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『ジョンFドノヴァンの死と生』評価は?ネタバレ感想考察/死の真相は?文通は真実か?

映画ジョンFドノヴァンの死と生

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』あらすじ概要

2006年、ニューヨーク。人気俳優ジョン・F・ドノヴァンが亡くなりました。10年後、ドノヴァンの文通相手ルパートがインタビューに答える形で、その死の真相や当時の葛藤などを語りだすが…。ドノヴァンが抱えた問題とは?(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 ジョン・F・ドノヴァンの死と生
日本興行収入公表後すぐ更新(興行収入ランキング
世界興行収入0.033億USドル [出典]
平均評価★★★★★67私の評価↓は含まず)
原題/英題The Death & Life of John F. Donovan
日本公開日 2020/3/13 [予告↓]上映時間 123分
映倫区分日本 PG12(小学生指導必要)USA R
製作国イギリス・カナダ合作
映画監督グザヴィエ・ドラン [キャスト↓]
配給/製作/画像©松竹、ファントム・フィルム/リラ・フィルムズ、サンズ・オブ・マニュアル

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』予告動画

登場キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

ジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)
人気俳優だったが、29歳の若さで亡くなった
ルパート・ターナー/子供時代(ジェイコブ・トレンブレイ)
ドノヴァンと文通してた少年
ルパート・ターナー(ベン・シュネッツァー)
サム・ターナー(ナタリー・ポートマン)
ルパートの母親。女優をめざしてる
グレース・ドノヴァン(スーザン・サランドン)
ドノヴァンの母親。アル中ぎみ
バーバラ・ハガーメーカー(キャシー・ベイツ)
ドノヴァンのマネージャー
オードリー・ニューハウス(タンディ・ニュートン)
青年ルパートにインタビューする
ダイナーの老人(マイケル・ガンボン)
ドノヴァンの行きつけの店の老人

ネタバレ感想『ジョンFドノヴァンの死と生』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★58/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

グザヴィエ・ドラン監督やアノ子役とキャスト

若くて作家性の強いグザヴィエ・ドラン監督は、カナダ人の俳優でゲイも公表しています。『マイ・マザー』で監督/脚本家でデビュー後、『わたしはロランス』『Mommy/マミー』そして2016年『たかが世界の終わり』等がカンヌ国際映画祭で認められました。

俳優としては最近は『ある少年の告白』や『IT イット THE END それが見えたら、終わり。』のカメオ出演などで見かけました。監督としてのグザヴィエ・ドランには好みが分かれがちなので、観る前から期待と不安が入り混じります。

主演のキット・ハリントンは、映画より『ゲーム・オブ・スローンズ』の印象が強い俳優です。映画でも2014年の『ポンペイ』では主役を演じていますし、最近の『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』では声優を務めています。

ルパート・ターナーの子供時代を演じる子役ジェイコブ・トレンブレイは、私も好きな『ルーム』で注目された後、『ワンダー君は太陽』『ドクタースリープ』等でも活躍中の売れっ子です。

他にも、最近の『リチャード・ジュエル』に出演してたキャシー・ベイツ、『ハリーポッターと死の秘宝 PART2』等のダンブルドア役のマイケル・ガンボン、数多くの代表作があるナタリー・ポートマンや、スーザン・サランドン等も出演しています。

映画ジョン・F・ドノヴァンの死と生

グザヴィエ・ドラン監督の実話?自己投影?

映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』は、グザヴィエ・ドラン監督が『タイタニック』を観てレオナルド・ディカプリオ宛てにファンレターを書いた実話から着想を得たそうですが、物語の内容はオリジナルのフィクションです。

レオナルド・ディカプリオから返信があったかどうかは不明です。ただ、20代という若さで名声を得たグザヴィエ・ドラン監督は、若きスター俳優となった本作の主役ジョン・F・ドノヴァンに自己投影してると感じます。

そしてジョン・F・ドノヴァンが抱える苦悩、嘘(うそ)をつかざるをえないスターとしての境遇、誰かに本音を打ち明けたい衝動なども、ドラン監督自身の問題と重なりそうです。青年ルパートの自由さはドランの理想像にも見えます。

テーマは「嘘と真実」「母と子の確執」か?

本作は、冒頭の「ジョン・F・ドノヴァンの死」と、そのニュースをテレビで知った少年ルパート・ターナーの様子から始まります。当時11歳のルパート(ジェイコブ・トレンブレイ)は、母サム(ナタリー・ポートマン)と口論中でした。

「ジョン・F・ドノヴァンからの手紙」をアイデンティティと感じてるルパートと、息子を守ろうとする母サムの立場と意見の衝突です。未来を見てるルパートと、守りに入ってる母との対立の構図でもあります。

少年ルパートは、スター俳優ジョン・F・ドノヴァンとの文通を学校で告白したら「うそ」と決めつけられ母にも疑われます。しかしラストのこの口論前に「嘘ではなく真実」だったことが判明します。

同じように、ジョン・F・ドノヴァンも、アルコール中毒の母グレース(スーザン・サランドン)との確執に悩んでいます。ドノヴァンの死の直前には、母や兄弟との関係が修復されたように見えますが、真相は闇です。

ジョン・F・ドノヴァンは「嘘つくこと」に過敏で、できれば「真実のみ」で生きたいのですが、スター俳優を維持するために自分を偽りながら生きてて、それがチリつもって大きなストレスになっています。

ドノヴァンのマネージャーだったバーバラ(キャシー・ベイツ)が辞める理由も「自分に嘘はつけない」でした。これは、ウソをついてスターの座を維持しようとしたジョン・F・ドノヴァンに対する抗議だと感じます。

映画冒頭で「愛、金、名声よりも真実」という一文が引用されましたが、「真実」は映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』の重要なテーマの1つです。名監督グザヴィエ・ドランも「真実のみ」では生きていけないという葛藤を感じます。

文通は本当にしてた?アイデンティティの象徴?

本作の最も重要な疑問は「ルパートとジョン・F・ドノヴァンの文通は真実か?」という点です。少年ルパートが書いた手紙の内容は、ほぼ明かされませんし、ドノヴァン自身は少年との文通を否定しました。

私が感じた結論は「何度か手紙のやりとりをしたのは真実だけど、100通も返信された可能性は低い」です。文通が真実だったと信じられるのは、ドノヴァンしか知りえないゲイの事実を少年ルパートが知ってたからです。

また、ジョン・F・ドノヴァンの最後の手紙が少年ルパート宛てに届いてその内容から、何度か手紙をやりとりしたことがわかります。ただし、最後の手紙内容と、ゲイが「真実」なのもルパートの証言のみなので「全て嘘」の可能性も0ではないです。

ジョン・F・ドノヴァンからの手紙は、少年ルパートにとっては「アイデンティティの象徴」です。その手紙の存在があるからこそ、学校でいじめられても屈せずにいられるので、ルパート自身が「真実」だと思うことが一番重要なのです。

少年ルパートが俳優を目指した2つの理由とは?

少年ルパートが俳優をめざした理由とは、母サムがあきらめた夢を引き継いで、母に夢を見せ続けたいと思ったからです。オーディション会場へ向かうルパートを、母が追って抱きしめるシーンは名曲「スタンドバイミー/Stand by me」で盛り上げますが、やや感動を押しつけぎみでした。

そしてルパートが俳優になりたいもう1つの理由は、尊敬する雲の上の存在のジョン・F・ドノヴァンといつか共演したいからです。

俳優をめざすことが「アイデンティティ」にならないのは不思議です。学生は学校のクラスメイトから認められることが「承認欲求」に直結すると考えると、子役であることは「いじめの材料」にしかならないのでダメなんでしょうね。

最後の手紙の内容は?ルパートは読んだ?

ジョン・F・ドノヴァンは「最後の手紙」を行きつけダイナーのキッチンで孤独に書きつづります。その時に現れた老人(マイケル・ガンボン)が、役立つ助言をするわけでもないのに印象的でした。グザヴィエ・ドラン監督の分身にも見えます。

その手紙を受け取った母サムは、ルパートに内緒で盗み読みします。ジョン・F・ドノヴァンの自殺予告のような内容だったため、母サムはルパートの心を守るために隠したようです。母は落とした涙のせいで、指にインクがつきます。

ルパートがこの最後の手紙を読んだのかは明確に語られなかった気がしますが、個人的にはルパートは最終的に母から内容を聞き出したのだと思います。この手紙の存在がないと、暴露本やインタビューを受けようとは思わなかったでしょうし。

死の真相は?「死と生」の意味は?

ジョン・F・ドノヴァンの死が自殺だった場合の動機は、もう嘘をつきたくなかったからだと感じます。スター俳優の地位を維持するために、ゲイであること、少年と文通してたこと等を否定して生きてたけど疲れたのでしょう。

薬の分量ミスだった可能性もありますが「最後の手紙」の内容から自殺説が有力だと思います。ドノヴァンを殺したのは、彼自身の不器用さでもあるし、同性愛者LGBTQであることを隠さざるを得なかった時代や世間とも言えそうです。

ジョン・F・ドノヴァンがあと10年遅く生まれてたなら、ルパートのようにゲイであることを隠さず、男性恋人と一緒にバイクで外を走ることもできたのでしょう。自由なルパートはまさに、ドノヴァンやグザヴィエ・ドラン監督の理想像だし、ルパートがドノヴァンの「生」を継承したようにも思えます。

ちなみにバイクで2人で去るシーンは、グザヴィエ・ドラン監督が好きな俳優リヴァー・フェニックスとキアヌ・リーブスの映画『マイ・プライベート・アイダホ』のオマージュです。

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』私の評価と総括

グザヴィエ・ドラン監督作を初めて劇場で観たけど、音楽や映像美にこだわりを感じるので、家で観るのはもったいないと感じます。今回は俳優女優陣も豪華なので、共演ならぬ競演も見どころ。特に子役ジェイコブ・トレンブレイが見事

一方、ストーリーは視点が多重化しすぎて、かなりわかりづらい複雑構造になってたのが残念。ずっと子役ルパートと手紙の視点で見せてくれればいいのに、ドノヴァン視点も混ざるので、どの場面がインタビュー内容なのかも混乱します。

「嘘と真実」をあいまいにするために、わざとそう見せた可能性もありそうですが、ミステリ映画ではないのでその必然性は感じません。私は映画に「詩」的さを求めていないため、この手の映画とは相性わるいのかもしれませんが。

個人的には、少年ルパートと母サラの章は好きでしたが、ジョン・F・ドノヴァンの章にはもたつきを感じたし、青年ルパートがインタビューで話す章はほぼ必要性を感じなかったです。グザヴィエ・ドラン監督ファンの意見も聞いてみたいです。

他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

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