映画『アドアストラ』評価は?ネタバレ感想考察/父の真相は?地球外生命体は存在する?

『アド・アストラ』あらすじ概要
ロイは宇宙で作業中に宇宙嵐にあうが冷静に対処します。嵐の発生源は、父が行方不明になった地点に近いため捜索を依頼され、月、火星、海王星へとロケットを乗り継ぎながら向かった先には…。旅に意味はあった?ハッピーエンド?(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | アド・アストラ |
原題/英題 | Ad Astra |
日本公開日 | 2019/9/20 [予告↓]上映時間 123分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA PG-13 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
映画監督 | ジェームズ・グレイ [キャスト↓] |
配給/製作/画像 | ©20世紀フォックス/プランBエンターテインメント、ニュー・リージェンシー・プロダクションズ、RTフィーチャーズ、キープ・ユア・ヘッド、マッドリヴァー・ピクチャーズ |
シリーズ/関連 | ファンタジー/SF映画 |
日本興行収入 | 6.5億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 1.2億USドル [出典] |
平均評価★★★★★63(私の評価↓は含まず)
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『アド・アストラ』予告動画
キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)
ネタバレ感想『アドアストラ』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、ファンタジー/SF映画一覧もご参考に。
監督と主演ブラッドピット等の出演キャスト
監督ジェームズ・グレイ(James Gray)は、アメリカの映画監督・プロデューサー・脚本家です。1994年の長編映画監督デビュー作『リトル・オデッサ』でヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞を受賞し、他作でカンヌ国際映画祭にも選出されてます。
主演のブラッド・ピットは『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』『セブン』『ファイト・クラブ』等で評価され、オーシャンズ11シリーズ[作品一覧]で日本の一般層にも有名になりました。
アカデミー賞でも、俳優賞と制作プロデューサー側として複数回ノミネートされています。最近はクエンティン・タランティーノ監督作[一覧]の『ワンスアポンアタイムイン・ハリウッド』等にも出演して存在感を発揮しています。
共演のトミー・リー・ジョーンズは親日家でもあり、メンインブラック・シリーズ等の多作品で好演してます。他にリヴ・タイラー、ドナルド・サザーランド、『ワールドウォーZ』でブラピと共演したルース・ネッガも出演してます。

わかりやすいSFエンタメではない?映画賞向け?
宇宙で行方不明になった父親(トミー・リー・ジョーンズ)を、息子(ブラッド・ピット)が探しに行くストーリーってことだけ知ってたので、普通のSFエンタメ映画だと思ってました。しかし実際は大作ではめずらしくかなりアート寄りです。
ヴェネツィア国際映画祭で絶賛と話題になったり、米国アカデミー賞のノミネートも有力だと言われているように、かなり映画賞向けだと感じました。だからブラピ見たさだけで行った人は、疲れてれば爆睡する可能性もある映画です。
ただし『2001年宇宙の旅』と比べると格段にエンタメ要素は多いし、監督が参考にしたという『地獄の黙示録』ほど人を選ぶ映画でもありません。つまり映画ファン以外の一般人も「ギリ楽しめそう」な映画には仕上がってると思います。
見どころは宇宙映像美やアクションシーン?
ストーリーは淡々としてる『アド・アストラ』ですが、最大の見どころは宇宙シーンの映像美の素晴らしさです。この高レベルの映像技術のままスターウォーズとか観たくなります。そして眠気を覚ますようにアクションシーンが配置されてます。
冒頭で起動エレベーターのような宇宙ステーションで作業中に、サージ(宇宙嵐)により飛ばされて地球の引力にひかれて落下します。ロイ(ブラピ)の動じない冷静沈着さや危機管理能力の高さを見せつけ、期待もふくらむ見事な始まりです。
海外旅行間隔で月へ行ける時代ですが、まだ一般人には高額な旅行で、追加アメニティで料金請求されるのがリアルです。月基地で家族連れの観光客がはしゃいでるけど、裏側では資源をねらう武装集団が襲撃してきて地球の縮図のようです。
月面カーチェイスは楽しいけど、警護部隊が弱すぎて即退場したり、危険地帯のわりに無防備な車だったり、低重力を活かしたアクションが見れなかったりと、気になるツッコミどころは多いです。ブラピだけ無傷だったのも運が強すぎです。
負傷したプルーイット大佐(ドナルド・サザーランド)をおいて火星へ向かいます。救難信号を発する動物実験用の宇宙船の救出へ向かうが、突然マントヒヒのようなエイプに襲われ船長は殺害されます。この映画で一番驚いたシーンです。
『猿の惑星』を連想させるし「地球外生命体」が寄生する『ライフ(2017)』のような展開を期待したけど、実験動物が空腹や孤独で発狂し乗組員を全滅させただけのようです。その後サージを切り抜け無事に火星到着。
心理検査で不合格のロイは、火星生まれのヘレン(ルース・ネッガ)の協力をえて、海王星行きロケットに侵入し、攻撃してきた軍人達を意図せず全滅させます。発射前のロケットに忍びこめたり、軍人相手に生き残れたりはツッコミどころです。
海王星の宇宙船で父を説得後、ロープでつながりロイの宇宙船へ戻ろうとすると、父は海王星へ落下して自殺します。あきらめたロイが1人で海王星の輪を抜けるシーンは迫力でしたが、行きと同じ道を使えなかった理由が不明でした。
テーマは?子は父をたどり、超えることができるか?
『アド・アストラ』のテーマは1つにしぼりきれませんし、テーマを伝えることは重視してないとも感じます。それでも1つ挙げるとすれば「父のあとをたどり、越えていく旅」です。最初ロイは、家族の所に戻らなかった父に疑問を持ってます。
母と一緒に暮らしながら父を待ち続けた日々のせいでしょう。やがてロイは父と同じ宇宙飛行士になり、常に冷静で心拍数も上がらないことから適正と認められます。しかし家庭生活では人間的な感情を見せず、妻が家を出ていきます。
その時点でロイは、疑問をもった父と同じ道を歩み始めていて皮肉です。しかし月面で欲望のために資源を奪いにくる盗賊団に遭遇して仲間が死傷したり、火星へ向かう道中で感情むき出しで迫るエイプや殺害された船長を見るうちに、ロイが奥深く封印していた感情がわずかながら表れてきます。
火星から海王星の父へ向けての通信では、最初は用意された文面どおり読みますが、だんだん自分の感情や言葉を表現しはじめます。その結果、父が反応した反面、心理検査では不合格となるが、冷静さを欠いたロイはロケットに侵入します。
父の殺害へ向かう軍人たちを正当防衛とはいえ全滅させます。冒頭で落下する仲間や月面で撃たれた護衛達を、気にもかけなかったロイが「父に会いたい」という感情と意思でここまでの行動にでるのは、本編で一番の成長表現です。
ロイは妻と離れ、宇宙船クルーを全滅させて1人で海王星へ向かいますが、この状況は父とほぼ同じ道をたどってて、最悪のラストすら予感させます。その後、父と再会し「家族よりも地球外生命体の発見の方が重要」だと聞きます。
それでも、ロイは父を地球へ連れ帰ろうとしますが、もはや父は「地球外生命体」のように成り果てたからか、自ら帰る道を断ちます。ロイは1人で地球へ帰還し、父の呪縛が解けたのか、父を反面教師にしたのか、感情が戻ったのか、妻とやり直しそうです。父を乗り越える旅は成功したのでしょう!
地球外知的生命体の真相とは?何かの比喩?
ロイの父クリフォードは、宇宙飛行士として地球外知的生命体を探索する「リマ計画」で出発し、消息不明となります。それまでにも地球外知的生命体の探求の旅には出かけてたようで、妻子より優先度は高かったようです。
しかしその生涯をかけても地球外生命体の存在は発見できず、あきらめようとしたクルーを全滅させた後も見つけるまで宇宙に残ろうとするほど固執しました。結局わかったのは「地球外生命体は存在せず、地球人は孤独」ということだけです。
この事実を知った父とロイの反応は親子でも正反対です。父はただ失望したのに対し、ロイは地球で家族を大切にしようと考えたのです。この違いは、父が宇宙で長い間一人で生きてきたからかもしれないけど、ロイの旅の影響も濃いと感じます。
そもそも地球を離れて30年も海王星付近にいた父クリフォードこそ「地球よりも宇宙で過ごす時間の方が長くなりそうな地球外生物」といえる存在です。また、火星生まれでずっとそこで暮らすヘレンは「地球人」ではなく何なのでしょうか。
『アド・アストラ』内で唯一人間ではない「地球外知的生命体」の出現を思わせる存在が登場します。実験動物のエイプ(マントヒヒ猿)です。空腹や孤独や度重なる実験で凶暴化した可能性が高いけど、もし繁殖してたら地球外生物です。
このように「(地球とつながりがある)地球外知的生命体」のような存在は何人も登場します。また月面でのように、宇宙で暮らす人々が恵まれた地球人から資源を奪おうとし続ければ「地球人vs地球外の人」という構造にも発展しそうです。
『アド・アストラ』私の評価と総括
『アド・アストラ』は、私の大好きな宇宙映画『インターステラー』『ゼログラビティ』は越えないし、方向性が全く違う映画なので比較しにくいけど、雄大な宇宙表現の映像美では越えてる部分もあります。技術の進歩のおかげですが。
ただでさえ存在感のあるブラッド・ピットですが『アド・アストラ』は、彼のワンマンショーに近いし、ドアップ顔シーンが多いため、ブラピファンは大興奮かもしれません。演技面では評価されにくいブラピも、今回は好演してたと思います。
要所ごとのアクションや急展開シーンは、エンタメ映画的で見ごたえもありました。それ以外はアート的で退屈するシーンも続きますが、父の失踪の謎を調べる旅というストーリーには、最後まで見たい、と感じさせる吸引力があります。
しかし、大風呂敷を広げたり、やや期待させ続けた最後には、待ち望んだラストはおとずれず肩透かしをくらいます。同時期のブラピ出演『ワンスアポンアタイムイン・ハリウッド』がラストだけで良作と言えるのとは真逆です。
『アド・アストラ』は世間のレビューや評価が混乱してる感じがあるのも納得できます。ただし、制作側のブラピ等が目指した方向性や、出演者の演技やテーマなどは評価されそうなので、年始のアカデミー賞の結果が楽しみです!
続編前作や関連映画は、ファンタジー/SF映画一覧もご参考に。
『アドアストラ』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞

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