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『Fukushima50』評価は?ネタバレ感想考察/福島原発の真実は?首相の描き方は誠実?

映画Fukushima50

『Fukushima50』あらすじ概要

2011年3月11日、東日本大震災の津波で福島第一原発は全電源を喪失。冷却装置が動かず、メルトダウンや放射能もれによる甚大な被害を防ぐために現場作業員らが奔走するが…。ベントとは?原発内の真実とは?(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 Fukushima50
平均評価★★★★★77私の評価↓は含まず)
日本公開日 2020/3/6 [予告↓]上映時間 122分
映倫区分日本 G(年齢制限なし)
映画監督若松節朗 [キャスト↓]
配給/製作/画像©松竹、KADOKAWA/「Fukushima 50」製作委員会
シリーズ/関連ヒューマンドラマ映画
日本興行収入8.8億円興行収入ランキング
原作門田隆将のノンフィクション『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』(Amazon)

『Fukushima50』予告動画

キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

伊崎利夫(佐藤浩市)
福島第一原発 1,2号機当直長
吉田昌郎(渡辺謙)
福島第一原発 所長
大森久夫(火野正平)
福島第一原発 管理グループ当直長
前田拓実(吉岡秀隆)
福島第一原発 5,6号機当直長
浅野真理(安田成美)
福島第一原発 緊急対策室総務班職員
野尻庄一(緒形直人)
福島第一原発 発電班長
小野寺秀樹(篠井英介)
東都電力本店 常務 緊急時対策室本部長
竹丸吾郎(段田安則)
東都電力 フェロー。東電と政府のつなぎ役
平山茂(平田満)
福島第一原発 第2班当直長
井川和夫(萩原聖人)
福島第一原発 第2班当直副長
伊崎遥香(吉岡里帆)
伊崎利夫の一人娘
伊崎智子(富田靖子)
伊崎利夫の妻
内閣総理大臣(佐野史郎)
福島民友新聞記者(ダンカン)

ネタバレ感想『Fukushima50』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、ヒューマンドラマ映画一覧もご参考に。

私の評価 ★★★★★64/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

原作と監督・佐藤浩市と渡辺謙等キャスト

原作は門田隆将のノンフィクション『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』(Amazon)です。311こと東日本大震災時の「福島第一原子力発電所事故」で対応した約50名の作業員達「フクシマ50」の物語です。

監督の若松節朗は、テレビドラマ演出家出身で、代表作に『振り返れば奴がいる』『やまとなでしこ』等があります。映画監督としては『ホワイトアウト』『沈まぬ太陽』が日本アカデミー賞等で選出され、直近では『空母いぶき』が評価されています。

主演の佐藤浩市と渡辺謙は、過去にも若松節朗監督作に出演しています。佐藤浩市は『64ロクヨン前編』『64後編』の刑事役や、『空母いぶき』の首相役が記憶に新しいです。

渡辺謙も、佐藤浩市と同様に数え切れないほどのTVドラマや映画に出演してますが『ラスト サムライ』『インセプション』等の洋画で見る機会も多いです。直近では『ゴジラ キングオブモンスターズ』の博士役が印象的でした。

他にも若松監督とゆかりのある俳優女優を中心に豪華キャストです。吉岡秀隆、安田成美、火野正平、緒形直人、萩原聖人、吉岡里帆、富田靖子、平田満、斎藤工、佐野史郎などです。

映画Fukushima50

福島原発事故と東日本大震災とは?ベントとは?

福島第一原子力発電所(通称1F=イチエフ)は、東北電力の事業地域の福島県の海沿いに位置するが、東京電力の管外発電所です。アメリカGE社設計の原子炉を基本とし、1971年3月、1号機の営業運転が開始されました。

東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)とは、2011年3月11日午後2時46分に発生した、マグニチュード9.0(最大震度7)の、日本観測史上最大の大地震です。その大津波で1986年のチェルノブイリと同レベルの重大原発事故が発生しました。

まず10m以上の津波で、全電源喪失(ステーションブラックアウト=SBO)となり、原発の核燃料を冷却できなくなりました。すると熱で冷却水が蒸発して圧力が上昇し、化学反応で水素が大量に発生して爆発を引き起こします。

ベントとは、この格納容器内の蒸気を外に逃がして圧力を下げるための排気操作のことです。放射能を排出することにもなるが、圧力破壊で放射性物質が全部出て「東京を含む東日本の壊滅」となるよりはましな選択なのです。

福島第一原発では、全電源が喪失した状態なので、人間が、放射能汚染されたエリアに入り、手でベント(排気)する必要がありました。

最終的には最悪の事態は回避できたが、1,2,3号機と検査中だった4号機で、炉心溶融(メルトダウン)や建屋の水素ガス爆発事故などが発生し放射能もれも起こりました。その後、福島第一原発は全て停止しました。

首相は無能?実話?意義は?

映画『Fukushima50』は、その原発事故を最小限に食い止めようとした、原発内の約50人「フクシマフィフティ」の戦いの記録です。実話ベースですが現場作業員の視点で描かれているので、東電本店や首相はやや「無能や老害」にも見えます。

極端にいえば「現場をわかってないのに邪魔する勢力」という風に描かれています。しかしこの描写は政治的主張・間違い・誇張ではなく立場の違いだと感じます。

その点で本作は「現場視点のみに特化したディザスター(大災害)映画」ですが、今この時期に作られた意義はとても重要だと感じます。大震災を経験して現在も生きている私達が観る意義も充分あると思います。

似たようなディザスタームービーの邦画『シンゴジラ』では、無能な内閣総理大臣が想定外の事態に混乱する姿がコメディ調で描かれ、その最後が見どころ?の1つにもなっています。

以後の私の感想考察は「事実」についてではなく、あくまでも「作り話も含めての映画『Fukushima50』」について書いていきます。福島原発事故の更なる詳細が気になる人はWikipediaや、上の原作本を読むといいかも。

内容や原発の専門用語は難しい?

原子力発電所や放射能についての基礎的な知識はあるけど、この映画で発声される専門用語の数々は細かく知らないものが多かったです。ただ、それらを知らなくても「事態の深刻さ」は把握できるので、観た後で調べてもいいと思います。

それよりも、作業員がマスクしながら話すシーンの会話内容が聞きとりにくかった方が気になりました。この内容も聞きとれなくても物語を理解するのに支障はないけど、もう少し撮影の方法等で工夫がほしかったとは感じます。

映画『Fukushima50』で最も重要な専門用語「ベント」だけは知っておいた方がいいと思うので、上記を参考にしてください。

津波映像はトラウマ層に配慮?

冒頭いきなり東日本大震災が発生し、大津波が押し寄せます。福島第一原発、第2班当直副長の井川和夫(萩原聖人)らが津波にのみこまれそうになりますが、原子炉建屋を越えてくる映像はほぼなくて迫力はいまいちだと感じました。

たぶん実体験者や津波映像をトラウマに感じてる人達への配慮だと思います。「911」に関して映画化したハリウッド作品は、しっかりとトラウマ映像も見せてくれたので、本作の津波映像ももう少しふみこんでほしかった気はします。

放射能汚染エリアへの決死隊に手を上げた人達に脱帽

「人間によるベント(排気操作)」を行うため、伊崎利夫(佐藤浩市)が決死隊を募ります。若者はダメというのは「将来があるから」「子どもを作る可能性があるから」でしょう。終盤の総務班の浅野真理(安田成美)のセリフ「あなた達には第2、第3の復興があるのよ」も印象的でした。

決死隊に多くの人が手を上げたのは本当に驚きです。私があの場にいたら手を上げられた自信はないので、尊敬しか感じません。

ベント作業は、テープで隙間を埋めた対放射能防護服と酸素ボンベを着用し、温度や放射線量を測りながら2人1組で実施されました。いくら防護服を着ても放射線を完全カットはできないだろうから、確実に寿命は縮まるまさに決死の作業です。

排気すべき箇所はいくつかあったようで、大森久夫(火野正平)らは成功しますが、矢野浩太(小倉久寛)と工藤康明(石井正則)は、高温だったため排気できませんでした。帰ってきた時の無念の様子には泣けてきます。

原発は我が子?決死隊の頼もしい助っ人登場

映画『Fukushima50 フクシマフィフティ』は事実ベースなので、あまり劇的なシーンは描かれないのですが、5,6号機当直長の前田拓実(吉岡秀隆)が現れた時には全てが好転しそうな気がしました。

前田は初期の1号機の面倒を見てたので、ベント(排気)作業には最適な人員です。「わしより若いもんにはまかせられん」と言われても「原発1号機は、手間のかかった我が子のよう」と引き下がらず、伊崎も了承して決死隊となります。

しかし謎の蒸気もれが発生したことから、前田らは呼び戻されて活躍シーンはなくなりました。娯楽映画なら、前田が1号機と対話したり声を聞いて犠牲を払ってでも成功させた感動場面ですが、事実ベースなので仕方ないですね。

東日本壊滅の危機?2号機が沈静化した理由は?

津波で電源が停止したため核燃料を冷却できず、炉心溶融(メルトダウン)が発生しました。その後、ベント作業や海水注入を行ったけど、1号機、3号機、4号機の順に水素ガス爆発が起こりました。幸い死者がでなかったことに驚きです。

その爆発の様子はテレビ放映もされて衝撃的でした。事情をよくわかってない首相が動揺して空回りする様子は滑稽ですが、誰にとっても「想定外」だったのでしょう。ここで上手く対処できてれば歴史に名を残せたとは思いますが。

しかし最も深刻だったのは、ガス爆発しなかった2号機です。2号機はベント(排気)も失敗に終わり、格納容器が破壊されて大量の放射能もれが起こると、東京を含む東日本全体が核汚染される「最悪のシナリオ」となります。

この時、伊崎利夫(佐藤浩市)や吉田昌郎所長(渡辺謙)は一部要員以外の撤退を決めますが、首相が認めなかったのは有名な話です。残った作業員達は「死」を覚悟し、家族に電話やメールして遺書のようなものを残す者もいました。

しかし結局2号機の圧力は下がり、格納容器の破壊は起こりませんでした。2号機が沈静化した理由は、現在も解明されてないようです。最も有力な説は、破損箇所から放射性物質がもれて圧力破壊が生じなかったからと考えられています。

終盤は退屈?復興オリンピックネタ必要?

映画『Fukushima50』は福島原発での現場の戦いを見せてくれたという意味でとても貴重です。ただ、後半になると伊崎が吉田所長の所と発電所を往復したり、心配する家族やアメリカ軍の協力を中途半端に見せたりとグダグダが続きます。

この理由は、2号機の動向がほぼ「神だのみ」のようになってしまった事実をもとにしたので仕方ないかもしれませんが、何か退屈させない工夫はほしかったです。アメリカ軍将校と伊崎が幼い頃一緒に遊んだ?のは事実なのでしょうか。

2号機の容器破壊を回避できた後、数年後の吉田所長の葬式に移り、伊崎が感謝を述べます。ラストでの「2020年の復興オリンピックの聖火ランナーは福島から」という説明は、現政府にこびた感じもするけど事実を伝えたかったのでしょう。

前半はディザスター映画や、お仕事映画として良作に仕上がってるだけに、後半の間延び感は残念です。避難住民の様子や、地元での原発の位置づけも語りたかったのかもしれないけど、それにしては中途半端で物足りない結末です。

映画『Fukushima50』私の評価と総括

本作では、断片的にしか知らなかった福島原発事故の現場での仕事ぶりと、現場を知らずに無責任な指示するだけの外野との「決定的な覚悟の違い」を感じられました。今の日本で公開される意義も感じられる映画です。

ただし、映画としてだけの評価をするなら平均レベルです。事実に忠実に製作したとしても、もう少し原発に対しての問題提起や深掘りした社会派作品が観たかったです。「311映画」として世界に出せるかと考えると難しい気がします。

豪華な俳優女優については、それぞれの役柄を求められた以上には好演してたと思います。邦画は盛り上がりシーンで叫びがちなのが苦手ですが、『Fukushima50』では叫ぶことが事実なので、いつもよりは自然な演技に見えました。

東電本店や首相の言動には、やや政治的・プロパガンダ的な見せ方も感じるけど、あくまでも「現場視点からの景色」と考えると誇張とは思いません。むしろ忖度なしに描いたことには好感をもてます。

東日本大震災からもうすぐ10年です。忘れることも大切ですが、あの大災害で起こった現実を直視できるようにもなってる時期なので、今を生きる多くの日本人にぜひ観てほしい映画『Fukushima50 フクシマフィフティ』です!

続編前作や関連映画は、ヒューマンドラマ映画一覧もご参考に。

『Fukushima50』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞

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