映画『わたしに会うまでの1600キロ』評価は?ネタバレ感想考察/女性1人で長距離歩いて人生やり直し

『わたしに会うまでの1600キロ』あらすじ概要
実在女性の自叙伝を映画化。シェリル・ストレイドは、これから人生を楽しもうとしてた母の死に耐えきれなくなり、優しい夫ポールを裏切って、ドラッグや男におぼれていき結婚生活も破綻する。シェリルは母のため人生をやり直そうと決意して、バックパックを背負って、砂漠と山道..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | わたしに会うまでの1600キロ |
原題/英題 | Wild |
日本公開日 | 2015/8/28 [予告↓]上映時間 116分 |
映倫区分 | 日本 R15+(15歳以上)USA R |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | ジャン=マルク・バレ |
キャスト 出演者 | リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー、ミキール・ハースマン、ギャビー・ホフマン |
配給/製作/画像 | ©20th Century Fox、フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(USA)/フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、パシフィック・スタンダード、リバー・ロード・エンターテインメント |
日本興行収入 | 0.8億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 0.5億USドル [出典] |
製作費 | 0.2億USドル |
平均評価★★★★★72(私の評価↓は含まず)
|
『わたしに会うまでの1600キロ』予告動画
ネタバレ感想『わたしに会うまでの1600キロ』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『わたしに会うまでの1600キロ』は、母の死に直面して自暴自棄になり夫も裏切ってしまったシェリルが、過酷な「パシフィック・クレスト・トレイル」を約1600キロも歩いて自分探しをする、実話ベースの自伝的ドラマ映画です。
この映画のおすすめ、6つのポイント
- パシフィッククレストトレイル
- 過酷なトレイル踏破で自分探し
- バックパッカー旅行の楽しさ
- シェリルの過去や歩く理由
- コンドルは飛んでいくや少年の歌
- 観てると旅行したくなる

少し残念?つっこみどころ、4つのポイント
- 歩くことを選択した理由が不明確
- 妻の悲しみを癒せなかったポール
- 歩いても達成してる気がしない
- ラストの中途半端な感じ
『わたしに会うまでの1600キロ』ネタバレ感想の総括
私もバックパッカー旅行が好きですが、単に安くで世界中を見て回りたいという興味本位や趣味なので、この映画のような自分探し的なものではないです。しかしそういう人に出会うことはあり、自分を過酷な状況に追い込んだ方が見なおせるタイプの人だと感じました。
そう考えながら観てると、ラストでの主人公の心の変化は予測できてしまうため、映画としての面白さは半減してしまいます。『わたしに会うまでの1600キロ』もそういう結末を逸脱していないため、普通のロードムービーのレベルを超えてないのは残念でした。
しかしバックパッカー映画としてみると、荷物が多すぎたり、燃料を間違えたり、食料や水が切れたり、襲われる恐怖を味わったり、旅仲間とのふれあいを楽しんだりと、バックパック旅行あるあるが満載で楽しめました。
『わたしに会うまでの1600キロ』ネタバレ感想や印象的シーン
この映画は自然の美しさを体験してほしいという意図もありそうなのに、冒頭でいきなり納得できない自然破壊シーンがあります。なんとトレッキングシューズの片方を崖下へ投げ捨てたのです。誤って落としたのは仕方ないけど、意識的に投げるのはひどすぎますね。
しかしこれも主人公シェリル(リース・ウィザースプーン)のトレッカー初心者としての未熟ぶりを表してるのかな、とも思ったんですが、このシーンはそれほど序盤でもなさそうだし、後半も自然へのリスペクトシーンは見当たらなかったので、制作陣の配慮不足かも。
そんな雑音が気になりながらスタートしますが、シェリルの過去が少しづつ明らかになっていき、このパシフィック・クレスト・トレイルを歩くことになった理由もわかってくる構成です。母親バーバラ(通称ボビー)(ローラ・ダーン)がシェリルと同じ学校に通ってたのは驚きシーンでした。
父親の暴力から子供2人を守るために家出した母は、自分の好きなことを我慢しながら愛情をもって2人を育てあげます。そんな彼女は人生を有意義に過ごせなかったと思ってますが「子育ての成功」こそが、彼女の趣味であり成し遂げたミッションだったと考えれば最高の人生だった気がします。
しかしそう思えるかどうかは人それぞれで、少なくとも母ボビーは子育てだけでは満足できなかったのでしょう。だからこの映画観た感想で「こんなに素晴らしい子を2人も育てたあなたは幸せですよ」と言うのは簡単だけど、本人的には納得できないんだと思います。
そういう風に自分の人生を犠牲に子育てしてきた親世代を見てきたからこそ、自分はそうなるまいと今の少子化にも影響を与えてる気がします。シェリルも母の死という悲しみがトリガーになって、自分の本能のままに振る舞った結果、酒やドラッグや男におぼれていったのでしょう。
しかしその行動パターンは、自分や母がかつて嫌った父親に似ているという点が皮肉にもなっています。犠牲者だったシェリルが今度は加害者になって、優しい夫ポールを傷つけてしまったのです。本当はポールこそが1600キロの逃避行に挑むべきかもしれません。
そんなポールもすぐに次の女を見つけてるようなので、もともと彼にも問題があった可能性はあった気がします。そして今度は彼が加害者になり…と連鎖がループしていく物語も作れたりするかもしれません。
シェリルは落ちぶれていった生活や人生を見直すために、パシフィック・クレスト・トレイルを歩き出すのですが、なぜそこなのか?なぜ歩くのか?という理由ははっきりと提示されません。何かきっかけはあったと思うので、それを描いてほしかったです。
アメリカで女性1人でヒッチハイクする時点で「自分を大切にしない病」は続いてる状態から、トレイルを歩きはじめます。そしてガス燃料を間違えたことから、冷たい食事ばかりするのですが、それが苦行のようで自虐効果はあったようです。
そのすぐ後でトラクターのおじさんの車に乗る時には、身の危険を感じて「夫とはぐれた」というみえみえの嘘をつくことから「自分を大切にしたい」という感情が戻ってきていることがわかります。そこのおばさんがシェリルの座る椅子に紙を敷いたのは笑えました。
トレッキング中に一番はじめに出会った人は、旅慣れた好青年グレッグでどこか元夫ポールに似てる感じがしました。だからこそシェリルも好感持ったけど、後ろめたさもあるため、男女の仲にまでは踏み込んでいけなかったように思えました。
そんな旅慣れたグレッグに雪が積もってるとアドバイスまでもらったのに、迂回が甘くて雪山を歩くはめになったシェリルにはまだ、自虐的な一面が残ってたのでしょう。しかし普通の人グレッグは危険を察知して、あっさりと旅を終了させてしまいます。
冒頭でトレッキングシューズを崖へ投げ捨てた時も「自分を傷つけたい欲望」が残ってた気がします。歩いてると足がふくれてくるので、大きめのトレッキングシューズを選べ!とか、一度も使わない物は捨てて行けとか、ハイカー豆知識も役立ちますね。
『わたしに会うまでの1600キロ』結末/ラストシーン
シェリルは無謀なトレッキングを続けて、ターニングポイントに誌のようなメッセージを残すうちに、女性1人旅ということもあり、旅仲間の間でウワサになっていきます。山小屋でも親切にしてもらったりして、少しづつ自分を取り戻していきます。
山小屋のアドバイスをテキトーに聞いて出発してしまい、水分がなくなった時は、さすがに「死」を意識したと思います。そして泥水を見つけて「生き残れそう」と思ったシェリルにはもう「生きることへの執着」が見られます。ただ『レヴェナント 蘇えりし者』なら泥水でも飲んだでしょうけど時代が違いますかね。
そのすぐ後に猟師?の男2人に出会った時には、襲われる危険を感じますが、以前のシェリルなら逃げずにむしろ自分から自虐行為に向かったと思います。しかし実際には恐ろしさを感じていたので、自虐意識は消え去って本来のシェリルに戻っていました。
この物語で最も感動できたシーンは、森で出会った親子の少年が歌ってくれた時です。少年も母親から教わったそうで、母の愛情を感じさせる歌詞だったため、自身の母を思い出したシェリルは、涙をこらえて別れた後で号泣します。この映画はあのかわいい少年が全部持っていった感じです。
そんな旅もラストに差しかかり、無事に最終目的地の神の橋に到着します。そこでのシェリルは完全に、母に愛されてた時の顔に戻っています。回り道は過酷で長すぎましたが、やっと母ボビーが思い描いたシェリルになれたんでしょうね。
劇中で何度か演奏されて、エンドロールでも流れる曲「コンドルは飛んでいく」は南米アンデスのですが、山道のトレッキングにはあう選曲で、とても気に入りました。
シェリルの自分探し映画と考えると、人によっては面白みを感じないでしょうけど、大自然の雄大さや美しさを見てるうちに旅行したくなる映画ですので、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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