめました

ただ、期待したような「どんでん返し」「衝撃的ラスト」の爽快さはなく、たんたんと描かれ意表もつかれず驚きも少なかったのは物足りないです。「dentsu=電通」(映画最初に表示)が仕掛けた「謎解きエンター転メント」は不発です。

藤原竜也以外のキャストでは、堅実にその場の表情を変えていく土屋太鳳が安定してた以外は目立った人がいなかった印象。豊川悦司、リリーフランキー、佐津川愛美もよかったけど出番も少なく通常レベル。西野七瀬はかわいかったけど役割が薄すぎて癒やしキャラで終わってました。

それでも、キャラ相関図がわかってきて、事件がつながり解決されていく様子を第三者の立場から観るのはまぁまぁ楽しかったです。ミステリ映画史に残る作品ではないけど、作りこまれた物語を体感するために一度は観てほしい映画です!

私の評価 65/100(60が平均)

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