映画『パッセンジャー』評価は?ネタバレ感想考察/宇宙船が選んだ者は恋して世界も救う
『パッセンジャー』あらすじ概要
超大型宇宙船アヴァロン号は、宇宙移民5000人を120年間の人工冬眠させたまま航行していたが、装置の故障によりジム1人だけが早く目覚めて冬眠できなくなってしまう。ジムは解決策を見いだせず、孤独にも耐えていた。しかしある時、もう1人の女性客オーロラも目覚めて2..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | パッセンジャー |
日本興行収入 | 公表後すぐ更新(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 3.0億USドル [出典] |
製作費 | 1.1億USドル |
平均評価★★★★★68(私の評価↓は含まず)
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原題/英題 | Passengers |
日本公開日 | 2017/3/24 [予告↓]上映時間 116分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA PG-13 |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | モルテン・ティルドゥム |
キャスト 出演者 | ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア |
配給/製作/画像 | ©ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ、スタート・モーション・ピクチャーズ、オリジナル・フィルム、Lスター・キャピタル、ワンダ・ピクチャーズ、コンパニー・フィルムズ |
『パッセンジャー』予告動画
ネタバレ感想『パッセンジャー』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『パッセンジャー』ネタバレ感想の総括
超巨大宇宙船とはいえ狭い世界で、たった2人だけで生きていかねばならなくなった男女の物語です。飲食など生活の心配はする必要がないので、『オデッセイ』『ゼロ・グラビティ』のような脱出やサバイバル要素はほぼありません。孤独からのサバイバルです。
他の皆は冷凍睡眠中だったり、宇宙に出て作業したり、精巧なアンドロイドが重要な役割を果たしたり、蘇生手術したりと、SF要素は満載ですが、それらの技術をもってしても根本的な問題は解決できないため、人間の気持ちや考え方が重要なヒューマンドラマ要素も増します。
この物語は「アダムとイヴ」「ノアの方舟」なども連想させます。あとわすれてはいけない点は、ジムが起きなければ、冷凍睡眠中の5000人は全員死んでたということです。そして遠隔地からボタンを押すために、最低でも2人は必要だったのです。そのために宇宙船が、適切な1人を選んだと考えるとゾッとします。
宇宙船内のシステムやルールなどには、ご都合主義的なつっこみどころは多いですが「たった2人だけの世界」を作るために必要な設定なので、割り切った方がいいのでしょうね。オーロラの立場で考えると腹立たしいし、ジムの行いは決して許されないけど、ジムを救える唯一の女性という運命も感じたのかもしれません。
この映画のおすすめ、9つのポイント
- 宇宙船での孤独からのサバイバル
- 宇宙船内でのSF描写
- ジムの暮らしや孤独とのつきあい方
- ジムの功罪
- ジムとオーロラのラブロマンス
- オーロラの葛藤や選択
- プールで水泳中の重力喪失シーン
- 冷凍睡眠中5000人の救出劇
- ラストの行方と90年後は?
少し残念?つっこみどころ、7つのポイント
- もっとSF要素を期待してた
- 宇宙船の緊急時が無防備すぎる
- 120年間誰もいないのおかしい
- 再び冷凍睡眠不可もおかしい
- 船員ガスの登場理由が不明
- ジムはもっと反省すべき
- オーロラはジムの罪を許せるのか
『パッセンジャー』あらすじにそってネタバレ感想
20xx年、地球上の人口が増えすぎて、人類は宇宙の住める星へと移住します。ホームステッドIIという惑星へ、120年かけて向かう超巨大宇宙船アヴァロン号では、約5000人の乗員乗客が冷凍睡眠で運ばれます。その間は船員も全員眠っています。しかし30年後に、小惑星か隕石を回避した時に異常が発生します。
その異常で1台の冷凍睡眠が解除されて、1人の男性ジム(クリス・プラット)が目覚めます。状況を理解したジムは、再び冷凍睡眠で眠ろうと試行錯誤しますが不可能で、船長やスタッフを起こすことも出来ません。飲食の心配はいらないし、精巧なアンドロイドのバーテンダーのアーサーが話し相手で孤独はまぎらわせます。
約1年間いろいろ試して、万策尽きたジムは、この先90年間をたった1人で過ごす覚悟ができます。しかしアンドロイドのバーテンダーとの感情のない会話だけでは孤独は癒やされず、冬眠中のきれいな女性オーロラ(ジェニファー・ローレンス)のことを調べはじめると、さらに気になっていきます。
やがて我慢できなくなったジムは、ついにオーロラの冷凍睡眠を解除する罪を犯します。状況がわからず、頼る相手がいないオーロラがジムに好意を持ち、恋に落ちるのは当然です。一緒に宇宙遊泳したり、食事するシーンは、ジム1人だけの時の孤独なシーンとは対称的で、本当に幸せそうです。
しかしその幸せは長続きせず、ジムが婚約指輪を渡す前に「私達に秘密はない」と聞いたアンドロイドのアーサーは、ジムの秘密の罪を悪気なくオーロラに話してしまいます。
アーサーは「ジムがオーロラを目覚めさせたこと」を秘密にしてくれと言われてそれまで話しませんでした。しかしもう秘密ではなくなったと思い、素直にそのことをオーロラに話してしまいます。これにはオーロラもショックだったでしょう。ジムはオーロラの90年を奪ったというのに、反省の様子があまり見られず残念です。
ジムはオーロラを目覚めさせる前にバーテンダーも同意したと感じ、目覚めさせた後も祝福されますが、これは感情のないアンドロイドを誘導して自己正当化に利用したにすぎません。旧約聖書でアダムが悪魔の蛇にそそのかされて禁断の果実を食べたのと似てるかもしれません。そもそも食べたかったのです。
絶望したオーロラはジムを襲って殴りつけて、無視を続けました。殺さなかったのは、まだ理性があったことと、嫌いな人でも1人ぼっちになるよりはましだと思ったからでしょう。たった2人しかいない世界で90年も過ごすので、憎い相手でもいつかは助けてもらう必要があるかもしれません。
このまま90年間でどうなるか見てみたい気もしましたが、さすがに退屈にもなってきました。その時、都合よく3人目が目を覚まします。ガス・マンキューゾ(ローレンス・フィッシュバーン)は船員なので、宇宙船のしくみにも詳しかったのですが、冬眠装置の不具合で病気に侵されてしまい、余命わずかでした。
宇宙船は2年前から少しづつ障害が増えていて、ついに重力喪失の障害が発生します。ジェニファー・ローレンス演じるオーロラは気晴らしにプールで泳ぐのが好きなのですが、水泳中に重力がなくなって、水の球とともに空中で静止して脱出できずおぼれます。間一髪で重力がもどり助かります。このシーンは見ものです。
私は見落としたのかもしれませんが、この時点でなぜ船長や他の船員を起こさなかったのでしょうか。まだ権限が足りなかったのでしょうか。宇宙船に問題が生じれば、そもそも5000人全員が犠牲になるので、道徳的に起こせなかったことはないと思います。いずれにしろジムらは、ガスに権限をもらいます。
『パッセンジャー』ネタバレ結末/ラストシーン
ガスの調査のおかげで、宇宙船の不調は隕石との衝突を阻止した時に、原子炉の温度調整機能がおかしくなったことだと判明します。そこでジムは制御装置を修理しますが、熱を宇宙へ放出するための換気口が開かず、宇宙へ出て開けに行きます。しかし誰かがいないと、開けっ放しにできないため、ジムが留まります。
ジムはオーロラに、核融合炉の熱を放射するボタンを押すよう言いますが、そうするとジムの命の保証はないため躊躇します。しかし5000人の乗客を守るために、最後はジムに言われるままにボタンを押します。ジムはかなり宇宙防護服で耐えますが、ワイヤーが切れて宇宙へ飛ばされてしまいます。
オーロラはすぐ宇宙服を着てジムを追いますが、ワイヤーが届かず、ジムが飛んで行くのを泣きながら眺めますが、ジムのワイヤーを見つけて引っ張ることができます。しかし息はしてません。船内のメディカルマシーンでガスの権限を使い、酸素供給、薬品注入、電気ショック、心臓マッサージ、冷却などを一気に施します。
こんな無茶な治療ができてしまうメディカルマシーンはあり得ませんが、何かが功を奏してジムは生き返ります。そして2人は、かけがえのない存在になり、1人だけなら冬眠可能だとわかっても利用せず、共に人生を歩んだようです。
88年後に一足先に目が覚めた船員たちが中央広場へ行くと、殺風景なはずなのに植物が生い茂り、ジムとオーロラが共に人生を楽しんだ足跡を見ることができます。彼らが今どうなってるのかは、映画では語られませんが、100歳を超えてるのでおそらく死んでいるでしょう。子がいても孫の代ですね。
それにしても120年間も1度も船長も船員も起きないなんてあり得ないし、一度起きた冬眠装置が再起動しないのも現実的ではありません。あと、ガスが侵された病気には、他の船員や乗客も侵されてる可能性があるでしょう。そのへんは想像することしかできませんが。
ジムが起きなければ5000人全員が助かりませんでした。ジムが選ばれたのは偶然かもしれませんが、私は宇宙船の意志のようなものを感じます。善良で若いエンジニアのジムが選ばれたからこそ、起こしたのもオーロラ1人だけですんだし、宇宙船を修復することもできました。ガスは権限のために起こされたのかもしれません。
ジムがオーロラを選んだのは個人的な好みだったと思うけど、彼女がいなければ孤独に耐えきれず、精神がもたなかったと思います。禁断の果実を食べるという贖罪をおかして、黄泉の国ならぬ冬眠から目覚めさせた女性は、ジムにとっても5000人にとっても女神だったということでしょう。
終盤に、1人なら冷凍睡眠に戻れることが判明しますが、もしオーロラを起こさなかったなら、ジム1人なのですんなりと冬眠できたというオチもあります。しかし1人なら熱放出のボタンを押す人はいないので、5000人は助からなかったことになるんですね。なかなか深いです。
SFや宇宙での物語を期待して観ると物足りなさを感じるかもしれませんが、乗客を救ったヒーローである2人の男女の成長と人生の決断の物語だと考えると楽しめると思いますので、多くの人にぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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