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『レミゼラブル(2020)』評価は?ネタバレ感想考察/火種は何?犯人の動機と正体は?

映画レミゼラブル(2020)

『レ・ミゼラブル(2020)』あらすじ概要

パリ郊外モンフェルメイユの警察署で、ステファンは犯罪防止班に配属され、気性の荒いクリス、自信過剰なグワダと共にパトロールへ出かけます。そこは複数集団が緊張関係だったのだが…。なぜ子どもから?タイトル意味は?

映画名/邦題 レ・ミゼラブル(2020)
日本公開日 2020/2/28 [予告↓]上映時間 104分
映倫区分日本 G(年齢制限なし)USA R
製作国フランス
原題/英題Les miserables
映画監督ラジ・リ [キャスト↓]
配給/製作(C)東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
世界興行収入0.1億US$(約21億円)
受賞ノミネートアカデミー賞(国際長編映画賞ノミネート)、ゴールデングローブ賞(外国語映画賞ノミ)、カンヌ国際映画祭 審査員賞受賞
参考公式サイト
平均評価★★★★★78私の評価↓は含まず)

『レ・ミゼラブル(2020)』予告動画

キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

ステファン(ダミアン・ボナール)
モンフェルメイユ警察の犯罪防止班に転任
クリス(アレクシス・マネンティ)
犯罪防止班/BACのリーダー。かなり横暴
グワダ(ジェブリル・ゾンガ)
犯罪防止班/BACの隊員。クリスに従い自信過剰
イッサ(イッサ・ペリカ)
団地に住む子ども。家庭問題でストレスがたまってる
通称 市長(スティーブ・ティアンチュー)
アフリカ移民のとりまとめ役
警察署長(ジャンヌ・バリバール)
新任ステファンにアドバイスする

ネタバレ感想『レミゼラブル(2020)』考察や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★67/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

監督とキャストについて

監督のラ・ジリは、日本では知られてませんが、短編映画がフランス最大のセザール賞にノミネートし、その着想をもとに本作『レ・ミゼラブル(2020年)』が製作されたそうです。ラ・ジリ自身も、モンフェルメイユの出身者です。

出演俳優の多くは、聞き慣れないフランス俳優?ばかりですが、主演のダミアン・ボナールは『ダンケルク』に、警察署長役のジャンヌ・バリバールは映画『COLD WAR あの歌、2つの心』に出演していました。

映画レ・ミゼラブル(2020)

カンヌ国際映画祭やアカデミー賞で絶賛!

映画『レ・ミゼラブル(2020年)』は、カンヌ国際映画祭で高く評価され、『パラサイト 半地下の家族』と最後まで競いパルムドール賞では敗れ、カンヌ審査員賞を受賞した作品です。

アメリカのアカデミー賞 国際長編映画賞と、ゴールデングローブ賞 外国語映画賞でもノミネートされましたが、その両方とも『パラサイト 半地下の家族』におよびませんでした。

フランスのアカデミー賞「セザール賞」でも、作品賞・観客賞・新人男優賞・編集賞を受賞しています。

モンフェルメイユ地区とは?タイトルの意味は?

モンフェルメイユは、フランスの首都パリ中心部から約15kmほど東に位置する郊外地区です。現在はアフリカ系の黒人、アラブ人、ロマ(ジプシー)等の移民が団地などに多く住んでて貧困化が進んでいる地域です。

モンフェルメイユは、ヴィクトル・ユーゴーの小説『レ・ミゼラブル(ああ無情)』の舞台となった町でもあり、200年経った今でも「暴動」の種がくすぶっている一触即発の状態だそうで、物語はラ・ジリ監督の体験談がもとになっています。

『レ・ミゼラブル』と同じタイトルにした意味は、抑圧された貧困層がいつか不満を爆発させて暴動に発展する展開が似てて、出版から150年(舞台からは200年)経っても改善していないことに皮肉をこめたのだと思います。

レ・ミゼラブルのモンフェルメイユ地図OpenStreetMap contributors

ワールドカップのフランス優勝の意味は?

冒頭は、ワールドカップ・サッカーでのフランス優勝にわくパリの人々が、エトワール凱旋門をバックに大盛り上がりするシーンから始まります。この場面は共通の敵に対して、人種・宗教・貧富の差の区別なく一体となった様子を表現しています。

同時に「熱しやすくエネルギーがありあまってる国民」を表してて、このパワーが負へ向くと「暴動」となるのでしょう。そういう意味では、冒頭の「優勝パレード」と終盤の「暴動」は対や韻のようにもなっています。

レ・ミゼラブル地区の問題点とは?

『レ・ミゼラブル』の舞台となったモンフェルメイユ地区には、複数の移民や貧困層がグループ化しています。妻子のために転勤してきた新任警官ステファンは、犯罪防止班リーダーのクリス、その相棒のグワダと共にパトロールに出かけます。

クリスは「ギャングや市民になめられないように」と言いながら、女子高生を無駄に職質したり、子どもにも手加減しなかったりと弱い者いじめを繰り返します。各グループボスにも屈しない態度で、警官という立場を利用して支配してます。

後にクリスは「俺が法律だ」と発言しますが、彼は「モンフェルメイユの平和維持は自分のおかげ」と本気で思ってそうです。それはある面で正しいけど、ステファンが指摘したように「尊敬」ではなく「恐怖」で従わせているだけです。

だから、お互いに牽制しあってる各グループのボスや構成員、市民、クソガキ含む子ども達にとっての「共通の敵は警察」という相関図が成立しています。つまり「警察、特にBAC」の行動しだいでは、いつでも暴動が起こりえたのでしょう。

本来「町の治安を維持するための警察」が「治安を悪化させる要因」になってるのは皮肉です。「力や怒りで支配する者」はいつか「力や怒りで引きずり降ろされる」というこの映画のテーマにも結びついていきます。

各コミュニティ勢力図の一覧は?

移民が団地などで暮らすモンフェルメイユ地区には、いくつもの組織(コミュニティ)が存在し、互いに牽制しあいながら微妙なバランスを保っています。それが少しでもくずれると、一気に抗争が勃発する可能性が高いです。

各コミュニティ勢力図の一覧
  • 警察(犯罪防止班/BAC)
  • 新任警官ステファン
  • 通称市長と団地のアフリカン移民
  • サラーを中心とするイスラム教徒
  • ジプシー/ロマのサーカス団
  • 通称ハイエナの麻薬組織(警察と組む)
  • 組織に属さない子ども達(イッサ等)
  • 女子高生グループ(バスケや煙草の)
  • どこにも属せないドローンのヲタク少年

立場が違う複数勢力が一触即発な状態で、ラストにかけて抗争が勃発する映画では、最近の『初恋』にも通じるものがあります。

火種は?犯人の正体と動機は?ジョニーとは?

このように、複数の移民グループが混在するモンフェルメイユですが、その火種となったのは、ロマ族(ジプシー)のサーカス団のジョニーを何者かがさらったことです。ロマの団長は、市長率いる団地のアフリカ系移民になぐりこみます。

この抗争を犯罪防止班のクリスが止めたのは、本作唯一の警察のおてがらです。しかしその捜査過程は横暴すぎて「強い者のために弱い者はいじめてもいい」と考えてるようです。これがチリ積もとなり「一番弱い者が爆発」したのでしょう。

結局、ロマ族のサーカス団から子ライオンのジョニーを盗んだ誘拐犯の正体は、団地に住む少年イッサでした。イッサは警察署で「ニワトリを盗んだ罪」で父親から暴行を受けそうになってた少年で、あれが伏線だったわけです。

少年イッサは冒頭のワールドカップサッカー優勝で大騒ぎしてた少年でもあります。閉鎖的な団地に家族と住み、DVぎみの父親や閉塞感ある生活にストレスを抱えています。

ライオン誘拐の動機は、「最も底辺のヒエラルキーに属する」イッサが、さらに弱いニワトリをライオンに襲わせてストレス解消したのだと感じます。

または、檻に閉じこめられた子ライオンが自分の境遇と似てたため、開放してやりたかったのかもしれません。イスラム教徒/ムスリムのサラーは「ライオンは、おおアラーと叫ぶ神聖動物なので檻から出して自由にすべき」と発言してます。

本当の火種も子供からの理由は?

赤ちゃんライオンを盗んだ少年イッサを逮捕した犯罪防止班は、抗議する少年少女たちに囲まれます。その混乱の中で逃走するイッサを、グワダがゴム銃で撃ち、顔に命中したイッサは倒れこみます。この様子をドローン撮影されます。

BACリーダーのクリスは自分の保身だけのために、負傷したイッサは病院に連れて行かず、ドローンを追うことに専念します。この時のクリスの行動は、映画『レ・ミゼラブル(2020年)』で最も非人間的なクズ行為であり、弁解の余地はありません。

モンフェルメイユ地区での均衡をやぶった本当の火種は、警察の犯罪防止班が子どもを銃撃した場面を撮影したドローンからの映像です。これ以降、そのSDカードを持つヲタク眼鏡少年がマクガフィン(捜索対象)となり、全勢力が探し回ります。

いずれにしろ、微妙なあやういバランスを崩したのは、少年イッサやドローン少年という子ども達でした。子ども達が起爆剤となった理由は明白で、この町で一番弱い者として全勢力から押さえつけられてたからです。

大人たちは自分らが本気で抗争を始めると、自分たちの首も絞めかねない事態を「想像」できてるから実際には争いません。死人が出たり共倒れの可能性もあるし、バス停のベンチもなくなるような社会混乱は引き起こしたくないのです。

ラストシーン後は?最後の言葉の意味は?

ドローン撮影したSDカードを持つ少年は、イスラム教徒率いるサラーのケバブ・サンド店へ逃げ込み、アフリカン移民リーダー「市長」、クリスに協力する麻薬リーダー「ハイエナ」、警官クリス、グワダ、ステファンらも集合します。

そこからグループ戦での抗争が始まるのかと期待したのに、サラーとステファンの1対1の話し合いで解決したのは、この映画で一番残念な展開です。ステファンは取り返したSDカードを、銃撃した当人グワダに「やるべきことしろ」と渡します。

ラストは、イッサ率いる「子どもギャング団」が、警官3人を団地の階段に追いつめて、打ち上げ花火、スーパーのカート、ガラクタ類で攻撃します。止めに入った市長らもボコボコにされます。ドローン少年は鍵かけて助けてくれません。

ずっと底辺扱いされて抑圧されてた少年少女の怒りが、犯罪防止班への復讐として爆発したのです。ラストシーンは、視聴者の想像にゆだねるように、イッサがステファンに発砲しようとした場面で終わります。

私の解釈は、イッサはステファンへの発砲をやめたと思ってます。その理由は、ステファンがライオンでおどされてるイッサを救おうとして銃を向けてくれたからです。すぐ病院へ運ぼうとしてくれたことにも恩を感じてるかもしれません。

そして最後の言葉「最初から悪い草、悪い人間はいない。悪い育て方があるだけ」がこの映画のテーマを語っています。大人達が「縄張り意識・怒り・マウンティング」等で争い続けるかぎり、それ見て育つ子ども達も同じ末路をたどります。

ナルトの名言「うらみや憎しみの連鎖を止める」には、誰かの世代が犠牲覚悟で率先して改革しないと難しいと思うし、モンフェルメイユでそれができる立場にいるのは警察だけでしょう。ステファンが何人もいれば可能だと思いますが。

映画『レ・ミゼラブル(2020年)』私の評価と総括

ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』の舞台となった町モンフェルメイユでの、現代の貧困や移民問題・警察による圧制や抑圧、そしてそれらが永遠に続くような負の連鎖について描いた意欲的な作品です。

格差問題をあつかった映画は、日本の『万引き家族』、韓国の『パラサイト 半地下の家族』、アメリカの『ジョーカー』等を筆頭に目にする機会が増えてますが、本作『レ・ミゼラブル』もフランスからの代表作になりそうです。

一方で、観る前に予想してた以上の「大人の抗争」が起きなかったのはやや盛り上がりに欠けたと感じます。クリス、グワダの家族との様子は短いけど効果的です。子どもが軸になっていくラストは、ブラジルの格差問題映画『シティ・オブ・ゴッド』に通じるものがあるけど越えてはいません。

本作はそんな格差問題より、町の負の連鎖を止めるには「良質の教育」と「大人が争いや怒りを止めること」こそ重要だと強調している点が印象的です。このタイトルではミュージカル映画に埋もれそうですが、多くの人に観てほしいオススメ映画です!

他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

『レミゼラブル(2020)』含む映画ランキングや映画賞

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