映画『運び屋』評価は?ネタバレ感想考察あらすじ/実話?クリントイーストウッドの家族映画

『運び屋』あらすじ概要
クリント・イーストウッド監督・主演による実話ベースの「90歳の麻薬運び屋」の映画化。ゆり栽培に専念し高評価されたアールも失業し家も家族も失います。そんな時、運び屋に誘われ...。結末は逮捕?家族との関係はうまくいくのか?(ネタバレあらすじ↓)
映画名/邦題 | 運び屋 |
原題/英題 | The Mule |
日本公開日 | 2019/3/8 [予告↓]上映時間 116分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA R |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | クリント・イーストウッド [キャスト↓] |
配給/製作/画像 | ©ワーナー・ブラザース/インペラティブ・エンターテイメント、BRONクリエイティブ、マルパソ |
シリーズ/関連 | サスペンス/ミステリ映画 |
日本興行収入 | 8.3億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 1.7億USドル [出典] |
製作費 | 0.5億USドル |
平均評価★★★★★77(私の評価↓は含まず)
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『運び屋』予告動画
キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)
『運び屋』ネタバレあらすじ
この先はネタバレありのあらすじです。続編前作や関連映画は、サスペンス/ミステリ映画一覧もご参考に。
退役軍人アール・ストーン(クリント・イーストウッド)は高級百合の栽培に専念して、品評会では高く評価され誇らしげです。しかし妻も娘も家庭もかえりみず、娘の結婚式にも出席しなかったため、ついに家族とは絶縁状態になります。
家族が先か?金か時間か?(ネタバレあらすじ)
ネット通販の流れに負け、アールのデイリリーは売れなくなり家も農園も差し押さえられます。孫娘ジニー(タイッサ・ファーミガ)の婚約パーティーにボロ車で駆けつけるが追い出されます。そこである仕事を勧められ、金ほしさに受けます。
「車を走らせるだけで大金を得られる」と誘惑された仕事は、メキシコの麻薬カルテルが雇う「ドラッグの運び屋」です。楽に大金を稼げたアールは1回目で新車を買い、2回目で家を取り戻し、3回目には退役軍人の施設に献金します。
アールはお金に困ることはなくなり、孫娘ジニーの結婚式にも出席するが、娘アイリス(アリソン・イーストウッド)や妻メアリー(ダイアン・ウィースト)と失った時間は取り戻せません。アールは孤独を忘れるように運び屋を続けます。
運び屋にせまるタイムリミット?(ネタバレあらすじ)
一方、麻薬取締局(DEA)捜査官のコリン・ベイツ(ブラッドリー・クーパー)はトレビノ(マイケル・ペーニャ)と共に、上官(ローレンス・フィッシュバーン)の指示で、メキシコから大量に麻薬を運ぶ者の正体を捜査中です。
麻薬カルテルのボス、レイトン(アンディ・ガルシア)はアールの安全運転や老人で疑われにくい点を評価し、多少の寄り道には目をつぶっていました。しかし部下に裏切られて殺されると、次のボスは厳格になり時間の遅れも許しません。
イーストウッドが最後に選ぶものとは?(ネタバレあらすじ)
捜査官コリンらはモーテルで麻薬所持者を逮捕するが、ねらってる大物ではありません。同宿のアールは、カフェでコリンに「家族を大切にしろよ」と助言します。アールが運び屋をしてる時、元妻メアリーが余命わずかと連絡を受けます。
アールは麻薬の運び屋を放棄して、メアリーの元へ行き、最後まで看取って葬式もすませ、娘アイリスとも和解します。しかしカルテルに殺されそうになり、DEAのコリンらの捜査網も迫ってきて…
ネタバレ感想『運び屋』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、サスペンス/ミステリ映画一覧もご参考に。
実話ベース?クリントイーストウッドの物語?
本作『運び屋』の原案は、ニューヨークタイムズの記事「The Sinaloa Cartel's 90-Year-Old Drug Mule」だそうです。80歳代で麻薬カルテルの運び屋となった退役軍人レオ・シャープの実話が基ですが、多くがフィクションです。
レオがデイリリー栽培の達人で、ネット通販の台頭により破産し、90歳の少し前から運び屋をはじめた部分や、「のろのろ運転の高齢な白人」だから麻薬捜査官に疑われず、結果的に大量コカインを運搬した点などは実話どおりなのでしょう。
監督と主演をつとめるクリント・イーストウッドは『許されざる者』『ミリオンダラーベイビー』でアカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞後も、日米で製作された『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』など話題作も手がけています。
『グラントリノ』出演後、監督業をメインにすると発言し『ジャージーボーイズ』『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』『15時17分、パリ行き』を続けざまに公開してます。
2012年に4年ぶりに俳優として出演した『人生の特等席』以来、『運び屋』は久しぶりの俳優業となります。監督と主演をかねるのは『グラントリノ』以来の10年ぶりです。本作はクリント・イーストウッドの人生ともリンクしてるようです。

キャスト/出演者には実の娘も?
クリント・イーストウッドは高齢で、あと何回映画が撮れるかわからないため、彼の監督作には出演を希望する俳優女優がたくさんいるそうです。本作『運び屋』でもすでに名の売れた有名俳優が多数出演しています。
娘役のアリソン・イーストウッドは実の娘ですが、日本ではまだほとんど名を知られていません。本作には出演してないけど、異母の弟スコット・イーストウッドの方が、今後もワイルドスピードシリーズに出そうだし活躍中です。
メキシコ系ということで、マイケル・ペーニャ、アンディ・ガルシアや、麻薬取締局主任としてローレンス・フィッシュバーン、『アリースター誕生』で監督としても評価されたブラッドリー・クーパーも配役されています。
テーマは「家族か金か時間か命か」「監督の人生の贖罪」?
予告編ではサスペンス映画の雰囲気を強調してましたが、実際に観るとコメディ調の家族映画に仕上がっています。そういう意味では、楽しめる対象者は広がるけど、かなり素朴な内容なので刺激は少なめです。
クリント・イーストウッドの人生と贖罪の話は下で書くとして、運び屋アールはずっと「家族」より「仕事や外で評価されることや女性」を優先してきて、後に「金」で「家族」を取り戻そうとするが「過ぎた時間」は戻せません。
「金」で「家族との時間」を取り戻せなかったアールは、最後は「命」をかけて妻を看取り、やっと娘や家族とも和解できます。つまり過ぎた「家族との時間」は「金」では取り戻せないので「命」と同じくらい大切だと言うことです。
クリントイーストウッドの人生の贖罪?
『運び屋』は実話ベースですが、主人公は実情が明らかでない人物なので、クリント・イーストウッドは自分の人生と重ねた物語に仕上げています。つまり「映画人として尊敬される一方、家族をないがしろにして不倫を繰り返してた」人生です。
実際のレオ・シャープはデイリリー(高級ユリ)栽培では高く評価され、ホワイトハウスに招かれたこともあったそうです。本作の主人公アールも品評会で絶賛され機嫌よくしてたし、イーストウッドも映画受賞歴が多いので似ています。
アールはデジタル化の波に乗れず、家族のところへ戻るが歓迎されません。実際のクリント・イーストウッドが家族とどういう関係を築いてるのかは不明ですが、映画ラストで弁護もせず罪を認めたのは、現実家族への謝罪と贖罪の意味もありそうです。
クリント・イーストウッド監督は、実の息子や娘をよく配役することで有名ですが、本作『運び屋』でも実の娘アリソンをアールの娘役で起用してます。娘の「今まで家族をほったらかしにしてきたのに…」は本音のようで感情こもってます。
ブラッドリークーパーへの継承?
中盤から登場する麻薬取締局(DEA)捜査官コリンを演じるブラッドリー・クーパーは、終盤へかけて主人公のように描かれてます。タレコミによりアールが宿泊するモーテルまで迫るが、少量コカインの保持者を逮捕したのみです。
翌朝そこのカフェで、アールはコリンに「家族を大切にしろよ」と助言しますが、これは映画内だけでなく現実世界でクリント・イーストウッドがブラッドリー・クーパーにアドバイスしたようにも聞こえます。
ブラッドリー・クーパーはアカデミー賞で8部門にノミネートされた『アリースター誕生』を監督しています。クリント・イーストウッドも認める師弟のような関係だそうです。
だからこそイーストウッドはブラッドリー・クーパーに「次世代の役者監督の後継者」として継承すると共に「(俺のように)家庭を犠牲にするなよ」と映画を通して伝えたかったように感じます。
『運び屋』総括とイーストウッド映画
予告編からミステリーやサスペンス調だと予想してたけど、陽気なおじいちゃんが鼻歌うたいながら運転するコメディ調の楽しい映画で、麻薬の運び屋をしてることすら忘れそうでした。警官に職質された時もポップコーンあげて笑えました。
カルテルの見張り役もおじいちゃんに取り込まれたりして「家の外では魅力的」な様子が「家族の中では役立たず」というのと対象的に描かれてる点も、クリント・イーストウッド自身を投影してそうです。マフィア宅に招かれた時に裸の女性2人とうれしそうに寝てたのも演技ではないように思えました。
一方で、クリント・イーストウッドと重ね合わせながら見れた人は『運び屋』の奥深さを感じられたでしょうけど、一般的にはイーストウッドになじみない人の方が多いので「麻薬の運び屋をして捕まった老人の物語」としか思えないでしょう。
私のようにミステリーやサスペンスが大好きな人も、物足りなく感じたのではないでしょうか。最後にアールは運び屋の仕事を放棄して家族の所へ行くけど、その時に「生き残るための計画」が皆無で死ぬつもりだったのが拍子抜けで残念です。
とはいえ、クリント・イーストウッドは最近の監督作では「リアリティの徹底追求」にこだわってて、前作『15時17分、パリ行き』では「実際の当事者を主人公に」するとこまで行き着き、本作ではついに「自分を主役にその人生を映画に」しています。
派手さやアクションはほぼないので、興行収入では世界中でも日本でも『ハドソン川の奇跡』を上回るのは難しいと思いますが、クリント・イーストウッドのファンにはたまらない映画でしょう。終活映画になるのは悲しいので、ぜひ次回作も期待したいです!
続編前作や関連映画は、サスペンス/ミステリ映画一覧もご参考に。
『運び屋』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞
- 2019年興行収入ランキング日本
- 日本アカデミー賞(2006-2023)
- 報知映画賞(1990-2022年末)
- キネマ旬報ベスト(2010-2023)
- 映画秘宝ベスト(1998-2022)
- サスペンス/ミステリ映画一覧
- ヒューマンドラマ映画一覧
- 実話映画一覧

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