『死霊館のシスター』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?悪の正体と起源は?聖遺物?
アナベル/死霊館シリーズスピンオフ(外伝)。『死霊館エンフィールド事件』で登場した悪魔シスター「ヴァラク」前日譚。ルーマニア修道院の自殺事件調査のため、バチカンは2人の聖職者を派遣するが…。修道院の過去?誰がとりつかれた?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 死霊館のシスター |
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日本公開日 | 2018/9/21 [予告] 上映時間:96分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | The Nun |
監督・キャスト | コリン・ハーディ(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース/ニュー・ライン・シネマ、ザ・サフラン・カンパニー、アトミック・モンスター・プロダクションズ |
日本興行収入 | 1.7億円 興行収入ランキング |
世界興行収入 | 3.6億USドル [出典] |
製作費 | 0.2億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.18更新) 60(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | 死霊館ユニバース一覧 続編『死霊館のシスター 呪いの秘密』2.1億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- 修道女見習いアイリーン(タイッサ・ファーミガ。清水理沙)バチカンからの指名でバーク神父とルーマニアの修道院へ調査へ向かう
- バーク神父(デミアン・ビチル。てらそままさき)バチカンの依頼でルーマニアの修道院へ向かう
- フレンチー(ジョナ・ブロケ。岩田翼)ルーマニアの修道院での自殺したシスターの第一発見者の村人
- 悪魔尼僧ヴァラク(ボニー・アーロンズ)修道院にひそむ闇の存在
- 修道女オアナ(イングリット・ビス。嶋村侑)アイリーンに修道院の情報を教えてくれる
- エド・ウォーレン(パトリック・ウィルソン。咲野俊介)霊能力者・悪魔ばらい夫婦の夫
- ロレイン・ウォーレン(ヴェラ・ファーミガ。小林さやか)霊能力者・悪魔ばらい夫婦の妻
ネタバレ感想『死霊館のシスター』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督と主要キャストについて
監督のコリン・ハーディも原案・脚本の ゲイリー・ドーベルマンも、まだ日本での知名度は低くて私も過去作は観てません。アナベル・死霊館シリーズを手がけたきたジェームズ・ワンは、製作に名を残してますがあまり関わってない気がします。
主役の修道女アイリーンを演じたタイッサ・ファーミガは、アナベル・死霊館シリーズのヒロイン的な霊能力者ロレイン・ウォーレンを演じるヴェラ・ファーミガの21歳下の実の妹だそうです。
もう1人の主役バーク神父を演じたデミアン・ビチルはメキシコ俳優で、2011年の映画『明日を継ぐために』でアカデミー主演男優賞にノミネートされたほどの演技派です。
不気味な悪魔の尼僧ヴァラクは、シリーズに引き続きボニー・アーロンズが演じます。世界を放浪した若者フレンチーを演じるのは、ジョナ・ブロケです。ウォーレン夫妻のエドのパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガも少し登場です。
アナベル/死霊館シリーズとのつながりは?
『死霊館のシスター』(原題:The Nun = 修道女)は、アナベル・死霊館シリーズの時系列では、過去エピソードや回想シーンをのぞくと最も古い時代の物語です。悪魔尼僧ヴァラクとの最初の戦いが描かれます。
悪魔尼僧ヴァラクが初登場したのは『死霊館 エンフィールド事件』です。霊能力者で悪魔祓いのロレインの夢に登場して脅迫し、ホジソン家の魂も奪おうとしました。
『アナベル 死霊人形の誕生』で登場するシスターのシャーロットは、ルーマニアのカルタ修道院で修道女のマリア、アナ、ルシアと一緒に撮影した写真を持っていて、ヴァラクの影も写ってました。ジャニスの車椅子を押した修道女もヴァラクぽいです。
そして『死霊館のシスター』の結末で明らかになりますが、『死霊館』の冒頭などでウォーレン夫妻が流した映像に、ヴァラクにとりつかれた男性が映し出されます。この男性こそ本作のフレンチーだったのです!
修道院とヴァラクの真実とは?聖遺物の正体は?
ルーマニアの聖カルタ修道院で、1人のシスターが闇に引きずられて、1人は捕まる前に飛び降りて首つり自殺します。それを村の青年フレンチーが見つけて、ヴァチカンからバーク神父と修道女見習いのアイリーンが、派遣されてきます。
シスターが自殺した理由は、最後の1人なので悪魔尼僧ヴァラクに人間の体を乗っ取られないためです。引きずられたシスターがなぜ憑依されなかったのかは不明ですが、後述するように「高位の聖職者には憑依できない」と推測します。
修道院とヴァラクの歴史は、バーク神父が埋められた墓地で見つけた書物に記述されています。中世の暗黒時代にルーマニアの城の城主だった公爵が、巨大な力を得るために悪魔を召喚し、悪魔公爵ヴァラクが召喚されました。
この事態を察知してたヴァチカンは、聖騎士などを派遣して聖遺物「キリストの血」で事態を収拾し、悪魔も封印されました。城は聖カルタ修道院とされ、修道女たちの祈りで封印は維持されてきました。
しかし第二次世界大戦中に修道院が空爆されると、地獄の扉の封印が解かれて悪魔ヴァラクが復活し、修道女たちの魂を次々と奪いました。1952年、1人のシスターが封印を試みたが失敗し、残ったシスターは憑依されないよう自殺したのです。
ヴァラクの目的は?シリーズとの矛盾だらけ?
アナベル・死霊館シリーズは、1作目『死霊館』の計算されたロジカルなストーリーや絶妙なホラー要素が絶賛されてシリーズ化しましたが、本作『死霊館のシスター』では、それを台無しにする展開がいくつもあります。
まず悪魔ヴァラクの目的が不明な点です。悪魔は「出没・攻撃・憑依」の順番で人間に接すると語られるとおり、最後の目的は「人間に憑依(乗っ取り)」して人間界で実体化することです。それ以外に、魂を奪うことも目的としています。
大きな疑問点は、複数いた修道女を、どうやってヴァラクが殺害したかです。これまでの死霊館シリーズでは、悪魔が直接的・物理的に人間を殺した例はなかった気がします。しかも殺害したのなら、憑依や魂を奪えたのではないでしょうか。
また、冒頭でシスターが飛び降り自殺してますが『死霊館 エンフィールド事件』の最後の目的が飛び降り自殺させることだったのを思い浮かべると、それで憑依もできるはずですが、なぜしなかったのでしょうか。
これらの点について、私は「高位な聖職者には憑依できないし魂も奪えない」と解釈しました。だから「修道女は悪魔の役にたてない」ため全滅させて、村人に発見させて「一般人」を修道院へ導こうと仕向けたのだと考えます。
修道女たちの殺害方法も不明ですが、これまでのシリーズでは直接殺害してないはずなので、今回も出没や精神攻撃などで心を折れさせたのだと考えます。バーク神父も聖職者なので、早々に退場してもらうために生き埋めにしたのでしょう。
この生き埋めも一瞬だったので方法が不明です。そもそもヴァラクの力が修道院を出て、墓地の十字架の力に屈してないのは疑問だし、そばにスコップがあるのも大きなツッコミどころです。
ラストのアイリーンへの攻撃も、尼僧に実体化して行なわれるので、今までのシリーズとは矛盾しています。幻影の可能性も考えましたが、アイリーンが口にふくんだ聖遺物「キリストの血」をふきかけると効いたので実体化してたのでしょう。
ラストでヴァラクは目的を達成したのか?
ヴァラクはアイリーンの聖遺物「キリストの血」によって消滅します。しかし、その前にフレンチーに取りつくことに成功したようで、フレンチーには「逆さ十字架」の悪痕が残ります。本名モーリスを明かしたフレンチは気づかず去ります。
20年後、ウォーレン夫妻が『死霊館』で見せたスライドが映し出され、農夫モリースに憑依してた悪魔祓いが語られます。このモリースこそ本作のフレンチーであり、追い出した悪魔はヴァラクだと思われます。
悪魔ヴァラクは修道院でフレンチーの口から取り憑き、ルーマニアの聖カルタ修道院から抜け出すのに成功してたのです。その数年後にヴァチカンの司祭により悪魔祓いされたようですが、そばにいた修道女アイリーンの悲鳴で終わるので結果は不明なままです。
アイリーンか他の誰かに憑依した可能性が高いです。その後『アナベル 死霊人形の誕生』で登場し『死霊館 エンフィールド事件』でウォーレン夫妻の妻ロレインにより名前を呼ばれて消滅しました。
バーク神父は必要だった?アイリーンの正体は?
本作『死霊館のシスター』は疑問点だらけですが、ヴァチカンが特殊任務を依頼したはずのバーク神父の無能ぶりもその1つです。墓地に埋められてアイリーンに救われたり、ヴァラクにやられ放題で一般人のフレンチーに助けられたりします。
バーク神父は、霊能力や悪魔ばらいも披露せず、ひたすら物理攻撃されるだけの低能力キャラでした。一方のアイリーンは修道女にもなれてない見習いなのに、霊感が優れてて聖遺物「キリストの血」も見つけ、ラストでヴァラクを退治します。
ヴァチカンがアイリーンを「ルーマニアにくわしい」と推薦した理由は最後まで不明ですが、アイリーンの能力を見抜いてた可能性が高いです。または悪魔を憑依させる「器」としてアイリーンを派遣した「ヴァチカン元凶説」も考えられます。
アイリーンを演じたタイッサ・ファーミガは、ロレインを演じるヴェラ・ファーミガの実妹であることから「ロレインの過去」と深読みしたけど違うのでしょうか。キリストの血を飲んだ「人類最強の対悪魔兵器」として再登場してほしいです!
『死霊館のシスター』私の評価と続編について
アナベル・死霊館シリーズの元凶とも言うべき悪魔シスター・ヴァラクの誕生譚なので、公開前からかなり楽しみでした。ヴァラクのうらみの理由や本当の目的が判明すると思ったからです。
だから、中世の暗黒時代にヴァラクが召喚されたシーンや、ヴァチカンの聖騎士がふみこんできた場面には興奮しました!しかし1952年のアイリーンとヴァラクとの戦いは、これまでのシリーズの世界観を壊しかねない設定ばかりで残念です。
ホラー映画の中ではデキのいい死霊館シリーズですが、本作『死霊館のシスター』は明らかにシリーズの評判を落とす作品なので、制作が決まった『死霊館のシスター2(仮題)』の続編では大きな軌道修正を期待したいです。その前に『アナベル 死霊博物館』を楽しみましょう!
私の評価 58/100(60が平均)
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